三丁目の夕日
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『三丁目の夕日』(さんちょうめのゆうひ)とは、西岸良平原作の小学館・ビッグコミックオリジナルに1974年から連載されている、昭和30年代(1950年代後半から1960年代前半まで)の「夕日町三丁目」(東京都郊外と思われる)を舞台とする漫画、それを元にしたアニメ、実写映画作品である。
なお正式には『夕焼けの詩』がタイトル名で、『三丁目の夕日』は単行本第3巻で鈴木一家が登場するようになってから書かれるようになった副タイトルであったが、現在では後者の呼び名が一般的になりつつあり、『夕焼けの詩―三丁目の夕日』とかかれることもある。ちなみに、1・2巻は三丁目と設定のつながりのない短編集、7巻は三丁目とは別設定の番外編となっている。また、映画版はALWAYS 三丁目の夕日を参照。
目次 |
[編集] 概要
一貫したストーリーは無い1話完結型の作品。連載開始から30年以上たった2006年現在も連載が続く大長寿漫画となった。1981年度、小学館漫画賞を受賞。中学国語の教科書に教材として掲載されたこともある。
1990年10月から1991年3月までの半年間、本作を原作としたアニメ作品がMBSが製作、TBS系全国ネットで放映された(毎週金曜19:00~19:30)。
しかしながらこの時間はテレビ朝日系列(ただし一部地域除く)の人気アニメ『ドラえもん』が圧倒的に視聴者層の人気を博している状況であった。くしくも両作品は小学館で連載・単行本発行されており、同じ出版社の作品が同じ時間で視聴者を取り合う皮肉な状況が発生。
本作のアニメは作品の質としては劣るものではなかったが、『ドラえもん』の視聴率を奪うまでには至らず、ほとんどの地域では早々に放送を終了(打ち切り)、後半エピソードは1991年4月から9月までの間、MBSのみの関西ローカル放送となった(後年関東地方で全エピソードがUHF系放送局にて放送された)。
2002年にはアニメ『釣りバカ日誌』のCM枠である『ビッグコミックオリジナルCM劇場』の中で数秒ではあるがアニメーションが流されている。ただし、上記のアニメとは異なり水彩画風のアニメーションとなっている。
2005年には『ALWAYS 三丁目の夕日』というタイトルで実写映画化され、大ヒットを記録した。
なお、基本的には昭和30年代前後(昭和20年代から昭和40年代)が舞台であるが、一部には登場する家庭電化製品や社会情勢、ストーリーの構成などで昭和50年代(1970年代後半から1980年代前半)から平成元年代(1990年代)、果てはかなり先の未来時代と推察されるストーリーも存在する。
注意 : 以降に、作品の結末など核心部分が記述されています。
[編集] 登場人物
[編集] 鈴木家
- 鈴木則文(すずき のりふみ)
- 鈴木オート社長。自動車修理工で心優しい父親。ただ、スパルタ教育や収集趣味など、色々なものに影響されやすい。いとこと顔が似ている(いとこの奥さんは妻であるトモエに似ている)。太平洋戦争中は南方戦線に出向いた。映画版では短気で本気で怒ると手が付けられなくなる設定。この鈴木オートは、後のスズキ株式会社(SUZUKI)と噂されているが、時代背景や(若干ズレはあるが)東京タワーが見える立地を考えると、港区三田にある鈴木自動車(メルセデスベンツ正規代理店)の、当時港区南青山にあった修理工場がモデルとなっていると思われる。
- 鈴木トモエ(すずき ともえ)
- 星野六郎(ほしの ろくろう)
- 鈴木オート従業員、東北から集団就職した。則文が『自転車の整備が得意』を『自動車の整備が得意』と勘違いして雇用してしまい(原因の一つに六郎の誤字があるが)、当初は一人前の自動車整備工にしようと厳しく指導していたが、その事が六郎を追い詰めていた事を知り、今は優しく教えている。年齢は20歳前後、ニックネームは「六さん」。髪の毛をあげると実はハンサム。但し映画版では「六子ちゃん」という少女に変更されている。
- 鈴木一平(すずき いっぺい)
- 則文とトモエの間の一人息子。小学生。基本的には彼が主人公だが、別のキャラクターが主人公となる話も多い。いたずらっ子だがリーダーシップがあり、学級委員もつとめる切れ者。作文やそろばん、図画工作全般が得意だが数学や社会は苦手。動物好きで、これまでにジュウシマツ、ハツカネズミを飼育したことがある。
