はまかぜ (列車)
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はまかぜは、西日本旅客鉄道(JR西日本)が大阪駅~香住駅・浜坂駅・鳥取駅間を東海道本線・山陽本線・播但線・山陰本線経由で運行する特急列車。
兵庫県の但馬地方と県西部の中心都市・姫路市や県都・神戸市を結ぶ役割を持つ。
[編集] 運行概況
- 運転本数・列車番号
- 大阪駅~香住駅間 1往復(3・6号)(多客時は浜坂駅まで延長)
- 大阪駅~浜坂駅間 1往復(1・4号)
- 大阪駅~鳥取駅間 1往復(2・5号)
- 大阪駅~浜坂駅間 1本(89号)(※多客臨時列車)
- 浜坂駅~大阪駅間 1本(88号)(※多客臨時列車)
- 大阪駅~香住駅間 1往復(かにカニはまかぜ)(※冬期臨時列車)
- なお、JR福知山線脱線事故の影響で、新大阪駅~福知山駅間の特急列車が運休となり、振替輸送が必要となったため、臨時列車が新大阪駅~香住駅間で1往復(88・89号)運行されていた。
この列車は夏休みなどの長期休暇や冬季のいわゆる「カニ食い(ツアー)列車」などの多客時や臨時列車として、車両の貸し出しや臨時列車の運転(増発)、車両が1~4両増結される機会が多い。
- 大阪発が下りである。
- 列車番号は、1D~6Dと運転線区等で変更がない。1号=1D、2号=2Dとなる。
- 2007年1月現在、トップナンバー「1D」を名乗っているのは「はまかぜ1号」だけである。
- 3・6号の多客時延長区間(香住駅~浜坂駅間)の列車番号は8000番台で、3号=3D~8003D、6号=8006D~6Dとなる。
- 88・89号(※多客臨時列車)の列車番号は9000番台で、88号=9058D、89号=9059Dとなる。
- また、営業上の特例として、大阪駅・尼崎駅~和田山駅間を途中下車しなければ福知山線経由の運賃・料金が適用される(列車特定区間)。
- 余談ながら、「はまかぜ」は尼崎駅に停車しないため、分岐駅通過の特例で尼崎駅~大阪駅間を往復できる。
- しかし、京阪神方面から鳥取駅へ行く場合は、この列車(1往復)を使用するより智頭急行線経由の特急「スーパーはくと」(7往復)を利用する方が圧倒的に速く、運賃・料金も若干安価である。
- 1986年12月に発生した餘部鉄橋での列車転落事故以降、同区間の強風による通行規制が強化された事も、この区間を走行する優等列車の設定を減少させた遠因と考えられるが、特に2006年3月の寝台特急「出雲」廃止後、餘部鉄橋を通過する優等列車はこの「はまかぜ」のみとなっている。
- 使用車両
- 前者は、ATS-Pを導入している智頭急行智頭線経由の「はくと」「いなば」として以前活躍していたため、2種類のATSを装備している。
- ※なお、走行する東海道本線・山陽本線内は、ATS-P(拠点P)が設置されており、播但線・山陰本線内は、ATS-SWが設置されている。(ATSについてはリンクを参照)
- 基本編成は以下の4両であるが、期間によっては5~8両へ増結され、5~7両に増結される時は基本的に編成の中にキハ180が連結され、8両に増結される時は先頭車(キハ181)が中間車として組み込まれる場合もある。
- (←姫路)キハ181-キロ180(グリーン車)-キハ180-キハ181(鳥取・浜坂・香住・大阪→)
- 1号車の姫路基準は同駅でスイッチバックの形態を取るため。
- キハ181系車両の老朽化が目立つ為、新型車両への置き換え計画が挙がってもおかしくない状況であるが、現在の所、具体的な計画はまだない。その為、JRの気動車特急の中では最も古い車両を使用していることとなる。
- 停車駅
- ()内の駅は一部列車が臨時停車。
- なお、姫路駅では構内配線の関係で走行する方向が変わる。(スイッチバック)また、姫路駅高架切替工事の関係で、播但線高架後までは姫路駅での発着が31番のりばに統一されている。
