ドカベン (プロ野球編)
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『ドカベン(プロ野球編)』は、秋田書店の週刊少年チャンピオンで連載されていた水島新司の野球漫画で、高校野球をモチーフとした『ドカベン』の続編である。
目次 |
[編集] 概要
今度は主人公の山田太郎たちが日本プロの舞台で熱戦を繰り広げる。あの松坂大輔と山田が、里中と瓢箪が、そして、オールスターでは、不知火と山田がバッテリーを組む。また、土門と微笑のバッテリーが実現している。そして山田がピッチャーになる場面もある。
[編集] 時代設定
『ドカベン』の明訓高校編は1974年からの3年間が舞台になっているが、山田たちが3年になって以降は時代が不明確になっている。 『ドカベン(プロ野球編)』では山田たちが高3の春夏連覇をしたのが十数年未来にずれて平成6年=1994年に変更されており、この年に第2期長嶋巨人と王ダイエーが岩鬼を指名している。岩鬼はダイエーに入って「あぶさん」と「チームメート」になる。山田は東尾監督の西武に入り、里中は千葉ロッテ。殿馬はオリックスに入り、イチローとチームメートになっている。微笑は巨人に入り、「松井と一緒のチーム」。こうなると山田たちは明訓入学から卒業・プロ入りまで20年かかっている。
続編として、ドカベン (スーパースターズ編)がある。
[編集] 主な登場人物
[編集] ドカベン時代からの野球選手
- 山田太郎(やまだ たろう)
- 愛称「ドカベン」。捕手。明訓高校卒。1994年のドラフト会議で、巨人・福岡ダイエーホークスを除く10球団からの1位指名を受け、西武ライオンズに入団。微笑と並び、5打席連続本塁打の日本記録保持者。背番号は02。主なタイトル:三冠王(01)、首位打者(01)、本塁打王(95,98,99,01,02)、打点王(95,96,97,99,01,02)、新人王(95)
- 岩鬼正美(いわき まさみ)
- 学生帽と口にくわえたハッパがトレードマーク。三塁手。明訓高校卒。1994年のドラフト会議に巨人との抽選の結果、1位指名で福岡ダイエーホークスに入団。背番号は05。主なタイトル:本塁打王(96,97,98,01,02,03)
- 殿馬一人(とのま かずと)
- 音楽が得意で、それらを生かした「秘打」が得意。「~づら」が口癖。二塁手。明訓高校卒。1994年のドラフト会議に5位指名でオリックス・ブルーウェーブに入団。背番号は04。主なタイトル:首位打者(02)、盗塁王(97,98,99,02)
- 里中智(さとなか さとる)
- 「小さな巨人」の異名をとる。投手。明訓高校卒。1994年のドラフト会議に3位指名で千葉ロッテマリーンズに入団。 ノーヒットノーラン、完全試合それぞれ1回達成。また96年のオールスターで9者連続三振を達成。日本記録の1試合20奪三振を保持していたが、スーパースターズ編で不知火守に破られる。背番号は01。主なタイトル:最優秀防御率(97,98,99,02,03)
- 微笑三太郎(ほほえみ さんたろう)
- いつも笑顔の外野手。明訓高校卒。1994年のドラフト会議に3位指名で読売ジャイアンツに入団。山田と並び、5打席連続本塁打の日本記録保持者。背番号は07。主なタイトル本塁打王(99,00)
[編集] 登場人物(野球選手、監督、コーチ以外の実在の人物)
以下の有名人がカメオ出演している。
[編集] エピソード
[編集] 復活のきっかけ
「ドカベンは大甲子園で終わり」と決めていた作者の水島氏であったが、清原和博から「ドカベンは今どうしているんですか?」「僕はドカベンから四番打者の心得を学んだ」「ドカベンを再び描いてほしい」と頼まれ、復活を決意する。このいきさつは、単行本第1巻の帯でも述べられている。 「大甲子園」の作中でも西武の打者山田と巨人に入団し名実ともに「小さな巨人」となった里中の対決が描かれている。しかし、これは里中の夢の中の話である。
[編集] 見所
他の野球漫画と一線を画すところは、公認野球規則を絡ませ、それが適用されるような場面を描いているのが随所に見られる。審判が作中で打者に規則を説明することにより、普段は気にならないような細かいルールを知ることとともに、注目されることが少ない審判にもスポットライトを当てている。栄村隆康や定年前の村田康一など、パリーグ審判員と岩鬼との掛け合いは見ものである。また、特に福岡ドームのブルペンや選手サロン、ロッカールームなどあまりファンが見ることができない場所も描写されている。
[編集] 背番号
実際に、実在のプロ野球球団に入団させるにあたり、一番のネックとなったのが背番号である。登場人物が所属する球団の実在選手が多数登場する関係上、背番号をダブらせることは避けたかった作者が考えついたのが、「01」や「02」といった背番号である(西武・蔵獅子丸の「440」、ロッテ・中西球道の「001」など、一部3桁の背番号もある)。
