ブタ
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ブタ | ||||||||||||||||
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分類 | ||||||||||||||||
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学名 | ||||||||||||||||
Sus scrofa domesticus | ||||||||||||||||
和名 | ||||||||||||||||
ブタ | ||||||||||||||||
中国名 | ||||||||||||||||
猪 | ||||||||||||||||
英名 | ||||||||||||||||
Pig |
ブタ(豚、学名 Sus scrofa domesticus、英名 pig)とは、哺乳網ウシ目(偶蹄目)イノシシ科の動物で、イノシシ(Sus scrofa)を家畜化したものである。ウシ、ウマ、ヒツジ、ヤギといった家畜は原種が絶滅、またはかなり減少してしまっているが、ブタは、原種であるイノシシが絶滅せず生息数も多いまま現存しているという点が特徴的である。豚肉や脂肪を食用とするために世界中で飼育されている。家畜としてブタを飼育することを養豚といい、仕事としての養豚を養豚業、また養豚業に従事する人々のことを養豚業者という。
目次 |
[編集] 家畜としてのブタ
[編集] 中東
イノシシの家畜化は8,000年以上前からユーラシア大陸の東西で行われ、各地で独立に家畜の豚が誕生したと考えられている。今はイスラム圏となった古代オリエントや古代エジプトでも豚を食用としていた。古代エジプトでは豚を飼う民は賎民とされていたことが、エジプトを脱出した古代イスラエル人とその宗教を受け継いだユダヤ人のユダヤ教カシュルートおよびユダヤ教の影響を受けて同一の唯一神に帰依する宗教として誕生したイスラム教において、豚は不浄とされ、豚肉の肉食は食のタブーとなった原因とする説がある。
[編集] ヨーロッパ
古代ローマ人も豚を食べなかったわけではないが、豚の飼育が発達したのは北方森林地帯のゲルマン人やケルト人の食文化においてだった。日照時間が短く寒冷で、しかも土壌のやせたヨーロッパでは、穀物の生産性が低いため、秋になるとナラ(オーク)の森に豚を放してドングリを食べさせて太らせ、それをと殺して食塩と硝石で処理して主要な保存食にしたのである。ドイツやスペイン、イタリアなどのハムやベーコン、ソーセージはこの伝統を受け継ぐ。
[編集] アジア
東アジアでも中国の新石器時代から豚は家畜化されていた。中国南部を発祥地とするオーストロネシア語族は南太平洋にまで豚を連れて行く。満州人の先祖である勿吉人、靺褐人は寒冷な満州の森林地帯に住んでいるので、豚を盛んに飼育し、極寒時には豚の脂肪を体に塗って寒さを防いでいた。豚は中国でもよく食べられ、中華料理のメイン・メニューとなっている。中国語で単に肉といえば豚肉を指すほどで、牛肉はそれほど好まれなかった(ウシが農耕用に使われたためという社会的な理由も存在する)。
[編集] 日本
日本でも弥生時代にはすでに豚の食用が始まっており骨も遺跡から出土している。古墳時代の遺跡からも豚の骨は出土している。『日本書紀』、『万葉集』(萬葉集)、『古事記』に猪飼、猪甘、猪養という言葉があり中国では猪は豚の意味であり豚が飼われていた。奈良時代に仏教が国教化したことによって、豚の飼育も途絶えてしまった。ただイノシシが採れる山間部では猪肉がボタン鍋と称してわずかに食べられることもあった。
琉球王国の琉球人は弥生時代から中国同様ブタ(1385年に渡来したという黒豚のアーグ(アグーとも。島豚、シマウヮー)が有名)を日常的に飼育してハレの日に食べていた。このため沖縄県では豚肉料理が発達している。また、薩摩地方でも豚を飼って食べており、佐藤信淵著『経済要録』(1827年)には薩摩藩江戸邸で豚を飼って豚肉を売っていたと記録されている。
江戸幕府最後の征夷大将軍徳川慶喜は父徳川斉昭が島津斉彬から豚肉を送られていた(1845年5月2日(6月6日)の書簡)ためか、豚肉を好んで食べたので豚一様と呼ばれた。新選組も西本願寺駐屯時に松本良順のすすめで神戸から子豚を持ち込み養豚していた。解体は木屋町の医者南部精一の弟子に頼んでいた。
明治維新以後、豚も再び飼われるようになった。特に関東大震災後に関東地方で養豚ブームとなり供給量が増え安価になったため、東日本では肉といえば豚肉になった。なお島豚は1902年にバークシャー種、ハンプシャー種が入り純粋種はなくなったが名護市や奄美大島などで復元されている。
[編集] その他
「ブタ」という言葉は、其の特徴的な鼻や太った体格、更に家畜として飼育される事が多いという事実から、醜く価値が低いものという意味で人間に対する蔑称としても使われる。此れは後述している太った人間に対する呼称と違って、太っていない人間に対しても使われる。
