東京空港交通
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種類 | 株式会社 |
市場情報 | 非上場 |
略称 | リムジンバス、空港交通 |
本社所在地 | 113-0015 東京都中央区日本橋箱崎町22-1 |
設立 | 1954年(昭和29年)12月16日 |
業種 | 陸運業 |
代表者 | 代表取締役社長 饗場義晃 |
資本金 | 14億4,000万円 |
従業員数 | 946名 |
主要株主 | 日本航空インターナショナル 京成電鉄 日本空港ビルデング 東京シティエアターミナル |
外部リンク | http://www.limousinebus.co.jp/ |
東京空港交通株式会社(とうきょうくうこうこうつう)とは、成田国際空港(成田空港)、東京国際空港(羽田空港)発着の高速リムジンバスを運行するバス会社である。空港発着バスのほか、成田空港及び羽田空港内で旅客ターミナルビルから離れて駐機する航空機(俗に「沖止め」といわれる)と旅客ターミナル(搭乗口)とを結ぶランプバスによる航空旅客輸送も行っている。その他、貸切バスも運行している。
リムジンバスの名称は、この会社が元祖であるが、もともとは営業を開始した時はバスではなく、空港旅客の送迎用高級車(本来的なリムジン)の運行を主としていた。
航空会社、空港会社、空港近辺をエリアとするバス会社(大手私鉄。現在バス部門は分社されている)などが出資している。
目次 |
[編集] 沿革
1951年のサンフランシスコ平和条約により、日本が主権を回復し国際社会に復帰した。その1年後に羽田飛行場が返還され、東京国際空港として民間飛行場となった。しかし、戦後の日本は疲弊から立ち直ったばかりであり、新ターミナルビルを建設する余裕はなかったが、さまざまな人が努力や折衝を重ねた結果、1953年7月16日に日本空港ビルデング株式会社が設立され、ターミナルビルの建設が進められた。
このような中、運輸省から日本空港ビルデングにリムジンサービスの開設の要請が行われた。しかし、当時は空港に発着する国際線も国内線も少なく、空港内に権益を持っていた京浜観光開発、太洋興業、メトロ交通の3社は採算が取れないとしてこの事業には乗り気ではなかった。そこで、日本空港ビルデング自体が実験的に運行を行うこととなった。前述の3社と航空当局に協力を求め、1954年6月1日から営業を開始した。
このように、実験的に航空旅客の陸上輸送を行うこととなった日本空港ビルデングであったが、できる限り早く専門の会社を設立し運行を行わせるという考え方で進んでいった。その方針の下で1954年12月、東京都千代田区丸の内1丁目2番地に日本空港リムジン交通株式会社が設立された。この発足までには、リムジンバスという前例がないこともあり、さまざまなことで運輸省と折衝することとなった。 当初の株主構成は、以下のとおりである。
- 日本空港ビルデング
- 京浜急行電鉄
- 京浜観光開発
- 大洋興産
- 中国鉄道
初期に運行された路線は、東京国際空港~ホテル帝都、東京国際空港~銀座日航ホテル、東京国際空港~ホテル・ニューグランド、東京国際空港~松平ホテル、エールフランス航空・スカンジナビア航空・オランダ航空クルー宿舎の計4路線であった。車両は、フォードのカントリーセダン、キャデラック、クライスラークラウンインペリアルなどが用いられた。
[編集] 事業所
[編集] 本社
[編集] 営業所
[編集] 運行事業所
- 箱崎運行事業所 - 東京都中央区日本橋箱崎町42-1
- 羽田運行事業所 - 東京都大田区昭和島2丁目1-1
- 平和島運行事業所 - 東京都大田区平和島6丁目1-1
- 成田運行事業所 - 千葉県成田市吉岡933-5
[編集] 路線
- 方面の後の(括弧内)は共同運行会社
- 予約の要・不要、停留所の停車・通過等、詳細は外部リンクにて確認されたい
[編集] 羽田空港発着
東京シティエアターミナル・臨海副都心(お台場)方面