- 星野サクラ(ほしの さくら)
- 六郎の妹。中学卒業後、東北から集団就職で入社した電機メーカーに勤務、17歳前後。習字が上手く、工場内の標語をしたため掲示していたが、初期に工場で製造ラインに勤めていた頃、その筆さばきを見た会社の会長に気に入られ、事務職に転職した。体はあまり丈夫ではなく、特に乗り物酔いが激しい。
[編集] 茶川家
- 茶川竜之介(ちゃがわ りゅうのすけ)
- ○○県遠井郡蛇口村(架空の地名)出身。東京大学文学部卒。実家は分家すじで貧しかったが、少年時代は頭がよく、「神童」と呼ばれていた。大学卒業後、家を継がなかったことから、資金援助をしてもらっていた本家すじの叔父さんから絶縁された。芥川賞に何度も落選(作中では29回連続落選と語られている)し、今は駄菓子屋主人。紙芝居の原作を執筆した後に子供向け小説を連載中(電人少年、銀河少年ミノル)。「人形砂吉」のペンネームで、カストリ雑誌に官能小説を書き好評を得ている。故郷の村では地元の有名人として一目置かれている。東大文学部を出ていることから、通称、文学。名前は「芥川龍之介」に因むと思われる。原作では51歳となっているが、映画版では32歳。
- 石崎宏美(いしざき ひろみ)
- 淳之介を茶川に紹介した女性。非常に明るいキャラだが男運が無い。名前は歌手の「岩崎宏美」に因むと思われる。水商売系を基本に様々な仕事と場所を転々としている。世間体などの都合で茶川の姪を名乗っている。淳之助の母、和子とは旧知の仲。一時、長野県の山奥で凍死したと思われ、過去の男達が駆けつけ葬式がおこなわれたこともあった。映画版では居酒屋「やまふじ」の店主を勤めているが、原作でも一度働いていた事があり、年間売上金額を1ヶ月で稼いだ(第45集収録)。
- 古行淳之介(ふるゆき じゅんのすけ)
- 小学生で、一平と同級生。訳あって茶川宅に居候。顔は茶川にそっくりで、本当は自分の子ではないか?と疑う内容の話がある。秀才で小説の才能もあり、小学生作文コンクールで特選を取ったこともある。彼のアイディアが茶川の少年冒険小説に使われたことも。名前は小説家の「吉行淳之介」に因むと思われる。
[編集] その他主要人物
大人
- 大石キミ子(おおいし きみこ)
- タケオと結婚した16歳の時に夕日町三丁目に引っ越してきた若夫婦。最初は右も左もわからない子供だったが次第に成長。後に娘のミヨ子も生まれ貧しいながらも幸せな日々を送っている。かなりの美人なので他の男にプロポーズされたり、水着コンテストで優勝したこともある。本人は子供っぽく見られる事を多少気にしている。
- 大石タケオ(おおいし たけお)
- キミ子と結婚した18歳の時に夕日町三丁目に引っ越してきた若夫婦。下田ハガネという板金工場に勤めており若いながらも働き者。キミ子とミヨ子を養う為に日々がんばっている。ただ暮らしが貧しいことを気にしすぎる面も。
- 大田キン(おおた きん)
- タバコ屋の元気なおばあちゃん。作中で喜寿を迎えていることから、年齢は77歳以上。夫に先立たれ、さらに息子を太平洋戦争で亡くしている(本人自体は生きていると信じてる)。貯金家で新しいもの好き。ケチでひねくれ物とも言われているが心優しい一面もある。自転車を難なく乗りこなす。初期の頃はおタケさんと呼ばれてた。
- 宅間史郎(たくま しろう)
- 内科・小児科の「宅間医院」を持つ医者。戦争の空襲で妻子を亡くす。貧しい家の人も無料で診療することから三丁目の人間に敬われているが、注射嫌いの子供からは「アクマ先生」と恐れられている。作中では、スクーター(ラビット=昔の原付)に乗っているシーンが多い。
- お富さん(おとみさん・本名不明)
- 居酒屋「やまふじ」を経営する女将。若干無愛想であるが、茶川など男性客のファンが多い。なお、映画版では石崎宏美が店主となっている。長谷川和夫の大ファン。
- 木下里子(きのした さとこ)
- 夫が病気の為内職で一家を支える主婦。買い物で相手がオマケしてくれる超能力を持っているが自覚はなく三丁目でしか効果がない。息子が二人いる。
- 木下慎太郎(きのした しんたろう)
