インターリーグ
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インターリーグとは、アメリカの4大国技で違うカンファレンス(リーグ)と対戦する交流試合のときに表現する。日本では転じてプロ野球のセントラル・リーグとパシフィック・リーグとの間での交流試合のことを言う。
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[編集] メジャーリーグにおけるインターリーグ
アメリカでは4大国技のうちアメリカンフットボール(NFL)、バスケットボール(NBA)、アイスホッケー(NHL)で違うカンファレンスと対戦するインターカンファレンスリーグを積極的に取り入れていたが唯一野球(メジャーリーグ)ではそれが取り入れられていなかった。
しかし1994年9月~1995年4月の労使紛争による選手会主催のストライキでファンの野球離れが深刻になったことを背景に、交流試合(インターリーグ)を開催してほしいという要望が多かった。交流戦はオープン戦と両リーグの優勝チームが直接対決して全米一を争う「ワールドシリーズ」だけで、後は同じリーグに所属するチームとの対戦のみ。またリーグそれぞれの対抗意識も強かったことから公式戦レギュラーシーズン中のインターリーグ開催はこれまで困難とされた。
その後1997年に新規ファンの開拓を目指してアメリカン、ナショナル両リーグの東地区同士、中地区同士はどちらかのホームで3試合の計15試合、西地区同士のみホームとビジター各2回ずつ4試合計16回試合のインターリーグを実現。これでニューヨークダービー(サブウェイ・シリーズ-ヤンキースvsメッツ)やシカゴダービー(ウィンディシティ・シリーズ-カブスvsホワイトソックス)、更にはカリフォルニアダービー(フリーウェイ・シリーズ-ドジャースvsエンゼルス、ベイブリッジ・シリーズ-ジャイアンツvsアスレチックス)など、同じ都市や州を本拠地とするチームによる直接対決(ダービーマッチ)も実現し、これまでワールドシリーズでしか実現できなかった魅力ある好カードを提供しファンの共感を集めた。2001年からは同一地区との対戦以外にも違う地区との対戦(例:アメリカンリーグの東地区vsナショナルリーグの西地区など)も行われるようになった。
[編集] 代表的な対戦
- 地域的なもの(ダービーマッチ)
- ニューヨーク・ヤンキース vs ニューヨーク・メッツ (サブウェイ・シリーズ)
- シカゴ・ホワイトソックス vs シカゴ・カブス (ウィンディシティ・シリーズ、シー・タウン・シリーズ、クロスタウン・クラシック)
- カンザスシティ・ロイヤルズ vs セントルイス・カージナルス (I-70・シリーズ、ミズーリ・シリーズ)
- テキサス・レンジャーズ vs ヒューストン・アストロズ (ローンスター・シリーズ)
- オークランド・アスレチックス vs サンフランシスコ・ジャイアンツ (ベイブリッジ・シリーズ)
- ロサンゼルス・エンゼルス・オブ・アナハイム vs ロサンゼルス・ドジャース (フリーウェイ・シリーズ)
- トロント・ブルージェイズ vs モントリオール・エキスポズ (現ワシントン・ナショナルズ) (オー・カナダ・ダービー)2004年まで
- ボルティモア・オリオールズ vs ワシントン・ナショナルズ(ベルトウェイ・シリーズ)2006年から
- タンパベイ・デビルレイズ vs フロリダ・マーリンズ(フロリダ・シリーズ)
- クリーブランド・インディアンズ vs シンシナティ・レッズ(バトル・オブ・オハイオ)
- 歴史的なもの
- ボストン・レッドソックス vs. ニューヨーク・メッツ
- ニューヨーク・ヤンキース vs ロサンゼルス・ドジャース
[編集] 日本のプロ野球におけるインターリーグ
[編集] セ・パ交流戦(パ・セ交流戦)
日本では以前からパ・リーグが提案し続けながらもセ・リーグがそれを拒否し続けていたが、2004年プロ野球再編問題をきっかけにセ・リーグの一部球団が歩み寄りを見せ、9月10日の選手会と球団経営者側の交渉による暫定合意によって交流試合の開催が決定。その後9月27日の実行委員会、9月29日のオーナー会議で2005年度からホーム・アンド・アウェー各3試合ずつの6回総当り(12チームで実施の場合は1チーム36試合)で開催されることとなった。2005年度は日本生命が特別協賛スポンサーとなり「2005年 日本生命セ・パ交流戦」という大会名で5月6日~6月16日に開かれた。