- 東京シティエアターミナル、東京ベイ有明ワシントンホテル、国際展示場駅、東京ビックサイト、ホテル・グランパシフィック・メリディアン、ホテル日航東京、パレットタウン
- 東京駅八重洲南口
新宿方面
池袋方面
- フォーシーズンズホテル椿山荘東京、ホテルグランドパレス、東京ドームホテル
赤坂方面
- 渋谷エクセルホテル東急・渋谷駅西口・セルリアンタワー東急ホテル
錦糸町・東陽町方面
日吉方面(京浜急行バス・東急バス)
成田空港方面
- 成田国際空港
東京ディズニーリゾート(舞浜)方面(京成バス・京浜急行バス・東京ベイシティ交通)
- 東京ディズニーランド、ディズニーアンバサダーホテル、東京ディズニーシー、東京ディズニーシー・ホテルミラコスタ、シェラトン・グランデ・トーキョーベイ・ホテル、ホテルオークラ東京ベイ、ヒルトン東京ベイ、サンルートプラザ東京、東京ベイホテル東急、東京ベイ舞浜ホテル、
新浦安方面(東京ベイシティ交通)
- ファウンテンテラスホテル、パームテラスホテル、ホテルエミオン東京ベイ、浦安ブライトンホテル、オリエンタルホテル東京ベイ
津田沼方面(京成バス)
- 千葉中央駅、JR千葉駅、稲毛海岸駅、検見川浜駅、幕張ベイタウン、ホテルスプリングス幕張、海浜幕張駅、ホテルニューオータニ幕張、ホテルフランクス、ホテルザ・マンハッタン、ホテルグリーンタワー、アパホテル&リゾート<東京ベイ幕張>
- 木更津駅東口、袖ヶ浦バスターミナル
- 桐生駅南口、太田駅南口、BUSターミナルおおた、大泉町役場、館林市役所、館林バスセンター
日立・水戸方面(茨城交通、羽田京急バス、日立電鉄交通サービス)
[編集] 成田空港発着
東京シティエアターミナル方面
- 東京シティエアターミナル
羽田空港方面
- 東京国際空港
東京駅・日本橋方面
- 東京駅八重洲南口、マンダリンオリエンタル東京、東京駅丸の内北口、八重洲富士屋ホテル、東京シティエアターミナル
新宿方面
- 新宿駅西口、小田急ホテルセンチュリーサザンタワー、京王プラザホテル、センチュリーハイアット東京、新宿ワシントンホテル、パークハイアット東京、ヒルトン東京、新宿駅西口
池袋方面
- ホテルメトロポリタン、サンシャインシティプリンスホテル、フォーシーズンズホテル椿山荘東京
目白・九段・後楽園方面
- フォーシーズンズホテル椿山荘東京、ホテルグランドパレス、東京ドームホテル
- パレスホテル、帝国ホテル、第一ホテル東京、数寄屋橋、三井ガーデンホテル銀座、銀座東武ホテル、コンラッド東京、パークホテル東京、ロイヤルパーク汐留タワー
赤坂方面
- グランドハイアット東京、ホテルニューオータニ、グランドプリンスホテル赤坂、赤坂エクセルホテル東急、ホテルオークラ、東京全日空ホテル、ザ・リッツ・カールトン東京
芝方面
- ザ・プリンスパークタワー東京、東京プリンスホテル、芝パークホテル、セレスティンホテル
渋谷方面
- セルリアンタワー東急ホテル、渋谷エクセルホテル東急
- ウェスティンホテル東京、シェラトン都ホテル東京、ホテルラフォーレ東京、品川プリンスホテル、ホテルパシフィック東京、ザ・プリンスさくらタワー東京、グランドプリンスホテル高輪、グランドプリンスホテル新高輪、ニューサンノーホテル、品川駅東口
竹芝・臨海副都心(お台場)方面
- 天王洲アイル(第一ホテル東京シーフォート)、ホテルインターコンチネンタル東京ベイ、ホテル・グランパシフィック・メリディアン、ホテル日航東京、東京ベイ有明ワシントンホテル、東京ベイ有明ワシントンホテル、東京ビッグサイト
錦糸町・東陽町・新木場方面
- 東武ホテルレバント東京、ホテルイースト21東京、新木場駅
吉祥寺方面(小田急バス・関東バス・京成バス)
- 吉祥寺駅
多摩・南大沢方面(京王バス南)
- 京王多摩センター駅、聖蹟桜ヶ丘駅、南大沢駅
調布方面(京王バス東)
- 調布駅
八王子方面
- 京王八王子駅
横浜方面(京成バス・京浜急行バス)
