孤独の太陽
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孤独の太陽 | ||
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桑田佳祐 の アルバム | ||
リリース | 1994年9月23日 2001年6月25日(再発) |
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録音 | 1994年3月~8月 猫に小判STUDIO VICTOR STUDIO |
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ジャンル | ロック | |
時間 | 50分23秒 | |
レーベル | ビクタータイシタ | |
プロデュース | 桑田佳祐 | |
レビュー | ||
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チャート順位 | ||
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ゴールド等認定 | ||
売上枚数 | ||
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桑田佳祐 年表 | ||
フロム イエスタデイ (1992年) |
孤独の太陽 (1994年) |
ROCK AND ROLL HERO (2002年) |
『孤独の太陽』(こどくのたいよう)は、サザンオールスターズのボーカル、桑田佳祐の2枚目のソロオリジナルアルバムであり、本作10曲目に収録されている楽曲名である。1994年9月23日発売。発売元はビクターTAISHITAレーベル。
目次 |
[編集] 解説
絶頂時のサザンを一時的に休止して発表された2ndソロアルバム。「ギター一本でロックは出来る」をコンセプトに作られた。そのために前作のようなはじけるような音ではなく内向的な楽曲が多い。アコースティックサウンドを全面に押し出しており、前作『Keisuke Kuwata』とは全く違うソロワークスの一面を見せることになった。
特筆すべきなのは、その独特かつ強烈な歌詞の世界である。サザンでの王道的なラブソングは1曲もなく、これまで桑田が聞かせた事のないような、心の葛藤、痛み、社会への憤りといった、いわゆる「負の世界」に満ちた楽曲ばかりである。
当時の音楽シーンはいわゆるメガヒットの時代であり、サザンとしても1992年にデビュー14年目で「涙のキッス」が初のシングルミリオンセラーを達成、前年にも「エロティカ・セブン」で2作連続でミリオンを記録した。だがその中心にいた桑田本人は、同じようなヒット曲が急スピードで消費されていくシーンに危機感を覚えていた。そしてこの年、母の死に直面したことも関係し、あえて桑田はありきたりのラブソングではなく、今まで自分が歌ってこなかった、心の内面をえぐった楽曲を作る心情になった。
本アルバムを引き下げて、桑田は初のソロツアー『桑田佳祐 LIVE TOUR'94 "さのさのさ"』をスタートさせる。このツアーでは長年、放送禁止曲とされていた美輪明宏の「ヨイトマケの唄」を毎回歌って話題となる。
また、この頃からAAAの活動に参加。アルバム本作発表の翌年にはMr.Childrenとの共作でチャリティーシングル「奇跡の地球」を桑田佳祐&Mr.Children名義で発表し、さらにFM東京にて『桑田佳祐のキヤノンFMワンダーランド~やさしい夜遊び~』のパーソナリティを勤めることになる。
前作と同様に2001年6月25日に「波乗りジョニー」リリースにあわせてリマスタリング盤が発売された。再販盤の初回出荷分には専用のスリーブケース付き。
シングル「祭りのあと」を発売後、翌1995年からはサザンオールスターズとしての活動を再開し、本作から次のソロアルバムとしては、2002年の『ROCK AND ROLL HERO』まで途絶える。この作品では本作のギター一本というコンセプト本作から一転、サポートメンバーをあつめて結成したバンドでの生音をテーマにした作品となっている。
[編集] 収録曲
- 漫画ドリーム
(作詞・作曲:桑田佳祐 編曲:桑田佳祐 & 小倉博和)