2007年から上位3強ポストシーズンゲームが行われることに伴い、試合数が24試合(ホーム・アンド・アウェー各2試合ずつの4回総当り)と変更された。
[編集] 2007年度の日程編成
- 原則として5月22日~6月24日の期間中に行うが、試合数が各チームにつき24試合となったため、1カード2連戦開催となる。よって通常のリーグ戦編成では試合が行われない月曜日にも試合が組まれている。通常は週末(土曜日・日曜日)は必ず試合をこなす関係で通常のリーグ戦とは異なるパターンが取られている。
- 平日は基本的に1カード2連戦をこなしたら翌日は移動日(雨天中止の場合は予備日)とするが、5月25日-5月28日(1巡目の2カード目と3カード目)、及び6月8日-6月11日(2巡目の1カード目と2カード目)は週末をまたぐ形での都合4連戦となり、火曜日が移動日か4連戦の後半カードの予備日に割り当てられる。
- 予備日は5月24日、5月29日、6月1日、6月4日、6月7日、6月12日、6月15日、6月18日、6月21日、6月22日、及び6月25日から6月28日の間。このうち、5月24日から6月22日までの10日間はその前日までに雨天中止になった直近の試合の延期分(一部地方球場開催分は予備日が設定されない試合あり)を割り当てる。また6月24日までに全ての日程が消化しきれなかった場合は6月25~28日にも全試合共通の予備日程を割り当てる。これでも消化できない時は9月以降の予備日にまわされる
- また、期間短縮に伴う移動日程の過密化を避けるため、同じリーグ・チームのホームゲームを2カード(4試合)連続で行うよう日程が組まれた。2007年からは地方球場だけでの2連戦も行われる(2006年までは3連戦のうちの最初・あるいは最後の1試合のみを地方球場で行うというパターンだけだった)。
- 5月30・31日 中日ドラゴンズ対東北楽天ゴールデンイーグルス(浜松球場・豊橋市民球場)
- 6月8・9日 東京ヤクルトスワローズ対北海道日本ハムファイターズ(松山中央公園野球場)
- 6月19・20日 中日ドラゴンズ対オリックス・バファローズ(富山市民球場アルペンスタジアム・石川県立野球場)
- 前年度に引き続き日本生命の冠大会となる。試合開催の各会場のバックネット裏には大会名「日本生命セ・パ交流戦」の横断幕を掲げる。また、本塁後方のフェンスにも大会名が、通常の広告に加えて掲示及びペインティングされる。テレビ中継では(CMのないNHKでの放送分を除き)当然同社のCMも放映される(提供クレジットには出ない場合あり)。
- 2007年度は「日本生命セ・パ交流戦」に加え「NISSAY INTER LEAGUE 2007(ニッセイインターリーグ)」のロゴマークも使用される。
[編集] 日本版インターリーグの統一ルール
- パ・リーグだけで採用されている予告先発の発表はしない。
- パ・リーグだけで採用されている指名打者は、パ・リーグの球団が主催するときにのみ採用する。セ・リーグが主催のときは使用しない。(つまり、通常の公式戦では打席に立つことが殆ど無いパ・リーグの投手が打席に立つことになる)
- 延長戦は他の公式戦同様に12回で打ち切り。勝敗が決さない場合にはその試合は引き分けとなる。
- パ・リーグだけで採用されているサスペンデッドゲームは採用しない。
- 投球が打者の顔面、頭部、ヘルメットなどに直接当たり、審判がそれを危険球と見なした場合、その投手には即時退場が命ぜられる。
- 投手は塁に走者がいない場合、捕手からボールを受けて15秒以内に投球しなければならない(15秒ルール)。
- 監督・コーチがマウンドに行ける回数は投手1人につき1イニングに1回。2回目は投手を交代させなければならない。
- ベンチ登録はコーチが監督を含めて8人、選手25人。この他マネジャー、トレーナー、スコアラー、広報が各1人ずつ。通訳も原則は1チーム1名だが2ヶ国語以上の通訳を要する場合は2名とすることが認められる。
[編集] 日本版インターリーグの賞金
リーグ戦、並びに個人賞は両リーグの成績にも反映されるが、このシリーズ独自の順位・個人賞も予定されており、交流戦の最高勝率チームに優勝賞金5000万円。また最優秀選手「日本生命MVP」に賞金200万円、各チームの優秀選手賞も予定している。尚、交流戦優勝チームと最優秀選手が複数出た時には均等割りにする。
[編集] 交流戦優勝チーム/5000万円獲得チーム
