JR東日本E721系電車
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E721系電車(E721けいでんしゃ)は、東日本旅客鉄道(JR東日本)の交流一般形電車。
本項では仙台空港鉄道が所有する同型車両のSAT721系電車(SAT721けいでんしゃ)についても記述する。
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[編集] 概要
2007年(平成19年)3月18日に開業した仙台空港鉄道仙台空港線(名取駅~仙台空港駅)への直通運転用(500番台)及びJR東日本仙台地区で運用されている旧型車置き換え用(0番台)の車両として製造されたものである。車両の製造は川崎重工業と東急車輛製造である。クモハE721形とクハE720形の2両で基本編成を構成し、最大で4編成8両まで併結可能となっている。
全車が仙台車両センターに配置されている。
2007年2月1日より東北本線、同年3月17日から常磐線、3月18日から仙台空港線で旅客扱いを開始。同年4月から仙山線で旅客扱いを開始する予定。
[編集] 仕様
E721系は、バリアフリーの観点から、従来車から設計が細かく見直されたものとなり、客室の床面高さは東北地方の駅のホームの標準高920mmに対して950mmとなった。従来車の床面はホームより10cm以上高かったため、ホームと車両の間に大きな段差が生じていたが、E721系では車体構造が見直され、床下機器が小型化の上、従来車より一回り小さい直径の車輪が採用されたことから、ホームとの段差は軽微となった。そのため、従来車にあった乗降口のステップがなくなり、フラットになっている。また、車両とホームの間のすき間が狭くなるように乗降口のくつずりが延長されている。乗務員室の床面は従来車と同じ高さになっており、他車との併結で貫通路を構成する際に客室と段差が生じるため、目立つように黄色い点字が施されている。
車内トイレについては従来車に比べて大型化し、電動車いすにも対応可能となっている。また、乗降扉の開閉ボタンの取り付け位置が従来車より低い位置に改められた。0番台車については、2006年12月26日から中央快速線で運用中のE233系と同様に、優先席の部分は床が赤紫色と灰色のツートンカラーに、つり革がオレンジ色になっており、優先席以外の空間との区別が明確にされている。
客室設備の面では座席の配置はセミクロスシートが採用されている。ボックス式クロスシートの座席間隔は1,585mm、ロングシート部分の1人分の座席幅は460mmで、従来車より広い。また、冷暖房といった空調機器には、乗車率や車内・車外の温度を検知し、設定基準温度や風量を自動補正する機能が備えられた。
運行機器関連では、保安装置であるATS-Ps、補助電源装置である静止形インバータ(SIV)や主変換装置が二重系構造となり、一方が故障しても健全な機器に切り替えることでなるべく運行が続けられるような配慮がなされている。また、701系との協調運転が可能になっている。
今後のワンマン運転を想定して、整理券発券器と出入口表示器の準備工事がなされている。そのうち500番台とSAT721系には、仙台空港線でのワンマン運転にあわせて運転台にドア開閉スイッチが設置されている。ただ、同線では駅での料金収受を行っているため、整理券発券器や出入口表示器は準備工事のままになっている。
- 車体構造 軽量ステンレス製・片側3扉(半自動ドア・ドアチャイム・開閉表示灯付)
- 外部装飾 緑と青の帯(500番台車)・緑と赤の帯(0番台車)
- 制御方式 VVVFインバータ制御
- ブレーキ 回生ブレーキ併用電気指令式空気ブレーキ・直通予備ブレーキ・抑速ブレーキ・耐雪ブレーキ・純電気ブレーキ
- 保安装置 ATS-Ps
- 最高速度 120km/h
- 座席配置 セミクロスシート・車椅子スペース付
- その他設備 行先表示器・冷暖房装置・洋式トイレ(電動車いす対応)・自動放送装置(日本語・英語)・車内案内表示器
- モニタ装置 MON16形
- 701系のモニタ装置と互換性を持ち、両車間で機器の動作状況が監視できる。
- 他系列との併結:701系と協調運転、719系と相互に救援が可能。
- 701系との協調運転の場合、同系列の性能に合わせて走行することになる。ATSの速度照査パターンも、701系との協調運転の場合には同系列と同じ照査パターンになる。
[編集] 番台区分
[編集] 0番台
東北本線や常磐線など、JR東日本仙台地区の在来線で国鉄時代から運用されている455系・717系・417系といった老朽化した2扉の旧型車を置き換える目的で製造された。2扉の車両は、朝夕のラッシュ時において旅客の乗降に時間がかかり、列車の遅れにつながるなど、サービス上の課題となっていた。常磐線は終日の本数が少なく、日中も混雑している上、455系で運用される列車はデッキまで乗客があふれていた。
第1編成は2006年11月に落成した。この後、2007年度までに2両編成39本の計78両が導入され、上記の旧型車117両を置き換える予定となっている(旧型車の残り27両は、水戸線・常磐線水戸~原ノ町間で運用される事になった415系1500番台に置き換えられる予定)。2007年2月1日より東北本線(黒磯~一ノ関間)で、3月から常磐線(原ノ町~仙台間)での営業運転を開始した。4月からは仙山線でも運用される予定である。
500番台(後述)との差異は、大型荷物スペースを持たない点、車体装飾帯の色が701系(仙台地区仕様車)や719系(同)と同様の緑と赤である点となっている。
[編集] 500番台
仙台空港線乗り入れ用の車両である。空港へのアクセスを担うため大型荷物スペースが設置されているほか、ワンマン運転装置やホーム監視モニタなど空港線を運行するにあたり特有の設備を有することから、車号が500番台に区分されている。0番台車と異なり緑と青の装飾帯を車体にまとう。また、発車メロディーを搭載している。
第1編成は2006年2月に落成し、その後9月から10月にかけて第2~4編成が製造された。2両編成4本の計8両が存在する。2007年3月18日から営業運転を開始した。
SAT721系と連結して運用につくことがある。
[編集] SAT721系電車
仙台空港鉄道は500番台と同一仕様のSAT721系電車を2両編成3本の計6両を保有している。これは正面の運転台周りや側面の装飾帯などは青を基調とし、それに黄色の細帯をあしらったカラーリングとなっている。全車川崎重工業製。500番台と同じく発車メロディーを搭載している。こちらも2007年3月18日から営業運転を開始した。
E721系500番台と連結して運用につくことがある。