反米保守
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反米保守(はんべいほしゅ)とは、反米の立場で、政治思想的には保守派に属する立場をいう。
日本における保守派の一潮流であるが、親米保守の立場とはアメリカ合衆国に対する態度において食い違う。一般に日米安全保障条約に基づいて無批判に親米の立場をとることを否定し、アメリカ合衆国の政策に対して批判的立場をとる場合もある。日本の主体性を重んじ外国からの干渉を嫌う傾向にある。
自民党親米保守派の外交姿勢や従属政策に反発し、対米従属外交として憂う傾向がある。新右翼の民族派と思想的に近い。西部邁や小林よしのりが唱えた。
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[編集] 一般的な思想傾向
反米保守の思想は、基本的に戦前・戦中の大日本帝国の流れを汲む面がある。支那事変から大東亜戦争に至る一連の軍事行動に関しては「アジア解放および自存自衛のための戦い」「中国、アメリカの挑発により仕掛けられた陰謀」として背定している者もいる。戦後民主主義を、占領軍と国内の左翼勢力が結託した日本の伝統や主体性に対する否定行為と非難している。冷戦時代は共産主義に対する脅威のため反共主義でアメリカ合衆国・親米保守とやむなく妥協していたが、冷戦構造の終結やイラク戦争、また2001年の靖国神社参拝を公式に掲げて登場した小泉純一郎政権の登場や中国・北朝鮮脅威論を背景に近年台頭してきている(なお、小泉政権そのものは親米保守的立場を続けていたことが、反米保守の批判対象ともなっている)。
傾向として、「ヤルタ・ポツダム体制打倒」を掲げる新右翼に似ている。親台派・親アジア(中国、北朝鮮を含まない)派が多く、米国・中国・北朝鮮・ロシアなどの近隣諸国に批判的で、日本の伝統を重んじる傾向にある。韓国に対しては、北朝鮮に対する太陽政策に批判的で、北風政策を支持しており体制変換を望んでいる。外交では、拉致問題の早期解決の為に経済制裁を発動する意見が多く、対中・韓においても、領土問題や歴史認識等で批判的な立場を取る。また、台湾・東トルキスタン・チベット・南モンゴル・満洲の独立を支持している場合が多い。しかし感情論のみの反中・嫌韓論的な意見には、批判的である。
歴史認識では、大東亜戦争に肯定的で、支那事変に関しては、日華両国や中国共産党それぞれに責任があると考えているが、南京大虐殺や三光作戦などは中共政府や台湾国民政府のプロパガンダという認識をしている。さらに大東亜戦争に関連して、日本を戦争へと追い込み空襲・原爆投下などの残虐行為を行い、遂には日本を占領し不当な国家改造を行い、憲法を押し付けたとしてアメリカを批判し、反米の一つの根拠としているほか、日本が大東亜戦争を通じてアジア諸国の独立を援助したとして評価し、現在の日本もアメリカと一定の距離をとり、アジア諸国との共存の道を歩むべきだと主張する。この点は戦前の大アジア主義と類似している。
国防に関しては自主防衛・軍隊復活を望み、アメリカによる核抑止力所謂「核の傘」については否定的で核武装を親米保守派よりも望む傾向にある。軍備増強を強く望み、如何なる外国の干渉は排除することで日本の主権は守られるとしている。
反米の姿勢が特に顕著に現れている面として、イラク戦争を侵略戦争と認識、対米従属を懸念する。この点は、保守であってもイラク戦争を支持・肯定する立場とは相容れない部分であり、親米保守との大きな対立点となっている。多くの保守派がイラク問題において対米従属になびいていると批判し、反米こそが真正保守であるという人もいる(西部邁など)。
郵政民営化や皇室典範改正など小泉内閣の政策の多くに対して日本の伝統的な慣習を破壊するという理由から反対で、憲法改正には賛成だが、それによる対米従属強化を警戒し、日本の真の独立(自主独立)を志向している。そのため核保有に対して肯定的。郵政民営化に反対したため、2005年の解散・総選挙で自民党執行部に「刺客」候補を送り込まれて落選した城内実は自らの立場を「真正保守主義」、「革新的な保守主義者」であるとして[1]、「最近の規制緩和路線、市場原理主義、株式至上主義の行き着くところはアメリカ型の格差社会である。格差が広がりつつあることは、現場の声を聞けば明らかである」[2]と小泉内閣を激しく批判し、月刊『現代』2006年7月号誌上で平沼赳夫、関岡英之との鼎談「アメリカ崇拝政治を排し、保守を再生せよ!」を行っている[3]。
[編集] 現状
- 若年層と一部戦中世代からは支持されているが、35-60歳の年代からは支持されていないため、保守系雑誌やメディアへの出演は少なく、親米陣営からは「極右」または、「左翼」と、左翼・革新陣営からは「右翼」と認識されている。しかしながら、小林よしのり著作ゴーマニズム宣言シリーズのベストセラーぶりから、若年層には支持層を広げているという見方も多い。
- 蔑称として自称愛国者とか亡国奴とか自慰保守という言い方がある。これは反米保守が「日本の生残り・安全保障」より「個人的な民族主義的爽快感」を重視していると言う批判・揶揄である。これに対して反米保守は「二極的な思考しか出来ない者の空虚な論」と斬って捨てて反論している。
- またその主張から、特に親米保守派からは「現実を見ていない」「現代の尊王攘夷論者」「盧武鉉の同類」と批判されているが、これに対しては「安易な迎合的・妥協的リアリズムに堕す事を善しとせず、現実と葛藤しながら理想を追求するのが本道」と反米保守は反論している。
- 親米保守と反米保守の最大の争点は靖国問題と歴史認識問題である。実際は親米保守も反米保守と「靖国に関する事実認識」や「歴史認識」では大差がない。
[編集] 主な反米保守著名人
[編集] 言論人
[編集] 政治家
[編集] 弁護士
[編集] ジャーナリスト
[編集] 小説家
[編集] タレント
[編集] ブロガー
- SHARA
[編集] 関連する雑誌類
[編集] 関連項目
カテゴリ: 中立的観点に議論ある項目 | 政治思想