武田信玄 (NHK大河ドラマ)
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『武田信玄』(たけだしんげん)はNHKが1988年(昭和63年)に放送した大河ドラマ。第26作目。放送期間は1988年1月10日 - 12月18日で全50回。平均視聴率は39.2%、最高視聴率は49.2%を記録した。主演は中井貴一。
2000年4月から8月までの平日午後、大河ドラマアンコールとして、総合テレビで全話再放送された。また、CSでは時代劇専門チャンネルにて2004年6月から8月にかけて放送され、2004年と2005年の年末年始にかけても同チャンネルで一挙放送された。(ただし、「政宗」同様にオープニング前のアバンタイトルの解説はCS放送ではカットされている)
NHK大河ドラマ | ||
通番 | 題名 | 放映期間 |
第25作 | 独眼竜政宗 | 1987年1月4日 ~1987年12月13日 |
第26作 | 武田信玄 | 1988年1月10日 ~1988年12月18日 |
第27作 | 春日局 | 1989年1月1日 ~1989年12月17日 |
目次 |
[編集] あらすじ
戦国時代、四方を山に囲まれた甲斐国で、知謀策謀の限りを尽くし強固な家臣団と国造りで領土を広げ、“戦国最強の騎馬軍団”を率い織田信長・徳川家康も恐れた男、武田信玄。父を追放し我が子を死なせると言う家族·肉親の悲劇的関係に悩みながら独自の手法で信濃を平定、越後の上杉謙信と川中島で死闘を繰り広げる。「人は城 人は石垣 人は堀 情けは味方 仇は敵なり」と言う信条で戦国時代を力強く生きた信玄の生涯を、大合戦シーンと豪華俳優陣で描く戦国絵巻。
[編集] 作品内容と特徴
原作は新田次郎の同名歴史小説で、新田作品の大河ドラマ化ははじめて。前年の『独眼竜政宗』に続いて戦国時代を扱った作品であり、翌年の『春日局』と80年代後半はほぼ同時代の作品が続くこととなった。甲斐の戦国大名である武田信玄(晴信)が主人公。類似テーマとして、1969年に上杉謙信を主人公に川中島合戦などを描いた『天と地と』、2007年に武田家の軍師山本勘助を主人公にした井上靖原作の『風林火山』がある。主演の中井貴一は、本作が大河ドラマ初出演。
この作品には中井をはじめ2世俳優が数多く登場し、2世俳優ブームを巻き起こした。中井演じる信玄は、終始髷を結っており、丸坊主に立派なもみ上げ姿に描かれた有名な長谷川等伯(信春)筆の肖像画(高野山成慶院蔵)とは程遠い姿に見えるが、近年、像主が信玄ではなく能登の畠山義総であるとする学説が有力視されるようになっており、実際の信玄像と近かったのではないかとの評もある。また小川真由美が演じた八重(三条の方の侍女)は、その悪女ぶりと化け物じみた雰囲気が視聴者の嫌悪と恐怖を誘い、今も一部のファンにカルト的人気がある。一方、登場人物を見ると穴山信君、内藤昌豊、小山田信茂、跡部勝資、長坂光堅など、後の武田家の運命を大きく左右するような家臣は一切登場しない。また、信玄と関わりの深い僧である快川紹喜も出てこない。上杉家、織田家についても主要な人物(羽柴秀吉、明智光秀、丹羽長秀、柿崎景家等)が登場しない。
『川中島の戦い』がドラマ最大の見せ場だが、オープニングナレーションでは『合わせて5回行われた川中島の戦い』と言っているにもかかわらず、劇中では4度目の戦いで終わっている。5回目の合戦をあっさり飛ばしてしまったが、第5次川中島の戦いでは本格的戦闘が行われなかったとされる。
前年の「独眼竜政宗」の高視聴率の流れを受け、序盤の視聴率は極めて高かった。各放送回の最後に、ナレーション(大井夫人)の若尾文子が語る、「今宵はここまでに致しとうございます」と言うナレーションが必ず用いられ、この年の流行語大賞に選ばれた。
第3回までのタイトル文字と、第4回以降のそれとに違いがあるが、これは最初にタイトル文字を担当した書家の受賞経歴の詐称問題により、他の書家のタイトル文字に変更になったからである。
本作の為、舞台の山梨県では小淵沢町(現北杜市)にオープンセットが建設された。
