プラネテス
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プラネテス ΠΛΑΝΗΤΕΣ | |
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ジャンル | SF |
漫画 | |
作者 | 幸村誠 |
出版社 | 講談社 |
掲載誌 | 週刊モーニング |
発表期間 | 1999年 - 2004年 |
巻数 | 4巻 |
テレビアニメ | |
監督 | 谷口悟朗 |
シリーズ構成 | 大河内一楼 |
キャラクターデザイン | 千羽由利子 |
メカニックデザイン | 高倉武史・中谷誠一 |
製作 | サンライズ・ バンダイビジュアル・ NHKエンタープライズ21 |
放送局 | NHK BS2 |
放送期間 | 2003年10月4日 - 2004年4月17日 |
話数 | 全26話 |
コピーライト表記 | ©幸村誠・講談社/ サンライズ・BV・NEP |
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日本の漫画作品 |
日本の漫画家 |
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漫画作品 - 漫画家 |
『プラネテス』(ΠΛΑΝΗΤΕΣ, PLANETES) は、幸村誠による漫画作品。また、それを原作にした谷口悟朗監督のテレビアニメ。
「週刊モーニング」(講談社)に1999年から不定期連載し、2004年に一旦完結、4巻まで発刊されている。2004年に「プラネテス公式ガイドブック 2075年宇宙への挑戦」が刊行された。2002年度星雲賞コミック部門を受賞。また、これを原作にしたテレビアニメも、2005年度星雲賞メディア部門を受賞。同賞の原作・アニメのダブル受賞は『風の谷のナウシカ』以来の快挙。加えて、連載中の作品が受賞したことも本作が初である。
宇宙開発によって生まれたスペースデブリ(宇宙ごみ)回収業者を主役とし、あまり顧みられることのないスペースデブリ問題を描いたSF漫画。表題は古代ギリシア語で「惑う人」、転じて「惑星」の意味も持つ(英語で惑星をあらわす"planet"の語源)。作者は宮沢賢治の作品を愛好しており、本作品の端々にその影響が垣間見える。
注意 : 以降に、作品の結末など核心部分が記述されています。
目次 |
[編集] あらすじ
時代は2070年代(2075年以降)。人類は宇宙開発を進め、月面でのヘリウム3の採掘など、資源開発が商業規模で行われている。火星には実験居住施設もあり、木星・土星への有人探査計画も進んでいる。毎日、地上と宇宙とを結ぶ高々度旅客機は軌道上と宇宙とを往復し、宇宙ステーションや月面には多くの人たちが生活し、様々な仕事をしている。しかし、長い宇宙開発の歴史の影で生まれたスペースデブリ(宇宙空間のゴミ。廃棄された人工衛星や、ロケットの残骸など)は軌道上にあふれ、実際にたびたび旅客機と衝突事故を起こすなど、社会問題となっていた。
また、地上の貧困・紛争問題は未解決のままで、宇宙開発の恩恵は、先進各国の独占状態にある。このため貧困による僻みや思想的な理由付けによるテロの問題も、また未解決である。
主人公のハチマキは宇宙で働く会社員。主な仕事は宇宙のゴミ「デブリ」の回収作業。いつか自分個人の宇宙船を所有することを夢みている。ゴミ拾いは大事な仕事だと自分を納得させつつ、当初の夢と現実の狭間でこのまま現実を受け入れるか、それとも夢を追い求めるか思い悩む。
[編集] 主な登場人物
- 星野 八郎太(ほしの はちろうた)(声:田中一成) - 通称「ハチマキ」、「ハチ」
