東京マラソン
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東京マラソン(とうきょうマラソン、Tokyo Marathon)は、2007年に始まった東京で行われるマラソン大会。正式名称には末尾に開催年が付される(第1回大会では「東京マラソン2007」)。単にスポーツ大会というだけでなく、砂漠と言われた東京が手に入れた、新しいお祭りである。
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概要
これまで東京都心部で行われていたマラソン大会には、エリートランナー向けのフルマラソンである東京国際マラソン(男子)・東京国際女子マラソンと市民ランナー・障害者向けの10kmロードレースである東京シティロードレースの2つがあったが、それらを一つにまとめた上で、ニューヨークシティマラソン・ロンドンマラソン・ボストンマラソンに匹敵するような市民参加型の大規模シティマラソンとして計画された。また同時に、都内の各所において「東京大マラソン祭り[1]」が計画され、第一回大会では沿道の応援と合わせて178万人の人出となった[2]。
もともと、都民を中心とした草の根レベルでは都心部の公道を使用した大規模なマラソン大会を希望する声があり、その実現を願って市民主導のNPO法人主催による、「歩道を使い、信号を遵守する」という形の市民マラソン大会「東京夢舞いマラソン」が2001年から実際に行われてきた。その願いを東京マラソンという形で実現させるにあたっては、東京都庁、特に石原慎太郎東京都知事が主導的役割を果たした。併せて、石原都知事は東京マラソンの実現にあたっては東京オリンピック構想へのアピールも兼ねていると語っている。主催者として日本陸上競技連盟と共に東京都が名を連ねているのにはこういった側面もあるといえよう。
参加者3万人を誇る国内最大規模のマラソン大会であり、参加エントリーも男女フルマラソン、男女10kmロード、車椅子フルマラソン、障害者(車椅子、視覚障害者、知的障害者、移植者)10kmと幅が広いのが特徴である。コースも東京国際マラソンのコースから大幅に変更され、通常は走ることの出来ない都心の車道を走行できるとあって市民ランナーの注目を集める大会となっている。
男子フルマラソンについては東京国際マラソンの後継大会として位置づけられており(東京国際マラソンは2006年の第27回大会で終了)、世界陸上選手権をはじめとする国際大会の代表選考レースとなっている。一方で、女子フルマラソンについては現時点では東京国際女子マラソンの後継とはなっておらず(現在も東京マラソンと平行して開催)、事実上のオープン大会となっている。
「東京マラソン」の名称は、日本陸上競技連盟によって商標登録(第4952187号)されている。なお、第2回となる東京マラソン2008は2008年2月17日に実施されることが決定している[3]。
ボランティア
今回の東京マラソン運営に関して約1万人の無償ボランティアが参加した。約3万人の市民ランナーを約1万人の市民ボランティア達が支える大会となり、給水所などの市民ランナーへのサポート業務、沿道の見物客の案内・誘導を中心に携わった。また、学生ボランティアと救急救命士によるAED隊が配備され、実際に路上で倒れた2名のランナーの命を救った。このうちゴール直前で倒れた1名については大会に一般参加者として走行中の横浜市保土ヶ谷消防署の消防司令補が陣頭指揮に当たり救命活動に従事、このことを報じた神奈川新聞2007年2月20日付朝刊記事[4]と、これにコメントを寄せた大学生が日本新聞協会主催の「ハッピーニュース2006」大賞を受賞、同時に当日人命救助に携わった消防署員が2006年の「ハッピーニュースパーソン」として表彰された[5]。
コース
都庁前(新宿区西新宿)スタート→(靖国通り)→四谷→(外堀通り)→飯田橋→(専大通り)→皇居→(内堀通り)→日比谷交差点→(日比谷通り・第一京浜)→品川折り返し→日比谷交差点→(晴海通り)→銀座四丁目交差点→(中央通り)→日本橋交差点→(永代通り・新大橋通り・清洲橋通り・江戸通り)→駒形橋西詰→浅草寺雷門前→吾妻橋西詰→駒形橋西詰→日本橋交差点→銀座四丁目交差点→(晴海通り)→築地→(佃大橋・朝潮大橋・春海橋)→豊洲→東雲一丁目→(都橋通り)→東京ビッグサイト(江東区有明)ゴール (42.195km)
