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ドラゴンクエストII 悪霊の神々

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

ドラゴンクエストII 悪霊の神々
ジャンル ロールプレイングゲーム
ゲーム: ドラゴンクエストII 悪霊の神々
(FC/NES版)
対応機種 ファミリーコンピュータ/NES
開発元 チュンソフト
発売元 エニックス
メディア 1Mbitロムカセット
プレイ人数 1人
発売日 【日本】 1987年1月26日
【北米】 1990年10月
販売価格 【日本】 5,500円(税抜)
売上本数 【日本】 約241万本
ゲーム: ドラゴンクエストII 悪霊の神々
(MSX・MSX2版)
対応機種 MSXMSX2
発売元 エニックス
メディア 2Mbitロムカセット
プレイ人数 1人
発売日 MSX:1988年2月
MSX2:1988年5月
販売価格 MSX,MSX2:6,800円(税抜)
ゲーム: ドラゴンクエストII 悪霊の神々
(携帯電話版)
対応機種 DoCoMo FOMAiアプリ
auEZアプリ(BREW)
SoftBankS!アプリ
※iアプリ版は前・後編に分けて配信
N901iS,N902iでは
前編プリインストール/後編無料DL
発売元 スクウェア・エニックス
プレイ人数 1人
発売日 i:2005年6月24日
EZ:2006年1月19日
S!:2006年12月
セーブファイル数  
スタッフ
備考
テンプレート使用方法 ノート

ドラゴンクエストII 悪霊の神々』(-ツー あくりょうのかみがみ、北米版タイトル: Dragon Warrior II)は、エニックス(現スクウェア・エニックス)より発売されたゲームソフト。ジャンルはロールプレイングゲーム(RPG)。

目次

[編集] 概要

堀井雄二の脚本・ゲームデザイン、鳥山明キャラクターすぎやまこういちのクラシカルな音楽などにより爆発的な人気を博したドラゴンクエストシリーズの第2作。徐々に高まった前作の人気をうけ、発売直後から方々で品切れとなる人気を博し、最終的に大ヒットとなり、後にドラゴンクエスト現象といわれる基礎を作った。仲間のキャラクターとともにパーティを組んで冒険するシステムを家庭用ゲーム機のRPGにおいて初めて取り入れた作品。

日本では、1987年1月26日ファミリーコンピュータ(ファミコン、以下FC)用ソフトとして発売され、翌年にMSX、MSX2にも移植された。その後、リメイク版としてスーパーファミコン(以下SFC)用ソフト『ドラゴンクエストI・II』、ゲームボーイ(以下GB)用ソフト『ゲームボーイ ドラゴンクエストI・II』に収録されている。2000年代後半に入ると携帯電話用アプリ(iアプリEZアプリ(BREW)S!アプリ)としての配信も行われるようになった。北米では、1990年NESにて発売され、後にGB版 "Dragon Warrior I & II" にも収録されている。

FCの時代からドラゴンクエストシリーズをプレイした者たちからは、本作(FC版)がドラゴンクエストシリーズの中で最も高い難易度を誇るとよく言われている。特に終盤の「ロンダルキアへの洞窟」や、その洞窟を抜けた後に出現するモンスターに多くのプレイヤーは苦戦を強いられた。だが逆にその難易度の高さにより挑戦意欲を大いに掻き立てられたプレイヤーもいる。

FC版の発売後には、ゲームブック化や小説化、ドラマCD(CDシアター)化も行われている。これらについてはそれぞれの項目(小説ドラゴンクエストゲームブックドラゴンクエストCDシアター ドラゴンクエスト)も参照。

[編集] ゲーム内容

本作と前作『ドラゴンクエスト』、次作『ドラゴンクエストIII そして伝説へ…』はストーリーの関連があることから、この3作は登場する英雄「ロト」の名を取って「勇者ロトの伝説シリーズ」とされ、また簡単に「ロト三部作」とも呼ばれる。本作のゲーム内の時代設定は前作の100年後とされており、ロト三部作の中で最も後の時代の物語である。

本作の主人公たち3人は勇者ロトの血を引く前作の主人公の子孫たち。主人公のローレシア王子はまず仲間のサマルトリア王子とムーンブルク王女を見つけ、そして3人で力をあわせて悪の大神官ハーゴンに立ち向かう。