- 主人公。自家用宇宙船を買うという夢を持ちながら、日常に埋もれる事に迷い続けつつ、惰性もあって仕事を続けている。直情的で根っからのオプティミストだが、置かれている状況に順応してしまっているだけに過ぎない。後に『もうひとりの自分』や『ネコ』と遭遇することで、常に己自身と向き合うことになる。
- 『もうひとりの自分』と対決していた頃は、様々な事柄に怒る事で自分を発奮させようとしており、「一人で生きて一人で死ぬのが完成された宇宙船員(ふなのり)」を座右の銘としていたが、他人との関係において『愛』を唱える田名部(タナベ)と激しく対立する。
- 木星往還船の乗組員に選ばれる前後にフィーの言う「はしかみたいなもの」(実際の病気の麻疹ではなく、宇宙で働く者が陥りやすい精神的状態で、宇宙の広漠さにあてられ自身の存在理由を見失う状態)にかかり自分を見失うが、「一人では生きていけない」という悟りをタナベに関わる中で見出し、おそらく彼女が持つであろう答えをたずねに地球へ降りて、感覚的に近しい所を見出して付き合い出し、のちに求婚した。
- 「空間喪失症」などさまざまな障害に出会いつつも、より遠くの宇宙を目指すハチマキの姿は、事故による人的損失や膨大なコストなど、少なからぬ犠牲を払ってでも宇宙を探求する人類の営みと重なる。その理由に関しては、「バイアス(性向)があるから」としか答えられないが、ハチマキ自身もそのバイアスに沿って宇宙を目指す。
- ちなみに、「八郎太」という名前は阪神ファンである父・ゴローがかつて火星に遠征していた時に、阪神が8連覇したことに由来している。もともとは宇宙にちなんだ名前にするつもりであったが、「メンドくせー」の一言で決定。千葉県九十九里出身。
- (アニメ版)テクノーラ社デブリ課船外活動員。宇宙船購入資金を貯めることを目標としながらも、会社員宇宙飛行士として、惰性で生きている。とある事情から、幾ら自分の実績を上げても、著名な航宙士である父親の七光りだと言われるのが悩みとなっている模様。能力的にも、師にも恵まれたこともあり、標準よりも優秀な船外活動員のようである。
- 田名部 愛(たなべ あい)(声:雪野五月) - 通称「タナベ」
- 新人デブリ屋。出生不明で、生後1歳前後より養父母の下で大切に育てられる。5歳の時まで言葉を話せなかった(ガイドブックによると『自閉症』のため)。愛(博愛)こそが全てを救うという信念を持つ。一本気で天然な性格の持ち主で、特技は「誰とでも打ち解ける事」。
- ハチマキらの船に新人としてやってきた。理由は「己の限界を知るため」。大学の研究でナマコ、クモ、金魚を次々に宇宙船に持ち込み、フィーを閉口させ、さらにはその後、無断で猫を持ち込み、フィーに自身の息子(8歳)と同格の烙印を押される。全てを「愛」(人間愛や博愛など)とい方向で結論付ける価値観を持つが、これを何にでも一人の枠内で片付けようとするハチマキに嫌われてしまい、悉く対立してしまう。ただ木星往還船乗組員に選ばれる前後にハチマキは自分の価値観と衝突し悩み苦しむこととなるが、その苦悩の中で「一人で生きて死ぬ」と粋がるだけでは人は生きていけないという悟りを得る端緒を与えている。しかしハチマキが誤って遺書を開けてしまったことを謝罪され、それに対して「何もかも愛している」ゆえに遺書が書けないと打ち明けるなど、当人も完成された絶対的な真理には至っていない。この遺書開封の事件がきっかけで、後にハチマキから求婚され、承諾する。
- ハチマキ木星出発後の話では、フィーに何故ハチマキと結婚したかを問われ「他に(求婚者が)いなかったから」と答えつつ、「彼を愛しているか」の問いには「はい、もちろん」と答えて、フィーに呆れられるのを通り越して尊敬されている。「愛」という人間にとって普遍的であるがゆえ、みだりに口にすると陳腐に聞こえてしまうものを臆面もなく至上のものと主張する存在である。北海道出身。
