ボンドカー
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ボンドカー (Bond vehicles) とは映画、007シリーズに登場して、主にボンドが運転するクルマをさす。
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[編集] 概要

シリーズ3作目「ゴールドフィンガー」で、MI6の秘密兵器開発主任である「Q」により開発された色々な秘密兵器が搭載された車(アストンマーチンDB5)が初登場し、以降の作品の目玉となった。作品によって車種も搭載された秘密兵器も異なるが、防弾ガラス・機関銃・小型ミサイル・せり出し式の装甲板などを装備したものもあった。さらには助手席のシートが飛び出たり、煙幕を発射したり、潜水艦に変身したり、観る者を楽しませた。また、ほとんどの場合ボンドガールが助手席に座っている事が多いのだが、最近では、ボンドが単独で運転していることも増えてきた。
ほとんどの場合、壁に突っ込む・ビルから転落・電動ノコで真っ二つになるなどして大破するが、それはボンドが本来ベントレーが好きで、MI6に押し付けられた他社製の車が気に入らないためだという説あり。しかし、後年の作品ではアストンマーチンDB5がボンドのプライベートカーとして登場する(MI6の払い下げ車との設定)。
注目度が高いために、1970年代以降は高額な契約金を元にタイアップ契約をした契約先の売り出し中の車種を使用する例も多い。なお、2006年現在はアストンマーチンの親会社であるアメリカのフォード社と契約していることもあり、作品内に登場する車はボンドカー以外もフォードやジャガー、ランドローバーやダイムラーなどフォード・グループの車が殆どである。
[編集] 歴代ボンドカー
- 『007 ドクター・ノオ』---サンビーム・アルパイン
- 『007 ロシアより愛をこめて』---ベントレーマークIV・コンバーチブル ---装備:自動車電話
- 『007 ゴールドフィンガー』---アストンマーチン・DB5(DP216-1プロトタイプ)
- 装備:機関銃・可変ナンバープレート(ナンバー4711・EA・62(フランス)⇔BMT216A(イギリス)⇔LU・6789(スイス))・ナビシステム・スピンナー・せり出し式防弾装甲・携帯発信器ホーマーの受信機(有効距離240km)・煙幕・オイル散布装置・イジェクトシート(助手席を射出で飛ばす)・攻撃用バンパーガード、運転席下の武器、無線電話、格納庫等。
- エリザベス女王の在位40周年記念式典でもお披露目される。使用したタイヤがピレリーとドン・ノットの2種類あることを9歳児に指摘された。チャールズ皇太子も子供の頃ミニカーに乗って遊んだ。1965年にコーギー(CORGI)より発売されたミニカーは世界で200万台売れた。1994年に7500台限定の14金製ミニカーを販売。
- 『キャノンボール』にロジャー・ムーアが出演しており、一部の特殊装備が劇中で使用されている。
- 『007 サンダーボール作戦』---アストンマーチン・DB5---放水銃・せり出し式防弾装甲等
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- 『007は二度死ぬ』---トヨタ 2000GT---2台のみ特注されたコンバーチブルボディ・ソニー製テレビ電話等。ただしボンドの愛車ではなく、丹波哲郎演ずるタイガー・田中率いる日本の諜報部の所有車なので(運転したのは若林映子 演ずるアキ)、厳密に言うとボンドカーではない。この作品以降、日本車は登場したことがない。
- 『女王陛下の007』---アストンマーチン・DBS 冒頭の海岸シーン、ラストの結婚式のシーンに登場する。
- 『007 ダイヤモンドは永遠に』---フォード マスタング・マッハ1
- 『007 死ぬのは奴らだ』---見せ場として二階建てバスとボートのチェイスがある。
- 『007 黄金銃を持つ男』---アメリカン・モーターズ ホーネット。この車が選考されたのは、この作品の自動車提供が同社であった上、見せ場である一回転ジャンプのカーアクションシーン撮影において、最もバランスよく回転できるウェイトバランスを持っていたためである。
- 『007 私を愛したスパイ』---ロータス・エスプリ(通称:ウェットネリー)---潜水モード・地対空ミサイル・セメント散布装置・小型魚雷等の水陸両用タイプ。
- 『007 ムーンレイカー』---(ボンドカーは登場しない。代わりに特殊装備の付いたボートとゴンドラが登場する。ゴンドラは、通称:ボンドラとよばれる。)
- 『007 ユア・アイズ・オンリー』---ロータス エスプリターボ---盗難防止(自爆)装置。白と濃茶の2台が登場するが、白は自爆装置が災いしてあっけなく爆破。その後のシトロエン2CVでのカーチェイスのきっかけとなる。
- 『007 オクトパシー』---メルセデス・ベンツ250SE 所有者のオルロフ将軍から盗み、鉄道用の線路にホイールをはめるなどして、電車を追跡した。
---アルファ・ロメオGTV 公衆電話で電話中の女性から盗難した。
- 『007 美しき獲物たち』(こちらもムーンレイカーと同じくボンドカーは登場しないが冒頭、敵のパラシュート追跡するためにルノー11のタクシーを利用してカーチェイスを行った。後半では、消防車を盗みパトカーとカーチェイスを繰り広げる)