※本項ではファミコン版とMSX版、MSX2版を総称して「旧作」、SFC版、GB版、携帯電話版を総称して「リメイク版」と呼ぶ。

[編集] ゲームの特徴・システム

[編集] ファミコン版

前作は主人公1人だけで冒険をするシステムであったが、本作では主人公たちが複数人のキャラクターでまとまって行動するパーティシステムを採用。戦闘では主人公たちも敵モンスターも複数となり、呪文や特殊攻撃も多彩となった。

ROM容量が前作の倍の1メガビット(約125KB)となったことで、グラフィック面でも変化があり、マップ画面が前作と比べややリアルになった(フィールドの海岸線や建物の壁など)ほか、移動画面でのキャラクターにうしろや横を向いたパターンが追加され、前作のように「はなす」コマンド実行時に方角を指定する必要がなくなった。しかし戦闘シーンでは、モンスターが複数表示されるようになったため、FCのメモリ容量の都合上、前作で採用されていた背景のグラフィックが削除され、背景が黒一色の戦闘シーンとなった。

フィールドマップの広さは前作(100x100)の6倍以上(256x256)となっている。冒険できる範囲が広がり、徒歩だけでなく、船に乗って冒険することや、「旅の扉」で遠隔地へ瞬時に移動することも可能となった。

本作で取り入れられたシステムの大部分は後の作品にも受け継がれている。

[編集] パーティ制

スタート時は主人公「ローレシアの王子」1人だけだが、ストーリーが進むと味方キャラクター(2人目は「サマルトリアの王子」、3人目は「ムーンブルクの王女」)が増え、最終的には3人パーティとなる。

経験値HPMPなどのステータスは各キャラクターで別々となっている。アイテムも各キャラクターごと個別に管理され、それぞれ装備品を含めて8個まで持つことができる。仲間がいるときは、移動中にアイテムを他のキャラクターに渡したり、回復用のアイテムや呪文を他のメンバーに対して使ったりすることもできる。

戦闘では敵・味方ともパーティを組むようになったため、複数のキャラクターを対象とする呪文や特殊攻撃が登場した。

[編集] 戦闘システム

戦闘シーンはターンが取り入れられ、敵味方に複数のキャラクターが存在するようになり、一気に戦略性が向上した。後のドラゴンクエストシリーズ作品の戦闘システムの基礎を築いた。

最初に味方全員の行動をコマンド選択で一度に指示し、そして1ターン内に敵・味方が各キャラクター1回ずつ(複数回連続攻撃する敵もいる)行動する。ただし時々、戦闘の最初のターンでプレイヤー側から一方的に攻撃できる場合や、逆に敵から一方的に攻撃を受ける場合もある(先制攻撃)。

現れた敵を全て倒すと勝利になり、経験値は止めを刺したキャラクターとは関係なく全員平等に手に入る。ただし死んでいるキャラクターは経験値を得ることはできない。途中で逃げた場合は、一部の敵を倒していても経験値やゴールド(貨幣)は手に入らない。

プレイヤーキャラクター誰かのHPが0になるとそのキャラクターは死んでしまい、一切の行動ができなくなるが、パーティ全員が死亡しない限りはそのまま戦闘が続けられる。全員が死ぬと全滅となり、所持金が半減し、主人公のみが生き返り、直前に「復活の呪文」を聞いた場所に戻される。

また、本作から、戦闘に勝利したときに敵モンスターが一定確率で宝箱を落とすようになった。中には敵の宝箱からしか手に入らないレアアイテムもある。

[編集] 武器・防具

前作と異なり、武器・防具と道具(やくそうなど)が同様の扱いとなり、すべて「どうぐ」ウィンドウで扱うようになった。

武器・防具の威力を有効にするには「そうび」コマンドで使う武器を選択する必要がある。「そうび」の操作を行わないと素手の状態のままとなり、弱いモンスターが相手でも苦戦してしまうこととなる。また、ローレシア王子はすべての武器・防具を装備できるが、サマルトリア王子とムーンブルク王女は装備できる武器・防具が限定されている。

戦闘中に「どうぐ」で使うことにより、特殊な効果を発揮する武器や防具も登場した。

[編集]