ギターの小倉博和と桑田だけでレコーディングされた、ほとんどアコースティックギター一本のナンバー。桑田も敬愛するボブ・ディランを思わせるボーカルが印象的。「笑ってしまうしかない漫画のような日本」を痛烈に風刺した曲で、まさに本アルバムの幕開けにふさわしいナンバー。発売直後に行われた『桑田佳祐 LIVE TOUR'94 "さのさのさ"』でも1曲目で披露された。 - しゃアない節
(作詞・作曲:桑田佳祐 編曲:桑田佳祐 & 小倉博和)
歌詞は戦地に赴く男を描いており、反戦歌のような内容となっているミディアムテンポなナンバー。この曲もどことなくボブ・ディランを髣髴させている。 - 月
(作詞・作曲:桑田佳祐 編曲:桑田佳祐 & 小倉博和)
直前に発売された4thシングル。ハーモニカやアコースティックギターなど限られた楽器でのみ収録されている。本アルバムのコンセプトに非常に近い楽曲であり、強い意味を持つ先行シングルである。桑田ソロ作品の中でも一二を争う人気を持つナンバーである。 - エロスで殺して (ROCK ON)
(作詞・作曲:桑田佳祐 編曲:桑田佳祐 & 小倉博和)
歌詞ではSMをテーマにしているが、次作『ROCK AND ROLL HERO』に収録されている「JAIL ~奇妙な果実~」と比べるとそれほど過激なものではない。 - 鏡
(作詞・作曲:桑田佳祐 編曲:桑田佳祐 & 小倉博和)
アコースティックギターの音色が美しい穏やかなナンバー。そのサウンドと裏腹に歌詞は、自分しか愛せない人間の心情を歌った、かなり暗い内容である。 - 飛べないモスキート (MOSQUITO)
(作詞・作曲:桑田佳祐 編曲:桑田佳祐 & 小倉博和)
このアルバムの中で最もサザンの雰囲気に近いポップなナンバー。学校でのいじめを唄ったとも、血液製剤によるエイズを唄ったとも言われ様々な解釈がある。ちなみに「モスキート」とは蚊の意味である。ベストアルバム『TOP OF THE POPS』にも収録された。 - 僕のお父さん
(作詞・作曲:桑田佳祐 編曲:桑田佳祐 & 小倉博和)
「漫画ドリーム」同様、生ギター一本のナンバーで、小倉と桑田だけでレコーディングされた。まさにフォークソングそのものといった曲調で、両親の愛に飢える少年を歌っている。制作期間中の母の死が大きく関係している。 - 真夜中のダンディー
(作詞・作曲:桑田佳祐 編曲:桑田佳祐 & 片山敦夫)
ヒットシングルともなった3rdソロシングル。 - すべての歌に懺悔しな!!
(作詞・作曲:桑田佳祐 編曲:桑田佳祐 & 小倉博和)
「真夜中のダンディー」同様、キリンビバレッジ『JIVE』CMソングに起用された。これも桑田本人がCMに出演している。発売当時、長渕剛と矢沢永吉を揶揄しているとされ当時マスコミなどでは話題になり、桑田は記者会見を開き釈明する事態となった。事の詳細はシングルカットとなった祭りのあとも参照のこと。桑田ソロ名義のシングルとしては、1990年代最大のヒットとなった5thシングル「祭りのあと」c/wとして後にシングルカットされた。 - 孤独の太陽
(作詞・作曲:桑田佳祐 編曲:桑田佳祐 & 小倉博和 弦編曲:中西俊博)
アルバムタイトル曲で、引きこもりの少年を歌ったバラード。モチーフとなったのは長年にわたって廃人同然だったというザ・ビーチ・ボーイズのブライアン・ウィルソンである。タイトル曲となるが、楽曲の内容はまさに「孤独の太陽」の孤独の部分を表面に刻々と歌い上げている。明るい曲調や風刺曲も多いアルバムとしてのタイトルと、楽曲タイトルとしては世界観が大分異なっているとも言える。 - 太陽が消えた街
(作詞・作曲:桑田佳祐 編曲:桑田佳祐 & 小倉博和 管編曲:山本拓夫)
ミディアムテンポのブルージーなナンバー。麻薬、売春などに身を堕とす少女とその家族を歌った曲。 - 貧乏ブルース
(作詞・作曲:桑田佳祐 編曲:桑田佳祐 & 小倉博和 管編曲:山本拓夫)
ファンキーかつアップテンポなナンバーで、「日本の貧乏さ」をまくし立てるように歌い上げている。 - JOURNEY
(作詞・作曲:桑田佳祐 編曲:桑田佳祐 & 小倉博和)
製作期間中に亡くなった桑田の母に捧げる歌であり、ファンに絶大な人気を誇る隠れた名曲ともなっている。後に現在サザン本体のライブでコーラスとして参加している平松八千代が自身のアルバム内でカバーしている。
[編集] 参加ミュージシャン
- 漫画ドリーム
- しゃアない節
- 桑田佳祐:Vocals, Harmonica
- 小倉博和:Electric & Acoustic Guitars, Bass
- 片山敦夫:Organ
- 小田原豊:Drums
- 松本賢:Computer Operation
- 月
- 桑田佳祐:Vocals, Harmonica
