仙台育英学園高等学校
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仙台育英学園高等学校(せんだいいくえいがくえんこうとうがっこう)は、、宮城県に所在する、学校法人仙台育英学園が運営する私立の高等学校である。
校舎は仙台市宮城野区の宮城野キャンパスと及び多賀城市の多賀城キャンパスの2つで、コース及び部活によって、2つのキャンパスのうち、いずれかに所属することになる。スポーツが盛んで、東北高等学校と並ぶ甲子園常連校として、特に知られている。(宮城県内の高校野球は、ここ20年近くこの2校による寡占状態が続いている)
1989年には全国高等学校野球選手権大会(夏の甲子園)で準優勝(優勝校は東京都の帝京高等学校)、2001年には選抜高等学校野球大会(春の甲子園;センバツ)で準優勝(優勝校は茨城県の常総学院高等学校)を果たし、高校野球における「白河越え」の悲願成就に最も近い高校として地元の期待を集めていたが、2004年の夏大会で駒澤大学附属苫小牧高等学校(北海道)に先を越され、果たせなかった。なお、軟式野球部は第47回全国高等学校軟式野球選手権大会で優勝を果たしている。
学生服は、男子はブレザー、女子は全国的にも珍しい濃緑のブレザー・スカートで、襟元に赤いリボンをあしらったものである。
同法人は東北地区で初の中等教育学校である仙台育英学園秀光中等教育学校も設置している。 尚、前橋育英高等学校、奈良育英高等学校、育英高等学校(兵庫育英)、鳥取県立鳥取中央育英高等学校とは交流や関係は無い。但し、全国高等学校野球選手権大会出場時、前述の兵庫育英のグラウンドで練習した実績がある。
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[編集] 不祥事・問題
[編集] 受験料肩代わり問題
2004年2月に推薦などで既に大学が決定している生徒も含めた生徒約100名に仙台育英学園側が受験料を肩代わりする形で東北文化学園大学への受験を推奨していた。大学側は「提携校なので多くの生徒が受けてくれるように頼んでいる」とコメントしたのに対して高校側は「進学先の決まった生徒の受験までは頼んでおらず、受験料も大学側は負担していない」と真っ向から否定している。 ただし高校側が「必ず受験してください。途中で帰った場合は受験していないとみなし、後日、整理(返)できなくなります」「出校日や卒業式に整理(返)を行いますので願書を提出した場所に来てください。10-11時にお渡しできます。印鑑を持参してください」といった書面を配布していること、「大学入試推薦委員会 仙台育英教頭」の名前で受験料の預かり証を発行していることから思惑はどうあれ受験料の肩代わりがあったことは事実である。 問題点をあげるならば入学意志のない受験により大学の倍率が本来のものとは乖離したものになること、大学受験は自由であるはずの生徒が学校側からの圧力を感じたことである。 尚、高校側はこの件に関しては「情報源を明かさない限り、取材には応じない」とした姿勢をとっている。
[編集] 暴露本
同高元教諭による虚妄の学園という内情や実情を記したとされる本が出版されていた。出版差し止め訴訟の結果、絶版となった。
[編集] 硬式野球部員における問題
- 2001年7月、3年生部員が2年生部員を殴る。
- 2001年8月、2年生部員が、1年生部員を蹴る。
- 2001年11月、硬式野球部員によるキセル乗車が明らかになり2002年10月まで対外試合禁止とし、2003年4月まで活動と部員獲得を自粛した。
[編集] 入試英語問題を盗用
2006年の特別進学コース、外国語コース入試問題において国立高等専門学校の入試問題を盗用しほぼそのままの形で出題した。 学校側はこの盗用について認め、謝罪している。
[編集] RV車の危険運転による死亡事故
2005年5月、同校の恒例行事であるウォークラリー(多賀城校舎から松島校舎まで新入生一同を歩かせる行事)の列に飲酒運転のレジャー用多目的車が突っ込み生徒3名が死亡、15人が重軽傷を負った。
[編集] 設置コース
- 特別進学コース
特別進学コースは宮城野キャンパスで授業を行う男女共学のコースで、1組は東大選抜クラスであり、一部の生徒は授業料が免除である。また一部の生徒は夏休みに東京で合宿し勉強する。課外講習に予備校の講師が教えることもある。コース内でも成績に応じてクラスのランク分けがされる。2006年春には東大合格者が3人誕生し確実に実績を残し、また下位クラスからも早稲田大学・同志社大学といった難関大学への合格者が生まれた。
- 外国語コース
外国語コースは多賀城キャンパスで授業を行う。他のコースとは違い、女子しか入れないコースであるため外国語女子コースまたは外女と呼ばれることもある。その名のとおり外国語を重視した授業で、海外提携校との単位の振り替えが可能なため、留学する生徒も少なくない。また、日本の伝統文化についても重視しており、21世紀に必要な英語力と国際文化を知ることが出来るコースであるとしている。