「00」という背番号をつけたプロ野球選手は過去数名いた(元阪神タイガースの亀山努などが有名。ちなみに日本初は、1988年、解雇されたランディ・バースに代わる阪神タイガースの助っ人として、シーズン途中に入団したルパート・ジョーンズ。現在も阪神の田中秀太など)が、さすがに01や02はいなかった。しかし、1993年、当時阪神タイガースに在籍した松永浩美が、開幕当初から故障が多発したのは自分がつけていた背番号「2」のせいだとして、シーズン途中に自ら背番号を「02」に変更することを申し出て、了承された。これが、00以外で10の位が0番台の二桁の背番号を付けた第1号となった。
また、現在は西武ライオンズの打撃投手が01、02等の背番号をつけている(2006年現在、微笑三太郎の「07」以外は使用されている。)。 作者はこれを参考に、登場人物の背番号を「01」や「02」などにすることで、実在選手との背番号の重複を避けることができた。ただし、山田太郎に関しては入団した年には既に打撃投手の玉井信博が「02」をつけていたので、この点で矛盾が生じていることになる。なお、玉井は作中にも打撃投手として登場しているが、ユニフォーム姿ではなかった。
[編集] 批判的な意見
ある程度の人気を博したプロ野球編だが、野球ファン、或いはかつてのドカベンファンの中では、「実在のプロ野球選手がドカベンのキャラクターの噛ませ犬に使われる」「実在のプロ野球選手が、現実からあまりに乖離している(上原浩治が160km/hのストレートを投げるなど)」、「外国人選手が出てこない(初期にはラルフ・ブライアントや、D・Jが登場していた。これは作者本人が外国人選手を嫌っている事や、かつて、ある外国人選手の代理人から法外な額の肖像権料が要求されたことがあり、トラブルを回避するためとも思われる。ちなみに、初期の「あぶさん」では外国人選手を中心に取り上げた話もあった)」「ドカベンのキャラが素晴らしい個人成績を残すにも関わらず、チーム成績は現実に準拠して描かれるため、時に非常に不自然な成績になる」「パラレルワールドであるはずの大甲子園(球道くん)の登場人物の中西球道が出てきた(他にも、設定があいまいな点は多数出てくる)」「毎シーズンがワンパターンの繰り返し」「どの球場も常に超満員の状態になっている」「福岡ドーム、甲子園球場、札幌ドームでレフト側(札幌ドームではライト側)が全てビジターのファンで占めている(実際はこれらの球場では一角を除き全てホームチームのファンで占める。ちなみに漫画の中では1998年の横浜スタジアムでの日本シリーズではレフトスタンドの一角が西武ファンでそれ以外は横浜ファンで占めていた)」など、批判的な意見も目立った。中でも、当時千葉ロッテのエースだった伊良部はキャラクターとして語尾に「チバ」「ロッテ」「マリーンズ」と付ける口癖があり、この事を本人に言われると「俺は『~ロッテ』なんか言わないよ」と苦笑いをしていた。
これらの欠点は、「スーパースターズ編」に移行することである程度解決されることになる。
[編集] ドカベン訴訟
TBSで放送されていたバラエティー番組「ウンナンの桜吹雪は知っている」の中で西武ライオンズ投手(当時)・渡辺久信(現・2軍監督)が水島新司を提訴した、という設定で行われた。
訴訟の内容は、自分が作品の中で岩鬼にホームランを打たれている場面を指して、「俺は岩鬼にホームランを打たれるはずがない」と主張し、名誉棄損の損害賠償として「『ドカベンプロ野球編』の作品の中で自分が新魔球(ブルースカイフォーク・実際には打者が空振りしたフォークが定義づけられている)の開発、完全試合達成の場面を描いてほしい」というものだった。
訴訟は原告・渡辺久信の勝訴に終わり、要求も実現された(水島は「敗訴」したにもかかわらず、「これで作品に描くいいネタができた」と喜んでいた)。渡辺はその直後、オリックス・ブルーウェーブを相手にノーヒットノーランを“本当に”達成した。
[編集] 時の流れ
プロ野球編と高校野球編との最大の相違点は、高校野球編が現実の時間の流れと全く関わりなく進行していたのに対して、プロ野球編は時間がリアルタイムで(と言ってもあくまでシーズン単位だが)進行している事である。
それを顕著に示しているのが山田太郎の妹・サチ子の成長である。高校野球編では小学校低学年だった彼女もリアルタイムで成長し、一人前の女性へと変貌を遂げる。その逆もあり、当時前作でプロ球団に入団した土井垣、犬飼小次郎は当時の日本ハム、南海に入団したのに、殆ど同世代として登場し、その間の時間を空白にしている。
そして9年が経過、FA権を獲得し大リーグ入りを希望する山田世代の選手達を日本球界に繋ぎ留めるために、パ・リーグに東京スーパースターズ、四国アイアンドッグスという2つの新球団が誕生し、山田らはその2球団に移籍。ちなみにその新球団にはプロでもない旧ドカベンの仲間が集結したりと、やや強引な結末で「スーパースターズ編」へとシフトしていく事になる。
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