リゾート
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リゾート(resort)は、人が家族やグループで出かけて、リフレッシュやリクリエーションを楽しむための総合的な施設の整備された所。保養地。
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[編集] 概要
一般の観光地と異なり、長期滞在型のバカンス、休暇を楽しむための場所で、そのための大都市圏から車、鉄道、航空機なども含めてのアクセスが数時間程度で移動の負担が少なく、食事、宿泊施設、スポーツから文化的な刺激まで含めたエンターテイメントの機会が豊富で、ショッピング、スポーツの施設も完備しているのが特徴である。
リゾートという言葉は、しばしばその中心にある滞在型のホテルの事と誤用される向きがあるが、ホテルはリゾートにとって必要不可欠のものではあるが、決してリゾートの全てという訳にはいかない。そのプールやテニスコート、ビーチから、その周辺の様々な観光地、名所、旧跡から、そこで出会う全ての人達が、リゾートの楽しみを提供してくれている。
リゾートのタイプは、様々なタイプがあるが、その運営の仕方によっては二つのタイプが典型的である。1つは、そのリゾートの大半が地元企業によって営まれているケース。アメリカのコロラド州のアスペンがその例である。もう1つは、そこに滞在中のほとんどの楽しみが1つの企業によって提供されるもの。代表は、ウォルト・ディズニー・ワールド・リゾートである。
古代の最も有名なリゾートは、およそ2,000年前のイタリアのバイアエ (Baiae) であるとされる。
[編集] リゾートの種類
[編集] 世界の主なリゾート地
[編集] マリンリゾート
海水浴やマリンスポーツなどに適した、比較的温暖な地域に多い。
- アジア
- 日本:沖縄、石垣島、奄美群島、南紀など
- 韓国:済州島
- 中国:海南島
- フィリピン:セブ島、ボホール島、ボラカイ島、エルニド、アマンプロ
- タイ:プーケット島、クラビ・ピピ島、ホアヒン、サムイ島、パタヤ
- マレーシア:ペナン島、ランカウイ島、コタキナバル、ティオマン島、レダン島、タワウ(ボルネオ島)
- インドネシア:バリ島、ロンボク島、ビンタン島、バタム島、メナド(スラウェシ島)
- ベトナム:ニャチャン、クイニョン、ファンティエット、プーコック島、ダナン
- カンボジア:シアヌークビル
- スリランカ:ネゴンボ、ベントータ、ベールワラ
- インド:ゴア
- モルディブ
- アラブ首長国連邦:ドバイ
- トルコ:ボドルム
- ヨーロッパ
- モナコ:モナコ、モンテカルロ
- フランス:コート・ダジュール(カンヌ、ニース)
- スペイン:コスタ・デル・ソル(マルベーリャなど)、イビサ島、マジョルカ島
- イタリア:リビエラ海岸、リミニ、マルケ州、カラブリア州、サルディーニャ島、シチリア島
- ギリシャ:ミコノス島、サントリーニ島など、エーゲ海の島々
- 北中米
- アメリカ合衆国:サンタモニカ、マイアミビーチ、キーウェスト、フォートローダーデール、ポンパノビーチ、ハワイ諸島
- メキシコ:カンクン、アカプルコ、ベラクルス、カボサンルーカス(ロスカボス)、プエルトバジャルタ
- ベリーズ
- キューバ:バラデロ
- バハマ
- ドミニカ共和国
- ジャマイカ:モンテゴベイ
- 英領ケイマン諸島
- 小アンティル諸島:バルバドス、仏領マルティニーク島など
- オセアニア
- オーストラリア:ケアンズ、ゴールドコースト
- ニュージーランド:クリアウォーター
- パプアニューギニア:マダン
- 米領グアム島、北マリアナ諸島:サイパン島、テニアン島、ロタ島
- 仏領ニューカレドニア島、タヒチ島
- パラオ:ペリリュー島
- フィジー
[編集] 山岳リゾート
山や高原など標高が高く冷涼な地域が多い。主に避暑地として好まれ、冬はスキーリゾートとなることも。火山帯が近いと温泉保養地を兼ねることもある。
- 日本
- スイス
- フランス
- カナダ
[編集] スパリゾート
[編集] 日本におけるリゾート開発
日本における近代リゾート開発は明治時代、神戸市の六甲山において始まる。登山(1874年に六甲山で日本最初の近代登山が外国人パーティにより行われた)やハイクのための山道の整備から、やがて山頂エリアに外国人の別荘が並び、日本初となるゴルフ場などのレジャー用施設が建てられた。これらは全て外国人居留地の欧米人により行われたものである。
軽井沢は1888年、カナダ人宣教師のアレクサンダー・クロフト・ショーによる別荘建設を嚆矢として、リゾート地としての歴史を刻み始めた。
近年のリゾート開発は大規模な面積を要し、多大の資金と長期間の計画的な投資を必要とすることから、ヤマハや東急、西武など、オーナー経営色の強い企業がリゾート開発を企業体として行ってきた。
1987年、カネ余りと内需振興の掛け声により、リゾート法が制定され、各地方が大手企業と組んでリゾート開発を計画したが、その後のバブル崩壊もあり、そのほとんどが頓挫した。この経緯についてはリゾート法の項を参照のこと。
[編集] 参考文献
日本のリゾート開発に関するもの
- 三木健『リゾート開発 沖縄からの報告』(三一書房、1990年) 沖縄県の事例の批判的検討