三遊亭小遊三
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三遊亭小遊三(さんゆうてい こゆうざ 1947年(昭和22年)3月2日 -)は、落語芸術協会所属の落語家。本名は天野幸夫(あまの ゆきお)。山梨県大月市出身(神奈川県横浜市生まれ)、都留高校-明治大学経営学部卒。血液型A型、練馬区在住。出囃子は『ボタンとリボン』(或いは『春はうれしや』)。古典落語専門で、長屋ものを得意としている。
『笑点』でのイメージが強いが、漫才ブームの際に売り出した数少ない落語家の一人。『らくご in 六本木』や『オレたちひょうきん族』など幾つかのテレビ番組に出演しては存在感を示していた。『笑点』はその実績が買われて起用されたものである。
高校時代、卓球部キャプテンを務めていたことから東京オリンピックの聖火ランナーに抜擢される(本来は他の部のキャプテンがするはずが不祥事を起こし代わりに選ばれた)。しかし、母校の近くの区間を走らなかったので誰も見に来なかった。2005年12月、山梨県より「富士の国やまなし観光大使」委嘱。また、母校が2007年、第79回選抜高等学校野球大会に21世紀枠で55年ぶりに(センバツは初)出場。小遊三もたびたび笑点の大喜利の挨拶でPRした。
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[編集] 芸歴
- 1968年(昭和43年)4月 3代目三遊亭遊三に入門
- 1969年(昭和44年)4月 芸名遊吉にて初高座
- 1973年(昭和48年)9月 二ツ目に昇進、小遊三に改名
- 1983年(昭和58年)3月 真打昇進・同年10月から三遊亭好楽(1988年4月に復帰)の後任として『笑点』にレギュラー出演
[編集] その他の活動
- 1989年(平成元年)映画『226』(松竹富士)-三浦作次上等兵役で出演。
- 1991年(平成3年)アニメ『らくごアニメ・滝田ゆう落語劇場』-声優(落語アニメなので噺)。
- 1991年~1995年 全日本ダジャレ芸術協会宗匠。通称「ダジャ協」。「週刊アサヒ芸能」で連載、その名の通りダジャレを読者から募集し、宗匠である小遊三が選考・採点。四年間で延べ60万作品が投稿されたとされる。
- 2006年(平成18年)アニメ『落語天女おゆい』-声優、本人役。劇中落語を披露。
- 2006年(平成18年)TBSラジオの『ミュージックプレゼント』の司会,毒蝮三太夫が腸閉塞で入院したため、代役として中継を担当(その後毒蝮は復帰し、出演も終了)。
- 趣味悠々「落語をもっと楽しもう」、案内役(2006年12月6日~2007年1月31日(本放送))
- など。
現在進行中
- らくご卓球クラブ、コーチ役(監督は林家こん平)。世界ベテラン卓球選手権大会に数回出場。
- にゅうおいらんず、芸協会員で構成されたデキシーバンドのトランペット担当。
- サントリーオープンゴルフトーナメント、アマプロチャリティトーナメントには近年毎年参加している。
[編集] 笑点でのキャラクター
- 水色の着物を着た伊達男と自称しそれなりに色男らしく振舞い、似ている人物にキムタクやヨン様、市川雷蔵を挙げ、美しい顔・綺麗な顔・イケメン・ナルシスト・甘いマスク・二枚目・水も滴るいい男等の言葉を使った自惚れネタや、奈美恵、紀香、菜々子等の女性タレントの名前や外国人女性(その場合は大抵イボンヌかキャサリン。因みにこの2つは飼い犬の名前である)の名前を出すジゴロ(女泣かせ・プレイボーイ)ネタが多い。
- 加入した当時は古今亭朝次→桂才賀が同じ色男・悪人・貧乏キャラで売っていた為小遊三と才賀が隣同士となった1986年頃から(才賀が卒業した)1988年3月27日まで罵倒合戦を演じていた。
