板倉光馬
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板倉光馬（いたくら みつま、1912年(大正元年)11月18日 - 2005年(平成17年)10月24日）は、日本の海軍軍人。最終階級は海軍中佐。福岡県小倉市(現、北九州市)出身。
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[編集] 略歴
旧制福岡県立小倉中学校より海軍兵学校第61期入校し卒業時成績順位は116名中第7位。
3人兄弟の次男。当初は画家を志していたが、関門海峡を通過する聯合艦隊の美しさに魅せられ、海軍兵学校に志望を変更したという。
士官候補生時代には問題児として名を馳せ、遠洋航海時には始末書を8枚という記録を作った。一方では、誰もが調査を諦めた訓練時のトラブルの原因を、根気よく調べ続けてついにつきとめるといった功績も残している。
1935年（昭和10）少尉任官。戦艦「扶桑」乗組。続いて重巡洋艦「最上」乗組。この時第四艦隊事件に遭遇する。また、上陸時の帰艦時刻にルーズな高級士官の行状に憤り、酔った勢いも手伝って艦長鮫島具重大佐を殴りつけ、鮫島大佐の温情でかろうじて不問に付されるといった騒ぎを起こしている。
その後、重巡洋艦「青葉」勤務。この間に潜水艦志望の意を固める。
1936年（昭和11）中尉昇進、伊68号潜水艦、空母「加賀」、駆逐艦「如月」で勤務。如月で急性胃潰瘍を患い一旦は佐世保で入院を命じられたものの、ビールを瓶1ダース飲んで完治、第59回遠洋航海に練習艦「八雲」主任指導官付として乗組（ただし、酔って八雲の来客用洋食器を全て叩き割る騒ぎを起こし、教官不適とされる）。
1939年（昭和14）、伊5号潜水艦を経て水雷学校高等科学生。呂34号潜水艦勤務の後、1940年（昭和15）潜水学校乙種学生。卒業論文では「潜水艦の防水対策」をテーマとし、区画ブローを中心とした効率的なダメージコントロールを提案した。これは後に高く評価され、潜水艦の応急処置として正式採用されている。
潜水学校卒業後1941年（昭和16）年11月、伊169号潜水艦水雷長兼分隊長。その後先任将校として、12月8日の真珠湾攻撃に参加。駆逐艦攻撃に失敗し反撃され損傷。その後防潜網にかかり哨戒艇に発見されながらも、間一髪で真珠湾を離脱した。
1942年（昭和17）1月にはミッドウェー方面で通商破壊に従事、ただし戦果に恵まれず、ミッドウェー島の米軍基地を砲撃後日本帰還。同年5月、ミッドウェー海戦の支援のため同海域に展開。7月以降ヌメア方面を始めとするオーストラリア方面通商破壊作戦を行った。
1943年（昭和18）3月、潜水学校甲種学生を経て伊176号潜水艦艦長に就任。だが着任前にラエで伊176潜が米軍の攻撃により損傷したため、日本まで回航後、同4月伊2潜艦長。5月にはケ号作戦（アリューシャン方面の戦い）のためにアリューシャン方面に向かい、キスカ輸送を2回、及び撤収作戦（アダック島付近での気象通報）に参加。この直前、乗員と共に艦内の酒を飲み尽くして泥酔、立ち小便の最中に0度近い水温の海に落ちて九死に一生を得、「不死身」のあだ名を奉られる。
同年6月、少佐昇進。10月以降は再度アリューシャン方面にて通商破壊戦に従事。輸送船1隻撃沈（ただし米側に該当船舶なし）。同年12月に伊41潜に移り、ラバウル方面での作戦輸送任務を命じられラバウル移動。途中で肉薄してきたB24の投弾を、帽ふれで味方と誤認させることによりかわすことに成功している。
1944年（昭和19）1月より4月まで、ラバウルで輸送任務。その間、スルミに1回、ブーゲンビル島ブインに3回の輸送を行った。ブインへの回数が多いのは、ぜひ伊41号潜水艦をという第8艦隊司令長官鮫島具重中将──かつての最上艦長鮫島大佐──のたっての希望による（この時板倉は鮫島に手土産としてウィスキーを届け、鮫島は戦後その空き瓶を持って日本に帰還。死ぬまで大事にしていたという）。さらに、ラバウル撤収における第7潜水艦隊司令部要員をトラックへ輸送後、1944年（昭和19）4月、内地に帰還。同じ任務に当たった潜水艦が次々と撃沈または消息を絶つ中、これだけの成功をおさめたのは、米軍のレーダー探知に対抗するため、昼間は水上航走、夜間に潜航という、従来の潜水艦の警戒方法とは逆のパターンを取ったためと言われる。
帰還後は、水陸両用車特4内火艇を使った特攻作戦「竜巻作戦」の支援を命じられる。が、特4内火艇が実用に耐えないと判明したため作戦は中止された。 同年5月にはあ号作戦支援のため出撃、アドミラルティ付近を始め各所を点々とするが、戦果はなく、グアム島の不時着搭乗員を収容の後、6月に内地帰還。
同年8月、第一特別基地隊参謀兼大津島分遣隊長。回天隊水雷参謀兼指揮官として、発案者である黒木博司中尉、仁科関夫少尉と共に回天隊の立ち上げに当たる。その後終戦まで、回天隊指揮官として、訓練、出撃、整備など現場の管理統括を行った。この間、ずっと自らも出撃を希望し続けていたが遂に叶わず、また、終戦時には自決を企図したが説得されて回天隊の戦後処理に当たった。終戦時中佐。
1963年（昭和38）4月、海上自衛隊潜水艦はやしおの深々度公試で操艦を指揮。
[編集] 人物像
[編集] 年譜
- 1912年(大正元年)11月18日- 福岡県小倉市(現在の北九州市)生
- 1934年(昭和9年)2月15日- 練習艦隊遠洋航海出発 西廻り世界一周巡航
- 7月20日- 帰着
- 1957年(昭和32年)- 海上自衛隊幕僚統監部非常勤嘱託
- 2005年(平成17年)10月24日- 死去 享年94
[編集] 主要著述物
- どん亀艦長青春記(光人社ＮＦ文庫) ISBN 4-7698-2075-5 C0195
- 不滅のネイビーブルー(光人社ＮＦ文庫) ISBN 4-7698-2061-5 C0195
- あゝ伊号潜水艦(光人社ＮＦ文庫) ISBN 4-7698-2005-4 C0195
- 続・あゝ伊号潜水艦(光人社ＮＦ文庫) ISBN 4-7698-2140-9 C0195
[編集] 映画
- 潜水艦イ-57降伏せず 1959年（板倉秀暢の名で考証指導）
[編集] 参考文献
- 潜水艦隊(井浦祥二郎著・学研Ｍ文庫) ISBN 4-901061-8 C0121
- 日本海軍潜水艦史（日本海軍潜水艦史刊行会）非売品