シリーズで初めての乗り物として、海や川の上を移動することができる「」が登場した。

フィールド上から主人公たちが乗り込むことによって、水上(海・川・湖)を自由に移動することができる。ただし浅瀬は通れない。上陸の際は、歩いて通ることのできる地形であればどこにでも上陸できる。地上同様、水上でもモンスターとの戦闘は発生する。

また、瞬間移動の呪文「ルーラ」や道具「キメラのつばさ」を使ったときは、主人公たちと同時に船も移動先の城や町の近くへ移動する。

[編集] 復活の呪文

前作同様、FC版およびMSX/MSX2版にはセーブ用のメモリが搭載されていないため、復活の呪文とよばれるパスワードを記録しておかなければならない。本作では最大52文字と長いが、パーティの人数などによってパスワードの長さが異なる可変長方式となっている。復活の呪文を1文字でも記録ミスすると、その前の記載時点(メモを残していなければ最初)からやり直しという事態に陥る。

前作とは違い、本作は世界が広いため、複数の場所で復活の呪文を聞くことができる。ゲームを再開するときは復活の呪文を聞いた場所から再開となり、「ルーラ」「キメラのつばさ」の使用時の移動先も、前回復活の呪文を聞いた場所となる。

前作と同じく復活の呪文には現在のHPやMPの値が記録されないため、復活の呪文を入力してゲームを再開した時点でHP・MPは必ず最大値となる。ただし呪文を聞いた時点でパーティに死者がいた場合は、復活に要するゴールドが差し引かれた状態になったうえで全員復活する。不足の場合はゴールドが0になってスタートする。

本作発売後には、語呂合わせによっていきなり高レベルからスタートできるなど、さまざまな復活の呪文が雑誌などに掲載され、話題となった。中でも、「もょもと」という名前でレベル48の状態からプレイできるものがドラクエファンの間では有名である[1]

[編集] その他の新システム

上記以外にも、次の要素が追加されている。

旅の扉
城・町やほこらなどにある青い渦巻状の物体。ここに飛び込むと、遠く離れた場所に一瞬で移動することができる。これを使わないと行くことのできない場所もある。
仲間キャラクターのステータス異常。毒を受けると、歩くごとにHPが減っていってしまい、治療するにはアイテム「どくけしそう」や呪文「キアリー」を使うか、教会へ行き「どくのちりょう」を行うかする必要がある。
教会
城や町などに新たに登場した施設。寄付金を払うことにより、死んでしまったキャラクターの蘇生、毒の治療、呪いの解除が可能。
福引所
「ふくびきけん」1枚につき1回福引(スロットマシン形式)に挑戦でき、絵柄が揃えばアイテムが手に入る。

[編集] MSX版・MSX2版

内容はFC版とほぼ同じだが、次の点が異なっている。

  • オリジナルアイテムとして「あぶないみずぎ」が追加されている。MSX版では「あぶないみずぎ」入手時のイベントで特殊なグラフィックが表示されるという演出もある。
  • BGMにアレンジが施されている。特にパスワードを入力する際のBGM『Love Song 探して』はFC版とは雰囲気が大きく違い、ポルタメントを多用し、「歌」を強く意識したアレンジとなっている。
  • ハードウェアの性能がFCよりも劣るため、グラフィックやサウンド面でFC版と異なっている部分がある。
    • タイトル画面がスクロールしない。(MSX版のみ)
    • キャラクターの背景ブロックが黒く表示される。(MSX版のみ)
    • 敵グラフィックの細かい描写が一部再現できずに化ける。(MSX版のみ)
    • 一部の敵の色がFC版と異なる。アークデーモンが青い等。(MSX版のみ。MSX1はパレットが固定なため)
    • スクロールや、ダメージを受けたとき等の画面が揺れるエフェクトが8ドット単位。(MSX版のみ)
    • 悪魔神官4匹など、FC版では有り得ない敵パーティが出現する。
    • 効果音が鳴っている間はBGMのパートが一部欠ける。

[編集] 北米版(NES版)