- (アニメ版)デブリ課に配属された、少々性格的に幼いところもある新人社会人(同デブリ屋)・常識的で周囲の力強さに圧倒されるも、事ある毎に「愛は世界を救う」を発揮する一癖ある存在。仲の良い同期のテクノーラ社女子社員の中ではみそっかすっぽく、「創作ダンス」なる謎の入社テストに合格して配属された経歴を持つ。ちなみにダンスは準優勝(と言っても参加者はタナベを含め、2名である)。宇宙防衛戦線のテロに巻き込まれ、自ら信じる「愛」について揺るがされる事態になり、紆余曲折を経てハチマキと結婚する。
- フィー・カーマイケル(声:折笠愛)
- ハチマキらが乗る船齢30年以上という老朽デブリ回収船の快活な女性船長。業界屈指のプロフェッショナルだが、怒らせるとかなり怖い。愛煙家で、喫煙をたびたび妨害された恨みから宇宙防衛戦線のテロ作戦を阻止したこともある。地球には、主夫をしている夫と息子と扶養家族の犬猫多数がいる。料理の腕は破滅的で、作った料理を息子に「朝食みたいなもの」「爆撃?」と酷評された。大型オートバイで疾走するのが趣味らしい。アフリカ系アメリカ人。
- (アニメ版)デブリ回収船「TOY BOX」船長。かつてはドルフと共に会社を興したが合併により現在の職場に至り、現場での仕事の道を選ぶ。不甲斐ない奴らを叱咤激励する姐さん。デブリ課の室内には専用の密閉式喫煙スペース「スモーカーズ・シート」がある。
- アルバート・カーマイケル
- フィーの一人息子。母フィーがデブリ拾いに従事してから、2年後に白人の父との間に産まれる。フィーが宇宙に行っている時期が多いので、父によってのびのびと育てられる。アパートメントに暮らしているのに、動物が好きで、捨てられている犬猫を放って置けず、よく捨て犬猫を拾い、家の中で何匹も飼育している。せめて躾くらいはすべきという母に反発する。これは「大人の論理」に反発するフィーの分身として物語では位置付けられる。
- デブリ回収業に意義を見出せなくなり突然家に帰ってきた母(しかもエプロン姿)を見て、「はじめてエプロンを!!」「まるでママみたいに」とかなり驚いている。
- ユーリ・ミハイロコフ(声:子安武人)
- ハチマキらの同僚。かつてデブリ絡みの高高度旅客機事故「アルナイル8型事故」で日本人の妻を失っている物静かな男。ロシア人だが、かなりの日本通で日本語もしゃべれる。事故で自分だけ助かり、また妻の遺体が発見・回収されなかった事を気にかけていたが、後に事故の過去を吹っ切り、狭い宇宙船内の人間関係間の「緩衝材」役となっている。
- (アニメ版)デブリ課船外活動員。37歳。ハチマキの同僚で、結構何でも話しやすい相手。妻(声:桑島法子)を宇宙事故により亡くしている。よく課内に動物を預かっているため、テクノーラ社のみならず、他社社員との人脈も持っている模様。どこか打ち解けない雰囲気を持っていたが、回収作業中の出来事をきっかけに吹っ切れる。その描写は原作よりはっきりと現れている。前半では話し方が原作と違いとても丁寧であったが、九太郎と出会って以降は原作同様のくだけたものとなった。
- 星野 五郎(ほしの ごろう)(声:飯塚昭三)
- ハチマキの父親。その筋では随一の宇宙船機関士だが、家族にはどう接して良いか判らずに不可解な行動を取る変な人で、通気ダクトやあまり使われない通路などを散歩するのが趣味らしく、様々な施設の抜け道を熟知している。地球には妻と息子(ハチマキの弟)がいる。妻には弱い。大の阪神ファンであり、火星で最初の本塁打を放った人でもある。
- (アニメ版)ベテラン宇宙船機関員。その道ではかなりその腕前を知られた人物。家族への愛情はあるが、それ以上に宇宙にかける思いは強く、長期の航行に参加している。エンディングクレジットでの表記はゴローとなっている。
