TOHOシネマズ
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TOHOシネマズ(とうほうシネマズ)は、TOHOシネマズ株式会社を中心に東宝本社、東宝東日本興行、中部東宝、東宝関西興行、九州東宝、東京楽天地などの東宝グループが経営・運営するシネマコンプレックスの名称。
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[編集] 概要
TOHOシネマズの前身は外資系のヴァージンシネマズ。日系アメリカ人の実業家・山本マーク豪が英国企業のヴァージン・グループから出資を受け、1997年にヴァージンシネマズジャパン株式会社が設立される。1999年4月23日に1号店、ヴァージンシネマズ・トリアス久山を福岡県にオープン。その後サイト数を増やし、独立系としては日本最大規模のシネコンチェーンを築き上げた。
2003年4月、東宝株式会社に103億円で買収され、社名、サイト名共にTOHOシネマズに変更された(買収後も、六本木ヒルズのみ「ヴァージンシネマズ 六本木ヒルズ」と“ヴァージン”を冠していたが、その後「Virgin TOHOシネマズ 六本木ヒルズ」と館名にTOHOシネマズを加え、さらに2006年4月には“Virgin”をはずして「TOHOシネマズ 六本木ヒルズ」に館名変更された。またTOHOシネマズ名古屋ベイシティの建物外装壁面にもヴァージンの文字が名残として残っている)。その後、東宝本社とその他の子会社による経営でもTOHOシネマズ・ブランドのシネコンをオープンしており、現在、北海道と東北を除く地域に31サイトが稼働している。
東宝グループ再編による経営効率化を目指す目的で、2006年10月1日にはTOHOシネマズが東宝の映画興業部門を承継。今後は次の段階として、TOHOシネマズ以外の興業子会社を合併統合する予定である。
なお、東宝グループはこのほかにも東京お台場シネマメディアージュ他、TOHOプレックスやTOHO(東宝)の名を冠したシネコンを多数、経営・運営しており、TOHOシネマズと合わせて全体をTOHO Theatersと呼称。2チケットキャンペーン等の懸賞イベントで歩調を取っているが、チケット発券システムなどが異なるため、TOHOシネマズとは別系列のシネコンとして存在している。2007年4月下旬にナビオTOHOプレックスと伊丹TOHOプレックスをTOHOシネマズの発券システム(シネマイレージカード、vit)を導入予定。今後、一部のTOHOシアターズでサービスを一本化する予定である。
[編集] 沿革
- 1997年 - ヴァージンシネマズ・ジャパン株式会社設立。
- 1999年 - 春に福岡県久山町に1号店ヴァージンシネマズ トリアス久山をオープン。つづいて秋に名古屋ベイシティと市川コルトンプラザを相次いで開業させる。
- 2004年 - 東宝株式会社に103億円で買収され、社名をTOHOシネマズ株式会社に変更。東宝グループの傘下に入る。六本木ヒルズに主力店舗をオープン。
- 2006年10月1日 - TOHOシネマズ株式会社が東宝株式会社の映画興行部門を承継。
[編集] 設備
前親会社のヴァージン・グループの中核企業が航空会社であることから、空港や航空機をイメージしたシネコンデザインが導入された。
[編集] プレミアスクリーン
一部のローカルサイトを除いて、航空機のファーストクラスをイメージした全席リクライニングシートのプレミアスクリーンが1スクリーン(名古屋ベイシティのみ2スクリーン)用意されている。英国のヴァージンシネマズが導入していたものを採用した。通常のシートを配置した場合の半分の座席しか用意せず、そのぶん座席間のゆとりを二倍持たせてある(なお、海老名と府中となんばのみ、座席の一部はペアシートになっている)。カップホルダーがなく、そのかわり座席間にはサイドテーブルが設置されている。また、サイトにより異なるがプレミアラウンジ、専用のトイレが併設されているところもある。料金は2,400円均一(六本木ヒルズのみワンドリンク付きで3,000円、ひたちなかは通常料金のみ)だが、タイトルがプレミアスクリーンのみでの上映となるときは通常料金が設定されることが多い。
[編集] ロビー
劇場ごとに異なるデザインが導入されている。基本的なイメージカラーはヴァージンシネマズ時代から引き継いだ赤だが、六本木ヒルズは白黒、高槻は紫、水戸内原は緑、というように統一カラー自体が異なる場合もある。非常に凝ったデザインが施されている例もあり、二条のコリドアは壁面に竹林、廊下に日本庭園が配置された京都ならではデザインとなっている。