- 横浜ロイヤルパークホテル、パンパシフィックホテル横浜、パシフィコ横浜、ホテルニューグランド、横浜駅東口(横浜シティ・エア・ターミナル)
- 新伊勢崎駅、籠原駅、熊谷駅、森林公園駅
東京ディズニーリゾート(舞浜)方面(千葉交通・東京ベイシティ交通)
- ディズニーアンバサダーホテル、東京ディズニーシー・ホテルミラコスタ、シェラトン・グランデ・トーキョーベイ・ホテル、ホテルオークラ東京ベイ、ヒルトン東京ベイ、サンルートプラザ東京、東京ベイホテル東急、東京ディズニーシー、東京ディズニーランド、東京ベイ舞浜ホテル
新浦安方面(千葉交通・東京ベイシティ交通)
- ファウンテンテラスホテル、パームテラスホテル、ホテルエミオン東京ベイ、浦安ブライトンホテル・オリエンタルホテル東京ベイ
[編集] 東京シティエアターミナル発着
東京駅方面
- 東京駅八重洲南口
羽田空港・臨海副都心(お台場)方面
- 東京国際空港、東京ベイ有明ワシントンホテル、国際展示場駅、東京ビックサイト、ホテル・グランパシフィック・メリディアン、ホテル日航東京、パレットタウン
成田空港方面
- 成田国際空港
[編集] 深夜急行バス
千葉方面
[編集] 車両
[編集] 空港路線車
日産ディーゼル車と、日野車、三菱ふそう車を使用している(いすゞ車は購入実績はあるがごく僅か)。車体の塗装は白にオレンジのツートンカラーで共通。一部、ラッピングバスも存在する。
日産ディーゼル車は、ユーロツアーを1996年に大量に発注したことから、以後関係が深まり、従来主力であった日野および三菱ふそう車に代わって主力となった。
空港リムジンの目的に供用されるため、路線車はハイデッカー型の車両では320台あまりの在籍がある。成田空港発着路線用は、乗車時間の長さからトイレを車両後部に装備する。乗車定員は39~61人(61人はトイレなし)まで数種類存在する。行先表示は2001年3月以前の購入車は側面のみ、それ以降は側面のほか前面と後面の窓内から表示機を搭載している。方向幕は古い車両に限られ、現在はLED式が主流である。大型の荷物を預けるため、床下の前輪・後輪間は荷物室としており、冷房装置は直結式を屋根上に搭載、他社のリムジンバスにも影響を与えた。
[編集] 貸切車
貸切観光バスは、見た目は路線車に酷似しているが、行先表示装置がないことなどで区別は可能である。スーパーハイデッカー車も在籍する。
日本航空系列の旅行会社・JALツアーズの委託を受けて同社の東京ディズニーリゾートツアー参加者専用バス「マジカルファンタジー号」を運行しており、専用車はラッピングフィルムで装飾されている。
[編集] ランプバス
羽田、成田両空港内での乗客輸送(ターミナルビルから離れたところに発着する飛行機との行き来が主)に使われる、100台あまりのランプバスは一部空港外(公道)での運行が可能になっているほかは、空港内での輸送に専念しており、定員100人を確保できる車体幅の広い特殊な車両も用いられている(幅広車には、公道用のナンバープレートはない。ただし航空局発行の空港用ナンバープレートはついている)。ランプバスは一般のバスに比べ寿命が長く、20年程度使われているものも存在する(特殊仕様のため高価で、他所への転用ができないことや、空港内専用車のためNOx規制などの各種排ガス規制を受けないため)。車椅子利用者が使えるように、昇降式のキャビンを備えたトラックベースの車両も存在する。過去にはネオプラン製ランプバスも在籍した。
[編集] その他
空港内で業務を行う航空会社などの関係者専用の連絡バス(特定輸送)もある。一般のオレンジ色のほかに航空会社のデザインに塗られたものもある。
1985年の科学万博会場へのアクセス輸送用に使われたボルボ製連接バスが20台移籍し、東京シティエアターミナル - 成田空港に使われた。特殊車両のため道路交通法の特例措置を受けて運行されたが、渋滞時の迂回運行ができない等の理由で、3台が成田空港のランプバスに転用された以外は廃車となった。ランプバスとしての役割も終えた際は旭川電気軌道に譲渡された。