- 星野 ハルコ(ほしの ハルコ)(声:藤田淑子)
- ハチマキの母親。歯に衣着せぬ物言いで、「良い宇宙飛行士の条件は生きて帰ってくること」と豪語する専業主婦。得意料理はとんかつ。ハルコ曰く「ハチもキュータも夫婦で宇宙旅行したときに『あてた』子」らしい。落語に凝っている。
- (アニメ版)ほとんど家に帰ってこない夫を持ちながら、一般と変わらない生活を送る主婦。ハチマキの休暇に同行してきたユーリとタナベを出迎える。木星往還船出発のテレビ中継が始まっても洗濯物干しをする動じない女性。
- 星野 九太郎(ほしの きゅうたろう)(声:保志総一朗)
- ハチマキの弟。「ノリで宇宙船乗員(ふなのり)やってる」父や兄に反発、学生だがロケット技術者を目指して、目下勉強しながら、宇宙港の廃材置き場からくすねて来たジャンクでロケットを造っては飛ばしている。兄・ハチマキとケンカしたときに、「好きで子供(ガキ)やってんじゃねーや」と言いながら街中を走るなど血筋に違わず熱血である。初登場時は小柄だったが、旺盛な食欲と徹底的なカルシウム摂取で、約1年後には身長187センチにまで成長。「(身長の伸びは)月平均2cmか?!」と五郎を驚かせ、次いで「非常識」と言わしめた。
- (アニメ版)ロケット開発に情熱を注ぐ。元気が有り余り、負けん気が強い。一刻も早く大きくなりたいと思っている。
- 田名部 耕二(たなべ こうじ)
- 田名部愛の育ての父。元ロックボーカリストだったが、現在は風力発電施設の管理人。学は無いが物事を深く洞察する人。良い天気は彼に言わせると「ロックンロール日和」とのこと。
- 田名部 由加里(たなべ ゆかり)
- 耕二の妻で、愛の育ての母親。小学校教師。明朗快活だが愛情が深い。愛が人並みの幸福を掴むのを応援している。
- アニメ版では耕二・由加里とも画面に姿を見せることはあるが台詞はない。
- ウェルナー・ロックスミス(声:石塚運昇)
- 木星往還船開発計画責任者。ゴロー曰く「悪魔のような男(いい仕事をすると評した褒め言葉である)」で、宇宙船開発に能力の全てを注ぐ、若いながらも極めて優秀な科学者。しかし開発途中で発生した大事故により多くのエンジニアを喪う事態に直面しても眉ひとつ動かさない、一見して非人間的ともとれる冷淡な一面も併せ持つ。本人曰く「宇宙船以外何一つ愛せない男」らしい。「人間が愛を得るためには人間が神であらねばならない」というモットーを持っている。そのような信念からか、木星に到達したハチマキの演説に対して毒突くような言葉を呟いていた。モデルとなった人物は、ロケット技師ヴェルナー・フォン・ブラウン。
- (アニメ版)フォン・ブラウン号開発計画責任者で、目的のためならどんな犠牲も厭わない科学者。どんな局面でも計画を遂行させるため、乗組員の選考では受験者に命の危険を伴う試験を顔色ひとつ変えず行う。あまりの過酷さに受験者に「エゴ」と糾弾されたが、逆に「エゴイスト、それで結構」と言い放つ。
- ノノ(声:こおろぎさとみ)
- 月面生まれ、月面育ちの月面人(ルナリアン、月コロニーの生活に順応した人類)。月面で成長したため身長はハチマキより大きいが、中身は生まれ育った十数年に相応しい快活な少女。地球の重力に耐えられない身体だが、地球の海に行くことを夢見ている。
- (アニメ版)その天真爛漫さで、関わった他の登場人物の生き方を大きく変えていく、作中の重要人物の一人(当人は自覚していない)。
- ハキム(声:大友龍三郎)
- 木星往還船乗組員に抜擢された男(ハチマキの同僚になるはずだった)。実際には宇宙開発に否定的な活動に従事している。出身は中東の某産油国で、エネルギーが石油から核融合発電に変わったことにより祖国は最貧国の一つとなり、それゆえ先進国を憎んでいる。