- 英進進学コース
英進進学コースは多賀城キャンパスで授業を行う男女共学のコースで、特進コースのように難関国立大学を目指すのではなく、少人数授業やレクチャークラスなど、個人の特性を重視して学力を向上し、志望大学の現役合格を目的としたコースである。大学進学だけではなく、就職希望の生徒にも対応している。よく「英語進学コース」と間違われる。2003年度より国公立大・難関私大を目指すAJクラスを新設。2004年度より簿記クラス開設。
- フレックスコース(2005年度よりそれまで存在した教養コースと合併)
フレックスコースは宮城野キャンパスで授業を行う男女共学のコースである。上記の3コースとは少し異なった形態で、基礎・基本を重視した授業内容になっている。将来へ役に立つ講座も多数設定され、資格にも対応している。このコースはそれまで似たような趣旨で存在した教養コース(2004年度は移行期間として存続、2005年度廃止)を男女共学化し、リニューアルする目的で2004年度に新設され、2005年度に教養コースと統合された。
- 通信コース
通信制課程。
[編集] 廃止された設置コース
- 秀光コース
現在の秀光中等教育学校の前身にあたるコース。中等教育学校として独立(キャンパスとしては高校と共用)する前は前期課程を「秀光中学校」で学び、卒業後全員が本校へ進学して秀光コースに入るという形式であった。そのため、秀光コースは全員、秀光中学校出身の生徒であった。
- 教養コース(2005年度廃止)
男子生徒のみで部活動に励む生徒も多かったコースである。このコースが存在していた時期は、学生数の大半を占めていたためにクラス数も多く、学生同士のいざこざが絶えなかった事実がある。
[編集] 沿革
- 1905年(明治38年):育英塾を設立。
- 1922年(大正11年):私立仙台育英中学校開校。創立者加藤利吉が校長に就任する。
- 1948年(昭和23年):財団法人仙台育英学園設立認可。学制改革により私立仙台育英学園高等学校開校。私立仙台育英中学校を併設。
- 1949年(昭和24年):宮城野原に新築校舎第一期工事落成移転。
- 1951年(昭和26年):学校法人仙台育英学園設立認可。加藤利吉が理事長に就任。
- 1956年(昭和31年):仙台育英中学校閉校。
- 1984年(昭和59年):仙台育英学園高等学校、全日制普通科総合コース制を導入。
- 1996年(平成 8年):仙台育英学園秀光中学校開校。40年ぶりの中学校復活。
- 2003年(平成15年):東北初の中等教育学校の秀光中等教育学校開校。
- 2005年(平成17年):学園創立100周年。
[編集] 交通アクセス
[編集] 宮城野キャンパス
- 鉄道
宮城野原駅の出口は本校の敷地内にあるため、非常に交通至便な環境となっている。
- バス
[編集] 多賀城キャンパス
- 鉄道
- ■JR仙石線 中野栄駅から徒歩7分
中野栄駅は仙台市宮城野区にあるが、多賀城キャンパスは多賀城市の多賀城駅を利用するよりも仙台市の中野栄駅から利用するほうが近い。
[編集] 主な卒業生・関係者
- 池田久美子(陸上競技・スズキ陸上部、女子走り幅跳び日本記録保持者)
- 大久保将人(Jリーグ・川崎フロンターレ)
- 大友愛(現姓 山本、元女子バレーボール日本代表)
- 大越基(元プロ野球選手・福岡ダイエーホークス、1989年準優勝時の投手)
- 加藤俊夫(元プロ野球選手・ヤクルト、日本ハムなど)
- 金村曉(プロ野球・北海道日本ハムファイターズ)
- 釜石慶太(東洋大学)
- 岸川聖也(卓球・スヴェンソン・ドイツブンデスリーガ2部ベルグノイシュタット)
- 佐藤秀和(陸上競技選手(長距離種目)、5000m日本高校記録保持者)
- サムエル・ワンジル(陸上競技選手(長距離種目)、トヨタ自動車九州所属、10000mジュニア世界記録保持者、ハーフマラソン世界記録保持者)
- 志田宗大(プロ野球・東京ヤクルトスワローズ)
- 菅原新(陸上競技・クレーマジャパン)
- 竹田利秋 (國學院大學硬式野球部監督 元・本校野球部監督、元・東北高校野球部監督)
- 高橋ジョージ(中退・THE虎舞竜のヴォーカル)
- 高橋優太(城西大学)
- ダニエル・ジェンガ(陸上競技選手、ヤクルト本社)
- たこ八郎(コメディアン、俳優、ボクサー)
- 中島浩司(Jリーグ・ジェフユナイテッド千葉)
- 中津雅寛(日本自動車連盟宮城支部・10年連続表彰受賞者)
- ニールソン武蓮伝(ラグビー選手)
- 須田康夫(ラグビー選手、日本IBMビッグブルー)
- 芳賀博信(Jリーグ・コンサドーレ札幌)
- 藤村新一(旧石器捏造事件)
- 星孝典(プロ野球・読売ジャイアンツ)
- 眞山龍(元プロ野球・西武ライオンズ)
- 三又忠久(ジョーダンズ)
- 武藤真一(元Jリーグ・ジェフユナイテッド千葉)
- 渡辺一夢(毎日書道会・会員作家、第50回展 毎日賞受賞 1回)