イスラム主義
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
教義と信仰 |
指導者 |
ムハンマド |
法と規範 |
歴史的展開と潮流 |
さらに詳しく知る |
イスラーム主義(イスラームしゅぎ)は、イスラーム(イスラム教)の理念を社会において実現することを理想とし、行動目的としてムスリム(イスラーム教徒)の国家をシャリーア(イスラーム法)に基づいて運営されるイスラム国家とすることを目指す、ムスリムによる政治運動、政治イデオロギーを指す分析概念である。日本語の「イスラム主義」は、英語の Islamism に対応し、「イスラーム復興主義」、「政治的イスラーム」といった語も用いられる。
イスラームは、その発足点に存在した思想から言えば、個人の信仰のみならず、社会、経済、国家など人間の行うありとあらゆる行為を規定する宗教であり、イスラーム国家としてあるべき体制から離脱したとされる政権に対する批判としてのイスラーム国家建設運動は歴史上幾度も繰り返されてきたが、イスラーム主義という用語は、そのような運動の中でも特に近代におけるイスラム復興(いわゆるイスラム原理主義)の潮流から発生した政治的運動を指して用いられる。
1970年代頃から世界的な宗教回帰の潮流や、あるいはイスラム世界における近代化の負の側面としての貧富の格差の拡大、イスラームの理想とする価値観の後退といった現象に対する反発として、「イスラーム」を題目として行われた政治、社会、文化的な運動が広範にみられるようになるが、イスラーム主義はそれらの動きのうちの政治的なものとして興隆した。1970年代以来、実際にいくつかの国ではイスラーム主義はイスラーム国家の実現を目指す新政権の樹立を実現したが、多くの国々では政府による抑圧を受けた。1980年代後半に至って共産主義体制の崩壊による旧ソ連圏のイスラーム世界への復帰、パレスチナ問題、ボスニア紛争の混迷や湾岸戦争による欧米勢力の中東への進出といった事象に触発されてイスラーム主義は全世界へ拡散し続けている。特に1990年代以降は、パレスチナ問題や湾岸戦争において最も顕著に見られたような、西洋主導の国際社会がムスリムの国々を抑圧していると反感を抱くイスラーム世界の不満を背景に西洋に対する強烈な反発を生み、反米運動としての様相も呈している。
欧米では、イスラーム主義に該当するような政治運動を指して「原理主義」という言葉が1980年代以来非常に広範に用いられ、日本でもマスコミなどを通じて定着している。しかしながら、研究者の間では、そもそもイスラームに原理主義という概念を適用することに対しては問題があるとされ、また「原理主義」という言葉が、イスラーム主義の中でも特に先鋭的、戦闘的なグループを指す語として使われてきた事情があるために、かえってイスラーム主義の実態を見えにくくしている面があることから、イスラーム原理主義という枠の安易な使用は好まれない。なお、2001年のアメリカ同時多発テロ事件以降は、イスラーム主義運動に対する関心の高まりを反映し、「イスラーム復興」全体を指す概念としての「イスラーム原理主義」のうちから特にイスラーム主義運動の中の先鋭的、戦闘的なグループを選別して指す語として、「イスラーム原理主義過激派」という言葉が選択されることも増えている。
また、英語ではいわゆる「イスラーム原理主義過激派」を指す概念として Militant Islam という語が使われることがあり、対応する日本語として「戦闘的イスラーム」という語も見られる。中央アジアやカフカスなどではイスラーム主義に対するレッテルとしてワッハーブ派が用いられることもあり、同様に英語ではしばしばワッハーブ派という括りが無批判に使用されるが、日本語では稀である。
なお、イスラーム主義系の組織で、政治的に先鋭的であり、主張を実現させるための行動としてテロリズムに訴えるものは「イスラーム・テロリズム」と呼ばれ、宗教テロの一種とみなされることがある。
[編集] 主なイスラーム主義運動組織
「イスラーム主義」の厳密な範囲は定義者によって異なるため、客観的にイスラーム主義運動組織を分類することは難しい。ここでは穏健であるか国際テロ組織であるかを問わず、イスラーム国家樹立を主張する様々な組織のうち代表的なものをあげる。
- アルカーイダ
- イスラーム救国戦線(アルジェリア)
- イスラム集団(エジプト)
- ジハード団(エジプト)
- ムスリム同胞団(エジプト)
- ジャマーアテ・イスラーミー(パキスタン)
- ターリバーン(アフガニスタン)
- ハマース(パレスチナ)
- ヒズボラ(レバノン)
この「イスラム主義」は、イスラームに関連した書きかけ項目です。 記事を加筆・訂正してくださる協力者を求めています。 (ウィキポータル イスラーム/ウィキプロジェクト イスラーム) |