[編集] スタッフ
[編集] 主な登場人物とキャスト
[編集] 武田家
- 武田晴信-武田信玄(真木蔵人(マイク真木の子)→中井貴一(佐田啓二の子。当初は松平健を予定。また役所広司も候補に挙がっていた)
- 甲斐の大名。お館様。
- 三条の方(紺野美沙子)
- 八重(小川真由美)
- 三条の方侍女。原作に登場しないドラマオリジナルの人物。原作の三条そのままのキャラクターでは、三条を演じる紺野美紗子のイメージが悪くなることを危惧して創作されたといわれる。そのため、原作の三条の悪い部分を強烈にしたようなキャラクターとして描かれている。三条、義信のために尽くすが、結果的に武田家を危機に陥れる。三条の死の直後に自害。
- 武田信虎(平幹二朗)
- 大井夫人・ナレーション(若尾文子)
- 晴信・信繁・信廉・於豊の母。子供達を温かく見守る。
- おここ(南野陽子)
- 晴信の初恋の人。川中島生まれ。
- 湖衣姫(南野陽子)
- 里美(大地真央)
- 信玄の側室で良き理解者。原作では禰津元直の娘だが、このドラマでは倉科三郎左衛門の孫。男勝り。実際には信清を産んでいるが、このドラマでは信玄の子を授からない。
- 恵理(池上季実子)
- 武田信繁(若松武)
- 信虎の次弟。兄を敬う。
- 武田信廉(長尾豪二郎→篠塚勝)
- 信虎の三弟。絵が得意。
- 武田義信(中村七之助 (2代目)(中村勘三郎の子)→石関賢太郎→六浦誠→堤真一)
- 信玄の長男。謀反の計画が発覚し、父に誅される。
- 竜宝(猪岡拓郎→高橋守→渡浩行)
- 信玄の二男。盲目。
- 諏訪勝頼-武田勝頼(安藤壮洋→福原学→真木蔵人)
- 信玄の四男。1話での好評を受け、真木の再登場。
- 雪姫(徳丸純子)
- 勝頼の正室。織田信長の養女。信勝の母。
- 武田信勝(黒田勇樹)
- 信玄の嫡孫。勝頼の子。
- 松姫(上田愛美→香川沙美)
- 信玄の娘。織田信忠の婚約者。
- 禰々(山下容莉枝)
- 信玄の妹。諏訪頼重の正室。夫を奪った兄を恨む。
- らん(宮崎萬純)
- 信虎の愛妾。信虎を追って駿河に行く。
- たき(結城美栄子)
- 湖衣姫の乳母。湖衣姫の死後は勝頼の身の回りの世話などをしていた。諏訪家の残党が勝頼たちのいる屋敷を襲撃した際、勝頼を守って死亡。
[編集] 武田家臣
- 山本勘助(西田敏行):義元に甲駿2国間諜を命ぜられ悩む。信玄の器量に触れ、その手足として働く。
- 板垣信方(菅原文太):老臣。晴信の傳役。晴信が師と慕う。
- 甘利虎泰(本郷功次郎):板垣とともに晴信を補佐。
- 飯富虎昌(児玉清):義信の傳役として、その謀反の責任を一身に負おうとする。八重と親しい。
- 原虎胤(宍戸錠):鬼美濃。全身に向こう傷の豪傑。(2007年の『風林火山』では今作にも登場している息子・宍戸開が原虎胤を演じている)
- 馬場信春(美木良介):信玄に信頼される。ほぼ全編に登場。
- 真田幸隆(橋爪功):弁舌優れた謀将。終盤信玄の相談相手。
- 飯富三郎兵衛-山県昌景(篠田三郎):合戦上手。外交・内政にも優れた万能型。信玄の側に仕える。
- 源助-春日昌信-高坂弾正(村上弘明):海津城主。農民から才覚を生かして出世。美男。
- 原昌俊(小林克也):陣馬奉行
- 原昌胤(岡村靑太郎):昌俊の子、陣馬奉行。
- 阿部勝宝(佐藤慶):勝頼の傳役。
- 倉科三郎左衛門(浜村純):倉科党の党目。なぜか信玄を晴信殿と呼んでいた。里美の爺の設定。
- 岐秀和尚(内藤武敏):晴信の学問の師。
- 石和甚三郎(丹波義隆):晴信の近習
- 塩津与兵衛(宍戸開):晴信の近習。宍戸は親子で出演。
- 立木仙元(矢崎滋):信玄付医師。
- 御宿監物(石丸謙二郎):立木死後の信玄付医師。
- 平三(渡辺正行):源助の幼なじみ。源助の出世を羨む。
- とら(佐々木すみ江):平三の母。子思い。足が悪いフリをしていた。
- 山本勘市(小日向範威→石川博之→ひかる一平):勘助の子。父の仇を追う。
- きぬ(田島令子):勘助の妻
- 今井兵部(森田順平):奉行・金山衆頭
