こだま (列車)
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こだまは、東海道・山陽新幹線の各駅停車タイプの特急列車の愛称。 また、東海道新幹線開業以前は、日本国有鉄道(国鉄)が東京駅~大阪駅・神戸駅間を東海道本線経由で運行していた特急列車の愛称であった。
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[編集] 運行概況
- 1964年(昭和39年)の東海道新幹線開業時より、2007年現在でも、東海道・山陽新幹線の始発駅から終着駅まで全ての駅に停車する列車として設定されている。
- 基本的には、東海道新幹線・山陽新幹線内で運行は完結される。
- 近距離の都市間輸送と、「のぞみ」や「ひかり」との乗り継ぎ輸送が主な役割となっている。
- 博多付近で運行されるこだま号の一部は、博多駅で博多南線へ直通し、博多南駅まで運行される。なお博多南線内では「こだま」の愛称がなく、愛称なしの特急となる。
- 東海道新幹線では西日本旅客鉄道(JR西日本)の車両(現在は300系F編成)を使う列車が存在し、また山陽新幹線でも2006年3月改正まで東海旅客鉄道(JR東海)の車両を使った列車が上下各1本(下り:岡山駅~三原駅、上り:三原駅~新大阪駅)存在した。300系J編成が定期運用で岡山以西に乗り入れる唯一の列車でもあったが、改正後はJR西日本のF編成に置き換えられた。
[編集] 使用車両
- 0系 - 山陽新幹線のみ使用。2+2の4列シート。旧ウェストひかり普通車指定席用。
- 100系 - 山陽新幹線のみ使用。2+2の4列シート。旧ウェストひかり普通車指定席用と、旧グリーン車用がある。旧グリーン車用は肘掛内蔵テーブルと足置きは無くされている。
- 300系 - 原則として東海道新幹線のみ使用。山陽新幹線は岡山駅~三原駅間下り1本、三原駅~新大阪駅間上り1本に使用。
- 700系 - 東海道新幹線は、夜に三島駅にある整備工場への回送を兼ねた三島駅止まりのこだまとして使用。早朝は三島発東京行きのこだまとして使用。朝晩の一部の短距離列車、山陽新幹線は新大阪駅~岡山駅間下り1本、小倉駅~博多駅間2往復(朝下り2本上り1本、夜上り最終)に使用。
- 700系7000番台(「ひかりレールスター」車両) - 朝晩広島駅~博多駅間1往復に使用。
[編集] 列車編成
一部列車は「普通車全車自由席」として運転する。
- 16両編成(東京-新大阪の全列車、新大阪-岡山の一部、岡山-三原の1往復、小倉-博多の2往復)
博多← | →東京 | ||||||||||||||
1 自× |
2 自× |
3 自○ |
4 自× |
5 自× |
6 自× |
7 自× |
8 指× |
9 指× |
10 指○ |
11 指× |
12 指× |
13 自× |
14 自× |
15 自○ |
16 指○ |
- 8両編成
広島-博多の1往復で、「ひかりレールスター」の車両を用いたもの。車両構成はひかりレールスターに準じるが、8号車のみ指定席でそれ以外は自由席。
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[編集] 沿革
[編集] 名称の由来
1958年(昭和33年)、東京~大阪間の日帰り可能な電車による「ビジネス特急」新設にあたって、最終的には国鉄末期まで広く使われたJNRマークやT字型の特急エンブレムが採用されたシンボルマークとともに、一般公募によって決められたものである。
約93,000票もの応募があったが、1位は5,957票の「はやぶさ」で、「平和」1,076票、「さくら」692票といったほかの候補と比較しても「こだま」は374票と、それほど多い得票ではなかった。最終選考では、「こだま」は木霊(山彦)のことであり、「1日で行って帰ってくることができる」ことから決定されたものといわれる。なお、この時に票数では勝っていながらも採用されなかった他の候補であるが、「はやぶさ」と「平和」は「こだま」の登場より一月早い1958年(昭和33年)10月に、「さくら」は翌1959年(昭和34年)7月に「平和」を置き換える形でそれぞれ列車名に採用されている。
[編集] 東海道本線電車特急「こだま」号
- (東海道本線優等列車沿革の項目も参照)
- 1958年(昭和33年)11月1日から1964年(昭和39年)9月30日まで運転された国鉄初の電車による特急列車。
