コンニャク
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?コンニャク | |||||||||||||||||||||
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![]() コンニャク |
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分類 | |||||||||||||||||||||
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学名 | |||||||||||||||||||||
Amorphophallus konjac | |||||||||||||||||||||
和名 | |||||||||||||||||||||
コンニャク |
コンニャク(蒟蒻)とは、サトイモ科の植物。あるいは、その球茎から製造される食品のこと。
コンニャクを食用としている地域は日本、中国、ミャンマー、韓国で、農産物として生産され、市場に流通しているのは日本のみである。日本での主産地は群馬県で国内産の9割を占める。
目次 |
[編集] 植物としてのコンニャク
コンニャクイモ(蒟蒻芋)とも言う。サトイモ科の夏緑多年草植物で、学名はAmorphophallus konjac K. Koch。英名はelephant foot。原産地はインドまたはインドシナ半島(ベトナム付近)とされ、東南アジア大陸部に広く分布している。生のコンニャクイモはシュウ酸カルシウムのエグ味が強く、何らかの方法でそれを除かなくては食べられない。
[編集] 食品としてのコンニャク
通常コンニャクと呼ばれる食品は、コンニャクイモに含まれる コンニャクマンナンを糊化し、アルカリ(通常水酸化カルシウム水溶液が用いられる)を用いて凝固させたもので、独特の食感を示す。
[編集] 製造法
球茎を粉状(実際には単に球茎を粉砕した荒粉と、マンナンを精製した精粉に分かれ、コンニャク製造の際は双方を混合して用いる)にして水とともにこねたあと石灰乳(石灰(ここでは消石灰のもの)を少量の水で懸濁したもの。水酸化カルシウム水溶液)を混ぜて煮沸して固める。純粋なコンニャクは白灰色をしているため、彩りのために細かく砕いたひじきなどの海藻を固める際に入れて黒くしたものが、もっとも一般的なコンニャクである。また、糸状に固めたものを糸こんにゃく、糸こんにゃくより細く固めたものをしらたきと呼ぶ。近江八幡では三二酸化鉄を加え、赤色に加工した赤コンニャクもある。シュウ酸カルシウムが含まれるため、加工には細心の注意が必要である(ゴム手袋を使うのが理想的)。
コンニャクにひじきなどで色をつけるのは、昔は皮ごとすり下ろした芋を使っていた名残である。江戸時代に製粉法が開発されて白いコンニャクを作ることが可能になったが、コンニャクらしくないと評判が悪かったため、わざと色をつけるようになった。
[編集] 調理法
コンニャクは、おもにおでん、煮物、味噌汁、豚汁など汁物や鍋物の具に使われる。また、串を刺して味噌田楽の素材としても用いられる。「糸こんにゃく」や「しらたき」は、すき焼きなどに使用される。なまのまま薄く切って刺身として食べることもある。
[編集] 玉コンニャク
玉状のコンニャクを3つくらいずつ割り箸に刺していき、大鍋の中で醤油ベースの汁で煮込んだもの。 山形県では、観光地・祭り・学園祭などで必ずといっていいほど売られている。 また、東京などにある山形の郷土料理を売り物にする居酒屋でメニューに載せられていることもある。
食べるときは、カラシをつけることが多い。
玉こんにゃくを煮るときは、するめでだしをとり、日本酒を多めに入れると美味しくできる。
略して「玉こん」と呼称する例があるが、これは株式会社平野屋(山形県)の登録商標である(登録商標 第762418号)。
[編集] コンニャクゼリー
粉末のコンニャクに果汁等を混ぜて固めたもの。食物繊維が多いコンニャクの特徴に着目したものであり、ゼラチンを原料としたゼリーに比べて健康、ダイエットによいと宣伝されている。
一方、ゼラチンなどで作ったゼリーに比べると弾力があり、口の中で溶けないため、のどに詰まらせたり、幼児が噛みつぶせないなどの危険性が問題になったことがある。現在では、形状などに工夫がはかられ、こうした危険性は少なくなっている。
[編集] 成分
コンニャクは96-97%が水分からなり、水分を除くと主成分はグルコマンナンである。グルコマンナンは、グルコースとマンノースが2:3-1:2の比率で重合した多糖類の一種で、コンニャクマンナンとも呼ばれ、ヒトの消化管ではほとんど消化されず、腸内微生物により一部脂肪酸に変換されて利用される。このため、カロリーが極めて低い食品(100gあたり5-7kcal)の一つとされ、摂取カロリーを制限する必要のある場合の食品素材として多く利用される。また、代表的な食物繊維で、血糖値や血中コレステロールを下げる効果や免疫増強活性があると言われている。
[編集] 食品以外としても活躍するコンニャク
[編集] お化け屋敷のコンニャク
お化け屋敷や肝試しに於ける恐怖演出の小道具として、コンニャクが利用されるという事もある。 糸などでコンニャクをぶら下げ、通りかかる人の顔や首筋を狙ってそれをぶつける。すると冷やっとしたコンニャク独特の質感で何とも言いがたい気色悪さを与える事になる。
[編集] 自民党こんにゃく対策議員連盟
こんにゃく農家の保護・育成のために活動。小渕恵三も会長を務めていた。
[編集] 余談
アニメルパン三世の第61話「空飛ぶ斬鉄剣」では、鋼鉄さえ寸断する斬鉄剣の切れないものの一つとして、所有者の石川五右衛門が蒟蒻を挙げている。
[編集] 関連項目
[編集] 参考文献
- 武内孝夫 『こんにゃくの中の日本史』 講談社現代新書 講談社 ISBN 4061498339