松前町 (愛媛県)
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愛媛県伊予郡松前町(まさきちょう)は、愛媛県の中部、松山市の南に隣接する町。伊予郡に属する港町である。昭和30年に三ヶ町村合併により誕生。
愛媛県内の市町村で最も面積が狭く、最も人口の多い町である。人口密度は松山市全体を上回っており、最近では松山市・伊予市の衛星都市として発展が進んでいる。町域は2032ヘクタールと非常に小さいものであるが、そのうちで「山林原野」に指定されてるのはわずか1ヘクタール。
最近ではフジ(松山市)が西日本最大規模の複合施設の建設を計画するなど、今、愛媛県で最も成長している都市として期待されている。
伊予郡内で唯一海に面しており海岸・砂浜があること、昔から漁業が盛んなことから、「伊予湊」として古来より親しまれている。高層建造物が少なく、町域が非常に小さいことから、ある程度の高さであれば町内全域から海を見渡せることが可能である。
目次 |
[編集] 地理
町の全域は松山平野(道後平野)の南端で、山がない(愛媛県内では唯一の「山のない」まち)。北の松山市とは重信川を境とする。西に瀬戸内海の伊予灘に面する。松山市との境に重信川が流れ、しかも、この川はもともと現在の松前町の中央部を東西に流れていたことから、地下水に恵まれている。このため、平成6年に発生した異常渇水において、近隣の松山市、伊予市が時間給水に踏み切らざるを得なかった時期においても、松前町では断水の発生はなかった。
ちなみに、松山市内にも松前町があるが、これは江戸時代に新たに松山城(現存)を築城し、松前から移った際に町の人々も移住させた名残である。このため、伊予郡の松前町には松前城跡がある。松山市の松前町の付近は、城下ではもっとも古くから開けた町であった。
- 山: なし
- 河川: 重信川
- 湖沼:ひょこたん池
福徳泉
[編集] 都市化
町内のほぼ全域が都市計画区域であり、下水道やバイパス道路が整備されている。最近ではショッピングセンターの誘致が計画されたり、新興住宅地が出来上がったりと少しずつではあるが発展を続けている。地区別の傾向としては、北伊予地区は豪農、大地主や新興住宅地が多く、岡田地区にマンションやアパート・コーポが多く、松前地区は既存の住宅が多い。
[編集] 隣接している自治体
[編集] 歴史
- 系譜
北伊予村 ━━━━━━━━━━━┓(昭和30年3月31日) 岡田村 ━━━━━━━━━━━┣━━━ 松前町 松前村 ━━━━━松前町━━━┛ (大正11年10月31日町制施行) <明治の旧村>
[編集] 行政
昭和30年(1955年)、松前町、岡田村、北伊予村が合併し、発足。
「平成の合併」の流れの中では、伊予市、伊予郡全体での合併も検討されたが、砥部町、広田村が国道33号・国道379号上に位置し、幹線交通軸を異にしていることから、一町一村での合併を目指すこととなった。 さらに、残る、伊予市、中山町、双海町との合併を検討し、法定合併協議会を発足させたが、合併後の行政組織のあり方や行政運営のあり方をめぐり、一市二町と考えを異にし、また今後の松前町の行政を考慮し合併の枠組みは崩壊した。 愛媛県内で合併せず単独の道を選んだのは、松前町の他、北宇和郡松野町の2町のみである。ただし、松野町は合併そのものを拒否しているわけでなく、その意味では愛媛県内で唯一の合併しない自治体となった。
東レ愛媛工場をはじめとした事業所が多数立地し、また勤労者も多いことから、比較的財政状態は良好であったが、2003年度頃から町役場、保健福祉センター、松前公園体育館などの大型施設に加え、下水道事業の整備などもあり、町財政は緊迫度を増してきつつある。加えて、協議不調から合併しないことになったため、町では補助金の見直しなどの行財政改革に本腰を入れている。
非常にコンパクトな町であり、しかも平野部のみであるので、行政運営上は非常に効率を上げることも可能である。このため、やりようによっては自立していくことも可能とみられている。
[編集] 首長
- 町長 :
- 初代 鶴田義正(昭和30年5月~昭和38年4月)
- 2代 兵頭康雄(昭和38年5月~昭和42年10月)
- 3代 三原藤美(昭和42年12月~昭和58年12月)
- 4代 住田広行(昭和58年12月~平成11年12月)
