近鉄天理線
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天理線(てんりせん)は、奈良県大和郡山市の平端駅から奈良県天理市の天理駅までを結ぶ近畿日本鉄道の鉄道路線。
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[編集] 路線データ
全線、大阪輸送統括部(旧上本町営業局)の管轄である。
[編集] 運行形態
線内折り返し列車のほか、橿原線直通の大和西大寺~天理間の普通列車、京都線京都直通の急行(平日1本のみ大和西大寺行きを運転)も運転されている。昼間時は橿原・京都線直通急行が毎時1本、橿原線直通普通列車が毎時1本、線内折り返し列車が毎時2本、合計4本(15分毎)運転されている。
また、天理教祭礼時には近鉄難波・京都・名古屋への急行・特急を含む臨時列車が運転される場合がある。
[編集] 車両
近鉄橿原線との直通列車が多い関係で、近鉄奈良線、近鉄京都線で使われる車両が天理線でも使われる。
京都地下鉄烏丸線対応の3200系、3220系などの6両単独編成も使用される。 急行列車は6両編成(一部列車は4両)。普通列車は大半が4両編成であるが、早朝深夜には奈良線系統唯一の存在である2両編成も1往復設定されているほか、線内折り返し列車には6両編成も存在する。特に天理教祭礼時の臨時ダイヤではその割合が増加するが、列車自体は大和西大寺発着で大和西大寺~平端間を回送列車として運行されるものもある。
[編集] 歴史
天理軽便鉄道が軌間762mmの軽便鉄道として新法隆寺~天理間を1915年に開業させたのが始まり。新法隆寺駅は国鉄関西本線法隆寺駅の近くにあり、同線と連絡して大阪方面と天理を結んでいた。
天理軽便鉄道は、橿原へ向け新線(畝傍線、後の近鉄橿原線)の工事を進めていた大阪電気軌道(大軌)に、畝傍線に対する国の免許交付時の条件とされていたことや、大阪方面からの乗客数が行きはともかく、帰りは奈良に寄る者が多かった(桜井線→関西本線のルートを使用した)ことから伸びず、その上に1920年には政府からの補助金が打ち切られるため、自ら買収を要請したことから、1921年に合併される。そして、翌1922年に平端~天理間の電化と標準軌への改軌が行われ、大軌畝傍線が平端駅まで開通すると同時に、上本町~天理間に直通列車が走るようになった。
一方で法隆寺線となった近畿日本法隆寺~平端間は、最後まで軌間762mmの非電化路線のままで、1945年に休止後、廃止された。
- 1915年(大正4年)2月7日 天理軽便鉄道が新法隆寺(のちの近畿日本法隆寺)~天理間開業。蒸気動力。
- 1921年(大正10年)1月1日 大阪電気軌道に買収。新法隆寺~平端間が法隆寺線、平端~天理間が天理線となる。
- 1922年(昭和11年)4月1日 天理線平端~天理間を標準軌に改軌、電化。
- 1928年(昭和3年)5月30日 法隆寺線、ガソリン動力併用認可を受ける。
- 1928年(昭和3年)7月1日 法隆寺線 新法隆寺駅を大軌法隆寺駅に改称。0.2km短縮。小型ガソリンカーを導入。
- 1941年(昭和16年)3月15日 法隆寺線 大軌法隆寺駅を関急法隆寺駅に改称。
- 1944年(昭和19年)6月1日 法隆寺線 関急法隆寺駅を近畿日本法隆寺駅に改称。
- 1945年(昭和20年)2月11日 法隆寺線近畿日本法隆寺~平端間が休止。
- 1952年(昭和27年)4月1日 休止中の法隆寺線が廃止。
- 1968年(昭和43年)10月10日 ATS使用開始。
- 1969年(昭和44年)9月21日 架線電圧を600Vから1500Vに昇圧。
- 1973年(昭和48年)9月20日 建築限界拡大工事竣工。これに伴い平端駅の天理線・橿原線ホームを分離する。
- 1988年(昭和63年)2月11日 二階堂~天理間が複線化。
- 1988年(昭和63年)6月27日 平端~二階堂間が複線化。
- 1992年(平成4年)12月20日 列車運行管理システム(KOSMOS)稼働開始。
- 2000年(平成12年)3月21日 ご乗降確認システム(フェアシステムK)稼働開始。
[編集] 駅一覧
- 普通列車は省略。急行・普通列車ともに天理線内は各駅に停車。
- 京都線・橿原線直通列車の京都~大和西大寺~平端間の停車駅は近鉄京都線・近鉄橿原線を参照。
- 天理教の祭事が行われる時の臨時特急に関しては、近鉄特急を参照。
駅名 | 営業キロ | 急行 | 接続路線 | 所在地 | |
---|---|---|---|---|---|
最長運転区間 | 京都 | ||||
平端駅 | 0.0 | ● | 近畿日本鉄道:橿原線 | 奈良県 | 大和郡山市 |
二階堂駅 | 1.3 | ● | 天理市 | ||
前栽駅 | 3.2 | ● | |||
天理駅 | 4.5 | ● | 西日本旅客鉄道:桜井線 |
[編集] 廃止区間
1948年に休止、1952年に廃止となった区間(法隆寺線、駅名は廃止時のもの)
平端駅 - 額田部駅 - 大和安堵駅 - 近畿日本法隆寺駅
[編集] その他
近鉄天理線には「特急」(臨時)・「急行」・「普通」の3種別しか存在しないが、過去に存在した名残として車両の方向幕では天理行「快速急行」と「準急」が、駅のソラリー(回転式発車案内)では「快速急行」が存在する。そのソラリーによると大和西大寺~天理間の途中停車駅は、郡山・平端となっている(学園前駅のみで見ることができる、過去には生駒駅でも見られた)。
[編集] 関連項目
大阪・名古屋線系:大阪線 - 信貴線 - 名古屋線 - 湯の山線 - 鈴鹿線 - 山田線 - 鳥羽線 - 志摩線
奈良・京都線系:奈良線 - 難波線 - 生駒線 - 京都線 - 田原本線 - 天理線 - 橿原線 - けいはんな線
狭軌(1,067mm)
南大阪線 - 道明寺線 - 長野線 - 御所線 - 吉野線 - 伊賀線 - 養老線
特殊狭軌(762mm)
内部線 - 八王子線
ケーブルカー
生駒鋼索線 - 西信貴鋼索線
ロープウェイ
葛城索道線
廃止・譲渡路線
長谷線 - 山上線 - 法隆寺線 - 大浜支線 - 小房線 - 伊勢線 - 伊賀線 - 志摩線 - 八王子線 - 東信貴鋼索線 - 北勢線