- (アニメ版)連合の軌道保安庁隊員。優秀な宇宙飛行士として、ハチマキ同様にギガルトに目を掛けられている。マナンガ(架空の中東産油国)出身。原作では宇宙防衛戦線のリーダーであったが、アニメでは一工作員になっている。ギガルトから唯一あだ名をつけられなかった人。フルネームはハキム・アシュミード。
- サリー・シルバーストーン(声:勝生真沙子)
- 木星往還船乗組員(船外活動要員)。ハチマキの同僚で、よき理解者。悟りを開いた挙句に現実から遊離したハチマキを心配し、「セクハラ(サリー自身の弁)」を働く。自分よりも他人を大事にする、面倒見のいい性格である。イギリス人。
- 男爵(本名不詳)
- 自称異星人・別のデブリ回収船の一員だが、自分はレティクル座方面から来た異星人だと主張している。そのためか言動に常識が欠如しており、「ともだちノート」とした他人と仲良くなれるための方法をメモしたノートを携帯している。仕事熱心だが、素直過ぎて椿事を起す事もしばしば。密かにアニメ版(第17話)にも登場している。眼鏡を外し髪を下ろすと意外とナイスガイだったりする。
- ロキシー・シンプソン
- 月基地宇宙港の案内嬢。男爵に胸を揉まれた事件(男爵はそれが「女性に対する挨拶」と教えられていた)が切っ掛けで登場。胸が大きいのが悩みらしい。外伝4コマ漫画によるとロン毛の優男が好みの様子。
- サンダース大佐
- 連合に属する米軍情報局の大佐。某フライドチキンチェーン創業者そっくりの男。連合軍が宇宙での本格開戦しケスラーシンドロームの危険性に心を傷める一人だが、フィー達を英雄に仕立て上げて利用しようと画策する。
- シン・ヤマガタ
- 木星往還船エンジン開発主任技術者・エンジン暴走事故の際に死亡。作中には名前と墓のみが登場する。ロックスミス曰く「グスコーブドリ」。独自理論による核融合炉制御を理解する才能があり、自分本位なロックスミスすらその才能を賞賛している。
- カナ・ヤマガタ
- シンの妹。兄の死を悲しみ、それをロックスミスのせいだと考え、エンジン爆発事故の真相を詰問した。
- パパ(本名不明)
- フィーの夫。家族に対して優しいが、優し過ぎてやや頼りない主夫。だが料理や家事はかなり上手いらしい。何事に於いても慌てず騒がず、二人三脚息子が一人プラスアルファの家庭を支えている。なおフィー休職中は仕事に出たらしいが、内容は不明。
- ロイ・ブライアント
- フィーの叔父・対人恐怖症で、森の奥で一人掘っ立て小屋暮らしをしていた。幼かった頃のフィーには優しい叔父だったが、後にある冤罪が元で失踪する。この失踪事件が、フィーのトラウマらしい。
- 船長(本名不明 愛称:レニー)
- 木星往還船の船長・ボサボサ頭に丸眼鏡とズボン吊りがトレードマークで、ゴローとは火星往復時代からの付き合い。文章は下手なのに書く事は大好きで、おまけに「ハンパに目が肥えてる(ゴロー談)」ため、木星到着で全世界中継される演説文作成を控えて、胃潰瘍により作成の続行が不可能になり、代役としてハチマキがほぼアドリブで演説した。ゴローら火星開拓のスタッフが野球をするシーンで、一度だけ「レニー」と呼ばれている。
- ラモン博士
- ロックスミスのかつての恩師・第一線を退いて小さな田舎の教会で牧師をしている。
[編集] アニメ版のみの登場人物
- フィリップ・マイヤーズ(声:緒方愛香) - 愛称「課長」
- テクノーラ社第二事業部デブリ課課長代理。定年を目前に控え、退職後の自由闊達な生活を心待ちにする良き家庭人。ただ社内では「毒にも薬にも成らない」として他の重役から無視されている。事なかれ主義の課長(代理)だが、部下の生命に関わる事態で酷薄な事業部トップにつかみかかったこともある。最終回に重大な秘密が暴露される。アメリカ人。
- アルヴィンド・ラビィ(声:後藤哲夫) - 愛称は「ラビちゃん」
