リヒテンシュタイン
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- リヒテンシュタイン公国
- Fürstentum Liechtenstein
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(国旗) (国章) - 国の標語 : なし
- 国歌 : 若きライン川上流に
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公用語 ドイツ語 首都 ファドゥーツ 最大の都市 シャーン 大公(侯)
- 摂政ハンス・アダム2世
アロイス首相 オットマール・ハスラー 面積
- 総計
- 水面積率世界第190位
160km²
極僅か人口
- 総計(2004年)
- 人口密度世界第188位
33,436人
209人/km²GDP(自国通貨表示)
- 合計(Xxxx年)
xxx,xxxスイス・フランGDP(MER)
- 合計(Xxxx年)世界第xx位
xxx,xxxドルGDP(PPP)
- 合計(1999年)
- 1人当り世界第174位
8億2,500万ドル
25,000ドル形成
独立
- 日付
独立
- 日付1719年1月23日
神聖ローマ帝国より
1806年7月2日
ドイツ連邦解体
1866年通貨 スイス・フラン(CHF) 時間帯 UTC +1(DST: +2) ccTLD LI 国際電話番号 423
リヒテンシュタイン公国(リヒテンシュタインこうこく)、略称リヒテンシュタインは、西ヨーロッパの中央部に位置する国である。スイスとオーストリアに囲まれている。首都はファドゥーツ。非武装永世中立国。EFTA(欧州自由貿易連合)加盟国。リヒテンシュタイン侯国(リヒテンシュタインこうこく)、リヒテンスタインともいう。
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[編集] 国名
正式名称は公用語のドイツ語で、Fürstentum Liechtenstein(フュルステントゥーム・リヒテンシュタイン)、略称 Liechtensteinと表記する。公式の英語表記は、Principality of Liechtenstein(プリンシパリティ・オヴ・リクテンスタイン)、略称 Liechtenstein。日本政府による公式の日本語表記は、リヒテンシュタイン公国(リヒテンスタイン公国)、略称リヒテンシュタイン(リヒテンスタイン)。
元首であるリヒテンシュタイン家の当主の称号・爵位は、公用語のドイツ語で「Fürst 」と表記され、英語およびフランス語では「prince 」(プリンス)と訳される。これは、日本語では「大公」、「公爵」(公)あるいは「侯爵」(侯)と訳される。このため、国名は日本語では「公国」あるいは「侯国」と二通りに訳される。一般に用いられるのは、「公国」の方である。→称号の詳細はリヒテンシュタイン家#注を参照のこと。
[編集] 歴史
- 1699年ヨハン・アダム・アンドレアス公がシェレンベルク男爵領を購入
- 1712年ヨハン・アダム・アンドレアス公がファドゥーツ伯爵領を購入
- 1719年 神聖ローマ皇帝は、リヒテンシュタイン家が買収したファドゥーツ伯爵領とシェレンベルク男爵領とを併せてリヒテンシュタイン公領とすることを認可(リヒテンシュタインの始まり)
- 1806年 神聖ローマ帝国が崩壊し、翌年にライン同盟に参加する。この際、他国から独立国(公国)としての承認を得る。
- 1815年 ドイツ連邦に入る。
- 1852年 オーストリアとの関税同盟を締結。
- 1866年 ドイツ連邦が解体され、独立する。
- 1867年 永世中立国(非武装)となる。
- 1868年 軍隊を廃止し、その後は軍隊を保有せず。
- 1919年 オーストリアとの関税同盟を解消。
- 1921年 憲法制定。スイスフランを通貨とする。
- 1923年 スイスと関税同盟を結ぶ。スイスフランを通貨とする。
- 1984年6月 女性参政権を認める。
- 1990年 国連に加盟する。
- 1991年 EFTAに加盟する。
- 1995年 EEAに加盟する。
- 2003年 憲法を改正。
[編集] 政治
立憲君主制。元首は公(侯)。公は、リヒテンシュタイン家の当主による男子世襲制で、決して象徴や儀礼的存在などではなく、強大な政治的権限を有し、ヨーロッパ最後の絶対君主制と言われる。
議会は、一院制。議員定数25人、任期4年。選挙は、複数投票制と比例代表制を組み合わせたユニークな制度で行われる。欧州内では比較的遅くまで女性参政権が認められていなかった。
行政府の長である首相は、議会の第一党党首が、公によって任命される。また、副首相には、第二党の党首が任命される。
軍隊は保有せず、外交と国防はスイスが代行している。ただし、外交の代行とはスイスの在外公館がリヒテンシュタインの利益を代表するということであり、外交方針そのものはリヒテンシュタイン独自に決定する。死刑制度は廃止されている。
[編集] 絶対君主制
リヒテンシュタインで絶対君主制が存続している理由は以下の2点に由来すると考えられる。
- 1. リヒテンシュタイン家が富裕であり公国より歳費を支給されていないこと
- 最初から歳費を支給されていないということは、議会・政府側が有力な交渉上の切り札(「歳費の支給を停止する」など)を有していないということになる。
