ハーバート・フーヴァー

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**ハーバート・フーヴァー**
**Herbert Clark Hoover**

アメリカ合衆国31代大統領
任期:	1929年 3月4日 – 1933年 3月4日
副大統領:	チャールズ・カーティス

出生日:	1874年 8月10日
生地:	アイオワ州ウエストブランチ
死亡日:	1964年 10月20日
没地:	ニューヨーク州ニューヨークシティ
政党:	共和党
配偶:	ルー・ヘンリー・フーヴァー

ハーバート・クラーク・フーヴァー（Herbert Clark Hoover, 1874年 8月10日 - 1964年 10月20日）はアメリカ合衆国の第31代大統領。

[編集] 生い立ち

フーヴァーはアイオワ州ウェストブランチでクエーカー信者の一家に生まれた。だが彼の親の死後オレゴン州ニューバーグに転居した。

1885年の夏、フーヴァーは11歳のときに、ハンナおばさんの手製のごちそうの入ったバスケットを持ち、2枚の10セント硬貨を衣服に縫い込み、ユニオン・パシフィックの列車に乗って西のオレゴン州へ向かった。アメリカ大陸の反対側で彼を待ったのはおじの医者であり教育長のジョン・ミンソーンだった。彼はフーヴァーによって「表面上は厳しいが、全てのクエーカー信者同様に底では親切だった。」と回想された。

フーヴァーのオレゴンでの6年間は彼に独立独行を教えた。「私の少年時代の希望は誰の支援もなしでいかなる場所でも自分の生計を立てることだった。」おじのオレゴン・ランド・カンパニーの使い走りとして、彼は簿記とタイピングをマスターし、夜にはビジネススクールに通った。学校教師ジェーン・グレイのおかげで、彼はチャールズ・ディケンズとサー・ウォルター・スコットの小説に夢中になった。「デヴィッド・カッパーフィールド」(世の中を機知で切り抜けていくの孤児の話)は、生涯のお気に入りだった。

[編集] 教育

1891年の秋にカリフォルニア州パロアルトのスタンフォード大学に入学。在学中、野球チームやフットボールチームの運営、クリーニング屋や講義仲介業の経営などで注目を集めた。

キャンパスの上流階級気質に反して、余り裕福でない経歴を持つフーバーであったが、他の生徒に押される形で彼自身何の知識もない学生自治会の会計係に選出され、2000ドルに及ぶ自治会の負債を拭い去ることに成功した。

フーバーは地質学を専攻して、ジョン・キャスパー・ブラネル教授の下で勉強をした。ブラネル教授は彼のために夏休みの間アーカンソー州のオザーク山脈で地形の地図を作る仕事を与えた。彼は同じ研究室にいた後に妻となる銀行家の娘であるルー・ヘンリーとそこで出会い、1899年に結婚し、2人の息子に恵まれている。

1895年 5月、フーバーに知識と職業、妻を与えてくれたスタンフォード大学を卒業し、とりわけスタンフォードはアメリカ西部の身寄りのない人にとって家族代わりとなるに相応しい場となったと言われた。

卒業後、彼はオーストラリアの鉱山で鉱山技師として働き始め、その後中国で鉱山の開発に従事した。1900年 6月には天津で義和団によって拘束され、1ヶ月もの間厳しい尋問を受けている。妻が慈善施設で働いている時、彼はバリケードの建設を指揮し、ある時は中国の子どもを命がけで救っている。

1907年から1912年にかけてフーバーとルーは、1556年出版という最も古くに印刷された技術的な論文のうちの1つであるゲオルク・アグリコラの論文を翻訳をし、この翻訳はアグリコラの論文では最も信頼される英語翻訳となっている。

[編集] 大統領職

フーバーは、1929年の就任式の大統領就任演説で「今日、われわれアメリカ人は、どの国の歴史にも見られなかったほど、貧困に対する最終的勝利日に近づいている。･････」と語った事で有名。しかし、就任直後に世界恐慌が起きてしまった事で、フーヴァーは振り回されることになってしまう。彼は、「不況はしばらくすれば元の景気に回復する。」という古典派経済学の姿勢を貫き、国内においては、政府の経済対策を最小限に抑えて自由放任政策を継続した。その一方で、対外的にはスムート・ホーレー法のもとで保護貿易政策をとった。このことは、世界恐慌を深刻にさせた一因とも指摘される。

恐慌脱出にむけての道筋が見いだせない中、彼が発表した政策として有名なものが第一次世界大戦で英仏に融資した戦債の返済を1年間猶予する「フーヴァーモラトリアム」である。彼は、この政策を実行すれば、その1年間の間に景気は回復するだろうと考えており、次のフランクリン・デラノ・ルーズベルト大統領がニューディール政策で民間経済にも積極的に介入したのに対し、フーヴァーは政府や国家レベルでの対策しか講じなかった。これが、結果として景気をさらに悪化させる事になってしまう。

