中距離電車
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中距離電車(ちゅうきょりでんしゃ)とは運行の中心駅より中距離を結ぶ電車のことである。「中電」(ちゅうでん)と略称されることが多い。ただし、この場合の「中距離」とは、列車の運行の中心駅より100~200km見当を指すと言われている。また、この用途で使用される車両を一般に近郊形電車・一般形電車という。「中距離列車」ということもある(旅客案内上、近距離は「電車」で、中距離以上は「列車」のため →電車線・列車線も参照)。基本的にはJRで「普通列車」として運転されている列車がこれに該当するが、一般的に多用される言葉ではない。
通勤電車(近距離電車)と中距離列車が同一線で運行されている路線として、JR東日本の常磐線(常磐快速線)と中央線(中央快速線)がある。これらの線区においては、同一路線を走る近距離の快速電車の終着駅より遠方に行く列車に、区別の意味合いからこの名称を用いる場合がある。
単純に区別すれば、同等の距離を走行する快速列車(近距離の快速電車ではない)や特急も含むことになるが、特にこのような呼び方をする場合、それらを除外した一般種別としての普通列車のみを指す場合が多い。これは、快速列車や特急がその固有の名称を用いれば問題なく通じるのに対し、普通列車は近距離の快速電車よりも停車駅が少ないこともあることから、誤解や混乱の要因となるためと考えられる。
[編集] 常磐線
常磐線の場合には、401系車両が使用されはじめる前から旧型国電が運行されており、この電車の運行上の終点である取手駅を越える列車が、運行表示上「普通」と表示されていた。そのため、複々線化される前は同じ路線上で各駅に停まる「電車」(近距離電車・国電)と、一部の駅にしか停まらない「普通列車」(中距離列車)が並立していた。
1971年の常磐線の綾瀬~我孫子間の複々線化により、上野へ直通する常磐快速線と営団地下鉄千代田線(現:東京地下鉄千代田線)に乗り入れる常磐緩行線を分離した。このとき、従来の上野発着の「電車」は、複々線区間においては快速線上を走行するようになって快速電車と称することとなった。また、今まで上野から取手までの各駅に停まっていた近距離電車は、複々線化により綾瀬から千代田線へ直通させることになり上野へは直通しなくなった。この「常磐緩行線上を走行する電車」は各駅停車と呼ばれるようになり、取手駅を越えて土浦駅・水戸駅方面へ行く中距離普通列車と区別する際に使われる言葉となった。そして中距離列車は、複々線区間においては快速線上を走行することになった。
当初、「快速電車」と「普通列車」では普通列車の方が停車駅が少なかったが徐々に増え、2004年3月13日に三河島駅・南千住駅に全日停車となったことで、短距離を運行する「快速電車」と中距離「普通列車」との差が停車駅上は存在しないことになった。そして、2004年10月16日より、中距離電車も上野駅~取手駅間においては「快速」と案内されるようになり、従前の「快速電車」と案内の上でも差がなくなった。さらに、取手以南において「各駅停車」と「普通列車」の停車駅が異なるという利用者にとってわかりにくい状態も解消されることになった。
なお、JRのプレスリリースなどにおいても、特に取手駅以南の区間を含むものの場合は「中距離電車(列車)」の表現が多用される(近年の例外は通勤快速の廃止時で、この時は「普通列車化(取手~上野間快速運転)」と記載した)。他方、水戸支社においては、「普通列車」を多用される傾向にあり、「上野~取手間快速運転」などの注記がなされることも滅多にない。
なお、本件に関する内容については、常磐快速線・常磐緩行線・電車線・列車線等も参照されたい。
[編集] 中央本線
中央本線においては、いわゆる旧型国電で運行されていた急行電車の運行上の終点である高尾駅を越える客車列車に70系車両(後に、115系)が充当されたことで、急行電車より停車駅の少ない普通電車が走ることとなった。停車駅は高尾まで立川と八王子のみであった。その後、民営化前に三鷹にも停車するようになり、その後立川駅発着の列車は西八王子(その後1993年4月に日野駅、豊田駅も追加)に停車をするようになった。
しかし、急行電車の後身である快速電車の本数が増えたことにより、普通電車の新宿駅発着列車が減少。代わりに、甲府駅・松本駅方面へは、立川駅・高尾駅発着の列車が多くなった。1984年2月1日ダイヤ改正の時点で新宿発着は下り9本、上り7本(うち下り・上り1本ずつは夜行)となっていた。
新宿駅始発の定期列車であった普通列車は1985年3月14日のダイヤ改正でいったん下りの夜行便1本を除いて立川駅・高尾駅発着のみとなる。しかし、山梨県サイドの要望もあり1986年11月1日のダイヤ改正で朝夕を中心に下り7本(うち1本は夜行)、上り4本が再び新宿発着となった。その後、快速電車の201系電車による大月駅までの定期列車乗り入れと引き換えに徐々に新宿発着の普通の本数が削減され、最終的に残っていた早朝・深夜の下り3本、上り1本の新宿発着の列車が1993年12月1日のダイヤ改正で廃止されて姿を消した。
こうしたことにより、常磐線と違い普通列車と快速電車の呼称についての問題は浮上することがなかった。
なお、こういった経緯から2005年現在でも、新宿駅や東京駅、総武本線千葉駅・大宮駅方面より甲府駅・松本駅・富士急河口湖駅方面へ直通するホリデー快速・快速列車の中には、高尾駅までの快速電車・特別快速よりも停車駅が少ない列車が存在する。
例として同じホリデー快速であってもおくたま・あきがわとビューやまなし・河口湖では停車駅が異なっている。これは前者は中央線特別快速電車の一種であるため中央線内の停車駅は通常の特快と同じだが、後者は中距離の快速列車であるため特快よりも停車駅が少ない。