- 里子の息子の一人で長男。家の食事が貧しいからか、給食好き。特に鯨カツが大好物。非常に弟想い。お菓子屋(茶川の経営する駄菓子屋とは別)限定で超能力を使えると思い込んでいる(実際は店主におまけしてもらっているだけ)。
- 日真田大造(ひまだ たいぞう)
- 三丁目で探偵事務所を個人で経営している私立探偵。茶川ののぞき疑惑や親族の遺産探しなどそれほど仕事がないわけではない。たまに3人の探偵仲間と麻雀などをしている。弟子として探偵にあこがれる小学生小林君がいる。
- 怪人X(かいじんX・本名不明)
- 町の外れの掘っ立て小屋に住んで、廃品回収や煙突掃除で生計を立てている正体不明の人物。30世紀の未来と関わりがあるらしい。「三丁目七不思議」の一つで、正体は元プロレスラー、サンタクロース、真空管が頭の部分に詰まっている等いろんな噂がある。
- 佐藤さん(さとうさん)
- 鈴木則文の友人。かつては出世頭でベンツにのっていたが、会社が倒産、その後道路工事で働いていたが、後に離婚してブラジルへ移住した。今は現地の人間と再婚しハワイの旅行会社で働いている。作品中では、数回鈴木家を訪れ、パイナップルや、コーヒー豆で作った醤油をお土産に持ってきている。
- 美空さん(みそらさん)
- 三丁目に住むサラリーマン。気象庁で事務の仕事をしており予報官ではないのに、三丁目の住人からは天気を尋ねられることが多い。まれに天気予報が外れると文句を言われてしまう。独身だが、嫁いだ娘がいる。生活は非常に質素であることが伺える。
子供
- 北島三郎(きたじま さぶろう)
- 通称「サブちゃん」。一平の同級生で一番の親友。車に酔いやすい。北島家は一人っ子なのに「三郎」なのは、長男の一郎が戦争中に空襲で死亡し、次郎は戦後栄養不足で病死してしまったから。名前は、「北島三郎」に因むと思われる。
- 三浦雄一郎(みうら ゆういちろう)
- 通称「ユウちゃん」。一平の同級生で親友。本人は知らないが、実は養子である。なお三浦家には、信一郎という利発な子供が元々いたが、小学2年のときに病気で亡くしていた。後に本当の母親が訪ねて来るが養父母に門前払いをされる。その後母親は病に倒れ入院したが、病床の元で最後に雄一郎と再会。自分が本当の母親だと雄一郎に告げぬまま息を引き取った。
- 矢沢健一(やざわ けんいち)
- 通称「ケンちゃん」。一平の同級生で親友。ベーゴマの達人で、「ベーゴマ仮面」の異名を取る。
- 大木戸ミチコ(おおきど みちこ)
- 通称「ミッちゃん」。一平の同級生。父親は大木戸建具店を経営。2歳の頃、母親が亡くなったため、今は家事も行っている。父想い。
- 松田よし子(まつだ よしこ)
- 一平の同級生。誰とでもすぐ友達になるが、思い込みでよく喧嘩やトラブルを起こす。
- 坂上やす子(さかじょう やすこ)
- 一平の同級生。おしゃべりで秘密の話までも喋ってしまう事から当初は「放送局」と言うあだ名だった。妹がいる。
- 北川美加(きたがわ みか)
- 一平の同級生。元は豪邸に住んでいたが、父親の事業失敗により三丁目に移り住む。当初はわがままだったが、ミッちゃんと知り合って以来変わり始めた。特技はピアノ演奏。
- 加藤ひろ子・ひろし(かとう ひろこ、ひろし)
- 松本聖子(まつもと せいこ)
- 一平のクラスメイトでクラス一の美少女。足のやけどの痕を気にしていつもズボンを履いていたが、クラスメイトの男の子の近藤俊彦に励まされカミングアウト。近藤俊彦のことが好きになる。
- 近藤俊彦(こんどう としひこ)
- 一平のクラスメイト男の子。最初は他の男子と一緒に松本聖子のことをいじめていたが、後に彼女をかばうようになり友達になった。
- 倉田まり子(くらた まりこ)
- 一平の同級生。一時期父が体の不調で入院したため、母が洋裁で家計を支えている。
- 勝男(かつお・苗字不明)
- 通称「勝ちゃん」。一平の同級生。4人兄弟であったが、父親が亡くなったため2人の弟は親戚に養子として出され、今は母・妹との3人暮らし。初期は周りからは不良と呼ばれていたが徐々に避けられる事はなくなり、実際には母想いの優しい少年。家計を助けるため、新聞配達もしている。
- 岡部めぐみ(おかべ めぐみ)