- デブリ課所属。係長代理補佐なる役職を持つが、その実態は「テクノーラ社宴会部長」で、毎日を「新ネタの開発」に費やしているという微妙な立場にある。宴会や接待のセッティングに細やかな配慮で対応するほか、宴会用新ネタは話数を経るたびにグレードアップ、芸のためなら特殊素材なども導入している。ただ日常業務では才能が発揮できず、他の部署をたらい回しにされた挙句に同課に配属されたらしい。離婚した妻との間に7人子供がいるため、養育費に汲々としている。一応、船外アームの操作技能も持つ。最終回で「補佐」が取れる。インド人。
- エーデルガルド・リヴェラ(声:伊藤舞子) - 愛称「エーデル」
- デブリ課派遣事務員。人付き合いが余り無く、おとなしいが毒舌家で、ボソッと警句を吐く。フィリップとラビィを指して「デブリコンビ」と評した。私服は過激なパンクファッション系だが、勉強熱心で資格取得が趣味のようで、テクノーラ社との契約期間外には思わぬ所で働いている事も。小物集めもしており、特にノーラくんグッズがお気に入り。以前は結婚していたが非常に辛い結婚生活を送っていた。警備員にも負けないほど格闘が強い。酒が入ると絡み癖がでるなど、酒乱の傾向がある。ドイツ人。
- ドルフ・アザリア(声:加門良)
- テクノーラ社第二事業部長。口数は少なく社内政治能力に長ける一方、社員の生活を自身や利益より優先するなど、静かな人徳家である。ただ「余りに優秀」である事から同列古参株の会社重役には疎まれ、木星計画進行での計画失敗リスクの防波堤にと新規に作られた間に合わせ企業「ガリレオ開発」の社長に左遷される。過去にはテクノーラ社に吸収合併された宇宙ベンチャー企業の社長だった経歴があり、フィーと働いていた。額が広く、フィーの息子から「デコのおっちゃん」と呼ばれているようだ。グリンピースが苦手。
- クレア・ロンド(声:渡辺久美子)
- テクノーラ社第二事業部管制課員。ハチマキと同期で、着実に実績を上げている優秀な社員であり、フィーの評価は今までで5本の指に入る管制官との事。しかし、生まれた国が貧しく難民として苦労し、8歳でようやく字が読めるように。そのような経験からか、やや性格がキツい(特にタナベに対して)。ギガルト曰く「白鳥さん」(その意は「見えざる努力家」)。口癖は「薄っぺらい」。同郷の宇宙作業ポッド開発技術者との出会いを機に流転の人生を歩むことに。かつてはハチマキと付き合っていたようである。エルタニカ(架空の南米の紛争国)系アメリカ人。
- 原作の番外編4コマ漫画にも登場したが、作者によるとアニメオリジナルキャラで似せて描く自信がないので、顔の描写はない(後姿のみでの登場)。
- カオ・チェンシン(声:檜山修之)
- テクノーラ社操縦士。ハチマキと同期で、仲間内では「一番の出世頭」。良い所のお坊ちゃん然として、我を主張せず、素直で利発で誰にでも親切丁寧と八方美人な性格もあり、宇宙旅客機の副操縦士にまで出世した。フォン・ブラウン号に対するハチマキの剥き出しな感情に触発され、直後は自暴自棄気味になり、貨物船操縦士に降格される。しかし次第に自分自身に正直になっていく。台湾人。
- リュシー・アスカム(声:倉田雅世)
- テクノーラ社旅客宇宙船添乗員。タナベの同期仲間で、その人形を思わせる愛らしい容姿とは裏腹に、玉の輿と恋愛に情熱を燃やす一方、何にでも思った事を言わないと気が済まない、とてもはっきりした性格の持ち主。フランス人。初めはチェンシンに恋心を抱いており、ライバルを減らす意味でもチェンシンが好意を抱くタナベと八郎太を結び付けようと奔走する。その後は連合議長の息子であるコリンに目を付けたが、直後にテロに巻き込まれ、どうやらここで下地丸出しで自分の思いをコリンの前でぶちまけたのが良かったのか、交際し始めた様子が最終回で描かれている。