北米で発売されたNES版"Dragon Warrior II"が日本版(ファミコン版)『ドラゴンクエストII』と異なる点は次のとおりである。

  • 日本版には無かったプロローグ(ムーンブルク城が襲われるシーン)が追加されている。このシーンは以後、日本でリメイクされる『ドラゴンクエストII』でも取り入れられる。
  • データの保存にバッテリーバックアップ方式が採用されている。
  • 日本版での教会の十字架五芒星のマークに、棺桶幽霊のグラフィックに変更されている。
  • 台詞には現代英語ではなく古語が使われている("You"の代わりに"Thou"が使われているなど)。これは、Dragon Warriorシリーズ共通である。

[編集] スーパーファミコン版・ゲームボーイ版

詳細はドラゴンクエストI・II#ゲームの特徴・システムを参照

操作性の改良やグラフィック面など、多くの変更点が見られる。町の人の台詞なども一部が変更・追加されたほか、ゲーム中盤でのシナリオの追加も行われた。GB版ではその場でゲームを中断する「中断の書」機能が追加されている。また、FC版発売時に行われた「アンナを探せ!」キャンペーンが無いため、ペルポイの町にアンナがいない。

[編集] 携帯電話版

EZアプリ(BREW)とS!アプリ版では1つのアプリにゲーム全編が収録されているが、iアプリ版では容量の問題のために前編アプリと後編アプリに分けられている。

SFC版・GB版での変更点に加え、さらに以下の点が変更されている。

  • GB版同様、携帯電話版でも「中断の書」機能が搭載されている。
  • レベルや必要経験値、呪文習得レベルの設定が異なっている。また、主人公たち3人全員の最大レベルが50になっている。
  • 次の各呪文の効力が変更されている。
    • ギラ、ベギラマ(攻撃呪文) : 従来の『II』ではギラが単体対象、ベギラマが全体対象であったが、携帯版では2つとも『III』以降のようにグループ対象になっている。
    • ルーラ(瞬間移動の呪文) : 従来の『II』では前回パスワードを聞いた(セーブした)場所への移動であったが、携帯版では『III』以降のように行先を選択できるようになっている。
  • 海上に出現するモンスターのうち、「ゆうれい」が上位種である「しにがみ」に変更された。
  • 「命の紋章」の入手場所が他機種版とは異なっている。また、ロンダルキアの洞窟に入るための条件が増えている。
  • iアプリ版に限り、プロローグのムーンブルク城がハーゴン軍に襲撃されるシーンで使用されている楽曲が『王城』と『戦い』に変更されている。この曲編成は北米版(NES)のプロローグシーンと同一である。EZアプリ(BREW)版はiアプリ版よりも最大容量が大きいため、SFC版・GB版同様『パストラール~カタストロフ』が使用されている。



注意 : 以降に、作品の結末など核心部分が記述されています。


[編集] 世界

前作の舞台はアレフガルドだけであったが、本作ではそのアレフガルドを含んだ世界すべてが舞台となる。物理的なマップの広さは前作の6倍以上となったが、アレフガルドのみにマップ全域を充てていた前作に比べればアレフガルドそのものは縮小されている。

世界地図の北端と南端、東端と西端はそれぞれ繋がっており、例えば世界地図の北西に位置するルプガナから北方へ向かうと南西のベラヌールに、西方へ向かうと北東のローレシア大陸に着く(物理的には地球のような球形とは異なり、ドーナツ状と考えられる。トーラスも参照)。これは以降のドラゴンクエスト作品全て、ひいては大部分のRPGについていえることである。

