バングラデシュ
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- バングラデシュ人民共和国
- গণ প্রজাতঁত্রী বাংলাদেশ
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(国旗) (国章) - 国の標語 : なし
- 国歌 : Amar Sonar Bangla
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公用語 ベンガル語 首都 ダッカ 最大の都市 ダッカ 大統領 イアジュディン・アハメド 首相 カレダ・ジア 面積
- 総計
- 水面積率世界第91位
144,000km²
7.0%人口
- 総計(2004年)
- 人口密度世界第8位
141,340,476人
982人/km²GDP(自国通貨表示)
- 合計(2005年)
3兆9,421億タカGDP(MER)
- 合計(2005年)世界第55位
619億ドルGDP(PPP)
- 合計(2003年)
- 1人当り世界第31位
2,588億ドル
1,900ドル独立
- 宣言
- 承認パキスタンより
1971年3月26日
1971年12月16日通貨 タカ(BDT) 時間帯 UTC (+6)(DST: ) ccTLD BD 国際電話番号 880
バングラデシュ人民共和国(バングラデシュじんみんきょうわこく)、通称 バングラデシュ! ? は、南アジアの国。首都はダッカ。インドの東側に位置し、インド洋に面する。ベンガル湾に注ぐ大河ガンジス川を有する。ほとんどの国境はインドと接するが、一部ミャンマーと接しているところもある。
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[編集] 国名
正式名称は、গণপ্রজাতন্ত্রী বাংলাদেশ (ベンガル語: ラテン文字転写は、Gônoprojatontri Bangladesh)。
英語の公式表記は、People's Republic of Bangladesh(ピープルズ・リパブリック・オブ・バングラデシュ)。通称、Bangladesh。
日本語の表記は、バングラデシュ人民共和国。通称、バングラデシュ。 バングラが「ベンガル(人)」を、デシュが「国」を意味し、あわせて「ベンガル人の国」となる。 バングラディシュ、バングラディッシュは誤り。
日本では略してバングラとよばれることが多い。 インドとパキスタンにあるパンジャーブ州の民謡もバングラとよばれるので、注意が必要。
[編集] 歴史
現在バングラデシュと呼ばれる地域には、古くから文明が発達した。現在のバングラデシュはベンガル地方の東側にあたる。紀元前4世紀のマウリヤ朝から6世紀のグプタ朝まで数々の王朝の属領であった。仏教寺院からは紀元前7世紀には文明が存在したことが証明され、この社会構造は紀元前11世紀にまで遡ると考えられるがこれには確実な証拠はない。初期の文明は仏教および(あるいはまたは)ヒンドゥー教の影響を受けていた。北部バングラデシュに残る遺構からこうした影響を推測することができる。
8世紀の中葉にパーラ朝がなり、仏教王朝が繁栄した。12世紀にヒンドゥー教のセーナ朝にとってかわられた。13世紀にイスラム教化が始まった。16世紀にはムガール帝国の元で、商工業の中心地へと発展した。15世紀末にはヨーロッパの貿易商人が訪れるようになり、18世紀末にイギリスの東インド会社により植民地化された。東インド会社によってイギリスは支配をインド全域に拡大した。インドの他地域同様、バングラデシュもインド独立運動に参加し、1947年には独立を達成したが、宗教上の問題から、ヒンドゥー教地域はインド、イスラム教地域はパキスタンとして分離独立することになった。
インドをはさんで東西に分かれた両パキスタンが成立すると、現在のバングラデシュは東パキスタンとなった。言語の違い、西側に偏った政策などから東西パキスタンは対立し、独立を求めて西側のパキスタン(現パキスタン)との内乱になった。パキスタンと対立していたインドが東パキスタンの独立を支持し、また第3次印パ戦争がインドの勝利で終わった結果、独立戦争を経て1971年に独立が確定した。
独立後はアワミ連盟のシェイク・ムジブル・ラフマンが初代首相となり、のちに大統領となった。独立後は数回のクーデターによる政権転覆を経験した。1990年以降は、民主的に選挙で選出された政府が統治している。旧イギリス植民地としてイギリス連邦に加盟するが、総督をおかず、元首は大統領である。
[編集] 政治
国家元首である大統領は、原則として、儀礼的職務を行うだけの象徴的地位である。任期5年で、国民議会において選出される。大統領は、首相と最高裁判所長官の任命以外は、首相の助言に従い行動する。ただし、議会と政府が対立し政治的混乱が起きた際は、議会を解散し、暫定政府を発足させる権限がある。