- 5代 白石勝也(平成11年12月~2期目、元NHK職員)
[編集] 姉妹都市・提携都市
北海道・松前郡松前町と姉妹都市提携(同名であることから)。 なお、北海道の松前町は「まつまえ」と読む。
[編集] 地域区分
松前町は昭和30年の合併の際の3つの旧町村と小学校の校区が同一であることから、松前校区、岡田校区、北伊予校区の3つに大別され、町民の意識にもそれが根付いている。町内で「松前」という場合、松前町全体ではなく松前地区のことを指すことが多い。これらは昭和30年の合併以前の名残が残っているためである。
[編集] 松前地区
役場があるなど、松前町の中心街である。昔は漁村であったが、今日では東レの工場があるほか、商店街もある等、商工地区でもある。伊予鉄道郊外線(郡中線)の松前駅、地蔵町駅がある。なお、岡田校区にまたがった広大な空き土地を利用したフジのショッピングセンター設置の構想があり、新駅が設置される可能性もある。
なお、宗意原などの松前小学校周辺地域(筒井、北黒田)は、古くから住宅開発が進んだ地域である。保育所などの名称にも使われている。
[編集] 岡田地区
重信川を挟んで松山市に接し、また国道56号も貫通していることから、松山市のベッドタウンとして都市化が進んでいる。マンションやアパートなどが多く立地し、松山市街に似通った雰囲気を持った町並みである。伊予鉄道郡中線の古泉駅、岡田駅がある。
[編集] 北伊予地区
東部に位置する田園都市であるが、住宅が増加しており、人口も徐々に増加している。JR予讃線の北伊予駅、伊予横田駅がある。なお、伊予横田駅の東側にJR鉄道貨物基地設置が予定されており、アクセス道路の設置などの構想がある。
[編集] 文化
- おたた
- 鮮魚を松山等の街や近郊農村に行商していた女性のことで、古くは丸い桶を頭に載せて運び、「おたたさん」と呼ばれていた。当地では、昭和50年代まで、地引網漁が盛んに行われていた。昭和40年代には、金属製の四角い容器が用いられるようになり、容器をかつぎ郊外電車に乗ったり、リヤカーを引いたりして売りさばいた。その後は、人数も激減し、軽四輪トラックを用いた鮮魚商にとってかわられるとともに、女性はほとんど姿を消した。松前町商工会のマスコットキャラクターは「おたたさん」に因んで「娘おたた」である。
- 農村芸能
- 農村芸能やその名残が転化したものとして、下記のものがある。
-
- ひょこたん座(大字中川原)
- 徳丸一座(大字徳丸)
[編集] 経済
古くは漁村であったが、臨海部に工場が立地し、さらに松山市に隣接するベッドタウンとして発展し、第一次第二次第三次のバランスが取れている。
[編集] 産業
主たる産業は、化学工業(株式会社東レ愛媛工場)、地場産業では海産珍味加工業、近郊農業など。 なお、水産業は小型漁船によるもののみで、近年は不振。 海産珍味加工業では、特に小魚珍味では全国有数の生産量がある。かつては沖合いで捕獲された魚貝類を用いていたが、沿岸漁業の衰退により、原料は県外や広くアジア地域に求めている。 農業では、たまねぎ、イチゴ、レタス等の栽培が盛ん。 臨海部には、冷凍倉庫、食品加工、ガスなど多様な事業所が立地している。
- 主な工場
[編集] MASAKIショッピングセンター(仮称)計画
町は、松山市の近郊に位置するという立地条件を活かし、長期的に町勢の発展を図るため、商業集積の誘致を図り、松前町筒井にある役場東、国道56号から西一帯の民有地(現況は田圃、または雑種地)を予定した。株式会社フジ(本社・松山市)とイオングループの二社の競合となったが、フジに決定。同社では、映画館や温浴施設も含めたショッピングセンター計画を発表した。予定計画では、19万6,000m²の敷地に中核となる鉄骨2階建てのショッピング施設を配置、その周辺に専門店や温浴施設などを点在させるオープンモール型の方式を予定している。店舗の面積は7万8,000m²で同社フジグラン重信の約3倍/県内最大規模、5,000台収容で県内最大級の駐車場を配置し、雇用人数は2,200人を予定、年間最大270億円の売り上げを見込んでいて、かなりの大規模商業施設となる。開業は2006年度を予定していたが、農地転用の手続きが遅延し1年遅れ、2007年春の開業予定であったがさらに遅延ぎみ。 これによる税収増にも期待がかけられている。なお、フジの高橋社長は着工が2007年以降になるとの見通しを示した。デベロッパー担当であるリックプロデュースからは2008年完成との発表がなされている。 この計画については、議会もほぼ足並みを揃えている。これについて既に、一部サービス業・小売店舗が立地を見越して張り付き始めている。
