神奈川東部方面線
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神奈川東部方面線(かながわとうぶほうめんせん)は、相模鉄道本線二俣川駅から、JR東海道貨物線の横浜羽沢貨物駅、及び新横浜駅を経由して東京急行電鉄東横線日吉駅を結ぶ予定の鉄道路線である。
相鉄線から本路線を経由してJR東海道貨物線・横須賀線(湘南新宿ライン)、東北縦貫線へと直通する列車(横須賀線の先の総武快速線と湘南新宿ラインの先の埼京線に乗り入れるかは未発表)、及び、相鉄線から本路線を経由して東急東横線と東京メトロ副都心線又は東急目黒線、東京メトロ南北線、都営三田線、埼玉高速鉄道線との相互直通運転を行う列車が運転される予定である(東京メトロ副都心線に乗り入れる予定である西武鉄道は相鉄方面には乗り入れを実施しない。また同線に乗り入れる予定の東武鉄道は神奈川東部方面線に乗り入れるかや、神奈川東部方面線から和光市駅、川越市駅まで乗り入れるかは未発表である)。
目次 |
[編集] 概要
現在のところは概要が発表されている段階である。それによると、次のようになっている。
- 相鉄本線の西谷駅からJR東海道貨物線の横浜羽沢駅に至る約2.7kmの連絡線及び、同駅から新横浜駅を経由して東急東横線の日吉駅に至る約10kmの連絡線を新設する。
- 2015年(平成27年)(予定)より相鉄線から連絡線及び東海道貨物線を介し、横須賀線(湘南新宿ライン・埼京線)、東北縦貫線との直通運転を開始する。
- 2019年(平成31年)(予定)より相鉄線から連絡線を介し、日吉駅で東急東横線又は目黒線との相互直通運転を開始する。
[編集] 計画詳細
以下はすべて予定である。
- 整備主体は独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構。上下分離方式によって建設・運営される。
- 西谷から横浜羽沢までの連絡線の事業費は、用地取得費約91億円、路盤費約291億円、設備費約215億円、その他86億円の計683億円、横浜羽沢から日吉までの連絡線の事業費は、1,957億円である。
- 全線を1,067mm軌間の複線で建設する(同軌間は相鉄・JR東日本・東急の3社共通)。
- 西谷から横浜羽沢までは全線をトンネルで建設する。
- 相鉄・JRの直通列車は、朝のラッシュ時は1時間に約4本、それ以外の時間帯は1時間に約2~3本を運行する。
- 相鉄は直通運転の際に二俣川以西で急行運転(現在の急行とは関連なし)をする予定のため、瀬谷駅に退避設備を設置する。
[編集] 建設の利点
- 神奈川県央部・相鉄沿線から東京都心への所要時間短縮・乗り換え回数削減によるアクセスの改善。
- 神奈川県央部・相鉄沿線及び東急東横線・目黒線沿線から新横浜・東海道新幹線へのアクセスの改善。
- これにより、相鉄沿線からJR線経由で新宿・渋谷へは10~15分の短縮が、また新横浜や東急線経由の目黒方面への所要時間は15~20分の短縮が見込まれている。
- 横浜駅の混雑緩和。
- 横浜羽沢駅付近などの鉄道空白地帯の解消。
- 新横浜及び新横浜都心の一地区である羽沢地区の活性化。
[編集] 歴史
[編集] 当初の計画
1966年(昭和41年)当時、運輸政策審議会答申第18号において、検討すべき路線として、
- 東京~勝田(港北ニュータウン)~二俣川~湘南台~平塚
- が位置づけられていた。
- 勝田で高速鉄道(地下鉄)3号線(本牧~山下町~伊勢佐木町~横浜~新横浜~勝田~元石川間)と4号線(鶴見~綱島~勝田~元石川間)に、湘南台で1号線(伊勢佐木町~上大岡~戸塚~湘南台間)と連絡する予定であった。
さらに、バブル期には大倉山~新横浜~鶴ヶ峰~二俣川間に加えて、新横浜~尻手~川崎~羽田空港方面の路線も計画されたが、こちらは資金が膨大となるため計画段階で事実上挫折している。