- 10kmロードは都庁前スタート、日比谷ゴール。
- 東京国際マラソンの時のような激しい登り坂はないものの、スタートから7kmで約40m下る序盤の下り坂や、35km以降の橋の前後でのアップダウンなど、市街地を走るマラソンとしては変化に富んだコースといえよう。
スタート
(以下全て日本時間表記)
- 9:05 - 車いす
- 9:10 - マラソン(42.195kmおよび10km)
制限時間
参加資格・受付
- 選考会の部(フルマラソン)
- 日本陸上競技連盟登記・登録競技者で、申込期日までに日本陸上競技連盟の公認競技会で次の記録を出した男子競技者
- フルマラソン:2時間30分以内
- 30kmロードレース:1時間35分以内
- ハーフマラソン:1時間07分以内
- 日本陸上競技連盟が推薦する男子競技者
- 一般参加の部
- フルマラソン:大会当日満18歳以上(高校生除く)で、6時間40分以内に完走できる男女(最大25000人)。
- 10km:大会当日満16歳以上で、1時間30分以内に完走できる男女(最大5000人)。
第1回大会は多数の一般参加の応募を受け、抽選となった。計3万人規模の市民ランナーが参加するという日本では前代未聞の規模となったため、当日の混乱を避けるため、抽選の結果当選し、申し込みを完了した参加予定者も、東京ドームにて開催される「東京マラソンEXPO2007」(2月16日・2月17日、10時~20時開催)会場内にて受付を済ませてゼッケンを受け取る形となり、大会当日の受付は行なわれなかった。
テレビ放映
東京国際マラソンに引き続きフジテレビ系(西暦奇数年)、日本テレビ系(西暦偶数年)がテレビ放送する。
回 | 日付 | 放送局 | 番組名 | 放送時間 | 備考 |
---|---|---|---|---|---|
1 | 2007年2月18日 | フジテレビ系 | 東京メトロスポーツスペシャル東京マラソン2007 | 9:00~11:40 | |
2007年2月18日 | BSフジ | 東京メトロスポーツスペシャル東京マラソン2007 | 16:00~18:40 |
ラジオ中継
西暦奇数年にニッポン放送が中継を行う。
回 | 日付 | 放送局 | 番組名 | 放送時間 | 備考 |
---|---|---|---|---|---|
1 | 2007年2月18日 | ニッポン放送 | [要出典] | 9:00~12:00 |
ネット・モバイル配信
第1回大会は、フジテレビが東京マラソンの全完走ランナー(7時間以内)のゴールシーンをインターネット動画配信を駆使して“録画中継”した。 PCは10分刻みで順次公開、モバイルは2分刻み。(公開までに多少の時間がかかる) 無料配信。(モバイルはパケット使用料が必要)
歴代優勝者
※優勝者の氏名・国籍・所属は当時のものである。
- 男子の部
回 | 日付 | 氏名 | 国籍・所属 | 記録 | 備考 |
---|---|---|---|---|---|
1 | 2007年2月18日 | ダニエル・ジェンガ | ケニア・ヤクルト | 2時間9分45秒 |
- 女子の部
回 | 日付 | 氏名 | 国籍・所属 | 記録 | 備考 |
---|---|---|---|---|---|
1 | 2007年2月18日 | 新谷仁美 | 日本・豊田自動織機 | 2時間31分1秒 | 初マラソン初優勝 |
関連団体
公式スポンサー
- 東京メトロ
- スターツ/スターツグループ
- アシックス
- 大塚製薬(アミノバリュー)
- セイコー
- トヨタ
- コナミスポーツ&ライフ
- JTB
- セブン-イレブン
- 東京ビッグサイト
- オールスポーツコミュニティー
- GINZA TANAKA
主催
共催
- フジテレビジョン(フジサンケイグループ)
- 読売新聞社(読売新聞グループ本社)
- 日本テレビ放送網
- 東京新聞(中日新聞東京本社)
- フジテレビ・産経新聞と読売新聞・日本テレビは東京国際マラソンの主催(隔年交代)、東京新聞は東京シティロードレースの主催で、これらを引き継いだものと言える。
特別支援
警備
- 東京マラソンの警備を担当した警視庁は約5,000人の人員を配置して約7時間に及ぶ公道の規制・封鎖による警備を行なった。
