南アルプス市
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近代の山梨県内の地域区分における汎称のひとつ峡西についても併せて解説する。
目次 |
[編集] 地理
市域は甲府盆地の西部にあり、東側の平坦部と西側の山間部に大きく2分される。
[編集] 平坦部
釜無川に注ぐ御勅使川の氾濫によって形成された国内最大の扇状地、御勅使川扇状地が大部分を占める。扇状地の上部にかけての緩やかな傾斜地は、桃源郷と呼ばれた旧白根町をはじめ、現在はモモ、サクランボなどの広大な果樹地帯であるが、古くは桑畑の広がる養蚕地帯でもあった。「原七郷」と呼ばれたこの地域は、地下水位が深く地表にも川がないことから「月夜にも灼ける」といわれる干ばつ地帯であった。そこで南アルプスの野呂川の水をひいて来て利用しようという計画がまことしやかに語られ、到底無理なことをさして「野呂川ばなし」とも言われる始末であった。飲み水のほか農業用水にも乏しく、江戸時代に築かれた徳島堰をはじめ灌漑用水が整備され、現在まで利用されている。 一方、釜無川沿いの東部は盆地の低地部特有の氾濫原で、扇状地の末端では湧水が多く見られるなど水には恵まれ、水田やビニールハウスの広がる田園地帯となっている。反面、市の南部、旧甲西町の五明(ごめい)地区、南湖(なんご)地区では、滝沢川、坪川の2水系を主とする中小の河川が一部で天井川を形成し、歴史的にも「曇って三寸」(雨降りどころか曇でも三寸の水が溢れる)と言われてきた洪水の常襲地帯である。河川改修が進んだ現在でも、合流地点では天井川の下を別の川が流れるなど、多くの河川が複雑に入り組んで釜無川に合流しており、大雨の際には浸水被害を生じることが多い。
[編集] 山間部
国内第2位の標高3,193mの北岳を筆頭に、間ノ岳、仙丈ケ岳など南アルプス(赤石山脈)北部の3,000m級の高峰、名峰が連なる。北岳の固有種であるキタダケソウをはじめ豊富な高山植物やライチョウなど貴重な自然が残る。北岳への登山者の拠点となる広河原や、仙丈ケ岳・甲斐駒ケ岳方面への入口である北沢峠には、冬期閉鎖期間以外にもマイカー規制が敷かれ、通行の安全と自然保護を図っている。また、途中の夜叉神峠は、鳳凰三山へのルートであるほか、徒歩片道約1時間余で北岳~間ノ岳~農鳥岳の白峰三山が一望できる絶景ポイントとして知られている。 これら南アルプス本体の東側(市街地からみて手前)に、標高2,052mの櫛形山があり、山頂付近に東洋一の規模といわれるアヤメ群落が自生することで有名である(ただし近年シカの食害などにより株数が激減しているとされる)ほか、人造湖の伊奈ヶ湖が自然公園として整備されている。これら前衛の山が高くそびえるため、南アルプス本体の山容は市内の市街地からはほとんど見えず、一部地区で頂上部分が望めるだけである。しかし、市内でも場所によっては四方に富士山・南アルプス・八ヶ岳・秩父山系など甲府盆地を取り巻く山々を一望にすることができる。
- 河川
- 釜無川
- 御勅使川
- 滝沢川
- 坪川
- 秋山川
- 湖沼
- 伊奈ヶ湖(南伊奈ヶ湖、北伊奈ヶ湖)
[編集] 隣接している自治体
[編集] 沿革
2003年4月1日 - 中巨摩郡八田村、白根町、芦安村、若草町、櫛形町、甲西町が、合併し誕生した。人口は約7万2000人で市役所は旧櫛形町にある。
南アルプス市誕生直後の一時期、人口が少ないにも関わらず、在任特例により95人もの市議会議員を擁し、マンモス議会と呼ばれ住民の批判にさらされた。これらを受けて2004年10月28日の議会で自主解散決議を賛成多数で議決。翌11月の選挙で定数28人に改選された。