- ここ数年は、「貧乏」ネタ(通貨偽造・ホームレス・ぎんなん拾い)や自身の悪人ヅラから犯罪・逮捕・刑務所・脱獄・変態ネタの方に向かう回答も増えている。もちろん補導・検挙歴は全くない。犯罪キャラクターの設定に関しては、元々笑点メンバーとなる以前、当時、逮捕直後の恰好の異様さで話題となった殺人事件の犯人に顔が似ていた事と、本人が寄席で犯人の真似をして笑いを取っていた事が起因である。若い頃は物真似芸をよく披露しており(ただし、現在ものまね番組で取り上げる様な、歌手や芸能人の真似とは異なる)、桂米助と野球選手のフォームの真似をする「野球形態模写」を笑点の演芸コーナーで披露した事もあった。プロ野球ファンであることから、プロ野球に関するネタも回答としてよく使う。昔はこのネタで「石橋貴明に顔も言動も似てる」と言われた事も。(冒頭の挨拶で「かくいう私は落語界の石橋貴明、三遊亭小遊三でございます」と言った事がある)
- 「副会長」と指名されると、「便所でお尻を拭く(副)会長」(所属の落語芸術協会副会長である事をかけている、会長は歌丸)と返していたが、一部視聴者から、「夕飯時に、便所で尻を拭くとは何事だ!」とのクレームを受け、「法螺と喇叭を吹く(副)会長」と変えて発言したものの、本人は満足していない様子。また、他には40周年記念披露口上では珍しく上品に「嬉し涙を拭く(副)会長」と発言した事もある。現在はクレームを考慮してか、まず歌丸が「副会長」と指名する事が減った。
- 前の回答を引き合いに出し、「そんなんじゃダメだよ」とダメ出しをしておいて、更に司会者の不快感を煽る回答を繰り出す事がある。
- 何故かメンバーで最も大喜利中に本名で呼ばれる事が多く、自らも本名を出す事がある。
- 木久蔵に比べると回数は少ないものの、延々と歌い続けて周囲を脱力させることもある(『酒と泪と男と女』や『津軽海峡冬景色』等)。
- 歴代の司会者や隣の好楽など、色ネタは男女の見境が無い。
- メンバーの中では頭の大きさがこん平についで大きいらしく、被り物が二回も抜けなくなるというハプニングが発生。第2036回の放送では自分で被る事すらできず、山田に無理矢理被せてもらっていた。
- 落語界においても、寄席から生まれた今尚息づく犯罪キャラクター、時代背景を必要としない古典落語で出て来る野球ネタ、遠慮無く繰り出される色(下)ネタや問題発言、複数人数で行う演芸や対談においても思ったままにパッパと喋る様子は、笑点の小遊三とほとんど変わらない。現在の笑点メンバーの中でも、笑点でのキャラクターと落語家としてのイメージのギャップが一番薄い人物と思われる。一方、習得している演目は多く(※人情噺は基本的に行わない)、同じ演目(ネタ)を連続で何度も繰り返す事はない(※ただし、寄席に関しては連日10日間の出演の為、この10日間を1つの演目で通す(=繰り返す)落語家が多い)。落語には独自のアレンジを加える事が多く、時代背景の必要ない(または時代を変えても差し支えない)古典落語には時事ネタやカタカナが比較的多く含まれ、時代背景のある落語については時代空間を壊さない程度にオチや使う唄などを変えている。
[編集] CD・DVDなど
- CD『談志が選んだ艶噺し』(コロムビアミュージックエンタテインメント/2000年発売)
- (15)小遊三1「大工調べ」「粗忽の釘」
- CD『NHKCD新落語名人選』(ユニバーサルミュージック/2005年発売)
- 「幇間腹」「千早振る」「提灯屋」
- DVD『激笑!炎の落語』(コロムビアミュージックエンタテインメント/2005年発売)
- (2)三遊亭楽太郎「お血脈」/三遊亭小遊三「幇間腹」