[編集] 路線の建設へ
[編集] 二俣川~平塚間
二俣川~平塚間については、事業主体が決定していなかったところ相模鉄道が免許を取得し、1976年から1999年にかけていずみ野線として二俣川~湘南台間を開通させている。湘南台~平塚間については、相鉄は現在も延伸免許を保持しているが、実現する見通しはまだ立っていない。詳しくは相鉄いずみ野線を参照。
[編集] 東京~二俣川間
東京~二俣川間については、バブル崩壊のあおりを受け、計画は事実上停止した状態であったが、2005年(平成17年)から計画が実現に向けて再び動き出している。
相鉄は当初、神奈川東部方面線という計画について、ターミナルである横浜駅の乗客が減少するという致命的な理由を始めとするいくつかの問題点からこの計画に乗り気ではなかった。しかし、少子高齢化による乗客数の減少という将来を見据え、路線の利便性を高めるために横浜駅を経由しないJRとの直通運転計画に踏み切ることになった。
相鉄とJRの計画は、神奈川県や横浜市が計画していた「神奈川東部方面線」に近いものであったが、新横浜駅を経由しないため、新たな計画が実現した場合に期待される効果は県央部から都心への時間短縮効果のみであった。そのため県や市はそのままの計画では効果が薄いとして計画に介入を行った。さらに、2005年末からは計画が実現すれば横浜駅で相鉄から東横線に乗り換える乗客をJRに奪われることを危惧した東急が計画に参加することになる。その結果、相鉄・JRの計画を踏襲しこれを延長する形で、費用は増えるものの新横浜駅を経由することで得られる効果がより多い「神奈川東部方面線」として整備して行くこととなった。当初の計画からは少し変わっているが、神奈川県央部・横浜副都心と新横浜駅・東京方面を乗り換えなしでつなぐという目的は変わっていない。
この計画に従って、2006年(平成18年)5月25日に西谷~横浜羽沢間については相鉄が単独で、日吉~横浜羽沢間については相鉄・東急が共同で、それぞれ国土交通省に都市鉄道等利便増進法に基づく「営業構想」の認定を申請した。また、鉄道・運輸機構も同日に西谷~横浜羽沢間及び日吉~横浜羽沢間の「整備構想」の認定を申請した。 そして、翌6月9日に西谷~横浜羽沢間が、23日に日吉~横浜羽沢間がそれぞれ営業構想及び整備構想の認定を受けている。
11月21日には、認定を受けた各事業者が「速達性向上計画」を作成した。今後は県・市との協議及び同意を得た上で国土交通大臣に速達性向上計画の認定を受けることで事業を開始することになる。
[編集] 課題点
- 東急東横線及び目黒線は混雑が激しく、設備を改良しない限り相鉄からの利用客をカバーする余地がない。さらに、増発する余地も多いとは言えない状況である。
- 東急は相鉄よりも車両限界が小さく、相鉄は専用の直通車両を用意しなければならない。
- JR横須賀線は15両編成(一部11両編成、湘南新宿ラインは10両編成あり)なのに対し、相鉄は最大10両編成である。
- JRの車両にはグリーン車が連結されており、JRと編成を合わせるためには相鉄がグリーン車を用意しなければならない可能性がある(埼京線との直通運転になれば解決できるという見方もある)。
- JR横須賀線の新川崎~西大井間では横須賀線に加え湘南新宿ライン・湘南ライナー等多数の列車が走っているため、ラッシュ時の増発余地が毎時2本程度しかない。東部方面線が完成した場合、横須賀線・総武快速線の減便が起きる可能性がある。
- 相鉄本線の二俣川駅から西谷駅までについては、現行の線路容量のままでは列車本数の増発が必要となった場合の懸念がある。
- 二俣川以西は本線といずみ野線に分かれるので線路容量に余裕はある。
- 相鉄は横浜駅西口の駅ビルや地下街などの不動産を管理する立場でもあるが、ターミナルとしての同駅の空洞化が予想される。