相鉄本線
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本線(ほんせん)は、横浜駅(神奈川県横浜市西区)と海老名駅(神奈川県海老名市)を結ぶ、相模鉄道の鉄道路線である。
目次 |
[編集] 路線データ
- 路線距離:24.6km
- 軌間:1067mm
- 駅数:18駅
- 信号所数:1信号所(かしわ台~海老名間)
- 複線区間:全線
- 電化区間:全線(直流1500V)
- 最高速度:100km/h
[編集] 概要
海に面した横浜から多摩丘陵の西側を流れる帷子川沿いを二俣川へ、さらに登り詰めて境川を渡って相模原台地の南部を貫通し、相模川左岸の海老名に向かう。連続勾配や曲線が多く、直線区間は少ないため、急行でもスピードはあまり出さない。一方で地下化された大和と厚木飛行場の滑走路の先端を通過するために後から土を乗せられた箇所を除き、トンネルはない。海老名手前の相模国分信号所から分岐するのはかつての厚木への本線で、相模大塚から分岐する専用線で米軍厚木基地への燃料輸送が行われていたときは貨物線として使われていたが、旅客輸送のみとなった現在は厚木の留置線を車庫とする際の出入りに使用されている。
また、海老名駅より、小田急小田原線に沿って本厚木駅まで延伸する計画もあるのだが、相鉄の株主である小田急電鉄が難色を示しているので、実現の目途は立っていない(かつては、相鉄本線が小田急小田原線の線路を使用し、本厚木駅まで乗り入れた時代もあった)。
[編集] 列車種別
現在のダイヤパターンは2006年5月20日のダイヤ改正によるものである。
[編集] 急行
急行は横浜駅~二俣川駅間をノンストップで走り、二俣川駅以西は各駅に停車するのが特徴で、全日運転する。平日ラッシュ時には横浜駅~大和駅の列車もある。日中は大和~海老名間における事実上の普通列車となっている。
- 停車駅
- 横浜・二俣川・希望ヶ丘・三ツ境・瀬谷・大和・相模大塚・さがみ野・かしわ台・海老名
[編集] 快速
快速はいずみ野線が湘南台駅まで延長される1999年3月10日直前の同年2月27日に設けられた種別(同年3月9日まではいずみ中央行として運転)。当初は、朝ラッシュ時と日中にのみ運転されたが、現在は早朝深夜を除くほぼ全日(土曜休日は夕方過ぎまで)、昼間は20分おきに運転され全列車がいずみ野線に直通する。急行と同様、二俣川以西は各駅に停車するのが特徴である。
- 停車駅
- 横浜・星川・鶴ヶ峰・二俣川・南万騎が原・緑園都市・弥生台・いずみ野・いずみ中央・ゆめが丘・湘南台
[編集] 各停
各停(各駅停車)はその名の通り各駅に停車する。現在は、日中は横浜駅からいずみ野線直通湘南台行きと大和駅行きが、ほぼ10分おきで交互に運転されており、平日朝ラッシュ時には二俣川駅止まりも運転される。本線の全区間にまたがって運転するのは早朝と深夜のみであり、横浜駅~かしわ台駅・二俣川駅~海老名駅の列車も始発終電に運転されている。
湘南台開業以前は全ていずみ野線直通で、快速が出来てから日中は大和駅行きとして運転され、一時期全て二俣川駅止まりに変更されたものの、2006年のダイヤ改正で大和駅行きが復活した。ちなみに、以前はなぜか大和駅の電光掲示板での表示は「普通」だったが、ダイヤ改正からは「各停」となった。 7000系及び8000系と9000系の一部の方向幕式車両では、誤乗防止のため本線系統といずみ野線系統で種別幕の色を変更している。 また、運転室の方向幕設定器での表示は現在でも「普」である。
日中の運転本数は以下の通り。
- 横浜~二俣川:急行6本、快速3本、普通6本
- 二俣川~大和:急行6本、普通3本
- 大和~海老名:急行6本
[編集] 導入検討中列車種別
[編集] 特急
今まで大手私鉄でただ一つ「特急」が無かった相鉄だが、現在導入が検討されており、西谷からの新線を介した東京都心への乗り入れ時に導入される可能性が指摘されている。現行の「急行」を強化する形になると想定され、二俣川駅~海老名駅の途中停車駅は大和駅のみになると言われている。
導入に当たっては設備上の問題点として、二俣川駅~海老名駅の下り線で、特急が各駅停車を追い越すことが可能な駅がかしわ台駅(終点の1つ手前)だけであることが挙げられているが、下記の乗り入れ認可に付帯して瀬谷駅下り線に待避線を新設する文言が加えられている。
[編集] 通勤快速
通勤快速は相鉄が路線延長、他社との相互乗り入れを果たした際に出来るであろうと予想されている種別。現在はまだこの種別は存在していないが、快速導入時に併せて方向幕に組み込まれた(白地に緑字)。運転室内の方向幕設定器にも「通快」の表記があり、実際に設定できるものと思われる。なお、この「通快」の部分は快速導入後もしばらく銀色のラベルで隠されていたが、ラベル劣化後、貼り直されることはなかった。