- 一平のクラスメイトの女の子。お金持ちで裕福な家庭に育っており、以前北川家で差し押さえられたピアノはこの家に買い取られていた。自分では歌が上手いと思い込んでいたが、後にテープに録音された自分の歌声を聴いて音痴だと気づく。
- 長江喜太郎(ながえ きたろう)
- 一平のクラスメイトの男の子。縁日や駄菓子屋のクジが大好きな勝負師。抜群のウデでよく1等や2等を引き当てるが、ハズレが続いてドツボにハマることもある。由美子という可愛い妹がいる。
- 菊池マリ子(きくち まりこ)
- 一平のクラスメイトの女の子。母親を亡くした後に父が再婚するも、新しい母親と中々馴染めずにいたが後に和解。料理が得意で、病気で入院して母親が不在の長江喜太郎の家に毎日晩ご飯を作りに行くなど優しい面もある。ちなみに初出の時の名字は鈴木。
- 吉田シゲル(よしだ しげる)
- 三丁目に住む小学生。最初は失業していた父親があちこちを転々としており母子家庭だったが、捨て猫の「ラッキー」を拾ってから、父親の仕事が見つかり母親の質屋通いもなくなり円満な家庭となっている。一時ラッキーが知人に誘拐され不在となり不運が続いたが、数日で戻り持ち直した。
- 堀チエミ(ほり ちえみ)
- 一平のクラスメイトの女の子。父親が大酒飲みでロクに働かない為に母親が家出しており、給食費も払えないという非常に貧しい生活を強いられている可哀想な子。しかし頭は良いらしく、作文では花丸を取ったりと時折隠れた才能を垣間見せることもある。
動物その他
- 甘党のネコ
- 三丁目に住み着いてるネコ。ネコのくせに魚嫌いのアレルギー体質でお菓子など甘い物が大好き。
- ロボ(ろぼ)
- 三丁目の元野良犬。三丁目の動物達で知らぬものはおらず猟師に飼われてからもその地位は変わっていないようだ。草野球の穴埋めメンバーとして活躍したこともある。
[編集] アニメ版 毎日放送
放映期間1990年10月12日(金)~1991年9月21日(土)【全27回52話】
[編集] スタッフ
- 企画:田代敦巳、藤原正道、井口亮
- 音楽:羽田健太郎
- オープニング
- エンディング
- 挿入歌:下成佐登子「夕焼け日誌」
- 編集:古川雅士
- 撮影監督:杉村重郎
- 音響監督:藤山房延
- プロデューサー:対木重次、大場龍男、榎本恒幸、井口真一
- チーフディレクター:前田庸生
- 制作協力:動画工房、あにまる屋
- 音楽協力:ユーメックス、東宝音楽出版
- 制作:東宝株式会社、グループ・タック、毎日放送
- 撮影:スタジオぎゃろっぷ、田村洋、小堤勝哉、清水泰宏
- 美術指定:本間薫
- 色彩設定:塚原良江
- 設定資料:荒川優子
- オープニング・エンディング美術:馬郡美保子
- ネガ編集:松尾浩
- タイトル:片山悟
- 現像:IMAGICA
- 音響:神南スタジオ、セントラル録音
- ミキサー:中村光宏、山田均
- 効果:小森護雄
- 選曲:吉野勝久
- 制作担当:金正廣
- 制作デスク:兼坂勝利
[編集] キャスト
[編集] 前後番組の変遷
TBS系(本番組以後毎日放送制作) 金曜19時台前半 | ||
---|---|---|
前番組 | 三丁目の夕日 (1990年10月 - 1991年3月) |
次番組 |
アッコのかるーく見てみたい | 石坂・森口のくっきん夫婦 | |
毎日放送 土曜17時台前半 | ||
? | 三丁目の夕日 (1991年4月 - 1991年9月) |
チエちゃん奮戦記 じゃりン子チエ |
[編集] 関連項目
[編集] 関連商品
株式会社トンボ飲料から 三丁目の夕日トンボラムネが発売されている。 インターネットで注文すると特製のメンコがついてくる。
[編集] 外部リンク
- 西岸良平まんが館
- s-book.com 三丁目の夕日 ※ 今まで発売された全単行本収録話リスト付き
- 夕焼けの詩・三丁目の夕日 ※ 今まで発売された全単行本収録話リスト付き
- アニメ「三丁目の夕日」放映リスト
- ゆんのおもちゃ箱 西岸良平 ※ コミックスリスト、アニメ放映リスト有り
- BSマンガ夜話「三丁目の夕日・夕焼けの詩」
- 三丁目の夕日 My First BIG版カタログ
- 三丁目の夕日 現在の時刻・・夕焼けは見えますか?
- 「三丁目の夕日-夕焼けの詩」西岸良平
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