- 大阪駅 - 三ノ宮駅 - 神戸駅 - 明石駅 -(加古川駅) 姫路駅 - 福崎駅 - 寺前駅 - 生野駅 - 和田山駅 - 八鹿駅 - 江原駅 - 豊岡駅 - 城崎温泉駅 - 竹野駅 - (佐津駅) - 香住駅 - 浜坂駅 - 岩美駅 - 鳥取駅
[編集] ギャラリー
播但線100周年のヘッドマークを付けた「はまかぜ2号」大阪駅にて |
餘部橋梁を渡る「はまかぜ1号」餘部駅にて |
[編集] 播但線優等列車沿革
- 1952年(昭和27年) 大阪駅~城崎駅(現:城崎温泉駅)間を播但線経由で運転する臨時快速列車「たじま」が設定される。
- 1953年(昭和28年) 大阪駅~城崎駅間を播但線経由とする臨時快速列車「ゆあみ」の運転を開始する。
- 週末運転で下りは金曜日、上りは日曜日運転であった。
- 1955年(昭和30年) 「たじま」定期列車化。
- 1956年(昭和31年) 「たじま」上り始発駅を香住駅に変更。
- 1958年(昭和33年) 「たじま」浜坂駅まで運転区間を延長。また、臨時列車「ゆあみ」を準急列車化。
- 1960年(昭和35年) 「たじま」準急列車に昇格。同時に運転区間も大阪駅~鳥取駅間に変更。
- 1961年(昭和36年) 「たじま」名称を漢字書きの「但馬」に変更。
- 1962年(昭和37年) 「但馬」に姫路駅発着列車が設定される。
- 1965年(昭和40年) 「ゆあみ」の名称を「但馬」に変更。また、1往復増発され、「但馬」4往復での運転となる。
- 但し、大阪駅発着は2往復のままで、運転区間も従来の「たじま」・「ゆあみ」を踏襲する形で運転。
- 1966年(昭和41年) 準急列車制度の変更により「但馬」 急行列車に昇格。
- 1971年(昭和46年) 臨時特別急行列車「ゆあみ」が秋季、「はくぎん」が冬季のそれぞれ週末に運転され、臨時ながら初めて播但線で特別急行列車運転。「はまかぜ」登場前の慣らし運転的意味あいも兼ねていたとされる。
- 1972年(昭和47年) 福知山線経由の特急「まつかぜ」の補完列車として、新大阪駅・大阪駅~鳥取駅・倉吉駅間を播但線経由となる特別急行列車「はまかぜ」の運転を開始。
- 「はまかぜ」は播但線内を無停車で運転されたため、急行である「但馬」との差別化は計られていた。
- 1985年(昭和60年) 「はまかぜ」全列車鳥取駅発着となる。キハ181系に車両変更
- 1986年(昭和61年) 福知山線電化に伴い特急「まつかぜ」の運転が終了。これをカバーする目的で「はまかぜ」に倉吉駅・米子駅発着列車を運転開始。また、「但馬」については大阪駅~豊岡駅間運行の列車と姫路駅~浜坂駅間の2往復に減少する。
- 1989年(平成元年) 「但馬」 大阪駅乗り入れを臨時列車に格下げ。定期列車は全列車姫路駅発着となる。
- 1993年(平成5年) 「はまかぜ」 全列車大阪駅発着となる。
- 1994年(平成6年) 智頭急行智頭線開業。特急「スーパーはくと」運転開始により、運転区間を大阪駅~浜坂駅・鳥取駅間と短縮。3往復から2往復へ減便し、大阪駅~浜坂駅間、大阪駅~鳥取駅間各1往復とする。
- 1996年(平成8年) 姫路駅発着で同区間を運転していた急行「但馬」廃止。1往復を格上げし香住駅発着とする。また、大阪駅乗り入れの臨時「但馬81・82号」も「はまかぜ81・82号」として特急に格上げ。
- それまで播但線内無停車であったが、これ以降播但線内を停車するようになる。また、このころより「はまかぜ」の性格も兵庫県内移動が主体となる。
- 1999年(平成11年) 「はまかぜ」 香住駅発着便を浜坂駅まで延長。
- 2006年(平成18年) 山陰本線餘部鉄橋掛け替えに伴う記念事業「鉄橋サミット」開催に伴う輸送列車として姫路駅~浜坂駅間を運行する急行列車「あまるべ」が運行。
- 使用車両は、キハ58・キハ282両一組の4両編成。金沢総合車両所・越前大野鉄道部所属車の国鉄色を用い、全車座席指定席で運行された。→JR西日本ニュースリリースさようなら「余部鉄橋」「急行 あまるべ」運転も参照されたい。
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