※2006年5月にダイヤ改正が行なわれたが、その際の導入は見送られた。
[編集] 東京都心への乗り入れについて
[編集] JR東海道貨物線乗り入れ線
東日本旅客鉄道(JR東日本)と相模鉄道は、横浜市内に線路を新設し相互乗り入れすることで協議を始めることに合意した。総事業費は約700億円に上る見込みで、国土交通省が2005年度から都市交通基盤の整備をめざして始める予定の補助制度を活用する。
JR東日本の東海道貨物線横浜羽沢駅と相模鉄道の西谷駅の約2.7キロ間に線路を新設し、東海道貨物線から湘南新宿ラインに乗り入れる計画で、実現すれば横浜駅での乗り換えなしに相模鉄道沿線から東京都心方面に行き来ができることから利便性が大幅に高まる。なお、乗り入れは新宿駅までの予定で、その先高崎線や東北本線まで乗り入れる見通しはない。
- 2006年5月25日 国土交通省に営業構想の認定申請
- 2006年6月9日 営業構想の認定(相鉄)
- 2006年8月31日 速達性向上計画の認定申請(相鉄-JR)
- 2006年9月 事業に着手予定
- 2015年3月 完成(目標)
[編集] 東急乗り入れ線
また、東京急行電鉄(東急)と相模鉄道は、横浜市内に線路を新設し相互乗り入れする計画をまとめた。総事業費は2000億に上る見込みで、鉄道建設・運輸施設整備支援機構とともに都市鉄道等利便増進法の適用を国に申請し、同機構・国・管轄自治体の神奈川県及び横浜市の3者が事業費を3分の1ずつ負担、同機構が路線を所有し相鉄・東急両社が線路使用料を払う形で運営される予定である。
計画では、前述の西谷駅~横浜羽沢駅間の新線を更に延伸する形で、横浜羽沢駅から新横浜駅・綱島駅を経由して東急東横線の日吉駅に至る、総延長約10キロの新線を新設する、としている。綱島駅から日吉駅までは現在の東横線に横付けする形で高架線に、それ以外の区間は概ね地下線になる模様だ。そして更に、日吉駅からは東急東横線や東急目黒線に乗り入れる、としている。
実現した場合、前述の東海道貨物線経由湘南新宿ラインへの乗り入れと同様に、横浜駅での乗り換えなしに相鉄線沿線から東京都心へのアクセスが大幅に向上することとなる。東急東横線へ相互乗入れ予定の東京メトロ副都心線や、東急目黒線へ相互乗入れしている東京メトロ南北線、都営地下鉄三田線への乗り入れが計画されている。また、新横浜駅に乗り入れる事で、東急・相鉄両沿線利用者が横浜駅での乗り換えなしに直接新横浜駅に行く事が可能になり、東海道新幹線利用の際にも利便性がさらに増すこととなる。
- 2006年5月25日 国土交通省に営業構想の認定申請
- 2006年6月23日 営業構想の認定(相鉄)
- 2006年秋 速達性向上計画の認定申請予定(相鉄-東急)
- 2007年4月 事業に着手予定
- 2019年3月 完成(目標)
[編集] 完成時の見通し
- 朝のラッシュ時には、1時間あたりJR湘南新宿ラインへ4本、東急東横線・目黒線方面へ10本程度の乗り入れを検討
- 相鉄は、これらの計画によって1日あたり27万人の利用者増を見込む
[編集] 歴史
- 1926年5月12日 神中鉄道により二俣川~厚木間開業。
- 1926年12月1日 星川(現在の上星川)~二俣川間開業。
- 1927年5月31日 北程ヶ谷(現在の星川)~星川間開業。
- 1929年2月14日 西横浜~北程ヶ谷間開業。
- 1929年4月1日 厚木~中新田口間開業。
- 1930年9月10日 天王町駅、常盤園下駅、新川島駅(現・上星川~西谷間)開業。
- 1930年10月25日 鶴ヶ峰駅開業。
- 1931年10月25日 平沼橋~西横浜間開業。
- 1933年4月1日 北程ヶ谷駅を星川駅に、星川駅を上星川駅に改称。
- 1933年4月16日 二俣下川駅(鶴ヶ峰~二俣川間)開業。
- 1933年12月27日 横浜~平沼橋間開業し全通。
- 1934年8月20日 古河電線駅(平沼橋~西横浜間の古河電工付近)開業。
- 1941年11月25日 相模国分~厚木間旅客営業廃止。厚木~中新田口間廃止。相模国分信号所~海老名間開業。海老名駅から小田急小田原線相模厚木駅(現在の本厚木駅)まで気動車で直通運転開始。
- 1942年6月1日 横浜~西谷間直流600V電化。
- 1943年4月1日 相模鉄道が神中鉄道を合併。東急小田原線相模厚木駅までの直通運転廃止(小田急は1942年~1948年の間、東急に合併されていた)。
- 1943年8月1日 西谷~二俣川間直流600V電化。
- 1943年12月23日 相模大塚~海老名間直流1500V電化。
