ステレオ放送
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ステレオ放送(ステレオほうそう)は、音声多重放送の一種で、一般的には左右2chの音声信号での放送をいうが、2ch以上のマルチサラウンドステレオ放送もある。
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[編集] 概要
日本に於けるアナログ放送でのNTSCの拡張規格では、FM-FM方式により主音声と副音声が送信され、その2つの音声を利用して2chステレオ音声を実現している。
技術的詳細は音声多重放送を参照。また、ラジオのステレオ放送の歴史はラジオ記事のステレオ放送の章を参照。
日本の地上波アナログ放送のテレビ番組に於いては、日本テレビ放送網(日テレ)が1978年にステレオ放送を開始した。1990年前後までは音楽番組や一部のスポーツ中継以外はほとんどの番組がモノラル放送であったため、各放送局共ステレオ放送の番組中に「ステレオ放送」のテロップを数回表示していた。しかし、ドラマなどのステレオ放送化が進んだ1990年代以降は一部の例外を除きステレオ放送のテロップ表示はされなくなった。NHKも1994年度以降ステレオ放送のテロップ表示はされなくなった。ただし、「クイズ日本人の質問」ではしばらくの間ステレオ放送のテロップ表示をVTR編集時に挿入していた。5.1サラウンドステレオ放送のときは「5.1サラウンド」(その下に下線が入る)と画面左下に表示している。
音声多重放送によるステレオ放送を実施している分野はいくつかに絞られる。
[編集] 報道・情報番組
[編集] 報道番組
現在、定時放送ではテレビ朝日系の『報道STATION』と全国パートの『ANNスーパーJチャンネル(現在は土・日・祝含む。)』と『ANNニュース(平日11:45~11:57のみ)』、CBCテレビでは『イッポウ(ローカルニュース枠のみ)』と『サタデー生ワイド そらナビ』、名古屋テレビ(メ~テレ)の『UP!』、ABCテレビの『ABC NEWSゆう』、テレビ大阪の『ニュースBIZ(ローカルニュース枠のみ)』、福島テレビの『Lばんスーパーニュース』と『FTVスーパーニュースWEEKEND』、IBCテレビの『ニュースエコー』、岩手朝日テレビの『IATスーパーJチャンネル』、ミヤギテレビの『Newsリアルタイムミヤギ(ローカルニュース枠のみ)』、東日本放送の『スーパーJチャンネルみやぎ』、秋田朝日放送のニュースパート(『スーパーJチャンネルあきた』・『AABニュース&ウェザー』など)、広島テレビ放送の『テレビ宣言・第3部(ニュース枠)』、鹿児島テレビの『KTSスーパーニュース(ローカルニュース枠)』などが実施している。
過去にはテレビ朝日系の『ニュースステーション』、CBCテレビの『ユーガッタ!CBC(ローカルニュース枠のみ)』と『ユーガッタ!WeekEnd』、名古屋テレビ(メ~テレ)の『メ~テレワイドスーパーJチャンネル』、テレビ大阪の『ビジネス525』、秋田放送の『ニュースプラス1あきた』(現在放送されている『リアルタイムあきた』はモノラル放送)で実施された。
TBS系の『筑紫哲也NEWS23』は原則モノラル放送だが、『金曜深夜便』(金曜24:20~24:35)のブロックで音楽関連のゲストが登場したときはステレオ放送に変換されるときがある。
[編集] 情報番組
現在、定時放送ではテレビ朝日系の『旅サラダ』と『サンデープロジェクト』、フジテレビ系の『わかってちょーだい!』と『報道2001』と『新報道プレミアA』、TBS系の『ピンポン!(ニュースコーナーを除く)』と『知っとこ!』、日本テレビ系の『スッキリ!!』と『ラジかるッ』と『ウェークアップ!ぷらす』、東日本放送の『突撃!ナマイキTV』と『土曜のてっぺん』、TBCテレビの『ウォッチン!みやぎ』、仙台放送の『情報ライブMovin'』、ミヤギテレビの『OH!バンデス』、福島中央テレビの『ゴジてれシャトル』、テレビ金沢の『びービーみつばち』、広島テレビの『テレビ宣言』などが実施している(ただしTBCテレビは『みのもんたの朝ズバッ!』、ミヤギテレビと福島中央テレビとテレビ金沢と広島テレビは『NNN Newsリアルタイム』ネットの時だけモノラル放送である)。
過去にはフジテレビ系の『どうーなってるの?!』と『噂のどーなってるの?!』と『こたえてちょーだい!』と『スタ☆メン』、TBS系の『ビッグモーニング』と『エクスプレス』と『おはよう!グッデイ』と『王様のブランチ(第2部枠のみ)』、TBCテレビの『グッデイみやぎ』と『体感TVぐらまらす』と『発見☆ぐらッチェ』と『2時のチャイハネ』、ミヤギテレビの『あッ!晴れテレビ(全国ニュース枠を除く)』などでも実施された。