[編集] ボックスオフィス
座席指定券販売カウンター。空港のチェックインカウンターのように、過去の映画館の窓口にあったようなガラス板の区切りがない。カウンターの背後上部に上映作品名、スクリーン番号、空席情報が一目でわかるモニターが設置されている。空席情報は、◎=余裕あり、○=残り半分、△=残席わずか、×=売り切れの4段階に分かれ、×印が表示されると「完売」とコピーされた張り紙が張り出される。発券システムはNECが開発したビームスと呼ばれるもので、座席指定チケットはクレジットカードよりひとまわり小さく、本券と半券が同一サイズ。支払いには各種クレジットカードが使用可で、クレジットご利用票もチケットと同じ台紙に印刷して発行される。
[編集] ザ・ストア
空港の免税店をイメージした物品販売コーナー。前売り券、ポスター、雑誌、上映タイトルのパンフレットやグッズ等が売られている。
[編集] スクリーンスナックス
ポップコーンとドリンクを中心に、ホットドッグやオリジナルのNYサンドが売られている。コンセッションとも呼ばれる。
[編集] キャンディショップ
通常、ザ・ストアのコーナー内またはスクリーンスナックスの脇に設置されており、キャンディやマシュマロ、チョコレートなどの菓子が量り売りで販売されている。ハリボーのグミキャンディが人気が高い。料金は1グラム=3.15円(二条のみ3円)で、少量から購入できる。
[編集] サービス
[編集] シネマイレージ
航空会社のマイレージプログラムを模したポイントサービス。ヴァージンシネマズ時代に、映画買い付け業務担当リーダーだった黒崎徹也が考案した。会員が映画を鑑賞すると、一作品に1鑑賞ポイントと上映時間に応じたマイルが付与される。鑑賞ポイントは、6ポイント集めると映画を一本無料で鑑賞することができる(ただしポイントは翌日付与)。マイルは1分=1マイルに換算され、集めるとポイントに応じてさまざまな商品と交換可能。会員カードは入会時にクレジット機能の有無が選べ、クレジットカードを選択した場合は、マスターカード又はアメックスと提携したセゾンカードとなる。なお、六本木ヒルズで入会した場合は、「Virgin」のロゴがプリントされた黒色カラーの限定デザインのカードが入手できる。今後、一部の既存の劇場でTOHOシネマズサービスを導入予定。現在は、シネマイレージカード実施のTOHOシネマズのみ。
[編集] vit
インターネットを利用したチケット予約システム。Virgin Internet Ticketの略で、ヴァージンシネマズ時代にNECと共同で開発された。公式サイトTOHO THEATER ONLINEの劇場各ページ又は携帯電話で、通常上映される2日前から座席指定券を予約でき、店内にある自動発券機でチケットを受け取ることができる。混雑が予想される大作、人気作、特別上映では一週間前や数週間前、場合によっては1か月も前からプリセール(事前販売)されることがある。手数料は無料で、ファーストデーやレディースデー等のディスカウントプライスは適用されるが、前売り券、割引券の使用は不可。ピンポイント座席指定もできない。2007年3月12日オープンのTOHOシネマズ流山おおたかの森と3月15日オープンのTOHOシネマズららぽーと横浜はピンポイント座席指定を導入されている。
上映開始公称時刻(CM等含む)の20分前まで座席のネット予約が可能であることは特筆に値する。TOHOシネマズ公式サイトのスケジュールページのユーザーインターフェースやデザインレベルの高さを含め、ネット経由の座席予約では他の追随を許さない(例えば109シネマズは上映当日の午前3時で予約打ち切り、イオンシネマは上映前々日の午前0時で予約打ち切りなど)。もっとも、TOHOシネマズにおいて週末の上映日程が金曜日朝になっても確定しないこともあり、その点は改善が望まれる。PCからの予約、携帯電話サイトからの予約、vit専用iモードアプリからの予約が可能だが、auやソフトバンクモバイル用のアプリは2007年3月現在提供されていない。
[編集] ママズ クラブ シアター
赤ちゃん連れの母親や父親を対象にした上映。子供が生まれてから映画館が遠のいてしまった、という観客を呼び戻すために企画された。赤ちゃんが泣いてもお互い様なので、気兼ねなく映画が観られる。通常の上映と異なり、照明や音声ボリューム、場内温度が赤ちゃんに刺激を与えないレベルに調節される。週一回のペースで開催されており、一般の観客も入場できるが、あくまでも赤ちゃん連れの観客が主体となり、理解が求められる。