またガツガツと食事を取る人物を指して「ブタの様に食べる」部屋を散らかす人を「ブタ小屋」と揶揄される事があるが、実際にはブタは非常に綺麗好きで、ガツガツと食物を散らかして食べたり、飼育小屋を汚す事は無い。ブタは知能が高く清潔を好む生物(知能に関してはイヌに近いとする指摘もある)あり、これはブタの容貌から来る人間側の勝手な偏見であると思われる。
臓器のサイズが人間のそれと近いため、現在、異種間移植用の臓器提供用動物として、研究が続けられている。
[編集] 品種
主な品種に大ヨークシャー種、高座豚に代表される中ヨークシャー種、ランドレース種、デュロック種、黒豚に代表されるバークシャー種、ハンプシャー種などがある。近年では、これらの品種の二つか三つ(三元交配)を掛け合わて肉豚を生産することが多い、肉質の良い品種、子豚を多く生む品種を使いハイブリッド豚も造られている。黒豚は肉が特に美味いとされるが、小柄で肥育に日数を要するので、純粋な黒豚を肉用に肥育することは少ない。
また、イノシシとブタを交配したイノブタが知られる。
ちなみに分類上はブタとイノシシは同じ個体であるので、イノブタにイノブタを掛け合わせれば必ずイノブタが生まれてくる。
[編集] ブランド豚
[編集] 雑学
- 土中の虫や植物の根や球根を掘り返して食べるため、他の家畜と違って硬い鼻先と強大な背筋を備えており、木製の柵では横木を鼻先で押し上げて壊してしまう。ブタの飼養の歴史は、柵を壊すブタと修理する人間の戦いの歴史だったとも言える。オスの牙も強い背筋を生かせるよう上向きに生えており、人間のような丈の高い動物を敵と認識すると、突進して鼻先を股ぐらに突っ込み、頭部を持ち上げながら強くひねる。この行動を「しゃくり」といい、まともにしゃくられると大人でも数メートル飛ばされ、腿の内側の静脈を切って大出血することがある。日本の小規模養豚が多かった時代には、年に数人はこれによる死者が出ていた。
- 韓国では、縁起のよい動物とされている。漢字の「豚」を韓国語読みした「トン(돈)」が、「お金」を意味する韓国語と綴りが同じためである。豚型の貯金箱に人気があり、また豚の夢を見るとお金がたまるといわれ、宝くじを買ったりする。ちなみに韓国語で「豚」は「テジ(돼지)」といい、イノシシは「メッテジ(멧돼지)」というが、日本でいう亥年は韓国では「豚年」である。
- 中国語では、「ブタ」は「猪」と表記される。西遊記に登場する猪八戒はブタに天蓬元帥の魂が宿った神仙で、「猪」は「朱」(中国ではよくある姓)と音が通じるためにこの名にされたが、明代に皇帝の姓が「朱」であったため、避諱によりもとの意の通り「猪」を用い、猪八戒となった。中国をはじめ、日本を除く東アジア漢字文化圏では、原則として亥年は「豚年」である。
- 高級食材で知られるトリュフを掘り起こすのに、かつてはメスブタが使われていた。トリュフにはオスブタの持つフェロモンと同じ成分が含まれており、トリュフの匂いを嗅ぎつけ興奮したメスブタが掘り返すのである。しかし、メスブタがトリュフを食べてしまうことも多いため、最近ではイヌを用いるようになってきた。
- ユダヤ教・イスラム教ではブタは不浄な動物と見なし、食用を禁じている。
- ブタの貯金箱は、"Pygg" という種類の粘土があったため、陶器職人が "Pig" との洒落で作った。
- おいちょかぶでは、「0」のことを「ブタ」と呼ぶ。
- ポーカー等では、役が全く無いクズ手のことを「ブタ」と呼ぶ。
- 豚で使えないのは「鳴き声だけ!」と言われるほど、豚は全てが使える経済動物。アメリカの砂漠地帯では蛇除けのために豚を飼っている家もある。
- 荷物がたくさん入った鞄を俗に「ブタカバン」という。
[編集] ミニブタ
ベトナムにいた小型のブタを改良した小型のブタはミニブタとして愛玩動物とされる。おおむね100キログラム以下のブタの種類をミニブタといい、この種のブタにはもともと家畜として飼われていたブタの小型のもの(中国南部、東南アジアのものが多い)と交雑によって作られた種類とがある。交雑種は主に実験動物用に開発されたものである。アメリカ、イギリス、ドイツ、オーストラリア、日本などでペットとして飼われているミニブタは、ほとんどがベトナムを起源とし、ヨーロッパ→アメリカ→日本に移入された「ポットベリーピッグ」であり、ドイツで開発された「ゲッティンゲン」の血を引くものと思われるものもある。実験動物としてのミニブタは、世界各地で開発され現在数十種あると思われ、そのほとんどがポットベリーと他の小型種や経済豚との交雑によって得られている。
[編集] ミニブタの餌
