QuickTime
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開発元: | Apple Inc. |
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最新版: | 7.1.5 / 2007年3月5日 |
対応OS: | Mac OS X v10.3.9以降、Windows 2000 以降 |
種別: | マルチメディアフレームワーク |
ライセンス: | プロプライエタリ |
公式サイト: | www.apple.com/jp/quicktime/ |
QuickTime(クイックタイム)は、アップルコンピュータが開発するマルチメディア技術である。音楽、動画、画像、テキストデータなどを取り扱うことができる。
目次 |
[編集] 概要
QuickTimeを広義の意味で使うと、マルチメディアの技術に加えて、メディアプレーヤはQuickTime Player(旧Movie Player)、メディアデータの編集、変換、保存が行えるソフトウェアはQuickTime Player Pro(旧Movie Player Pro)も含まれる。なお、QuickTime Playerは無料で利用出来るが、QuickTime Proにアップグレードする場合は有料となる。
狭義の意味では冒頭で示した通り、技術そのものを指すが、しばしばメディアプレイヤーであるQuickTime Playerを含むときもある。
QuickTime自体はライブラリであり、アップルコンピュータのソフトウェアであるiTunesやFinal Cut Proといったマルチメディア系アプリケーションの動作の中核を担っている。その他、デジタルカメラやデジタルビデオカメラは、写真や動画の撮影や再生にQuickTimeを使用しているものも多い。
画像の表示は別途、Picture Viewerやプレビューを使う必要がある(いずれも無料であるが、バージョン6までは利用前にアップグレードを促す表示が出る)。なおQuickTime本体は通常版、Proとも全く同等のモジュールベースであるため、自らプログラミングを行なえばPro相当の機能が全て使えるほか、Mac OS XであればAppleScriptからも制限なく機能を利用できる。
QuickTimeのファイル(movコンテナ)は、トラックと呼ばれるレイヤー構造により、動画・音声のみならず、テキストトラック、チャプタトラック等を含むことができるが、この構造はMPEG-4のファイルフォーマットであるMP4やJPEG 2000のファイルフォーマットであるJP2などに採用され、そのベースとなっている。
また、2006年現在、QuickTimeを元とした国際標準の採用により、よりオープンな規格へと方針を変更している。QuickTime 6ではMPEG-4が採用され、QuickTime 7ではH.264が新たに採用されており、圧縮効率でも標準化の側面でも大幅な進化を遂げている。また、QuickTime 6.3では3GPP、QuickTime 6.5では3GPP2に対応しており、第三世代携帯電話向けコンテンツの標準ツールとしての位置付けを確固たるものとしつつある。
[編集] QuickTimeの特徴
- フォーマット - QuickTimeフォーマット(.mov)やMP4フォーマットのほか、AVIフォーマットやAdobe Flashも再生出来るなど、多くのフォーマットをサポート
- グラフィック - JPEG 2000やTIFF、PNGなど、最新のフォーマットをサポート。Photoshopのレイヤーも読み込める
- オーディオ - MP3、AACやApple Losslessの採用によりさらに高音質・高圧縮を実現
- ムービー - H.261、H.263、MPEG-4、H.264、3GPP/3GPP2、Pixletにも対応し、高画質ながらもコンパクトに保存
- インタラクティブ - ユーザーの操作に応答するインタラクティブなコンテンツを再生できる。
- Virtual Reality(仮想現実)- QuickTime VRにより、360度パノラマムービーの作成/再生が可能。Cubic VR(360度パノラマだけでなく、上下方向の表示も可能)やObject VR(立体物を周囲から見回すようなVRムービー)も構築可能。
- モバイル - 3GPP、3GPP2の採用により、携帯電話とパソコン間でのマルチメディアコンテンツの相互通信を実現。AMCフォーマットも作成/再生可能
- インターネット - 無償のストリーミングサーバソフトウェア、QuickTime Streaming Serverによりマルチメディアコンテンツを配信。QuickTime Broadcasterを用いれば、簡単に生中継を配信可能、QuickTime Streaming Serverのオープンソース版であるDarwin Streaming ServerはLinux、Windowsなどでも運用出来る
- 拡張性 - 拡張性があり、新しいファイルフォーマットにもすぐに対応する。QuickTimeコンポーネントを用いれば、MPEG-2やDivX、iPIX、On2VP3、ZyGoVideo、WMVなどの再生・作成も可能
- クロスプラットフォーム - WindowsにもQuickTimeが提供されている
- AltiVec対応 - PowerPC版Mac OS Xでは、SIMD演算機能であるVelocity Engine(AltiVec)に対応し、PowerPC G4/G5の能力を引き出すことができる。
- Streaming SIMD Extensions (SSE)対応 - Intel版Mac OS Xでは、SIMD演算機能であるSSEに対応し、Intel Core, Core2の能力を引き出すことができる。
特筆すべき点は、トラックによるファイル構造の柔軟性であり、movファイルといえど、ビデオトラックのみを含むもの、音声トラックのみを含むものといったものが作成可能な点である。例えば、既存のmovファイルにヒントトラックを追加するだけでストリーミング配信が可能になる。
[編集] Windows版の問題点
[編集] InternetExplorer上での問題
WindowsにQuickTimeをインストールすることでInternet ExplorerのMIME設定が書き換えられ、MP3ファイルのURLを開いた際に、Windows Media Playerが開かず、InternetExplorer内のActiveXコントロールで再生されるように変更されてしまう。元のように戻す場合はQuickTimeの設定とWindowsMediaPlayer等の設定を交互に行う必要がある。
保存しようとした画像の拡張子がPNGの場合、関連するビュアーを勝手に開いてしまい、保存ができなくなってしまうこともある。
[編集] qttask.exeをめぐる問題
Windows版QuickTimeはWindows起動時に、qttask.exeというQuickTimeの起動を迅速にするためのプログラムを起動するよう設定を書き換える動作をする。QuickTimeはiTunesの必須機能であるため、iTunesを常用しているユーザーにとってqttask.exeは有効なプログラムであるが、QuickTimeをあまり使用しないユーザーにとってはqttask.exeは必要性の薄いプログラムといえるため、起動の高速化やシステムの安定を求めるユーザーの中にはqttask.exeの解除を試みる者も少なくない。
QuickTime環境設定でqttask.exeの起動は一端解除されるが、QuickTimeを起動するとふたたびqttask.exeが起動するように再設定されてしまう復帰機能が存在するため、半永久的にqttask.exeの起動を行わないようにするには、システム設定ユーティリティや専用のフリーソフトなどを使用することになる。こういったややこしい構造から、一部のネットコミュニティーでは皮肉的にqttaskをスパイウェア(実際にはスパイウェアの定義に当てはまらない)と呼ぶ者もいる。
再び自動復帰しないようにするため、qttask.exeそのものをリネームしてしまう等の強引な手段が存在するが、これによってプログラムが正常に動作しなくなる恐れがあるので注意が必要である。 また、タスクトレイからアイコンを削除してもアイコンが消えるだけでQuickTimeの実行は止まっていないため注意が必要である。
以上の点から、「QuickTimeがインストールされるのが嫌でiTunesを使わない」という意見も一部に存在する。
[編集] 関連項目
[編集] 外部リンク
- QuickTime(英語)
- QTConverter(日本語)
- MP4Exporter(日本語)
- QuickTime Alternative(英語)
- Flip4Mac(英語)
- Windows Media® Components for QuickTime(英語)
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