津山線
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津山線(つやません)は、岡山県岡山市の岡山駅から岡山県津山市の津山駅に至る西日本旅客鉄道(JR西日本)の鉄道路線(地方交通線)である。
2007年夏より岡山駅~法界院駅間でICOCAが使用可能になる。
目次 |
[編集] 路線データ
- 管轄(事業種別):西日本旅客鉄道(第一種鉄道事業者)
- 路線距離(営業キロ):58.7km
- 軌間:1067mm
- 駅数:17駅(起終点駅含む)
- 複線区間:なし(全線単線)
- 電化区間:なし(全線非電化)
- 閉塞方式:自動閉塞式(特殊)
- 最高速度:95km/h
- 運転指令所:津山CTCセンター
[編集] 概要
現在の管轄は岡山支社直轄(津山駅は津山鉄道部が管轄)であるが、一時期全線を津山鉄道部が管轄していた。
中国鉄道(現在の中鉄バス)が開業した私鉄が発祥である。中国鉄道は早くから気動車を導入するなど先進的な技術を取り入れていたが戦時買収で国有化された。そのため曲線やトンネルの断面などが独自の規格となっている。
典型的な中規模の非電化ローカル線で、旧岡山鉄道管理局管内では比較的早くに無煙化されたが、その後は沿線の過疎化もあって合理化され、交換設備が取り外されたり列車本数が削減されるなど徐々に利便性が悪化していた。このため、1996年に沿線自治体の資金負担や住民の募金によって高速化改造(交換設備の復活と1線スルー化)、キハ120形気動車の投入が行われ、所要時間の短縮や増発が行われた。なお、当線の高速化への取り組みは後年鳥取県や島根県が山陰本線を高速化する際に参考としている。
岡山支社管内で独自に設定されているラインカラーはピンク(福塩線も同系の色のラインカラーであるが、津山線の方が薄い色になっている)。
[編集] 運行形態
正式な起点は岡山駅だが、列車運行上は津山駅から岡山駅へ向かう列車が下り、逆方向が上りとなっている。これは、岡山駅で接続する山陽新幹線・山陽本線(赤穂線・伯備線を含む)・宇野線(瀬戸大橋線)・吉備線、津山駅で接続する姫新線(因美線を含む)に方向をあわせたためである。
優等列車は急行「つやま」が1往復運転されているが、2003年10月1日からローカル列車と共通の車両(キハ48形気動車)に変更された。
快速(「ことぶき」を含む)、普通列車が運転されている。岡山~津山の全線通しでの運転が基本で、快速・普通あわせて1時間に1本以上の運転本数が確保されている。加えて福渡や野々口発着の区間運転列車も少数存在するほか、通学輸送のための岡山~法界院間の列車も運転されており、一部は吉備線の総社駅まで乗り入れている。かつては津山から先、因美線・姫新線に直通し岡山~鳥取を結ぶ列車や岡山~中国勝山を結ぶ列車もあったが、現在は全て津山で運転系統が分かれている。
[編集] 快速「ことぶき」
全線で快速運転する快速列車にことぶきの名称が与えられている。一般公募で津山線沿線に福渡駅など縁起の良い駅名があることから名付けられた。
1997年11月29日にダイヤ改正で、岡山駅~鳥取駅間を津山駅経由で結んでいた急行「砂丘」の廃止により、急行「つやま」とともに、運行開始した。
[編集] 運行概況
当初は急行列車代替でもあったことから、指定席も設定されていた。しかし、津山線でみどりの窓口があるのは岡山・法界院・津山の3駅のみで、金川・福渡などのように停車駅でありながら座席指定券を購入できない駅があり、運用面で問題があった。しかも座席は自由席と変わらず、座席近くの窓に「指定席」と書かれた藁半紙の紙片やステッカーが貼られていただけであった。あまりの扱いのひどさから「最低の指定席」と非難され、地元メディアでも話題になった事もあった。このためか徐々に縮小され、2001年3月7日に指定席の設定が廃止。現在は全車自由席となっている。
日中はほぼ2時間ヘッドとなっている。また、一部はワンマン運転となっており、途中の無人駅では後部車両は締め切り扱いとなっている。停車駅は、駅一覧を参照のこと。
- 車両
専用塗色のキハ40系気動車のキハ47形2両編成が使用されている。
[編集] 歴史
- 1898年(明治31年)12月21日 - 中国鉄道本線 岡山市~津山間が開業。岡山市駅、玉柏駅、野々口駅、神奈川駅、弓削駅、誕生寺駅、亀甲駅、津山駅(現在の津山口駅)開業。
- 1900年(明治33年)4月14日 - 建部駅開業。
- 1903年(明治36年)4月18日 - (仮)法界院駅開業。