[編集] 利用できる乗り物

  • 船 : 港町ルプガナで老人から譲り受ける船。水上を移動することができる(詳細は上述)。

[編集] 城・町など

( )内の英語表記は北米版での地名(2つ併記してあるものは、左側がNES版、右側がGB版)。

  • ローレシア (Midenhall, Lorasia) : 世界北東の海岸沿いにある城。前作の主人公が妻(前作のヒロイン・ローラ姫)の名を取り建てた王国の城であり、本作のスタート地点でもある。はるか南の島に通じる旅の扉がある。
  • リリザ (Leftwyne) : ローレシアとサマルトリアの中間地点にある町。教会と福引所が初登場。
  • サマルトリア (Cannock) : 前作の主人公が作った王国の城。ローレシアの北西の森林に囲まれた場所にある。
  • ムーンペタ (Hamlin) : サマルトリアの南の大陸にある町。ムーンブルク城の北に位置する。「人と人が出会う町」と呼ばれている。
  • ムーンブルク城 (Moonbrooke, Moonbrook) : 前作の主人公が作った王国の城。ハーゴンの軍勢に攻め落とされ、廃墟となった。
  • ルプガナ (Lianport) : アレフガルドから海を挟んで西にある港町。しかしここではよそ者には船を貸さないという慣わしがある。ムーンペタからルプガナに至るまではかなりの距離を歩かなくてはならない。
  • ラダトーム (Tantegel) : 前作の舞台であったアレフガルドの中心の城と城下町。本作では城と城下町が1つのマップに統合されている。ラダトーム王はハーゴンを怖れて身を隠している。なお、前作で登場したマイラ、リムルダール、メルキドといった町村は消滅している。
  • 竜王の城 (Charlock Castle) : ラダトームの対岸の城。かつては竜王が住んでいたが、本作ではその子孫が住む。前作と同じく伝説の剣が眠る。迷宮の構造はFC版第1作とほぼ同じ。
  • ベラヌール (Beran) : 世界の南西にある島のほぼ中央にある水の都。ロンダルキアのふもと(ペルポイの西のほこら)に通じる旅の扉があるが、鉄格子によって阻まれている。
  • テパ (Tuhn) : ロンダルキア台地の西に接する森林地帯にある村。水門があるが、鍵を盗賊ラゴスによって奪われてしまった。また、羽衣職人ドン・モハメが住む。
  • デルコンダル (Osterfair) : ローレシアの南の島にある城。玉座のすぐ前に闘技場があり、王は決闘に勝った者に対して褒美を与える。一部の関連書籍では、『III』に登場する大盗賊カンダタが作った国とされている。
  • ザハン (Zahan) : はるか南東の小島の町。漁師の町であったが、漁師たちは魔物に襲われ海の藻屑と化した。したがってこの町で見られるのはほとんどが女性。
  • ペルポイ (Wellgarth) : ロンダルキア台地の南東の町。魔物の攻撃を避けるため地下に作られており、対応する鍵がないと町に入れない。道具屋では人には言えない秘密のものが売られている。FC版では後述の「まちのうたひめアンナ」が登場する。
  • 海底の洞窟 (Sea Cave) : デルコンダルの西の海に浮かぶ、浅瀬に囲まれた島の洞窟。邪神を祭る礼拝堂がある。MPを吸い取る「ふしぎなおどり」を使う敵が多く、歩くたびにHPを減らす溶岩や罠が仕掛けられた宝箱もあり、さらに階段の数も多く非常に複雑な構造となっており、ロンダルキアへの洞窟と並ぶ難所である。
  • 精霊のほこら (Shrine of Rubiss) : デルコンダルとローレシア大陸の間の海に浮かぶ島のほこら。大地の精霊ルビスが降り立つ場所とされる。
  • ロンダルキアへの洞窟 (Cave to Rhone) : ペルポイの西の沼地からロンダルキア台地へ通じる洞窟。入口は岩山によって隠されている。7層にも及ぶ広さと、強力な敵、落とし穴や無限ループなどの仕掛けのために登頂は困難を極め、ドラゴンクエストシリーズ史上最も難易度の高いダンジョンとして知られる。
  • ロンダルキアのほこら (Shrine of Rhone) : 世界地図のほぼ中心にあるロンダルキア台地で唯一の安らぎの場。回復と、復活の呪文の記録(セーブ)ができる。下界へ戻る一方通行の旅の扉もある。
  • ハーゴンの神殿 (Hargon's Castle) : ロンダルキアにそびえる敵の本拠地。侵入者に対して幻を見せ、これを打ち破らない限り神殿には入れない。

[編集] 登場キャラクター

この節ではゲーム内で語られる設定を中心に述べる。( )内の英語表記は北米版での名前(2つ併記してあるものは、左側がNES版、右側がGB版)。

[編集] 主要人物

主人公であるローレシアの王子の名前はゲームスタート時にプレイヤー自身が付ける。サマルトリアの王子、ムーンブルクの王女の名前はローレシアの王子の名前によって自動的に決定されるが(以下参照)、隠しコマンドを使うことによって自分の好きなように名前を付けることも可能。