- ギガルト・ガンガラガッシュ(声:若本規夫) - 愛称は「先生」
- 軌道保安庁職員。テクノーラ社に勤めていた事もあり、ハチマキの先輩宇宙飛行士で船外活動を師事した。世界でも屈指の船外活動のプロフェッショナルで、ゴローとは旧知の仲。人の名前を覚えるのが苦手で、誰にでもあだ名をつけたがる体育会系の人だが、その体は癌に蝕まれていた。
- コリン・クリフォード(声:私市淳)
- 世界連合議長の(何人かいる)息子の1人。登場当初は典型的な親の七光りを鼻に掛ける嫌味な性格のボンボンだったが、とある事情からTOY BOXに同乗した際に、タナベにモーションを掛けるもぶん殴られる。後に連合の末端で仕事をするようになり、防衛戦線のテロに巻き込まれ、これが縁でリュシーと交際する事に…何やら複雑な家庭の事情がある様子だ。
- ナレーター:小林恭治
[編集] 漫画版タイトル
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[編集] アニメ
2003年に、NHK BS2でアニメ化された。2003年10月4日から2004年4月17日に放送。全26話。NHK教育テレビでも2004年7月14日(7月15日)から2005年1月26日(1月27日)に水曜の深夜0:25から放送された。
また、BS-hiにて2005年5月9日から2006年1月9日に月曜の19:30 - 19:55の放送枠で放送された。BS-hiでの再放送は、2005年5月15日から2006年1月15日に日曜の21:35 - 22:00の放送枠で放送された(2005年のBS-hiの再放送では、番組編成の都合で放送のない週や、日曜の再放送では2話連続放送など、かならずしも毎週放送とはなっていなかった)。
本作品は、画面サイズが16:9のハイビジョンで制作されている。
五藤光学研究所がアニメ版第10話「屑星の空」をプラネタリウム上映用映画に再編集したものがあり、日本全国のプラネタリウムで上映されている。[1]
[編集] メインスタッフ
- シリーズ構成・脚本:大河内一楼
- キャラクターデザイン:千羽由利子
- コンセプトデザイン・設定考証:小倉信也
- メカニカルデザイン:高倉武史・中谷誠一
- 美術監督:池田繁美
- 色彩設計:横山さよ子
- 撮影監督:大矢創太
- 編集:森田清次
- 音響監督:浦上靖夫
- 音楽:中川幸太郎
- 監督:谷口悟朗
- 取材協力:JAXA(宇宙航空研究開発機構)
- プロデューサー:河口佳高・湯川純・植原智幸
- 製作:サンライズ・バンダイビジュアル・NHKエンタープライズ21
[編集] 各話スタッフ
- コンテ:谷口悟朗、大橋誉志光、山本恵、杉島邦久、米たにヨシトモ、笹木信作、須永司、村田和也、北村真咲、望月智充、加瀬充子
- 演出:谷口悟朗、北村真咲、大橋誉志光、山本恵、五十嵐達也、石踊宏、吉村章、古川政美
[編集] 原作とアニメ版との違い
アニメ版『プラネテス』は、「テクノーラ」という宇宙企業(旅客・運輸の輸送や、宇宙開発・各種産業を扱う多角巨大企業)が明確な形で登場し、デブリ拾いは企業の1セクションとして位置づけられている。また、デブリ拾いは赤字部門、安月給で社会的評価が低い仕事と見なされ、テクノーラ社のデブリ課は半人前・半端者・人数が半分などの意味をこめられた「半課」と揶揄されている。
「テクノーラ」の背後には「連合(INTO)」という国際連合組織が存在し、連合と宇宙先進国(日・米・EU等)、「テクノーラ」「ベガ」などの宇宙企業がもたれあっている構造が背景に描かれている。
田名部愛が第1話から準主役として登場し、原作では一挿話に過ぎなかった宇宙防衛戦線との闘争を最高潮に持ってくるなど、原作からの大幅な改変が加えられている。また、アニメ版では星野八郎太が木星に出航する場面で最終回を迎えているが、原作では木星に到着するまでが(2005年現在までに)描かれている。