- 使用されたのは151系特急形電車。「こだま」で最初に使用されたため、この車両は「こだま形電車」と呼ばれた。
- 東京~大阪間を、電気機関車牽引による客車特急「つばめ」・「はと」が7時間30分で結んでいたのに対し、電車運転の「こだま」は当初6時間50分で結んだ。運転開始の翌年1959年(昭和34年)7月に所要時間を6時間40分、さらに1960年(昭和35年)6月には6時間30分にまで短縮した。
- 東京~大阪間の日帰りが可能になったので、「ビジネス特急」と呼ばれた。
- なお、151系電車の故障時には急行形車両の153系電車による代替運行も行われた事があった。153系電車は設備では151系電車に遥かに劣るものの、性能的には「特急」に使用されても問題ないものであった。153系電車で運行する際は特急料金の半額を着駅で返金したといわれる。この代替運用列車は、「こだま」をもじって「かえだま」(替え玉)と利用者からは呼ばれた。他には、157系電車(日光形電車)も代替で使用されたことがあった。
[編集] 東海道・山陽新幹線特急「こだま」
- 1964年(昭和39年)10月1日 在来線の特急の愛称を引き継いで、東京~新大阪間の各駅に停まる列車として運行を開始。
- 1964年(昭和39年)12月18日 二等車に自由席を設定した。
- 但し性格は2007年現在のそれと異なり、1列車の座席定員の120%程度までで発行を打ち切っており、現在の立席特急券に近い物となっている。
- 1965年(昭和40年)5月12日 二等車と同様の発券方式を採用して、一等車に自由席を設定。
- 1970年(昭和45年)3~9月 この時開催された日本万国博覧会(大阪万博)に伴い、例外的な輸送が実施された(大阪万博の交通も参照)。
- 1970年(昭和45年)10月1日 万博輸送終了により、グリーン車の自由席を廃止。
- 1972年(昭和47年)3月15日 山陽新幹線岡山駅開業より、山陽新幹線内でも「ひかり」と共に各駅に停車する列車として運行されることになった。又名古屋駅~岡山駅間を運行する「こだま」も設定され、新大阪駅をまたぐ列車も登場した。
- また、山陽新幹線内を各駅に停車する「ひかり」(運行記号から「HKひかり」、後年の通称として「ひだま」)が設定されたことから、同線内での「こだま」は東京駅発着の「ひかり」運行前・運行終了後の運行が中心となった。
- 但し東京駅発着の「こだま」は新大阪駅までの運行であり、それ以西へは2007年現在でも運行されていない。
- また東京駅~名古屋駅間を除き、「ひかり」との特急料金の格差を廃止。
- 1975年(昭和50年)3月15日 山陽新幹線博多駅延伸により、山陽新幹線内の運行区間も拡大。同時に、東京駅~名古屋駅間の「ひかり」との特急料金格差を廃止。
- 1985年(昭和60年)6月 山陽新幹線博多駅発着列車の一部で6両編成の「こだま」運行開始。以後、山陽新幹線の各列車に拡大し、同線における「こだま」の本数増加。
- 1988年(昭和63年)頃 東海道新幹線の「こだま」用0系指定席車(9~12号車)の4列シートへのグレードアップが行われ始める。
- 1996年(平成8年)頃 東海道新幹線の日中の「こだま」に100系が投入される。
- 1996年(平成8年)3月 東海道新幹線で日中に東京駅~名古屋駅間運転の列車が登場。
- 1997年(平成9年)3月 4両編成の「こだま」も登場。
- 1999年(平成11年)9月18日 東海道新幹線から「こだま」2往復を最後に0系の運用を終了。指定席の4列シートも廃止。
- 2000年(平成12年) 山陽新幹線の4両編成の「こだま」に100系が投入。のちに6両編成も登場。
- 2001年(平成13年)2月 東海道新幹線の日中の「こだま」に300系が投入される。
- 2003年(平成15年)8月 「こだま」を最後に東海道新幹線の100系の定期運用終了。9月16日の臨時「ひかり」を最後に運用終了。
- 2003年(平成15年)10月1日 ダイヤ改正で東海道新幹線「こだま」の最高速度を270km/hに引き上げ。
- 2006年(平成18年)3月18日 ダイヤ改正で利用不振が続く山陽新幹線の「こだま」を減便、1時間に1本のみとなる時間帯も存在する
[編集] ぷらっとこだまエコノミープラン
JR東海グループのJR東海ツアーズが主催する企画ツアー(催行旅行)で、JR東海ツアーズとJTB(東海道新幹線沿線の支店のみ)が販売を取り扱っている。
内容は、「こだま号の普通車指定席特急券と片道乗車券(正確には『こだま乗車票』)、および1ドリンク引換券」である。