なお、一般客向けの告知が不十分であることが多く、当該上映だと知らずにその回の入場券を購入した客へ、代替処置を講じていることが多い。
[編集] イッキミ
作品を連続上映する特別企画。「つづけて一気に観る」ことからイッキミと名付けられた。六本木ヒルズを中心に首都圏のサイトで実施されることが多い。シリーズ作品や、同一の主演、監督作をまとめて2~4本程度連続して上映する。
[編集] 1ヶ月フリーパスポート
提示するだけで1か月間、映画を無料で鑑賞できるラミネート加工のパスポート。シネマイレージの交換商品だが、イベントの特賞として用意されている場合もある。使用は所持者のみに許諾され、本人確認のため顔写真が必要(ない場合はスタッフにその場で撮影される)。同一タイトルの鑑賞は1日1回のみ、発券は当日のみで混雑時には利用できないなど、いくつかの制限があるが、数多くの映画が無料で観られるというだけあって人気が高く、これを目当てにTOHOシネマズに通う映画ファンも少なくない。サイト間でまたがって利用できるが、六本木ヒルズでは六本木ヒルズで発行されたフリーパスのみが通用する。また、シネマイレージカード実施のTOHOシネマズのみ通用する。
[編集] TOHO cinemas magagine
2007年2月1日から創刊号として毎月1日にTOHOシネマズ株式会社の直営劇場にて配布中。最新の映画情報が記載されているマガジン。配布劇場は、日劇PLEX、渋東シネタワー、お台場シネマメディアージュ、TOHOシネマズ六本木ヒルズ、TOHOシネマズ府中、TOHOシネマズ南大沢、TOHOシネマズららぽーと横浜、TOHOシネマズ海老名、TOHOシネマズ小田原、TOHOシネマズ川崎、TOHOシネマズ八千代緑が丘、TOHOシネマズ船橋ららぽーと、TOHOシネマズ市川コルトンプラザ、TOHOシネマズ流山おおたかの森、TOHOシネマズ浜松、TOHOシネマズ名古屋ベイシティ、TOHOシネマズなんば、ナビオTOHOプレックス、三番街シネマ、TOHOシネマズ泉北、TOHOシネマズ高槻、伊丹TOHOプレックス、敷島シネポップ、浜大津アーカスシネマ、TOHOシネマズ二条、TOHOシネマズ橿原、TOHOシネマズトリアス久山のTOHOシネマズ直営劇場(日比谷スカラ座、みゆき座、シャンテシネ、渋谷シネフロント、新宿プラザを除く)のみ配布している。(2007年3月現在)、上記劇場以外のTOHOシネマズ及びTOHOグループ劇場では配布していない。冊数が限られている為、なくなり次第終了。
[編集] 劇場
[編集] 関東
2006年10月1日 - TOHOシネマズ株式会社が東宝株式会社の映画興行部門を承継。 2006年10月1日より東宝(株)直営館はTOHOシネマズ株式会社が運営・経営。
- 日劇PLEX(日劇1・2・3)(東京都千代田区)- 有楽町マリオン内
- 有楽座 (東京都千代田区)- ニュートーキョービル3階内
- 日比谷スカラ座・みゆき座 (東京都千代田区)- 東京宝塚ビル内
- シャンテ・シネ1・2・3(東京都千代田区)
- 渋東シネタワー1・2・3・4 (東京都渋谷区)- 渋谷東宝ビル内
- 渋谷シネフロント (東京都渋谷区)- QFRONT7F内
- 新宿プラザ劇場 (東京都新宿区 - 新宿東宝会館ビル内
- お台場シネマメディアージュ(東京都港区)- メディアージュ内 13スクリーン3034座席のシネマコンプレックス
- TOHOシネマズ六本木ヒルズ(東京都港区) - 六本木ヒルズ内
- TOHOシネマズ南大沢(東京都八王子市) - fab南大沢 [1]内 9スクリーン2099座席
- TOHOシネマズ府中(東京都府中市) - くるる内 9スクリーン2115座席
- TOHOシネマズ海老名(神奈川県海老名市) - ビナウォーク内
- ワーナー・マイカル・シネマズ海老名と目と鼻の先に建設された10スクリーン2216座席のシネマコンプレックス。もともとはAMCが進出予定だったが、同社撤退を受けてヴァージンシネマズが出店した。22.67mのメインスクリーンは、通常のロードショー興行を行っている映画館としては日本最大。全館THX。
- TOHOシネマズ川崎(川崎市川崎区) - 川崎DICE[2]内