結局フーヴァーは、世界恐慌に対して有効な政策が取れないまま、1933年の任期満了をもって大統領職を退き、政界から引退した。

[編集] 内閣

ラジオを聞くフーヴァー


職名	氏名	任期

大統領	ハーバート・フーヴァー	1929 - 1933
副大統領	チャールズ・カーティス	1929 - 1933

国務長官	ヘンリー・L・スティムソン	1929 - 1933
財務長官	アンドリュー・メロン	1929 - 1932
	オグデン・L・ミルズ	1932 - 1933
陸軍長官	ジェームズ・W・グッド	1929
	パトリック・J・ハーレイ	1929 - 1933
司法長官	ウィリアム・D・ミッチェル	1929 - 1933
郵政長官	ウォルター・F・ブラウン	1929 - 1933
海軍長官	チャールズ・フランシス・アダムズ	1929 - 1933
内務長官	レイ・L・ウィルバー	1929 - 1933
農務長官	アーサー・M・ハイド	1929 - 1933
商務長官	ロバート・P・ラモント	1929 - 1932
	ロイ・D・チャピン	1932 - 1933
労働長官	ジェームズ・J・デイヴィス	1929 - 1930
	ウィリアム・N・ドーク	1930 - 1933

[編集] 大統領職後

大統領退任後、フーヴァーはスタンフォード大学に「フーヴァー研究所」を創設している。

フーヴァーは1932年の大統領選挙で大敗した。ルーズベルトが大統領に就任した後、フーヴァーはニューディール政策への批評家となり、国家主義傾向に対する警告を発した。彼はその懸念を『自由への挑戦 The Challenge to Liberty』という本にして表し、アメリカ古来の自由主義に敵対するファシズム、共産主義、社会主義について語っている。

フーヴァーは1938年にヨーロッパを訪れ、アドルフ・ヒトラーを始めとする多くの国家元首と会談した。

1940年にフーヴァーはフィラデルフィアで行われた共和党大会で講演を行った。ドルー・ピアソンを含む多数のリポーターはフーヴァーが自身を大統領候補として考えていると報じた。フーヴァーは、ヒトラーのヨーロッパにおける勝利は確実で、アメリカが必要とする大統領はヒトラーと取引ができ、彼を疎外しない大統領であると語った。このことはチャールズ・ピーターズの『フィラデルフィアでの五日間 Five Days in Philadelphia』で詳述される。

フーヴァーはイギリスへの軍事援助、レンド・リース・プログラムに強く反対した。

フーヴァーは後に、GHQ司令官を解任されたダグラス･マッカーサーが、解任指令の後もアメリカへの帰国を渋った際、「アメリカで支持の声が冷めぬうちに帰国するように。」とアドバイスしている。この時、結局マッカーサーは解任指令から5日後に日本を離れているが、マッカーサーはこの時合衆国大統領になる事を目指しており、それでフーヴァーのアドバイスに従ったと思われる。

[編集] 第二次世界大戦後

1946年から47年にかけての冬にトルーマン大統領は、フーヴァーを占領国の食料状況視察のためドイツに派遣した。フーヴァーはヘルマン・ゲーリングが使用した古い専用列車で西ドイツ国内を視察し、アメリカの占領政策に対して批判的な多くの報告書を作成し、ドイツ経済は「百年間で最低のレベルに沈んだ」と語った。冷戦が激しくなるとフーヴァーは以前強く支持したアメリカ・フレンド奉仕委員会への支援を保留した。

1947年にトルーマン大統領は行政部再編成委員会の委員にフーヴァーを任命し、彼は議長に選出された。この委員会は後にフーヴァー委員会として知られるようになった。1953年にはアイゼンハワー大統領が同様の委員会の議長に任命した。二つの委員会は多くの非効率で不要な物を削減した。

フーヴァーは大統領退任から31年と7ヶ月後の1964年10月20日の午前11:35に、ニューヨークにおいて90歳で死去した。彼は妻よりも20年長く生きた。その死までに彼は自らの公的イメージを改善することができた。彼は歴代大統領の中で退任後最も長く生存した（2006年時点でジェラルド・フォードは退任から29年が経過した）。フーヴァーは妻と共にアイオワ州ウェスト・ブランチのハーバート・フーヴァー大統領図書館に埋葬された。フーヴァーの葬儀は国葬として行われ、ジョン・F・ケネディ、ダグラス・マッカーサーの葬儀に続いて行われた国葬であった。

フーヴァーはジミー・カーターの著書によるとフライフィッシングを趣味にしていたとのことである。

「魚釣りをしていると人間社会の騒々しい鉄槌から逃避できる。わたしが自由な天地に逍遥することができる、ただひとつのなぐさみである」