元々、昭和50年代半ばから「こだま」の乗客数低迷が目立ち、国鉄末期には16両から12両への減車が行われたり(JR化後、東海道新幹線に関しては16両に戻る)JRになってからは指定席車の4列シートへのグレードアップも行われたりしたが、乗客を増やすためには根本的なテコ入れが必要だとして、従来から販売されていた「こだまラウンドきっぷ」などに変わる商品として開発されたのがこの「ぷらっとこだま」であった。
「こだま」を利用した格安チケットとして人気があるが、あくまでもツアー扱い(そのため店頭のチラシ等には「ぷらっとこだまは『きっぷ』ではありません」の表記がある)なので以下のような制限がある。
- JR東海の営業規則のほかに、標準旅行業約款が適応される。
- 利用対象列車やその利用区間が限られるほか、その列車の一部の座席限定で発売される。(即ち、対象列車の全ての指定席でこのプランの適用を受けられる訳ではない。)
- 前日までの購入が必要。(かつては当日購入も可能だったが、2004年(平成16年)4月から不可となった。)
- 乗車前にキャンセルする場合、乗車日の10日前から高額の取消料が必要。(代金の20%~50%)
- 列車の変更は不可。(変更したい場合は、先に購入したプランをキャンセルして新たに購入しなおす必要がある。それが乗車日の10日前以降の場合、当然取消料がかかる。)
- 乗り遅れた場合、後続列車の利用は自由席であっても一切不可。(利用駅までの接続路線の遅延・運休などの影響を受けても同様。)
- 乗り越しや途中下車をした場合、全乗車区間の正規料金が必要となり当プランは無効になる。(途中乗車も同様。)
- 特定都区市内制度(東京都区内・大阪市内など)が適用されない。
- 繁忙期には料金が上がる。(例:東京駅~新大阪駅間 通常期10000円、繁忙期11500円。)
- 入出場は、原則としてJR東海管轄の新幹線改札口のみ。(乗換改札は、事前に購入店で前後区間の乗車券を購入した場合のみ利用可能。)
などがある。
即ち購入したからには、必ず指定された列車の指定区間を乗車しなければ、無効になるということである。その為利用する際には、余裕ある行動スケジュールを組むのが無難である。
しかしそれでも、東京~新大阪間を普通車で移動した場合、通常期で1万円と高速バス(昼特急やドリーム大阪号など)に2000~4000円程度加算した程度の低料金で、その約半分の到達時間の為、行楽客や急ぐ状況でないビジネスマンなどから支持を集め、「こだま」の利用率を上げている。また、旧盆・年末年始・ゴールデンウイーク時期(繁忙期)の新幹線回数券が使用不可の時期でも安く利用できる為、その時期には発売開始早々このプランの枠が満席となる事も珍しくない。
また、エコノミープランに多少料金を追加の上でグリーン車指定席が利用出来る、「ぷらっとこだまグリーン車プラン」も発売されている。(例:東京駅~新大阪駅間 通常期11500円、繁忙期13000円)。
他にも同社では、日帰り限定ではあるが、プランによっては破格の割引率となる1dayプランを発売している。
[編集] 関連項目
現行路線 |
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東北新幹線・上越新幹線・北陸新幹線(長野新幹線)/ミニ新幹線 : 山形新幹線・秋田新幹線 |
東海道新幹線・山陽新幹線・九州新幹線 |
整備新幹線 |
北海道新幹線・東北新幹線・北陸新幹線・九州新幹線 |
基本計画線 |
北海道新幹線・北海道南回り新幹線・羽越新幹線・奥羽新幹線・中央新幹線・北陸・中京新幹線 |
山陰新幹線・中国横断新幹線・四国新幹線・四国横断新幹線・東九州新幹線・九州横断新幹線 |
未成線 |
成田新幹線 |
現行列車 |
はやて・やまびこ・なすの・とき・たにがわ・あさま/新幹線直行特急 : つばさ・こまち |
のぞみ・ひかり(ひかりレールスター)・こだま・つばめ |
廃止列車 |
あさひ・あおば |
営業用車両 |
0系・100系・200系・300系・400系・500系・700系・N700系・800系・E1系・E2系・E3系・E4系 |
試験用車両 |
1000形・951形・961形・962形・WIN350・STAR21・300X・FASTECH 360 S・FASTECH 360 Z・軌間可変電車 |
事業用車両 |
911形・912形/ドクターイエロー・East i |
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