最高レベルはFC、MSX/MSX2、SFC、GB版での値。携帯電話版では既述のとおり、3人とも50に統一されている。

ローレシアの王子
この物語の主人公。前作の主人公の子孫であり、勇者ロトの血を引いている。攻撃力は高く、全ての武器・防具を扱えるが、呪文は一切使えない。最高レベルは50。服の色は青を基調としている。
サマルトリアの王子
2人目の仲間キャラクター。前作の主人公の子孫の一人。のんびり屋で寄り道好き。打撃攻撃も呪文攻撃もどちらもそこそこ威力があるが、旧作では威力の大きい武器を装備できないのが欠点。最高レベルは45。服の色は緑を基調としている。
〔名前設定: アーサー/カイン/クッキー/コナン/すけさん/トンヌラ/パウロ/ランド のうちいずれか〕
ムーンブルクの王女
3人目の仲間キャラクター。前作の主人公の子孫の一人。ハーゴンの呪いにより犬にされてしまった。HPは低く、扱える武器の種類も少ないが、唱えられる呪文の種類が豊富である。最高レベルは35。服の色は赤を基調としている。
〔名前設定: アイリン/あきな/サマンサ/ナナ/プリン/まいこ/マリア/リンダ のうちいずれか〕
サマルトリアの王女
サマルトリアの王子の妹。サマルトリア城内の一室に居る。パーティには加わらない。
竜王のひ孫
前作のラストボスであった竜王の子孫。本作では敵としての登場ではなく、主人公たちに重要な情報を教えてくれる。ハーゴンの暴挙を相当恨んでいる。
ラゴス (Roge Fastfinger, Lagos)
テパの村から重要なアイテムを奪った盗賊。ペルポイの町の某所に隠れている。
ドン・モハメ (don Mahone, don Mohame)
テパに住む羽衣職人。「みずのはごろも」を作ることができる。
ルビス (Rubiss)
かつてアレフガルドを創った精霊。本作では台詞のみ登場。

[編集] 悪役

大神官ハーゴン (Hargon)
破壊神シドーを崇める大神官。主人公たちの倒すべき敵である。ロンダルキア台地に神殿を構え、多数の魔物を率いてムーンブルクを滅ぼした。リメイク版では遠方の人間に呪いを掛ける能力も持っている。
シドー (Malroth)
最終ボス。ハーゴンの死に際に召喚される。6本の腕を持った、破壊を司る龍の姿の邪神。他の作品の魔王のように明確な意思はなく、ただ闇雲に破壊を繰り返す存在。FC版では、設計上の制約によりHPを256以上に設定できなかった(符号無し8ビット整数の上限は255)ため、完全回復呪文「ベホマ」を使わせることによって戦闘を長引かせ強敵としての印象を強くしている。SFC版では1750となっている。

[編集] ストーリー概略

[編集] プロローグ

アレフガルドを恐怖に陥れた竜王は勇者ロトの血を引く勇者によって倒され、勇者はその後、ラダトームの姫であったローラとともに新たな地を訪れ、3人の子供を産んだ。そしてその3人はそれぞれ、ローレシア・サマルトリア・ムーンブルクという3つの王国を設けたのである。それ以来、世界は平和な時代が続いた。

しかし100年が経ち、その平和は破られた。今度現れたのは邪教の教祖、大神官ハーゴンである。ある日、ムーンブルク王国の城がハーゴンの手先によって滅ぼされ、ムーンブルクから1人の兵士がローレシアにやってきた。兵士はハーゴンのことをローレシア王・王子に伝えるとその場で息絶えた。

このままではサマルトリアやローレシアもハーゴンの手に落ちてしまう。ロトの末裔、ローレシアの王子(主人公)は、ハーゴン討伐のためローレシアを旅立つ。

[編集] 冒険

主人公はまず、同じロトの血を引いた2人の仲間を探す。最初にサマルトリア城、勇者の泉の洞窟での情報を頼りにサマルトリアの王子を見つけ、仲間にする。次に、南のムーンブルク王国を訪れた2人はラーの鏡を手に入れ、ムーンペタで犬の姿にされていたムーンブルク王女の呪いを解き、王女も仲間にする。3人となった一行は砂漠を越え、港町ルプガナで船を手に入れる。