- 前島伊豆守(三上真一郎):第1回のみ。信虎に異を唱える。
- まさ(大多貴子):虎昌の妻
- 鎌田長門守(ジョニー大倉):元々はジョニー大倉は馬場信春の役だったが、事故のため降板し、撮影済みの映像をこの役に割り当てた。
[編集] 上杉家・今川家・北条家
- 長尾景虎-上杉謙信(柴田恭兵):越後の大名。義を重んじ、毘沙門天の生まれかわりを自任。利に賢い信玄を憎む。宿敵・信玄と一騎討ちのシーンがある。準主役。
- 直江実綱(宇津井健):長尾家重臣。謙信を支える。
- 菊丸-大村景時(水谷敦):謙信の近習。
- 上杉景虎(蔵下輝美):謙信の養子。北条氏康の7男。
- 上杉憲政(滝田裕介):狡猾な関東管領。
- 大熊朝秀(勝野洋):長尾家臣。後に反旗を翻し武田家臣に。
- 北条高広(西岡徳馬):長尾家臣。
- 宇佐美定行(沼崎悠):長尾家臣。
- 本庄実仍(門田俊一):長尾家臣。
- 今川義元(中村勘九郎 (5代目)):駿河の大名。武田を甲斐の山猿と嘲り、信玄を下に見ていたが、信玄・信長の陰謀によって桶狭間に倒れる。
- 寿桂尼(岸田今日子):義元生母。その死を信玄の策略と疑い、甲斐への塩止めを発案。
- 今川氏真(神田雄次):義元の嫡子。
- 太源崇孚(太原雪斎)(財津一郎):義元の軍師。
- 於豊(石塚理恵):信玄の姉。義元の正室。氏真・於津禰の母。
- 於津禰(古村比呂):義元の娘。武田義信の正室。政略結婚ながらも義信を愛すが、離縁され駿河に送り返される際、信玄を叱責した。
- 北条氏康(杉良太郎):相模の大名。海を尊ぶ。信玄の人物を知り、これを認める。相模の海を見ながら自らを回顧し、その生涯を閉じる。信玄にとって謙信に次ぐ好敵手だった。
- 北条氏政(青山裕一):氏康の嫡男。その狭量を父に嘆かれる。
- 於梅(安藤明子→畑仲美和→岡本舞):晴信の娘、北条氏政の正室。父母を気遣う。
- 松田康郷(北村総一朗):北条家臣。外交を担い、甲府、駿府、春日山に度々出向く。
- 松田憲秀(井上孝雄):北条家臣。氏康側近。
- あや(岡田美里):氏康の娘、今川氏真の正室。
[編集] 織田家・徳川家
- 織田信長(石橋凌):尾張の大名。上洛を果たすも、武田の実力を知り、その西上を恐れる。
- 濃姫(麻生祐未):信長の正室。
- 織田信行(伊原剛志):信長の弟。
- 平手政秀(御木本伸介):信長の家臣。
- 平手汎秀(中嶋しゅう):信長の家臣。政秀の息子。
- 柴田勝家(岡田圭):信長の家臣。
- 佐久間信盛(平野稔→内田直哉):信長の家臣。
- 前田利家(滝口剛):信長の家臣。
- 梁田政綱(河原崎建三):信長の間者。今川上洛阻止に功。山本勘介と交流がある。
- 市川大介(大門正明):信長の家臣。信長に弓を教える。
- 徳川家康(中村橋之助 (3代目)):三河の大名。終盤に登場。武田と苦闘する若き日の家康を、橋之助が演じた。
- 松平忠正(柏木隆太):家康の家臣。桜井松平家当主。
- 酒井忠次(中丸新将):家康の家臣。
- 石川数正(村上幹夫):家康の家臣。
- 大久保忠佐(岡本勇三):家康の家臣。
- 本多忠勝(古瀬公則):家康の家臣。
- 菅沼定盈(下塚諒):家康の家臣。
[編集] 将軍家・その他の武将
- 足利義昭(市川團蔵 (9代目)):足利幕府第15代将軍。信玄の上洛を待ちわびる。
- 細川藤孝(西田健):将軍家家臣。のち織田家臣。
- 村上義清(上條恒彦):信濃の豪族。信玄を侮る。ヒゲ面。
- 諏訪頼重(坂東八十助 (5代目)):信濃の豪族。信虎の娘婿で信玄の義弟。湖衣姫の父。名族であることを誇り、甲斐を狙う。
- 千野伊豆入道(鈴木瑞穂):頼重重臣。頼継陣に突っ込む。
- 千野南明庵(藤木悠):頼重家臣。 千野伊豆入道のいとこ。
- 諏訪満隆(大宮悌二):頼重家臣。
- 小笠原長時(新井康弘):信濃守護。信玄を前に逃亡。
- 高遠頼継(三ッ木清隆):高遠城主。信玄に滅ぼされる。
- 長野業盛(保阪尚輝):簑輪城主。信玄に意地を見せるも、自刃。
- 畠山昭高(高橋豊):河内守護。
- 上泉秀綱(伊藤正博):兵法家。