- また、リヒテンシュタイン家の家産はハプスブルク家(ハプスブルク・ロートリンゲン家)の重臣としてウィーンなどにおいて蓄積されたもので、リヒテンシュタイン公国とは無関係である。
- このため、議会・政府側は家産を収公するための大義名分(「もとをただせば国民の物」など)を持っていない。
- ちなみに、リヒテンシュタイン家が国外に所有する私有地の面積の合計はリヒテンシュタイン公国の国土を軽く凌ぐものである。
- 2. 1930年代のナチズムの台頭に対し君主大権を行使しこれを防いだこと
- ドイツでのナチスの躍進にともなって公国内でもナチス支持者が増加し、次回総選挙では多数の当選者が出ることが予測されていた。この危機に対してフランツ・ヨーゼフ2世は君主大権によって総選挙を無期延期とし、ナチスの勢力拡大を防いだ。
- この時総選挙が延期されずに実施されていたならば、リヒテンシュタイン公国はナチス・ドイツへの併合あるいは枢軸陣営での参戦などという事態となり、第二次世界大戦の惨禍をまともに受けていたと考えられている。
- リヒテンシュタイン家ではこの間の経緯について「君主大権の行使により国難を未然に回避した」と自負しているようであり、君主大権を保持し続けることの妥当性を示していると考えているらしい。
[編集] 地方行政区分
全部で11の基礎自治体(ゲマインデ)に分かれる。これらは、旧ファドゥーツ伯爵領のオーバーラント(高地)と、旧シェレンベルク男爵領のウンターラント(低地)に分けることができ、現在でも国政選挙の選挙区としてこの区分が残っている。
[編集] 地理
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面積は南北に25km、東西に6kmという狭さで日本の小豆島とほぼ同程度、人口は3万強。ドイツのシュヴェービッシュ・アルプスの延長線上に連なり、国土は山がち。西はスイス、東はオーストリアと接している。スイスとの結びつきが非常に強い国で、スイスとの間にパスポートコントロールなどはなく、住民、旅行者は自由に行き来できる。
[編集] 経済
主要な産業は、精密機械、牧畜と医療。ほかに観光、国際金融、切手発行もよく知られている。スイスとの関税同盟があり、郵便や電話の制度はスイスと共通となっている。
タックスヘイブンとしても知られ、税金免除を目的とした外国企業のペーパーカンパニーも集中。これら法人税が税収の40%に及び、この結果、一般の国民には、直接税(所得税、相続税、贈与税)がない。
近年はEUとの課税に関する条約に調印し、EU市民の預金については利子課税がなされることになった。これらの預金者の情報は相手国に通知しないで一括して課税分がリヒテンシュタインから支払われることになっており、「銀行守秘義務」は維持されている。(同様の銀行守秘義務を維持している国は欧州ではスイス、モナコ、サンマリノがある。)
OECDが指名する「非協力的タックス・ヘイブン・リスト」(租税回避地)に掲載されている5カ国の一つである。
この国に拠点を持つ会社としては、半導体・光ディスク用製造装置で有名なユナクシス社(旧バルザース社)、建築加工機器のヒルティ社、歯科材料のイボクラー社が有名。労働者の約半数はスイス、オーストリアから毎日越境している。
[編集] 国民
住民はドイツ系で、ゲルマン系のドイツ・アレマン人が86%、その他イタリア人、トルコ人などが14%である。
言語は公用語がドイツ語である。
宗教はローマ・カトリックが76%、プロテスタントが7%などとなっている。(2002年6月時点)
[編集] 文化
- チェコの作家カレル・チャペックの『山椒魚戦争』ではサンショウウオによる世界水没に対処するため、ファドゥーツで各国による国際会議が開かれた。
- 宮崎駿監督の「ルパン三世 カリオストロの城」の舞台となった、カリオストロ公国のモデルとなったことでも知られている。
[編集] 交通
- 国内の主要な交通は路線バスであり、各所を結ぶ路線が頻繁に運転されている。黄色い車体のリヒテンシュタインバスをよく目にすることができる。主なバス停は郵便局の前であることが多い。バスはライン川対岸のスイスの鉄道駅のほか、オーストリアのフェルトキルヒ駅への路線もある。この路線は国境でパスポートコントロールを受ける。また、ユーロで運賃を支払うこともできる。
- 国内を鉄道が走っているが、運行をしているのはオーストリア国鉄である。オーストリアとスイスを結ぶ国際急行列車も通過するが、リヒテンシュタイン国内にはローカル駅しか存在しないため、多くは全駅を通過する。
- 空港は存在しない。もっとも近い主要国際空港はスイスのチューリヒ国際空港である。
[編集] 出身者
- ヨーゼフ・ラインベルガー - 作曲家・オルガン奏者・指揮者。
[編集] 関連項目
- リヒテンシュタイン関係記事の一覧
- リヒテンシュタイン家
- 欧州自由貿易連合
- ドイツ人
[編集] 外部リンク
[編集] 公式
- 政府公式サイト
- 政府観光局 (英語、ドイツ語)
[編集] その他
- リヒテンシュタインの歩き方(日本語)
- 日本外務省 リヒテンシュタインの情報
- ユナクシス社(英語)- リヒテンシュタインの有名企業
- リヒテンシュタインはヴィルヘルム・ハウフ Wilhelm Hauff 作の小説("Lichtenstein"、1861年)の名前でもある。
- 多くの人物の姓にもなる。例;ロイ・リキテンスタイン
- 世界の国々 > ヨーロッパ
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