実験用ミニブタ専用のものがある。ペット専用のものは、国内では、販売されていない。経済豚の肥育豚の餌は「6か月で効率的に成長させるもの」であり、繁殖豚の餌は「効率的に子豚を生産する」ためのものである。15年程度健康に飼育するペットのミニブタの餌とは基本的発想が異なる。ミニブタは実験動物として飼育されるところから、健康的でなくてはならないため、いたずらに肥育させないよう考慮し、動物実験に適した餌が開発されている。日本では飼料メーカー数社が生産している。ペットのミニブタのホームページなどで紹介されているのでチェックしてみよう。ペットショップなどでしばしばドッグフードで飼えると説明するところが見られるが、ドッグフードは元々肉食動物である犬に適するように開発されたものであり、ペットのミニブタにとっては「高タンパク」「高脂肪」「高炭水化物」「低食物繊維」であり適さない。ドッグフードを長期にわたって給餌すれば、将来、あたかも人の生活習慣病のごとき病気を発症する恐れがある。特に元々肥満系であるポットベリー種のミニブタでは循環器、脚の関節への影響は甚大である。実験動物のように、閉鎖的環境で飼養されないペットブタは、野菜、果物など、フード以外に、適宜与えることが、必要である。
[編集] ポットベリーのペットとしての歴史
アメリカを主としてミニブタがペットとして愛玩されている。そのほとんどは"Potbellied Pig"(日本語で言えば太鼓腹ブタ)と呼ばれる小型のブタである。この種のブタは、1950年フランス人がベトナムからヨーロッパに運び、動物園で初めて展示された。そして、その子孫の18頭が1985年、カナダ人のKeith Conellによりカナダに輸入されてからこれらの子孫がアメリカ合衆国に輸入された(これらの子孫はConell系統と言われる)。その後数年間にわたって若干の他のポットベリーのグループが、中国・イギリス・スウェーデン・ドイツから輸入された。その中でKeith Leavittの輸入したグループはLea系統と言われ、この2系統が今日アメリカにおいて血統が証明される2大系統である。Conell系統は鼻が短くパブ顔をしており、Lea系統は鼻がやや長かったと言われている。
日本のペットのミニブタは10数年前にアメリカから輸入されたもので、その体型から見るとConell系統とLea系統及びそのmixと思われるだけでなく、いずれにも似ていない個体も散見される。中にはゲッティンゲン(ドイツ・ゲッティンゲン大学で創出された実験用小型ブタ)と称して販売されているミニブタも存在するが血統書もなく真偽は不明である。
[編集] ミニブタの飼育について
- 『だいすきミニブタ!』(東邦出版)文:伊藤恵美、絵:入間川由里子 - 子供が見ても楽しい絵本風飼育書。
- 『ミニブタの医・食・住』(どうぶつ出版)小林茂久著 - 本邦唯一の本格的なミニブタの飼育書。
- サイボクぶた博物館
- ぶた総合大学→ミニぶたの飼い方を見る
[編集] ブタの付く諺・慣用句
- 「ブタに真珠」は、価値のわからない者に貴重なものを与えても意味がない、という意味。聖書・マタイによる福音書7章6が言葉の由来。
- 英語で「Pigs might fly(ブタが空を飛ぶかも)」は、「ありえない」という意味で使われる。
- 猪食った報い - 悪いことをした報い。中世日本で禁忌とされた肉食を悪事になぞらえている
- 「ブタもおだてりゃ木に登る」は、煽てられて調子にのっている人間を揶揄する言葉。元来はほとんど知られていない慣用句だったが、アニメ「タイムボカンシリーズ」の「ヤッターマン」および「ゼンダマン」、更に最近では「タイムボカン2000 怪盗きらめきマン」に登場する「おだてブタ」の発するフレーズがきっかけで、全国に広まった。このため、『「ブタもおだてりゃ木に登る」はアニメ「ヤッターマン」のギャグとして生まれた言葉』という誤解が一部で生じている(実際には、「ヤッターマン」の放映以前の出版物にすでに使われている。総監督笹川ひろしの出身地である福島県会津地方で普通に使われていた言葉である)。ただし漫画家つのだじろうは、この言葉が広まったのは1970年代のつのだ作品「豚もおだてりゃ木にのぼる」に由来すると主張し、この言葉の由来に関する番組をめぐってテレビ局に抗議したことがある([1])。なお、つのだじろうは未だに自分の創作であると主張し続けており、ヤッターマンに関しても根に持っているようだ。ただし、つのだじろうが上記の事実を知っているのかどうかは不明であり、その真意がどこにあるかもまたわからない。
[編集] 豚を主人公にした物語
- 『三匹の子豚』 童話
- 『紅の豚』 スタジオジブリのアニメーション映画(1992年)
- 『ブッタとシッタカブッタ』 小泉吉宏原作の漫画
- 『とんでぶーりん』 池田多恵子原作の漫画、及びそれを原作としたテレビアニメ(1994年)
- 『ベイブ』 映画(1995年)。続編は『ベイブ 都会へ行く』(1998年)
- 『プータン』 わだよしおみ・文、ならさかともこ・絵による絵本
- 『フンガくん』 国松エリカ原作の絵本
- 『ぶたぶたくんのおかいもの』 土方久功原作の絵本
- 『オリビア』 イアン・ファルコナー原作の絵本
- 『サム・ピッグ』 アリソン・アトリー原作の絵本
- 『シャーロットのおくりもの』