- 2007年2月18日から車両の両サイド・後部バンパーにPOLICEと反射シールが貼られた新エンブレムのパトカーが正式採用され、東京マラソンが初の警備業務になった。
第1回大会のエピソード
- バルセロナオリンピックの銀メダリストである有森裕子の引退レースとなった。23キロ付近の日本橋で他のランナーと接触し、転倒してゼッケンが外れ、出血するほどの怪我を負うも、再び立ち上がり、沿道の声援に押されて最後まで走り切って、合掌しながら選手生活最後のゴールを飾った[6]。
- 都心の公道を使った市民マラソンとして開催を決断し、自らスターターを努めた石原慎太郎東京都知事は、参加した市民ランナー達から口々に「ありがとう!」の言葉をかけられ、スタート台の上で思わず涙を流した。「涙が出たねえ。こんなに『ありがとう』と言われたことはない」とコメント。この日はどこに行っても「ありがとう」を連発していたという[7]。
- タレントの石原良純が第1回大会でフジテレビのスペシャルサポーターとして現場でのレポートと選手などへのインタビューを担当したが、石原良純はフジテレビの広報ページでのインタビューで、今回の出演を依頼される以前に父である石原都知事から「何かあったら広報として力を貸してくれ。頼むよ。」と言われていたことを明らかにしている。[8]都知事が良純に協力を依頼した後にフジテレビ出演が決まったことから、石原都知事の身内である石原良純のレポーター起用に関して、都知事がフジテレビの番組運営に影響力を行使したのではないか、として週刊朝日(平成19年3月9日号)誌上において、疑問の声が提示された。なお、フジテレビ側や石原良純の所属事務所は、その関連性を明確に否定するコメントを出している。
- 浅野史郎元宮城県知事はジョギング愛好家であり、今回の東京マラソンに参加申し込みをしたが、惜しくも抽選に漏れてしまった。「テレビで都庁前から出発していく3万人のランナーの姿を見ていたら、やっぱりうらやましかった」と、自らのWEBサイト『夢らいん ジョギング日記』で感想を公開している。一方、鈴木宗男衆議院議員は抽選の結果、当選して一般ランナーとして出場し、59歳ながら見事4時間7分40秒で完走した。その後、ランナー姿のまま車で空港に直行し、その日の18時には北海道で行われた会合に参加した[9]。
メディアで指摘された問題点
- 都心部で最大7時間におよぶ大規模な交通規制が敷かれるため、沿線の大学受験、高校入試、タクシー運転手・物流配送業者など、少なからず影響を受ける関係者がいると懸念された。[10]。
- 当初開催日には伝統ある市民マラソンである青梅マラソンが予定されており、参加者の減少を危惧した青梅サイドが開催日を2007年2月4日に繰り上げることになった[11]。なお、前身となる東京国際マラソンはこれまで2月の第2または第3日曜日に開催されていた上、選考会を兼ねていることから日程を動かしづらい為、東京マラソンに問題があったとは一概に言えない。
脚注
- ^ 東京大マラソン祭り
- ^ 産経WEB「東京マラソン」
- ^ 来年の東京マラソンは2月17日(デイリースポーツ)
- ^ 横浜の消防署員がレース中、心肺停止の男性を救命/東京マラソン
- ^ 「東京マラソン走行中に人命救助 ハッピーニュース大賞」(朝日新聞)
- ^ デイリースポーツ2007年2月19日「有森裕子 流血のラストラン」
- ^ 報知新聞 2007年2月19日付記事「慎太郎都知事 感動!泣けた…東京マラソン」
- ^ 「東京マラソン2007」のスペシャルサポーターが決定 2007年2月8日発行 フジテレビ広報部のリリース
- ^ 『宗男議員「選挙より楽」東京マラソン完走』日刊スポーツ 2007年2月19日付記事より
- ^ 大封鎖 駆け巡る期待と不安 産経Web 2007年2月17日
- ^ 青梅&東京共存を…青梅マラソン スポーツ報知 2007年2月5日
外部リンク
- 公式サイト
- フジテレビ公式サイト
- 東京マラソンへの思い
- 東京マラソンのコース
- 東京マラソン直前ガイド
- 東京夢舞いマラソン(草の根による東京マラソン実現のためのデモンストレーション大会)
- 東京マラソン写真特集
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