船を手に入れた一行は、ロト伝説に関連の深いアレフガルドの地を訪れ、かつての敵であった竜王のひ孫から、世界に散らばる5つの「紋章」の話を聞く。一行は世界各地の町・城や塔などを訪れ、それら紋章を集めていく。また、それと並行して、金の鍵や牢屋・水門の鍵、さらにハーゴンの本拠地ロンダルキアへの道を開くために必要な邪神の像も手に入れる。

そして全ての紋章を集め、精霊ルビスの守りを手に入れた一行は、ロンダルキアへ乗り込み、ハーゴン、そして破壊神シドーに戦いを挑む。

[編集] 備考

  • 開発段階で没案になったアイテム「しのオルゴール」「みみせん」のデータがROM内に残っている。なお「しのオルゴール」については『III』でも没案となったがFC版、SFC版ともにデータとして存在し、SFC版では戦闘中に使用すると敵味方全員が死亡するという特殊効果がある。
  • FC版では容量の都合で没案になった要素が多くあるということが、FC版発売後の関連書籍や雑誌などの記事にて語られている。[2]
  • 旧作のみ、ペルポイの町には、ゲーム中の名前・パスワード入力時に使用されている楽曲『Love Song 探して』を歌う牧野アンナが「アンナ」の名前でゲスト出演しており、話しかけるとBGMが『Love Song 探して』に変化し、町の外に出るまで流れ続ける。リメイク版ではこの演出は無くなり、ゲーム中の『Love Song 探して』も静かな印象の曲に変化し、冒険の書選択・名前入力時に流れるのみとなっている。
  • 製作者の中村光一テレビ番組ゲームセンターCX 第1シーズン#8』でのクリエイターインタビューで、ロンダルキアへの洞窟について「あの洞窟は、(迷路を抜ける古典的なテクニックである)壁を右手伝いで辿って行けば、穴に落ちずに抜けられるように作ってあるので、あんなに反響が多いとは思わなかった」とコメントしていた。さらに「終盤のテストプレイに十分な時間をかけられず、洞窟に挑む際は多分これくらいのレベルだろう」と予想を誤り、高い難易度のまま確定してしまったことも明かしている。
  • 本作のゲーム画面の雑誌への掲載が著作権侵害とされた裁判の判決(地裁)と解説が判例百選に掲載されている[3]

[編集] バグ

旧作において、次のようなバグが確認された。 これらは雑誌などでは「裏技」として紹介され、多くのプレイヤーがこれらの現象を試した。詳細は、外部のファンサイト等を参照のこと。また、これらのバグの一部はゲームブック版(エニックス刊)でも採用された。

  • 武器「はやぶさのけん」の2回攻撃の効果はそのままに、攻撃力は最強の武器「はかいのつるぎ」のものが呪われることなしに適用される。俗に「はかぶさのけん」と呼ばれている。
  • 1個しか入手できないはずの防具である「みずのはごろも」を2個入手することができる。
  • デルコンダルでラストボスとの戦闘が発生し、倒した後は普通では起こりえない現象がいろいろと起きる。
  • ラストボス勝利後、エンディングを迎えるためにはベラヌールの町の通路の扉を1ヶ所開ける必要がある。そのため、必要な鍵を捨てていて、かつ扉を開ける呪文を覚えていない、もしくはMPが0である状態であると、通行不可となりリセットを余儀なくされる。リメイク版ではボスを倒すとその扉が消えるためその心配は無い。
  • 内部処理の都合なので厳密にはバグではないが、「ザラキ」の呪文が即死ではなく大ダメージを与えるという設定になっているため、ごく一部のHPの多いモンスターは「ザラキ」が効いても死なない。

以上はリメイク版では解消されているが、SFC版については別のバグがいくつか発覚している。後のGB版以降で修正された。

  • 幻惑の呪文「マヌーサ」がかかっている状態の敵に即死の呪文「ザラキ」が100%成功する。(SFC版ではザラキに耐性のある敵にかけると254のダメージを与えられるようになっている)
  • キーアイテム「ラーのかがみ」を、本来の対象以外にも使用できてしまう。使用後は消失するため、ゲームが続行不能になる。