- 2005年 - 千葉ロッテマリーンズ(24勝11敗1分)
- 2006年 - 千葉ロッテマリーンズ(23勝13敗)
- 2007年 -
[編集] 最優秀選手(日本生命MVP)/200万円獲得者
- 2005年 - 小林宏之(千葉ロッテマリーンズ)
- 2006年 - 小林雅英(千葉ロッテマリーンズ)
- 2007年 -
[編集] 優秀選手賞(日本生命賞)
[編集] 交流戦でのノーヒットノーラン
投手 | チーム | 年月日 | 相手 | 球場 |
---|---|---|---|---|
リック・ガトームソン | 東京ヤクルトスワローズ | 2006年5月25日 | 東北楽天ゴールデンイーグルス | 明治神宮野球場 |
[編集] 片方の球団が無敗だったケース
※左が無敗だったチーム
- 2005年 読売ジャイアンツ vs 北海道日本ハムファイターズ(4勝2分)
- 2005年 横浜ベイスターズ vs 東北楽天ゴールデンイーグルス(6勝)
- 2006年 千葉ロッテマリーンズ vs 読売ジャイアンツ(6勝)
[編集] ピッチャーのホームラン
[編集] リーグ別対戦成績
- 2005年 - パ・リーグ105勝104敗7分け(36試合制)
- 2006年 - パ・リーグ108勝107敗1分け(36試合制)
- 2007年 - (24試合制)
- 通算成績 - パ・リーグ213勝211敗8分け(2006年度終了時点)
[編集] 過去の順位表
回 | 年 | 期間 | 1位 | 2位 | 3位 | 4位 | 5位 | 6位 | 7位 | 8位 | 9位 | 10位 | 11位 | 12位 | 試合数 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
第1回 | 2005年 (平成17年) |
自5月6日 至6月18日 |
ロ | ソ | 神 | 巨 | ヤ | 横 | オ | 西 | 中 | 日 | 広 | 楽 | 36試合制 |
第2回 | 2006年 (平成18年) |
自5月9日 至6月20日 |
ロ | ヤ | 神 | 中 | ソ | 西 | 日・楽 (同率7位) |
広 | 横 | 巨 | オ | 36試合制 | |
第3回 | 2007年 (平成19年) |
自5月22日 | 24試合制 |
※球団略称(配列は北から南、東から西)
- セ・リーグ
- パ・リーグ
- 日:北海道日本ハムファイターズ、楽:東北楽天ゴールデンイーグルス、ロ:千葉ロッテマリーンズ、西:西武ライオンズ、オ:オリックス・バファローズ、ソ:福岡ソフトバンクホークス
[編集] 参考
交流試合の開催に際してのメリットを探るためという名目で1999年度と2000年度の2年間に渡り「プロ野球サントリーカップ」が春季オープン戦期間に開かれた。
試合方式としてはセ・パそれぞれ互いのリーグに属しているチームと1回ずつの総当り(6試合 2年間でホーム・アンド・アウェーが完成する)で対戦を行い、各年度の6試合の勝率(引き分けは0.5勝計算)で順位を決定するというもので、上位チームや個人賞獲得者には賞金が贈呈される体裁だった。
2007年度からセントラル・リーグでもプレーオフを導入する予定から試合数の調整が迫られている中で、2007年度は交流戦を24試合に削減、セントラル・リーグ、パシフィック・リーグともにリーグ戦は120試合とし、1シーズン144試合制、かつ両リーグによる上位球団による合同プレーオフを実施することで合意となった。
12球団で勝敗数からそのまま順位付けを行っているが、対戦カードから見ればセ球団とパ球団はあくまで同じリーグ内の他の5球団と同じ条件で争っているいるだけである。セとパでは対戦相手は完全に異なる。それにもかかわらず、順位として勝敗内容は一まとめにされその中で最高勝率を上げた球団が優勝となっていることには注意が必要である。
[編集] 2軍交流戦
また、2005年度から2軍のイースタン・リーグとウエスタン・リーグの交流戦も始まった。これは大阪近鉄のオリックスへの吸収合併と、東北楽天の新規参入によりイースタンが7チーム、ウエスタンが5チームと何れも奇数チームで行われることになり、必ず1チームずつ試合が組まれないケースが生じる事を考慮して行われるもので、1軍の交流戦と違う点としては全てのチームとの総当りではないため、随時対戦カードを決めて行われる。なお交流戦の成績(チーム、個人賞)は1軍と同様にそれぞれのリーグ戦の成績にそのまま反映される。