- 1944年 新川島駅、二俣下川駅、二ツ橋駅(瀬谷~三ツ境間)休止。
- 1944年6月 星川~上星川間の常盤園下駅休止。
- 1944年9月20日 二俣川~相模大塚間直流1500V電化。
- 1945年6月1日 東京急行電鉄に経営委託。
- 1946年2月 海老名駅から東急小田原線本厚木駅までの直通運転再開。
- 1946年3月1日 柏ヶ谷駅開業。
- 1946年4月1日 柏ヶ谷駅を大塚本町駅に改称。
- 1946年12月26日 横浜~二俣川間架線電圧を600Vから1500Vに昇圧。
- 1947年6月1日 東京急行電鉄への経営委託を終了し自営化。
- 1948年5月26日 希望ヶ丘駅開業。
- 1951年11月18日 西横浜~上星川間複線化。
- 1952年5月27日 上星川~西谷間複線化。
- 1952年8月15日 休止中の常盤園下駅を移転し、和田町駅として営業再開。
- 1952年9月25日 西谷~鶴ヶ峰間複線化。
- 1952年12月15日 鶴ヶ峰~希望ヶ丘間複線化。
- 1957年1月 古河電線駅廃止。
- 1957年1月18日 横浜~西横浜間複線化。
- 1958年11月1日 希望ヶ丘~三ツ境間複線化。
- 1960年8月1日 休止中の新川島駅、二俣下川駅、二ツ橋駅廃止。
- 1964年11月5日 大和~相模大塚間複線化。小田急小田原線本厚木駅への直通運転廃止。
- 1966年4月1日 相模大塚~大塚本町間複線化。
- 1967年4月10日 大塚本町~電車基地間複線化。
- 1968年3月27日 天王町駅付近高架化。
- 1973年9月28日 電車基地~相模国分信号所間複線化。
- 1974年3月28日 相模国分信号所~海老名間複線化。全線複線化完成。
- 1975年8月17日 大塚本町駅を移転し、さがみ野駅に改称。かしわ台駅開業。
- 1993年8月1日 大和駅付近地下化。
- 1998年9月30日 貨物列車運転休止。
[編集] 女性専用車
- 平日朝7:30~9:30に横浜駅に到着する上り全列車の横浜寄り4両目(実施区間は全区間)
- 平日夕方18:00以降に横浜駅を発車する下り全列車の横浜寄り4両目(実施区間は全区間)
[編集] 駅・信号所名及び停車駅
- ●:停車、|:通過。
駅名 | 駅間キロ | 累計キロ | 各駅停車 | 快速 | 急行 | 接続路線 | 所在地 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
横浜駅 | - | 0.0 | ● | ● | ● | 東日本旅客鉄道:東海道線、横須賀線、湘南新宿ライン、京浜東北線、根岸線 東京急行電鉄:東横線 京浜急行電鉄:本線 横浜市営地下鉄:ブルーライン(3号線) 横浜高速鉄道:みなとみらい線 |
神奈川県 | 横浜市西区 |
平沼橋駅 | 0.9 | 0.9 | ● | | | | | |||
西横浜駅 | 0.9 | 1.8 | ● | | | | | |||
天王町駅 | 0.6 | 2.4 | ● | | | | | 横浜市保土ヶ谷区 | ||
星川駅 | 0.9 | 3.3 | ● | ● | | | |||
和田町駅 | 1.0 | 4.3 | ● | | | | | |||
上星川駅 | 0.7 | 5.0 | ● | | | | | |||
西谷駅 | 1.9 | 6.9 | ● | | | | | |||
鶴ヶ峰駅 | 1.6 | 8.5 | ● | ● | | | 横浜市旭区 | ||
二俣川駅 | 2.0 | 10.5 | ● | ● | ● | 相模鉄道:いずみ野線(直通運転あり) | ||
希望ヶ丘駅 | 1.7 | 12.2 | ● | いずみ野線 直通 |
● | |||
三ツ境駅 | 1.4 | 13.6 | ● | ● | 横浜市瀬谷区 | |||
瀬谷駅 | 1.9 | 15.5 | ● | ● | ||||
大和駅 | 1.9 | 17.4 | ● | ● | 小田急電鉄:江ノ島線 | 大和市 | ||
相模大塚駅 | 1.9 | 19.3 | ● | ● | ||||
さがみ野駅 | 1.2 | 20.5 | ● | ● | 海老名市 (さがみ野駅からかしわ台駅の間で座間市を通過) |
|||
かしわ台駅 | 1.3 | 21.8 | ● | ● | ||||
相模国分信号所 | 2.0 | 23.8 | | | | | 相模鉄道:厚木線(単線の貨物線、JR相模線厚木駅の南で接続) | |||
海老名駅 | 0.8 | 24.6 | ● | ● | 東日本旅客鉄道:相模線 小田急電鉄:小田原線 |
- 緩急接続可能な駅
- 星川駅・西谷駅・二俣川駅・瀬谷駅(上り)・かしわ台駅・いずみ野駅