[編集] ゲーム中の楽曲

本作のBGM用として、すぎやまこういちは前作でベースにしていたクラシック音楽に加え、ポップス寄りの曲も作曲していた。エンディング曲『この道わが旅』は、アニメDRAGON QUEST -ダイの大冒険-』でもエンディング曲として採用され、学校卒業式で流れる事も多い。

「*」印はリメイク版のみに使用される曲。

  • タイトル系
    • ドラゴンクエストマーチ:タイトル画面のBGM。前作の「序曲」を改題。リメイク版ではエンディング時の一シーンでも使用される。
    • Love Song 探して:名前・復活の呪文入力時のBGM。この曲には発売当時に歌詞がつけられ、牧野アンナが歌いレコードを発売していた。他BGMとは全く曲調が異なる。なお、牧野アンナのこの曲のシングル盤はリリース当時のオリコンシングルチャートでは最高33位・累計売上28,000枚(100位以内チャートイン時のみの累計)を記録した。
  • 城・町・ほこら系
    • 王城:城で流れるBGM。
    • *ラダトーム城:リメイク版でのラダトーム城で流れるBGM。第1作と共通。
    • 街の賑わい:町や村で流れるBGM。
    • 聖なるほこら:ほこら用のBGM。
  • ダンジョン系
    • 恐怖の地下洞:洞窟内で流れるBGM。旧作ではムーンブルク、竜王の城でも流れる。
    • *洞窟:リメイク版での竜王の城で流れるBGM。第1作と共通。
    • 魔の塔:塔の中で流れるBGM。
  • フィールド系
    • 遥かなる旅路:パーティー3人が全員揃っていない時のメインフィールド用BGM。
    • 果てしなき世界:3人全員が揃っている時のメインフィールド用BGM。旧作では3人揃っていてもそのうちの誰かが死亡しているときは前述の「遥かなる旅路」に変わる。
    • 広野を行く:アレフガルドで流れるBGM。第1作と共通。
  • 乗り物系
    • 海原を行く:船に乗っている際のBGM。
  • 戦闘系
    • 戦い:通常の戦闘中のBGM。
    • 死を賭して:最終ボス(シドー)との戦闘時のBGM。
  • イベント系
    • *パストラール~カタストロフ:リメイク版で新たに追加されたプロローグで流れるBGM。「パストラール」の部分(前半部)は、すぎやまこういちがアニメ映画『科学忍者隊ガッチャマン』の楽曲として作曲した『エピローグ Peace and a Promonitition of a Crisis 平和そして危機への予感』の一部がほぼそのまま使われている。
  • その他
    • レクイエム:全滅した際に流れるBGM。リメイク版ではムーンブルクや、オープニングのワンシーンでも流れる。
  • エンディング系

[編集] 関連商品

[編集] ガイドブック

ファミリーコンピュータ版

  • ファミコン神拳奥義大全書 ドラゴンクエストII 悪霊の神々
  • ドラゴンクエストII 完全攻略本 (ISBN 4-19-723470-8)
  • ドラゴンクエストII 悪霊の神々 公式ガイドブック (ISBN 4-900527-02-5)

スーパーファミコン版

  • Vジャンプブックスゲームシリーズ ドラゴンクエストI・II
  • ドラゴンクエストI・II 公式ガイドブック (ISBN 4-87025-741-6)

ゲームボーイ版

  • Vジャンプブックスゲームシリーズ ゲームボーイ ドラゴンクエストI・II (ISBN 4-0877-9036-3)
  • ゲームボーイ ドラゴンクエストI・II 公式ガイドブック 上巻 世界編 (ISBN 4-7575-0115-3)
  • ゲームボーイ ドラゴンクエストI・II 公式ガイドブック 下巻 知識編 (ISBN 4-7575-0116-1)

[編集] その他

[編集] CD

[編集] 派生作品

ゲーム『ドラゴンクエストモンスターズ キャラバンハート
本作『ドラゴンクエストII』の世界の未来の話という設定になっている。主人公は『ドラゴンクエストVII エデンの戦士たち』のキーファ。

[編集] 脚注

  1. ^ 奇妙な「復活の呪文」大辞典 (個人サイト)
  2. ^芸夢亭 <ゲーム亭>」内ドラゴンクエスト2 ゲームレビュー
  3. ^ 著作権判例百選 第二版、斎藤博 他編、有斐閣

[編集] 外部リンク

他の言語
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