[編集] 邦画・映画・アニメ番組
[編集] テレビアニメ
アニメ枠はよみうりテレビの『結界師』『名探偵コナン』、ABCテレビの『ふたりはプリキュア』シリーズ、テレビ朝日系の『あたしンち』や『クレヨンしんちゃん』ドラえもん(大山のぶ代版)の他にも、テレビ東京系の『ポケットモンスター』シリーズや『遊戯王』などである。1990年代後半以降に制作されているアニメ番組のほとんどがステレオ放送となっている。ただし、古くから放送され、現在も放送されている『サザエさん』は依然モノラル放送のままである。(『まんが日本昔ばなし』も最近リメイク放送(ハイビジョン化)されたものでもモノラル放送だった。現在は終了)
[編集] 映画・邦画
映画枠では『ミナミの帝王』『あぶない刑事』『富豪刑事』『ウォーターボーイズ』などの1990年代以降に制作された邦画のほとんどがステレオ放送である。なお海外作品はほとんどが副音声放送であるが、字幕スーパーで放送する映画・ドラマでステレオ放送を採用している。
[編集] 日本のドラマ
地上波放送局のドラマ番組は、現在では日本テレビ系の『火曜ドラマゴールド』(地上デジタル放送のみ)、TBS系の『月曜ゴールデン(旧:月曜ミステリー劇場)』やフジテレビ系の『金曜プレステージ(旧:金曜エンタテイメント)』、テレビ朝日系の『土曜ワイド劇場』やテレビ東京系の『水曜ミステリー9(旧:水曜女と愛とミステリー)』などで実施している。アニメと同様、1990年代後半からステレオ放送のドラマが増え、現在では大半のドラマがステレオ放送で制作されている。
[編集] クイズ・トーク・バラエティ番組
クイズ・トーク・バラエティ番組の場合は『SMAP×SMAP』(関西テレビ・フジテレビ系)の様な音楽的要素を含む番組はほぼすべてステレオ放送であるが、それ以外の番組は基準が曖昧で、放送局や制作責任者などの意向によりステレオ放送となるか否か分かれている様である。全般的に全国区ではNHKとテレビ東京系(2004年4月以降のテレビ大阪製作番組はすべてステレオ放送)、関西ローカル枠では毎日放送などがバラエティ番組であってもステレオ放送としているものが比較的多い。他の民放大手はバラエティ番組の過半数がいまだモノラル放送で制作されている(しかしその中でも『クイズダービー』(TBS系)は、テレビ番組の音声多重放送が開始された1978年10月当時からステレオ放送であった。)。因みに、民放のレギュラー番組で初めてステレオ放送された番組も音楽やスポーツ番組ではなく、バラエティ番組のカテゴリに属する『TVジョッキー』(日本テレビ系、1978年10月1日放送分より)であった。
これらのジャンルの番組では、他のジャンルの様にすべての音源をステレオ収録するフル規格のステレオ放送と違い、スタジオ音声はモノラル収録でミキサーを通して加えられるBGMや効果音のみをステレオ音声で流す番組も多い。これは他のジャンルの番組の様に臨場感を演出する事よりも、ビデオデッキなどのCMカット機能を防止する事が主目的であると考えられる。また、スタジオの音声はモノラル番組と同等の品質であるが、ステレオ音声のBGMや効果音を多用する事により臨場感を補う手法を取っているという見方もある(『クイズ$ミリオネア』(フジテレビ系)や『ナイナイサイズ』(日本テレビ系)などがこれにあたる)。これらについてはフル規格のステレオ放送と比べて、制作手順の簡易化や予算の削減などを図っていると考えられる。
上記の他に、ステレオ制作で現在放送されている主なバラエティ番組は『めちゃ×2イケてるッ!』『はねるのトびら』(以上フジテレビ系)、『ぐるぐるナインティナイン』(日本テレビ系)など、トーク番組では『きらきらアフロ』(テレビ大阪制作・テレビ東京系)、※『新婚さんいらっしゃい!』(ABC制作・テレビ朝日系)など、クイズ番組は※『さんまのスーパーからくりTV』(TBS系)、※『世界ウルルン滞在記』『世界バリバリバリュー』(以上毎日放送制作・TBS系)、『クイズ!ヘキサゴンII』(フジテレビ系)、※『パネルクイズアタック25』(ABC制作・テレビ朝日系)などがある(※印はフル規格ステレオ)。
過去には『エンタの神様』(日本テレビ系)、『とんねるずのみなさんのおかげでした』(フジテレビ系)でもステレオ放送を実施していたが、前者は歌企画の消滅後、後者も歌やコントの企画が休止されて以降しばらくした後モノラル放送へと格下げされた。
[編集] スポーツニュース番組
日本テレビ系の『スポーツうるぐす』、フジテレビ系の『すぽると!』、テレビ朝日系の『Get Sports』、仙台放送の『スポルたんLIVE』、CBCテレビの『サンデードラゴンズ』、広島テレビ放送の『進め!スポーツ元気丸』などで実施している。