- 『007 リビング・デイライツ』---アストンマーチンV8---「女王陛下の007」以来のアストン・マーチンの登場。盗聴無線、レーザーカッター、防弾ガラス、ロケットランチャー、オートスパイクタイヤ、スキーアウトリガー、ロケットブースター、自爆装置等。氷上カーチェイスの後、ボンド自ら作動させた自爆装置で爆破したりと盛り沢山。
- 『007 消されたライセンス』---(またまた、「ムーンレイカー」や「美しき獲物たち」とおなじくボンドカーは登場しないが、タンクローリー(盗難)でカーチェイスを繰り広げる。)
- 『007 ゴールデンアイ』---BMW・Z3---Qいわくスティンガーミサイル等を装備していたらしい。Z3シリーズ発売直前のティーザーキャンペーン的登場で、何ら活躍しない。その割にはイギリスで007登場記念の限定車(仕様は内外装を映画と同一にした他、ダッシュボードの助手席部分に007の刻印やMスポーツサスペンションを装備など)が発売された。また、この作品以降、自動車メーカーが自社の新型車やプロトタイプモデルをまず映画でお披露目するというパターンが激増した。実際には、活躍するシーンも撮影されたが、本国のアストンマーチン愛好家・クラブから猛反発されたため、劇場公開ではカットされたとも言われている。
- アストンマーチン・DB5---プライベートカーとして登場。冒頭でゼニア・オナトップのフェラーリF355GTSとチェイスするシーンがある。装備:シャンパンやプリンター(MI6本部からの情報用)等。
- T-55---戦車。見せ場として、ドリフトするシーンなど。
- 『007 トゥモロー・ネバー・ダイ』---BMW 750iL-- -ルーフ部小型ミサイル・ワイヤーカッター・まきびし・遠隔操作装置等。撮影に際し、複数の同型車が用意された。ホテル駐車場でのカーチェイスシーン(実際の撮影は郊外のスーパーマーケット駐車場)では、ドアミラーにCCDカメラが埋め込まれた車両や、設定ミスによるアルミホイール違いの車両(パンクしたタイヤが自動修復されるシーン)が確認できる。ラストは屋上から落下し、店舗に突入(劇中内でボンドはこの車をレンタカーチェーン、エイビスの店員に扮したQから受領しており、突入した店舗も同じくエイビス。「車を返却した」と言うユーモアとして描かれている)。他の作品でもボンドがセダンに乗っているシーンはあるが、秘密兵器を搭載したボンドカー唯一のセダン。後部座席の窓から乗り降りする、というシーンを採用したいがために、E38が選ばれたという。この宣伝効果でBMW7シリーズの売り上げが伸びた。ちなみに実際の撮影には、エンブレムから飛び出るワイヤーカッターを格納するために、エンジン長の短いV8エンジン搭載車が採用された(→750ではない)。
- アストンマーチン・DB5---プライベートカーとして登場。
- 『007 ワールド・イズ・ノット・イナフ』---BMW・Z8---小型ミサイル等。たいした活躍もないままヘリコプターカッターで真っ二つにされる、最も気の毒な使われ方のボンドカー。真っ二つに切断された車は、精巧に作られた張りぼて。なお、この頃BMW社がローバーの経営から撤退したことが災いし経営状況が一時的に悪化し、タイアップ契約を延長しなかったことから、この作品以降BMWは使われなくなった。ちなみにZ8の生産が間に合わなかったため、実車はコルベットにZ8のドンガラをかぶせた物だった。
- 『007 ダイ・アナザー・デイ』---アストンマーチン・V12ヴァンキッシュ---光学迷彩装置・自動追尾散弾砲・マシンガン・ミサイル、エジェクター・シート等。ただし撮影では秘密兵器部分のスペースの為V8を積んでいた。一部は4WDに改造。
- 『007 カジノ・ロワイヤル』---アストンマーチン・DBS(応急キットがダッシュボードに搭載され、腕に針を刺すと瞬時にMI6へ症状が電送され専属医師(2名以上とみられる)の指示を仰げ、各種抗生剤や解毒剤も注射器の状態で完備。症状によっては心臓マッサージを行うことも可能)、DB5(DB5については1964年モデル、カジノで勝ち取る設定のためMI6の所有車両では無い。計5作目の登場だがシリーズ内では初の左ハンドルタイプのDB5)。
[編集] 関連項目
[編集] 外部リンク
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ショーン・コネリー | ドクター・ノオ - ロシアより愛をこめて - ゴールドフィンガー - サンダーボール作戦 - 007は二度死ぬ - ダイヤモンドは永遠に |
ジョージ・レーゼンビー | 女王陛下の007 |
ロジャー・ムーア | 死ぬのは奴らだ - 黄金銃を持つ男 - 私を愛したスパイ - ムーンレイカー - ユア・アイズ・オンリー - オクトパシー - 美しき獲物たち |
ティモシー・ダルトン | リビング・デイライツ - 消されたライセンス |
ピアース・ブロスナン | ゴールデンアイ - トゥモロー・ネバー・ダイ - ワールド・イズ・ノット・イナフ - ダイ・アナザー・デイ |
ダニエル・クレイグ | カジノ・ロワイヤル |
番外編 | カジノ・ロワイヤル - ネバーセイ・ネバーアゲイン |
テレビゲーム | ゴールデンアイ - ナイトファイア - エブリシング・オア・ナッシング |
関連項目 | ジェームズ・ボンド - ボンドガール - ボンドカー - MI6 - 007シリーズ |