進歩的文化人
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進歩的文化人(しんぽてきぶんかじん)とは、第二次大戦後の占領期から1980年代にかけて、市民運動などの運動に関与し、ジャーナリズム、マスメディアで活躍した左翼・リベラル系の知識人らを指すことばである。代表格としては、清水幾太郎、丸山眞男、鶴見俊輔、小田実、大江健三郎、西園寺公一、羽仁五郎、家永三郎、本多勝一などが挙げられる。
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[編集] 概要
保守勢力からは旧ソ連・中国・北朝鮮など社会主義国に対して礼賛的でありそれらの国々の垂れ流すプロパガンダを一方的に報道したのではないかという批判や、かつては右翼的な発言を繰り返してきながら、それへの反省もなしに時流に乗っている人々が少なからずいるといった批判がある。家永三郎、住井すゑなどの人物が、これに該当する。
広義には、かれらに有力な活動の舞台を提供した媒体から、朝日文化人・岩波文化人もほぼ同義であるとされる。戦後民主主義者もほぼ同義語である。
どちらかというと冷戦期から活動していた古参の人物、および旧来のリベラル派的主張をする、あるいはしていた人物に使われることが多い。明白にマルクス主義の立場に立つ論者を除いた呼称として使われることも多いが、左派知識人の別称として用いる場合には、マルクス主義者を含んだ意味合いで使われることもある。従って、左翼系文化人でも冷戦終了後に活動するようになった若手文化人・知識人に対して指すことはあまりない。かつては美称であったが、「進歩的」の語の輝きが無くなるに従い美称としての含意は弱まっている。一方、かかる立場に反対する立場の人々によって、蔑称として用いられてきた用語でもある。
[編集] 著名な人物
- 石川文洋 - 報道写真家
- 井出孫六 - 小説家
- 井上ひさし - 劇作家
- 色川大吉 - 日本史学者
- 宇井純 - 公害問題研究家
- 内橋克人 - 経済評論家
- 大内兵衛 - 財政学者
- 奥平康弘 - 憲法学者
- 加藤周一 - 評論家
- 鎌田慧 - ルポライター
- 北野弘久 - 税法学者
- 木下順二 - 劇作家
- 久野収 - 哲学者
- 小中陽太郎 - 評論家
- 小林直樹 - 憲法学者
- 坂本義和 - 国際政治学者
- 澤地久枝 - 小説家
- 篠原一 - 政治学者
- 隅谷三喜男 - 労働経済学者
- 都留重人 - 経済学者
- 鶴見和子 - 社会学者
- 中野好夫 - 英文学者
- 野間宏 - 小説家
- 灰谷健次郎 - 児童文学作家
- 樋口恵子 - 評論家
- 樋口陽一 - 憲法学者
- 福田歓一 - 政治思想史学者
- 松田道雄 - 小児科医、育児評論家
- 宮沢俊義 - 憲法学者
- 武者小路公秀 - 国際政治学者
- 無着成恭 - 教育評論家、僧侶
- 山中恒 - 児童文学作家
- 弓削達 - 西洋史学者
- 吉野源三郎 - 編集者
- 和田春樹 - 歴史学者
[編集] 参考文献
- 森田実『進歩的文化人の研究-体験的戦後史レポート』、サンケイ出版、1978年11月。
- 稲垣武『「悪魔祓い」の戦後史-進歩的文化人の言論と責任』、文芸春秋、1994年8月。
- 思想運動研究所編集『1970年の進歩的文化人』、全貌社、1968年。