東急世田谷線
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世田谷線(せたがやせん)は、東京都の三軒茶屋駅と下高井戸駅とを結ぶ東京急行電鉄の軌道線。全線が世田谷区内を走行する。
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[編集] 路線データ
[編集] 概要
特色としては、本線は西太子堂駅~若林駅の間で環状七号線と交差するが、路面電車のため、信号が道路と同期している。この時、列車が来たら環状七号線の交通を止めるのではなく、信号が変わるまで列車の方を待たせる仕様になっている。なお、交差点の名称は「若林踏切」である。
東京都内では、(新交通ゆりかもめの軌道扱いの部分を除けば)軌道線は世田谷線と都電荒川線が残るだけとなった。軌道ではあるが、併用軌道は環状七号線との交差部(若林踏切)のみであり、ほぼ全線が専用軌道である。
下高井戸駅への入口部分は急カーブのため、列車が通過すると線路に水が撒かれていたが、現在は摩擦調整材塗布装置が設置されたため撤去されている。
毎年1月と12月の15日と16日は沿線の上町駅や世田谷駅付近で開催される「世田谷ボロ市」のイベント開催時は、多くの利用者に対応するため、列車の本数を通常ダイヤより増やして対応している。
運賃は全区間均一制(2006年現在大人140円・子供70円)。
パスネットやバス共通カードは使用できないかわりに、2002年(平成14年)7月7日から世田谷線独自のICカード「せたまる」を導入している。このカードは一種の回数券として利用可能である。また利用する時間帯・日時によって運賃に対応するポイントが利用する度毎に付加される。ポイントの点数を変動することにより、オフピーク回数券や土休日回数券と同様の機能を1枚のICカードで行うという利便性がある(詳細はせたまるの項を参照)。
なお、世田谷線では2007年(平成19年)3月18日よりICカード乗車券PASMOを導入したが、せたまるの利便性を確保するためか、チャージができないなど制約が多い。
[編集] 歴史
現在の世田谷線の区間は、1925年(大正14年)1月18日に三軒茶屋駅~世田谷駅間が玉川電気鉄道(玉電)の支線として開業したのに始まる。5月1日には残りの世田谷駅~下高井戸駅間が開業した。そのため、現在でも玉川線の愛称であった「玉電」と呼ばれることがある。
1938年(昭和13年)3月10日、玉川電気鉄道は東京横浜電鉄(現・東京急行電鉄)に合併され、玉川線となる。
1969年(昭和44年)5月11日に玉川線の渋谷駅~二子玉川園駅間が廃止され、残った支線部分が世田谷線に改称された。これは、専用軌道の多さが廃線を免れた原因といわれる。
1992年11月11日に三軒茶屋駅前の再開発に伴って、三軒茶屋駅が元々の駅から若干下高井戸寄りに移動している。そのため、現在の駅と西太子堂駅の間は極めて近くなっている。
1999年(平成11年)7月11日より300系を導入し、低床車両を採用するとともにホームを嵩上げして乗降の際の段差を解消した。嵩上げは、全車両が300系に統一される前夜の2001年(平成13年)2月10日の終列車後に全駅で一斉に行われた。これは最初に導入した300系は旧型の車両と同じようなステップを持っていたためである(301F~306F、詳細は300系の項を参照)。
2002年(平成14年)7月7日より、ICカード「せたまる」を導入した。
2007年(平成19年)3月18日より、ICカード「PASMO」を導入し、東急線の他の路線は勿論、私鉄・地下鉄・JRとも相互に使えるようになった。
[編集] 駅一覧
駅名 | 駅間キロ | 累計キロ | 接続路線 | 所在地 |
---|---|---|---|---|
三軒茶屋駅 | - | 0.0 | 東京急行電鉄:■田園都市線 | 東京都世田谷区 |
西太子堂駅 | 0.3 | 0.3 | ||
若林駅 | 0.6 | 0.9 | ||
松陰神社前駅 | 0.5 | 1.4 | ||
世田谷駅 | 0.5 | 1.9 | ||
上町駅 | 0.3 | 2.2 | ||
宮の坂駅 | 0.5 | 2.7 | ||
山下駅 | 0.7 | 3.4 | 小田急電鉄:小田原線(豪徳寺駅) | |
松原駅 | 0.8 | 4.2 | ||
下高井戸駅 | 0.8 | 5.0 | 京王電鉄:京王線 |
[編集] 車両
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現在全列車が300系の2両編成で運行されている。
以前は、木の床など昔ながらの路面電車の構造をした車両で運行されていたが、前述の通り、2001年にすべて300系に置き換えられた。その際、台車などの旧車両の一部の部品を300系に流用している。また江ノ島電鉄に譲渡されていた旧車両が宮の坂駅前に静態保存されている。
運賃箱は、300系が導入される前は現金をそのまま入れるだけの小型のものだったが、300系導入時に路線バスと同じタイプのものに変更されている。