- TOHOシネマズ小田原(神奈川県小田原市) - ダイナシティウォーク[3]内。9スクリーン1800席。
- TOHOシネマズ市川コルトンプラザ(千葉県市川市) - ニッケコルトンプラザ内 9スクリーン2134席
- TOHOシネマズ船橋ららぽーと(千葉県船橋市) - TOKYO-BAY ららぽーと内 10スクリーン1265席
- TOHOシネマズ八千代緑が丘(千葉県八千代市) - 10スクリーン1927席
- TOHOシネマズ水戸内原(茨城県水戸市) - イオン水戸内原ショッピングセンター内 8スクリーン1596席
- TOHOシネマズひたちなか(茨城県ひたちなか市) - 10スクリーン1699席
- TOHOシネマズ宇都宮(栃木県宇都宮市) - ベルモール内 10スクリーン1897席
- TOHOシネマズ錦糸町(東京都墨田区) - オリナス [4]内 経営、運営共に株式会社東京楽天地。8スクリーン1473席。
- TOHOシネマズ流山おおたかの森(千葉県流山市) - 11スクリーン約1900席 千葉県内のサイトでは初の全席スーパーハイバックシート60cmのシートを導入。
- TOHOシネマズ横浜ららぽーと(横浜市都筑区) - ららぽーと横浜内 神奈川県最大級の13スクリーンで神奈川県内のサイトでは初の全席スーパーハイバックシート60cmのシートを導入、2364席。2007年3月にはフランス映画祭の会場の1つとなった。また、㈱ららぽーとと共催のららヨコマ映画祭2007を開催。
[編集] 中部
- TOHOシネマズ名古屋ベイシティ (名古屋市港区) - イオン名古屋みなとベイシティショッピングセンター内。12スクリーン2669席。席数で同社最大規模。
- TOHOシネマズ浜松 (静岡県浜松市) - ザザシティ浜松内。9スクリーン1931席。
- TOHOシネマズ東浦 (愛知県東浦町) - イオン東浦ショッピングセンター内。9スクリーン1801席。
- TOHOシネマズ木曽川 (愛知県一宮市) - ダイヤモンドシティ・キリオ内。10スクリーン1828席。
- TOHOシネマズ津島 (愛知県津島市) - ヨシヅヤ津島本店内。10スクリーン1782席。
- TOHOシネマズ岐阜 (岐阜県岐阜市) - カラフルタウン岐阜内。10スクリーン2116席。
- TOHOシネマズモレラ岐阜 (岐阜県本巣市) - モレラ岐阜内。12スクリーン2504席。
[編集] 近畿
- TOHOシネマズ泉北(大阪府堺市南区) - クロスモール[5]内。9スクリーン2319席。
- TOHOシネマズ高槻(大阪府高槻市) - アクト・アモーレ[6]内。9スクリーン1820席。
- TOHOシネマズ二条(京都市中京区) - BiVi二条内。11スクリーン1954席。
- TOHOシネマズ橿原(奈良県橿原市) - ダイヤモンドシティ・アルル内。9スクリーン1630席。
- TOHOシネマズなんば(大阪市中央区) - 東宝南街ビル(旧南街会館跡地にある)内。9スクリーン1960席。
- ナビオTOHOプレックス(大阪市北区)- HEPナビオ8階内。8スクリーン2274席。
- 伊丹TOHOプレックス (兵庫県伊丹市)- ダイヤモンドシティ・テラス4階内。8スクリーン1837席。
- 三番街シネマ (大阪市北区)- 百又ビル内。1154席。
- 敷島シネポップ (大阪市中央区)- 敷島ビル4階内。474席。
- 浜大津アーカスシネマ (滋賀県大津市) - 浜大津アーカス4階内。5スクリーン823席。
[編集] 中国
[編集] 四国
- TOHOシネマズ高知 - イオン高知ショッピングセンター内。9スクリーン1597席。
[編集] 九州
- TOHOシネマズトリアス久山 (福岡県久山町) - トリアス[7]内。14スクリーン2394席。スクリーン数では同社最大規模。
- TOHOシネマズ直方 (福岡県直方市) - イオン直方ショッピングセンター内。9スクリーン1612席。
- TOHOシネマズ光の森 (熊本県菊陽町) - ゆめタウン光の森内。9スクリーン1777席。
- TOHOシネマズはません (熊本県熊本市) - ゆめタウンはません内。9スクリーン1583席。
- TOHOシネマズ与次郎(鹿児島県鹿児島市) - フレスポジャングルパーク内。10スクリーン1984席。
- TOHOシネマズ長崎 (長崎県) 2008年オープン予定
[編集] 外部リンク
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