議会は、一院制で、Jatiya Sangsad(国民議会)と呼ばれる。全300議席。任期5年で小選挙区制選挙によって選出される。また、立法に女性の意見を反映させるため、正規の300議席とは別に、女性専用の30議席が用意されていたが、2001年5月に廃止された。
行政府の長である首相は、議会選挙後に、勝利した政党の党首を大統領が任命する。内閣の閣僚は、首相が選び、大統領が任命する。 政党についてはバングラデシュの政党を参照。 軍隊は志願兵制度であり、兵力はおよそ14万人。
1991年の総選挙で、BNPがALを破り、党首のカレダ・ジアは同国初の女性首相に就任した。 1996年の総選挙では、ALが勝利する。 2001年10月1日に行われ、中道右派勢力バングラデシュ民族主義党 (BNP=Bangladesh Nationalist Party) などの野党連合が、与党アワミ連盟 (AL=Awami League) に大差をつけ勝利した。経済建設を重視し、穏健な改革を訴え、都市市民らの支持を集めたとされる。
2002年9月6日に予定されていた投票は、立候補者が1名のみだったため無投票当選となった。
2007年1月11日、イアジュディン・アハメド大統領は、非常事態宣言を発令すると共に、全土に夜間外出禁止令を出した。
[編集] 地方行政区分
最上位の行政単位は、6つある管区である。それぞれ中心となる都市の名がつけられている。しかし、管区には実質的な機能はなく、その下にある県(Zila)が地方行政の主位的単位となる。
2005年1月現在、64県が存在する。
[編集] 地理
バングラデシュの国土の大部分はインド亜大陸のベンガル湾沿いに形成されたデルタ地帯である。沼沢地とジャングルの多い低地であり、ジャングルはベンガルトラの生息地として知られる。
ヒマラヤ山脈に水源を持つガンジス川(ベンガル語でパドマ川)・ブラマプトラ川(同ジャムナ川)・メグナ川およびその支流がデルタ地帯をつくっている。デルタ地帯はきわめて人口密度が高い。バングラデシュの土壌は肥沃で水に恵まれることから水田耕作に適しているが、洪水と旱魃の双方に対して脆弱であり、しばしば川が氾濫し多くの被害を及ぼす。国内の丘陵地は南東部のチッタゴン丘陵地帯(最高地点:ケオクラドン山、1230m)と北東部のシレット管区に限られる。
北回帰線に近いバングラデシュの気候は熱帯性で、10月から3月にかけての冬季は温暖である。夏季は3月から6月にかけて高温多湿な時期が続き、6月から10月にかけてモンスーンが襲来する。ほぼ毎年のようにこの国を襲う洪水、サイクロン、竜巻、海嘯といった自然現象は、一時的な被害にとどまらず、森林破壊、土壌劣化、浸食等を引き起こし、さらなる被害を国土に対して及ぼしている。
国内最大の都市は首都であるダッカである。他の主要都市はチッタゴン、クルナ、ラジシャヒである。チッタゴンの南に位置するコックスバザールは世界最長の天然のビーチとして知られる。
[編集] 経済
世界有数の豊かな土地を誇り、外からの侵略も絶えなかった。黄金のベンガルとも言われていた時代もあったが、現在では貧困国の一つと言われている。
バングラデシュは内外問わずに援助を受けているにもかかわらず、過剰な人口や政治汚職などによって未だに貧困を脱しきることが出来ないでいる。国内総生産の半分以上はサービス業によるものであるが、国内の人口の内、62%は農業に従事し、7割以上が農村に住む。主要農産品は米(世界生産量第4位)およびジュート(コウマ・シマツナソ)である。コメの生産量では世界でもトップクラスにあり、かつ生産量も年々微増しているが、人口が多いため、コメ輸入国となっている。
バングラデシュの発展を阻害している物としては、多発するサイクロンやそれに伴う氾濫などの地理的要因、能率の悪い国営企業、不適切に運営されている港などの人的要因、第一次産業のみではまかない切れない増加する労働人口などの人口要因、能率の悪いエネルギー利用法や十分に行き渡っていない電力供給などの資源的要因、加えて、政治的な内部争いや崩壊などの政治的要因が挙げられる。2001年~2003年には政治崩壊を分析するトランスペアレンシー・インターナショナルによる分析では世界でもっとも政治崩壊した国としてランクインしている。
「緑の革命」といわれる農業生産の近代化促進が政策として行われたが、設備投資への農家の支出を増大し、一方で生産量増大はその負担を埋めるまでにいたらないという問題を抱えている。
2004年6月より、バングラデシュは、628人が死亡、国土の60%が洪水に覆われるという過去6年間で最悪の洪水を経験した。この洪水では農作物に被害が及んだことにより2000万人が食料援助を受けなければならない状態になり、国の輸出の80%を占めると言われる織物産業に大きな被害が出た。政府はこれによる被害が70億ドルに達すると見ている。
[編集] 国民