- 1904年(明治37年)11月15日 - 岡山~岡山市間が延伸開業。岡山市駅を岡山荷扱所に格下げ。
- 1908年(明治41年)6月20日 - (仮)法界院駅を正式な駅に格上げし法界院駅開業。
- 1912年(大正元年)10月10日 - 牧山停留場開業。
- 1923年(大正12年)8月1日 - 津山駅を津山口駅に改称。
- 1923年(大正12年)8月21日 - 国鉄作備線として津山口~津山間が開業。
- 1927年(昭和2年)4月1日 - 原仮停留場開業。
- 1927年(昭和2年)10月1日 - 原仮停留場廃止。
- 1928年(昭和3年)2月20日 - 原仮停留場再開業。
- 1928年(昭和3年)12月26日 - 神目仮停留場開業。
- 1929年(昭和4年)6月20日 - 原仮停留場を正式な停留場に格上げし原停留場開業。
- 1929年(昭和4年)12月25日 - 神目仮停留場を正式な停留場に格上げし神目停留場開業。
- 1933年(昭和8年)12月20日 - 亀甲~津山口間に高尾仮停留場開業。
- 1936年(昭和11年)10月10日 - 作備線 津山口~津山間を姫新線に編入。
- 1937年(昭和12年)6月15日 - 佐良山停留場開業。高尾仮停留場廃止。
- 1944年(昭和19年)6月1日 - 中国鉄道の鉄道部門が国有化され、岡山~津山口~津山間が津山線となる。停留場を駅に格上げ。原停留場を備前原駅に改称。岡山荷扱所廃止。中国鉄道はバス事業者の中鉄バスとして現存している。
- 1956年(昭和31年)10月1日 - 小原駅開業。
- 1973年(昭和48年)3月13日 - 全線の貨物営業廃止。
- 1982年(昭和57年)8月31日 - 全線CTC化。
- 1987年(昭和62年)4月1日 - 国鉄分割民営化により西日本旅客鉄道が承継。
- 1990年(平成2年)6月1日 - 岡山支社直轄から津山鉄道部管轄に変更。ワンマン運転開始。
- 1996年(平成8年)12月1日 - 全線高速化。
- 1997年(平成9年)11月29日 - ダイヤ改正で、岡山駅~鳥取駅間を津山線・因美線経由で結んでいた急行「砂丘」の廃止により、急行「つやま」と共に、快速「ことぶき」運行開始。
- 1999年(平成11年)11月2日 - 津山鉄道部管轄から岡山支社直轄に変更。
- 2001年(平成13年)3月7日 - 「ことぶき」指定席設定廃止。
- 2005年(平成17年)2月26日 - 玉柏~牧山間で土砂崩れが発生しキハ40の単行で運転されていた回送列車が衝突。玉柏~金川間が不通に(その後、不通区間は玉柏~牧山間に短縮、3月14日運行再開)。
- 2006年(平成18年)11月19日 - 玉柏~牧山間で落石が発生し津山発岡山行キハ120の2両編成で運転されていた普通列車が脱線し、乗客・乗員26人が負傷。同区間が不通となる。
- 2007年(平成19年)3月18日 - 不通区間の運行を再開。
[編集] 駅一覧・接続路線
- ●:停車、▲:一部の列車が停車、|↑:通過、↑:片方向のみ運転
- 全線岡山県内所在。
- 普通列車は省略:各駅に停車
駅名 | 営業キロ | 快速 | 快速ことぶき | 接続路線 | 所在地 |
---|---|---|---|---|---|
岡山駅 | 0.0 | ● | ● | 西日本旅客鉄道:山陽新幹線・山陽本線・宇野線(瀬戸大橋線)・吉備線 岡山電気軌道:東山本線(岡山駅前駅) |
岡山市 |
法界院駅 | 2.3 | ● | ● | ||
備前原駅 | 5.1 | ↑ | | | ||
玉柏駅 | 7.5 | | | | | ||
牧山駅 | 11.4 | | | | | ||
野々口駅 | 16.7 | | | ▲ | ||
金川駅 | 19.7 | ● | ● | ||
建部駅 | 27.0 | ↑ | ▲ | ||
福渡駅 | 30.3 | ● | ● | ||
神目駅 | 36.5 | ● | | | 久米郡久米南町 | |
弓削駅 | 40.5 | ● | ● | ||
誕生寺駅 | 43.5 | ● | | | ||
小原駅 | 45.5 | ● | | | 久米郡美咲町 | |
亀甲駅 | 49.1 | ● | ● | ||
佐良山駅 | 53.4 | ● | | | 津山市 | |
津山口駅 | 56.8 | ● | | | ||
津山駅 | 58.7 | ● | ● | 西日本旅客鉄道:姫新線・因美線(実際は東津山駅で分岐) |