- 小倉博和:Electric Slide Guitar & Acoustic Guitar, Bass, Banjo
- 原由子:Piano
- 小林武史:Organ
- 松本賢:Computer Operation
- 加藤茂:Drums Programming Assist
- エロスで殺して (ROCK ON)
- 桑田佳祐:Vocals, Harmonica, Acoustic Guitar
- 小倉博和:Electric Guitar, Bass
- 小林武史:Piano, Keyboards
- 小田原豊:Drums
- 今野多久郎:Tambourine, Cowbell
- 松本賢:Computer Operation
- 鏡
- 飛べないモスキート (MOSQUITO)
- 桑田佳祐:Vocals, Harmonica, Acoustic Guitar
- 小倉博和:Electric Guitar, Bass
- 小林武史:Piano, Organ, Keyboards
- 今野多久郎:Tambourine
- 松本賢:Computer Operation
- 僕のお父さん
- 桑田佳祐:Vocals, Harmonica
- 小倉博和:Acoustic Guitar
- 真夜中のダンディー
- 桑田佳祐:Vocals, Electric Guitar
- 小倉博和:Electric & Acoustic Guitars, Back Vocals
- 根岸孝旨:Bass
- 片山敦夫:Keyboards, Back Vocals
- 今野多久郎:Tambourine
- 角谷仁宣:Computer Operation
- すべての歌に懺悔しな!!
- 桑田佳祐:Vocals, Harmonica, Percussions
- 小倉博和:Electric & Acoustic Guitars
- 根岸孝旨:Bass
- 片山敦夫:Organ
- 今野多久郎:Conga
- 松本賢:Computer Operation
- 孤独の太陽
- 桑田佳祐:Vocals, Harmonica
- 小倉博和:Electric & Acoustic Guitars
- 小林武史:Piano, Organ
- 今野多久郎:Tambourine
- 中西俊博:Violin
- 桑野聖:Violin
- 細川亜維子:Violin
- 永山利彦:Cello
- 松本賢:Computer Operation
- 中西俊博 appears coutesy of FOR LIFE RECORDS
- 太陽が消えた街
- 桑田佳祐:Vocals, Harmonica, Cowbell
- 小倉博和:Electric Guitars, Bass
- 原由子:Electric Piano, Back Vocals
- 片山敦夫:Organ
- 今野多久郎:Conga
- 山本拓夫:Tenor & Baritone Sax
- 荒木敏男:Trumpet
- 松本賢:Computer Operation
- 貧乏ブルース
- 桑田佳祐:Vocals, Harmonica
- 小倉博和:Electric & Acoustic Guitars
- 根岸孝旨:Bass
- 小田原豊:Drums
- 山本拓夫:Tenor & Baritone Sax
- 松本賢:Computer Operation
- 田崎良子:Back Vocals
- JOURNEY
- 桑田佳祐:Vocals, Harmonica
- 小倉博和:Gut & Acoustic Guitars, Bass
- 原由子:Organ
- 松本賢:Computer Operation
前作 | 桑田佳祐のオリジナルアルバム | 次作 |
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Keisuke Kuwata | ROCK AND ROLL HERO |
オリコン週間アルバムチャート第1位 1994年10月3日付 |
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前作: DEEN 『DEEN』 |
桑田佳祐 『孤独の太陽』 |
次作: 氷室京介 『SHAKE THE FAKE』 |
日本レコード大賞アルバム大賞受賞作品 |
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