バングラデシュは、シンガポールやバーレーンなどの面積の小さい国を除くと世界でもっとも人口密度の高い国である。1km² あたりの人口は2004年現在で 982 人になり、しばしばインドネシアのジャワ島と比較される。人口爆発が社会問題となっているため、政府は1992年より、産児制限による人口調節を推進して人口の増加を抑えようとしており、一定の成果を挙げつつあるが、いまだ解決には至っていない。人口と人口密度の両方で日本のそれを上回っている国は、現在のところバングラデシュだけであり、いくつかの予測では、2050年の人口は2億5千万人に達する見込みである。
住民はベンガル語話者であるベンガル人がほとんどで、人口の 98%を占めている。その他に、ウルドゥー語を話す、ビハール州などインド各地を出身とする非ベンガル人ムスリムが 2%を占める。他に、南東部のチッタゴン丘陵地帯にはジュマと総称される10以上の先住民族が存在する。
ベンガル語が公用語である。文字はデーヴァナーガリーに似たベンガル文字を用いる。公用語のベンガル語に加え、役所や(高等)教育機関では英語の使用も許容される。
[編集] 宗教
イスラム教が83%、ヒンドゥー教が16%、その他が1%である。その他の宗教には仏教、キリスト教、無神論が含まれる。
[編集] 国の衛生状態
国民の大多数は土地を所有せず、あるいは洪水の危険が高い低湿地にすんでおり、衛生状態はきわめて悪い。このため、水を媒介として、コレラや赤痢などの流行がたびたび発生している。こうした状況を改善するため、国際機関が活動を行っている。特に飲用水の衛生状態の改善のため、井戸の整備を独立後に進めてきたが、多くの井戸が元来地層中に存在したヒ素に高濃度に汚染され、新たな問題となっている。多くのヒ素中毒患者が発生しており、人口の4分の1以上がヒ素中毒やヒ素による発がんの危険にさらされていると考えられている。
[編集] 文化
[編集] 世界遺産
バングラデシュ国内には、ユネスコの世界遺産リストに登録された文化遺産が2件、自然遺産が1件ある。
シュンドルボンはインドとバングラデシュ南西部に渡るマングローブ林の湿地域で、バングラデシュがその3分の2を占める。ベンガルトラをはじめ稀少生物種が生息し、自然環境を保護するため、人間の居住は禁止されている。
[編集] 祝祭日
日付 | 日本語表記 | 現地語表記 | 備考 |
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移動祝祭日・3日間 | 犠牲祭 | Eid-ul-Azha | イスラム教の祭り。2月。 |
2月21日 | ベンガル語国語化運動記念日 | Shoheed Dibosh | 独立以前のベンガル語運動の弾圧による死者の記念日 |
移動祝祭日 | アシュラ | Ashura | |
3月26日 | 独立記念日 | Shadhinota Dibosh | |
4月14日 | ベンガル新年 | Bengali New Year | |
5月1日 | メーデー | May Day | |
移動祝祭日 | 仏誕祭 | Buddha Purnima | 仏教の祭り。5月 |
移動祝祭日 | ムハンマド生誕祭 | Eid-e-Milad-un-Nabi | イスラム教の祭り。5月。仏誕祭とほぼ同じ日 |
移動祝祭日 | ジャンマシュトミ | Janmashtami | 8月 |
移動祝祭日 | ドルガプジャ | Durga Puja | ヒンドゥー教の祭り。9月下旬 |
移動祝祭日 | シャベ・バラット | Shab-e-Barat | イスラム教の祭り。断食月前の祭り。「運命の夜」の意。 |
11月7日 | 革命連帯記念日 | Nationl Revolution & Solidarity Day | 1975年のジアウル・ラーマンのクーデターによる政権掌握を記念 |
移動祝祭日 | シャベ・カダール | Shab-e-Qudr | イスラム教の祭り。断食月の第27夜。 |
移動祝祭日 | ジャマトゥル・ビダ | Janmat-ul-Bida | |
移動祝祭日・3日間 | 断食月明け大祭 | Eid-ul-Fitr | イスラム教の祭り。 |
12月16日 | 戦勝記念日 | Bijoy Dibosh | パキスタン軍の降伏を記念 |
12月25日 | クリスマス | Christmas Day |
[編集] バングラデシュに関する作品
[編集] 映画
- ベンガルの虎
- 僕らはみんな生きている -バングラデシュを模した架空国「タルキスタン」を舞台にした物語
[編集] ゲ-ム
- FRONT MISSION2 -バングラデシュを前身とした架空国家「アロルデシュ」で起こったクーデターを追う物語。
[編集] ノンフィクション
- 辺見庸『もの食う人びと』より「残飯を食らう」・「食いものの恨み」
[編集] 関連項目
[編集] 外部リンク
[編集] 公式
- バングラデシュ政府公式サイト (英語)
[編集] その他
- 世界の国々 > アジア
-
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