[編集] 地域
松山市のベッドタウンとして宅地開発が進み、人口も増加を示してきたが、その伸びも次第に鈍化した。少子高齢化により2001年から自然減に転じていたが、それをカバーして余る社会増があったものの、2005年にはついに自然減が社会増を上回ったため、総人口も減少に転じた(人口動態統計による)。なお、愛媛県内市町で2005年に自然増・社会増となったのは松山市のみであった。
[編集] 教育
- 「教育の町」宣言
- 昭和30年代に「教育の町」宣言を行っている。青少年の教育に力を注ごうという意思を示したもので、他の自治体に比べて小中学校施設等は早い時期に整った。また、町立図書館(まさき文化センター内)も充実している。教員に就く人も人口の割に多いとされている(昭和20年代までは、豪農は別にして農家のみで生計を立てていくことが難しく、人口増加とともに増員が要請された教職に就いた一面もある)。
学校
- 愛媛県立伊予高等学校 (映画「世界の中心で、愛をさけぶ」ロケ地)
伊予郡松前町北黒田119-2
伊予郡松前町神崎2-2-6
伊予郡松前町西高柳1-5-6
伊予郡松前町筒井1-17-5
伊予郡松前町神崎4-15-1
伊予郡松前町昌農内4-43-1
伊予郡松前町大字浜9-6-3
[編集] 交通
松山市と伊予市に挟まれ、国道56号をはじめとした道路網、伊予鉄道郊外線(郡中線)及びJR予讃線の2本の鉄道があり、交通は至便。
[編集] 鉄道路線
[編集] 道路
- 国道56号が南北に町を縦貫し、幹線道路としての役目を果たしている。松山市との境界には重信川があるため、橋梁で越えるほかなく、渋滞が発生しがちである。例えば、国道56号は松前町内では4車線確保されているが、朝夕ともに松山市との境である出合大橋付近で渋滞を引き起こしている。また、愛媛県道16号松山伊予線では中川原大橋たもとでも渋滞が発生する。将来的には、地域高規格道路・松山港伊予連絡線の計画があるが、用地買収の問題などのうえ、県の財政難もあり、着工の目処は立っていない。
- 東西の幹線として、愛媛県道214号八倉松前線がほぼ中央を横断している。大字神崎の町立北伊予小学校付近が狭隘でボトルネックとなっていることから、鶴吉・上野バイパスが開通したが、松山方面向きの場合遠回りになるためか、利用状況はまちまちである。加えて、町道徳丸線の整備が進められているが、多大の事業費を要することから、投資に見合うのか批判の声も一部には上がっている。
[編集] 高速道路
- 松前町内に高速道路は通っていない。
[編集] 一般国道
[編集] 都道府県道
- 愛媛県道214号八倉松前線
- 愛媛県道219号砥部伊予松山線
- 愛媛県道326号松山松前伊予線
- 愛媛県道335号松山川内自転車道線
[編集] 名所・旧跡・観光スポット・祭事・催事
松前町は、典型的な都市近郊であり、一般的な意味での観光地ではない。
- 名所
- 長谷川竹友記念美術館
- 松前城跡
- 夫婦橋(めおとばし=歌謡曲のモデル)
- 重信川河口(野鳥の宝庫)
- 伊予神社
- 祭り・イベント
- 松前夏祭り
- 秋の地方祭(10月15日)
- はんぎり競漕(「はんぎり」と呼ばれる、たらいを漕ぐ競漕)
- ねぎ祭り(白石町長が特産物を売り出すために創案)
- 特産物
- 玉ねぎ、レタス、イチゴなど野菜類
- 海産珍味
[編集] 出身有名人
[編集] 歌手・芸能人
[編集] プロ野球選手
- 山村路直(北伊予中学校出身、福岡ソフトバンクホークス)
[編集] その他の有名人
[編集] インターネットの普及
愛媛県で唯一、自治体全域においてNTT西日本「フレッツ光プレミアム」ソフトバンクBB「Yahoo!BB光」STNet「ピカラ光ねっと」KDDI「KDDI光プラス」などの光通信網が完全に整備されているなど、他の自治体を凌ぐ急速な発展を見せる。
[編集] その他
[編集] 関連項目
- 姉妹都市:北海道松前(まつまえ)町
[編集] 外部リンク
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