南アルプス市という名称は、一般公募の結果を受け、合併協議会の委員65名の投票によって2002年に決定されたものである。しかし、この公募は県外在住者の投票も可能であり、住民の民意を正確に反映したものとは言い難かった。また、公募結果についても南アルプス市が1位だったものの、字違いの「巨摩野」や「こまの」を合わせれば次点の「こま野」市が逆転するなど、南アルプス市が完全に優勢というわけではなかった。そのため、当時から住民投票を求める声が高かったが、合併協議会は公募結果を重視する姿勢を崩さなかった。住民不在かつ不透明な市名の決定過程に不満を抱く市民はいまだに少なくない。
市の名前にカタカナを使用しているのは、現在の沖縄市の旧称コザ市に続いて2番目である。日本的でない地名だとして南アルプス市誕生前から批判を受け[要出典]、現在も新市名に嫌悪感を示す者が依然として存在する。
しかし、中心部からは比較的離れているものの、市名の由来となった南アルプス(赤石山脈)が市の西部を縦断している。国内第2位の標高をもつ北岳 (3,193m) が市域に含まれている。
近年では、交通の便のよさなどから、人口が増加している。
なお、ローマ字表記は Minami-Alps City である。山梨県ローカルの報道では略して「南ア市」と表記する場合もある。
[編集] 行政
[編集] 市長
[編集] 交通
[編集] 鉄道・バス
山梨県内で唯一、現在鉄道の通っていない市である。
鉄道を利用してのアクセスは、中央本線の塩崎駅(甲斐市)、身延線小井川駅、東花輪駅(何れも中央市)、市川大門駅(市川三郷町)が最寄り駅となるが、これらの駅から直接南アルプス市内まで乗り入れるバス路線その他の交通機関が存在しない為、中央本線・身延線甲府駅または中央本線韮崎駅より山梨交通の路線バスを利用することになる。
- 旧櫛形町・白根町・甲西町・若草町内
- 十五所経由甲府駅~小笠原~鰍沢営業所線
- 西野経由甲府駅~西野~小笠原~平岡あやめが丘団地線
- 西野経由甲府駅~西野~小笠原~鰍沢営業所線
- 南湖経由県立中央病院~甲府駅~浅原橋~鰍沢営業所線
- 中条経由県立中央病院~甲府駅~南アルプス市若草支所線
- 一高経由敷島営業所~甲府駅~山梨大学医学部付属病院~浅原橋~十日市場~小笠原車庫線
- 旧八田村・白根町・芦安村内
- 県立中央病院経由敷島営業所~甲府駅~信玄橋~六科~芦安線
- 野牛島経由甲府駅~信玄橋~六科~社会福祉村線
- 大草経由甲府駅~信玄橋~六科~韮崎駅線
- 甲府駅~六科~芦安~夜叉神トンネル~広河原線(季節運転・快速便あり)
- 身延駅~奈良田~広河原線(季節運転)
この他に広河原~北沢峠間を結ぶ南アルプス市営バスが存在しており、登山シーズンに限り運行されている。
[編集] 道路
- 高速道路
- 高規格幹線道路
- 一般国道
- その他
- 南アルプス林道
- 桃花橋 - 旧白根町西方にあるピンク色のループ橋。果樹地帯の景色の中に突如現れ、ムダな公共事業の例として槍玉に挙げられることも多い。市内および白根インターから芦安方面に至るには眺望がよく便利なルートでもある。
[編集] 姉妹都市・友好都市
[編集] 国内
[編集] 海外
[編集] 教育
[編集] 小学校
- 八田小学校
- 白根源小学校
- 白根飯野小学校
- 白根東小学校
- 白根百田小学校
- 芦安小学校
- 若草小学校
- 若草南小学校
- 小笠原小学校
- 櫛形北小学校
- 櫛形西小学校
- 豊小学校
- 落合小学校
- 大明小学校
- 南湖小学校
[編集] 中学校
- 八田中学校
- 白根巨摩中学校
- 白根御勅使中学校
- 芦安中学校
- 若草中学校
- 櫛形中学校
- 甲西中学校
[編集] 高等学校
[編集] 出身有名人
- 金丸信 - 元副総理、衆議院議員(故人):旧白根町出身。
- 内藤多仲 - 建築家、建築学者:旧櫛形町出身。耐震構造の父。歌舞伎座・東京タワー等の構造設計を担当した。
- 河西昌枝 - 元バレーボール選手。東洋の魔女と呼ばれた東京オリンピック金メダルの日本代表の主将を務めた。
[編集] 関連項目
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