その一方で、原作第7話の「タナベ」がアニメ版第3話「帰還軌道」として、原作第2話の「地球外少女」が同タイトルのままアニメ版第7話に使われるなど、幾つかの挿話では原作の内容が再現されている。
原作第14話「おとこのコとおんなのコ」に登場する毛がモジャモジャの宇宙人が、アニメ版ではテクノーラ社のマスコットキャラクター、「ノーラ君」となっている。この他にも主要登場人物としてアニメ版オリジナルキャラクターが多数登場しているが、その一部は原作漫画中に後になって登場(といってもオマケとして)したキャラクターもいる。
なお登場する宇宙服や宇宙船・諸装備も、現在想定されている宇宙開発事情に沿って大幅な考査が行われ、この辺りの描写もアニメ版の見所となっている。
[編集] アニメ版表題
- 1話「大気の外で」
- 2話「夢のような」
- 3話「帰還軌道」 (原作7話「タナベ」)
- 4話「仕事として」
- 5話「フライ・ミー・トゥ・ザ・ムーン」
- 6話「月のムササビ」
- 7話「地球外少女」 (原作2話「地球外少女」)
- 8話「拠るべき場所」
- 9話「心のこり」
- 10話「屑星の空」 (原作1話「屑星の空」)
- 11話「バウンダリー・ライン」
- 12話「ささやかなる願いを」 (原作3話「ささやかなる一服を星あかりのもとで」)
- 13話「ロケットのある風景」 (原作4話「ロケットのある風景」)
- 14話「ターニング・ポイント」
- 15話「彼女の場合」
- 16話「イグニッション」 (原作5話「IGNITION-点火-」)
- 17話「それゆえの彼」 (原作6話「走る男」)
- 18話「デブリ課、最期の日」
- 19話「終わりは いつも…」 (原作8話「サキノハカという黒い華〈前編〉」)
- 20話「ためらいがちの」 (原作8話「サキノハカという黒い華〈前編〉」)
- 21話「タンデム・ミラー」 (原作8話「サキノハカという黒い華〈前編〉」)
- 22話「暴露」
- 23話「デブリの群れ」 (原作9話「サキノハカという黒い華〈後編〉」)
- 24話「愛」 (原作9話「サキノハカという黒い華〈後編〉」)
- 25話「惑い人」 (原作11話「СПАСИБО」・15話「却来の日」)
- 26話「そして巡りあう日々」 (原作16話「ハチマキ」)
( )内は原作での話数と表題。これはあくまで目安であり登場人物や展開が一部異なる。
- PHASE PLANETARIUM 屑星の空
[編集] CDサントラ
- 「プラネテス オリジナルサウンドトラック」 2003年12月17日 ビクターエンタテインメント
- 「プラネテス オリジナルサウンドトラック 2」 2004年3月24日 ビクターエンタテインメント
[編集] CDドラマ
- 「プラネテス CD Drama "Sound Marks"」 2004年4月14日 ビクターエンタテインメント
[編集] BGM
サンプリングではなく本物の和楽器奏者を用いており、三味線、笙、尺八を使ったトラックは完成度が高い。効果音程度に留まらず、和楽器の積極的な使用が光るアニメ作品は目下これしかない。
[編集] 関連項目
[編集] 外部リンク
- PLANETES Web - プラネテス公式ホームページ アニメ版公式サイト
- NHKアニメワールド:プラネテス
- e-manga | プラネテス 漫画の第1話をShockwaveで閲覧できる(第2話以降の有料配信は終了)
- ^ エデュテイメントプラネタリウム プラネテス - 五藤光学研究所
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