T-4 (練習機)
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川崎 T-4
T-4は日本の航空自衛隊で使用している中等練習機で、プロペラ機による初等訓練を終えたパイロットがつづいて訓練する中等練習のために製作された亜音速ジェット機。「ティーヨン」や「ティーフォー」と呼ばれるほか、正式な愛称では無いが、他の航空機に比べ小型で丸みを帯びた姿から「ドルフィン」(イルカ)と呼ばれる。エンジンを含めた日本の純国産ジェット練習機はT-1Bについで2機種目である。
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[編集] 開発
航空自衛隊では、経年による老朽化が始まっていたT-1A/BとT-33A練習機の後継機を必要としていたため、防衛庁は1981年(昭和56)より川崎重工業を中心とした国内各社に開発させることになった。 1985年(昭和60)7月29日に試作XT-4の1号機が初飛行、1988年(昭和63)7月28日に防衛庁長官の部隊使用承認を受け、2003年(平成15)3月6日の最終号機(36-5812)引渡しまでに、試作XT-4の4機も含めて212機が生産された。
[編集] 機体
石川島播磨重工業製の国産ターボファンエンジンF3-IHI-30を2基装備する、高翼の後退翼を持ったタンデム複座機である。亜音速での飛行特性を重視し、機体各部が丸みを持った形状にまとめられている。
プロペラ機からジェット機への機体変更がスムーズに行えるように、素直な操作性と抜群の安定性を誇り、航空機としては優秀である。また、それまでT-2高等練習機で行っていた高等訓練の一部をT-4で実施できるようになり、訓練体系の変更によってT-2後継機を開発する必要が無くなった。
同世代の海外の練習機では練習機といえども有事の際には武装も施せるように出来ており、実際にT-4も試作機XT-4時代に武装ポッドによる軽攻撃試験が行われた。しかし、試験の結果(12.7mm程度では改修の手間に対し、大した攻撃力にならない)や防衛環境の違い(練習機まで駆り出して対地攻撃をやるほど戦闘機が足らないのならば、そもそも練習機は安全に空を飛んでいられない)もあり、T-4量産機は練習用に特化されることとなった。ただし、トラベルポッドや曳航標的、集塵ポッドなどの運用は可能である。
[編集] 戦技研究仕様機
T-4は飛行訓練や各基地の連絡用などにも用いられる他、3代目『ブルーインパルス』の使用機としても活躍している。ブルーインパルスで使用されている機体は正式には戦技研究仕様機とよばれ、現在まですべて新造機として取得されている。戦技研究仕様機における改修点は、ウインドシールドなどの強化やHUD透明表示板の材質変更(バードストライク対策)、ラダーリミッタの制限角度変更、低高度警報装置の追加、コックピット内の一部機器追加やレイアウト変更、スモーク発生装置の追加などである。航空ファンの間ではアクロ仕様機、ブルーインパルス仕様機、T-4A(Aはアクロバットの意味)などと呼ばれることもある。
[編集] 配備
練習機としてだけでなく連絡機としても使われているので、飛行場のある基地にはだいたい配備されている。
- 千歳基地:第2航空団 - 第201飛行隊・第203飛行隊
- 三沢基地:第3航空団 - 第3飛行隊・第8飛行隊・北空支援飛行班
- 松島基地:第4航空団 - 第11飛行隊(ブルーインパルス)・第21飛行隊
- 百里基地:第7航空団 - 第204飛行隊・第305飛行隊、偵察航空隊 - 第501飛行隊
- 入間基地:航空総隊司令部飛行隊
- 小松基地:第6航空団 - 第303飛行隊・第306飛行隊
- 浜松基地:第1航空団 - 第31教育飛行隊・第32教育飛行隊、第1術科学校(整備教育用)
- 岐阜基地:飛行開発実験団
- 芦屋基地:第13飛行教育団
- 春日基地:西空支援飛行隊
- 築城基地:第8航空団 - 第6飛行隊・第304飛行隊
- 新田原基地:第5航空団 - 第301飛行隊、飛行教育航空隊 - 第23飛行隊、飛行教導隊
- 那覇基地:第83航空隊 - 第302飛行隊・南西支援飛行班
[編集] 派生型
- XT-4:試作機(飛行試験機4機+地上強度試験機2機・後に飛行試験機は量産化改修を経てT-4に編入)
- T-4:量産型
- T-4戦技研究仕様機:ブルーインパルス用の特別仕様機
[編集] スペック
諸元
- 乗員: 2名
- 全長: 13.02 m (うち機首ピトー管延長部1.02 m)
- 全高: 4.6 m (約15 ft)
- 翼幅: 9.94 m (約33 ft)
- 翼面積: 30.84 m2 (約332 ft2)
- 空虚重量: 3,650 kg (約8,047 lb)
- 最大離陸重量: 7,650 kg
- 動力: IHI製 F3-IHI-30またはF3-IHI-30B ターボファンエンジン, 約16.38 kN (約161 lbf)1,670 kg × 2
性能
- 最大速度: マッハ 0.91 (約560 kt) 高度約10,000mでの水平飛行/クリーン時
- 巡航速度: マッハ 0.75
- 航続距離: 約1,300 km (約700 海里)
- 実用上昇限度: 約15,240 m (50,000 ft)
- 上昇率: 3,160 m/min
武装
- 固定武装: なし(プロビジョンのみ)
使用されている単位の解説はウィキプロジェクト 航空/物理単位をご覧ください。
[編集] 事故
2000年(平成12)7月4日、第11飛行隊(ブルーインパルス)所属の2機が松島基地から25kmの牡鹿半島上空でレーダーから消失、金華山に墜落し、乗員3名が死亡した。この年の3月22日には同基地所属のT-2も同空域で墜落しており、至近の女川原発へ衝突する可能性を合わせ、日本共産党など左翼団体に非難された。
[編集] 登場作品
- 『エアロダンシング シリーズ』同シリーズの全ての作品で登場。1作目ではブルーインパルスのパイロットとして、実際にブルーインパルスが演じている科目をプレイヤーが行い、隊長機を目指す。
- 『青空少女隊』:清水としみつの漫画。
- 『レスキューエンジェル』:トミイ大塚の漫画。アニメ「よみがえる空 -RESCUE WINGS-」の原作(現、題名・『レスキューウイングス ゼロ』)。
- 『電車男』最終話に登場、所属は不明であるが航空総隊司令部飛行隊(入間基地)の機体である可能性が高い。
- 『アイドル防衛隊ハミングバード』:吉岡平の小説。