サービスエリア
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サービスエリア
- 主として日本の高速道路等に設けられる休憩施設。この記事で扱う。
- 放送局や携帯電話会社、サービス業などがサービスを提供する意思がある地域。放送局の場合は放送区域より、一回り広い区域をサービスエリアとしている。
- バレーボールなどで、そこでサーブをするように定められた、それ以外へのサーブは無効となる区域。
サービスエリア(SA)とは、日本の高速道路等に概ね50kmおきに設置される休憩施設。一般にパーキングエリア(PA)よりも規模が大きいが、明確な規定はない。休憩、食事、自動車の給油・整備点検のためのもので、駐車場、便所、無料休憩所、緑地や遊具施設のほか、レストラン、売店、情報コーナー、給油所・修理所(ガソリンスタンド)などが設けられるのが普通である。最近は、食堂にマクドナルドなどのファーストフード店を導入したり、売店にコンビニエンスストアを導入するところが増加している。入浴施設や宿泊施設があるところもある(後述)。
暫定2車線で供用されている区間の多くはエリアの前後区間で一時的に4車線化していることが多いが場合によっては2車線のままである事もある(4車線拡張時に対応できるようにランプ部を若干広く確保していることが多い)。
東日本高速道路株式会社(NEXCO東日本)分をネクセリア東日本株式会社、中日本高速道路株式会社(NEXCO中日本)分を中日本エクシス株式会社、西日本高速道路株式会社(NEXCO西日本)分を西日本高速道路サービス・ホールディングス株式会社がそれぞれ管理している。
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[編集] 道路サービス施設
SA/PAは、道路の一部として道路管理者により開設され、駐車場やトイレなどが設けられる。そのうえで各事業者の判断により、休憩所、給油所及び自動車修理所(これらは道路サービス施設と総称される)が占用料または連結料を負担して設置される。したがって厳密には、事業者はSAそのものではなく、道路サービス施設を運営しているというのが正しい。たとえば駐車場やトイレなどは、道路管理者が直接管理している。トイレがわざわざ独立棟となっているのはこのためである。
このために、なかには豊栄SAのようにサービスエリアでありながら駐車場とトイレのみの箇所も出てくることになる。新井PAなどは、道路サービス施設ではなく道の駅への連絡路を連結しており、さまざまである。
[編集] 事業者
かつては1967年の建設省(当時)道路局長通達にしたがい、高速道路の道路サービス施設は一括して同一の占用主体に占用を認めるものとされており、たとえば日本道路公団の路線では、ごく初期に開設された大津SAの全施設と名神高速道路上の給油所(8ヶ所)が公団直轄とされた例をのぞくと、一般有料道路上のものを含めすべて財団法人道路施設協会(1965年5月27日設立)が独占して設置、施設営業やテナント契約を一手にひきうけていた。なお、他の道路関係公団においては以下の通り。
- 首都高速道路公団 - 財団法人首都高速道路協会(1967年1月10日設立)
- 阪神高速道路公団 - 財団法人阪神高速道路協会(1965年4月1日設立、大阪府)、財団法人阪神高速道路利用協会(1968年6月12日設立、兵庫県)
- 本州四国連絡橋公団 - 財団法人本州四国連絡橋道路管理協会
しかしながら、猪瀬直樹ら一部の評論家や研究者等によって、次第に事業独占の弊害が強く指摘されるようになった。その最初期の対応策として、1997年10月28日の道路局長通達により、いわゆる第三セクター企業による占用が可能となった。つづいて12月26日には、道路施設協会を分割し、当該事業への民間企業及び地方公共団体の新規参入も促進するとの閣議決定がなされ、同協会は財団法人道路サービス機構(J-SaPa、旧法人格を承継)と財団法人ハイウェイ交流センター(HELLO SQUARE、1998年7月1日設立)に分割された。
2005年の公団民営化では、設立された各道路会社が道路サービス施設の事業と資産を承継することが決定された。その方針に従って、旧阪神高速道路公団の路線における道路サービス施設(阪神高速道路協会と阪神高速道路利用協会が管理)は、公団民営化3か月後の2006年1月1日付で、地域ごとに各高速道路会社系列の管理会社(阪神高速サービス)が、旧日本道路公団の路線における道路サービス施設(道路サービス機構とハイウェイ交流センターが管理)・旧本州四国連絡橋公団の路線における道路サービス施設(本州四国連絡橋道路管理協会が管理)・旧首都高速道路公団の路線における道路サービス施設(首都高速道路協会が管理)は、公団民営化6か月後の2006年4月1日付で、地域ごとに各高速道路会社系列の管理会社(ネクセリア東日本、中日本エクシス、西日本高速道路サービス・ホールディングス、JBハイウェイサービス、首都高速道路サービス)がそれぞれ承継した。なお、道路会社に引き継がれなかったJ-SaPaとハロースクエアがもっていた一般道路分のサービスエリアとパーキングエリアは、財団法人高速道路交流推進財団(旧・J-SaPa)に引き継がれた。
[編集] 法令上の位置付け
道路法により道路管理者の占用許可が必要となる施設として、法施行令は以下の施設を掲げている(抄)。
これまでSA等の敷地は全域が道路区域に含まれていたため、エリア内の道路サービス施設はいずれもこの法令にしたがい設置されていた。公団の資産たる道路区域の上に、事業者の資産たる道路サービス施設が占有許可にもとづき設置されていたわけである。
[編集] 公団民営化にともなう権利関係の変動
公団民営化に際し、J-SaPaやHELLO SQUAREなどの財団法人が所有する休憩施設等の資産は敷地と一体で各道路会社が承継し、機構は所有しないものとされた。従来の事業者である各財団法人は、事業と資産を道路会社に譲渡し、解散することになった。
このスキームに沿って、当該道路サービス施設の敷地は道路区域からはずされ、土地建物一体で道路会社に帰属することとなった。これは、道路法の縛りからはずれ、しかも機構とは無関係に事業展開できるようになることを意味する。一方、残りの敷地やトイレ等は道路区域として機構に承継されている。あわせて改正された各法令では、道路サービス施設をこれまでの“道路を占用して設置できる施設”としての位置付けに加え、“道路に連結できる施設”としての位置付けも想定した整備がなされた。
なお、高架下のPA(例:近畿自動車道東大阪PA)など、一部は道路区域のまま存置するものも存在する。また、第三セクターなど他の団体が占用主体となっているいくつかのSA/PA(例:伊勢湾岸自動車道刈谷PA)は、敷地を道路区域として機構が所有する従前のスタイルで運営されるものとみられる。
[編集] 特殊な形態を持つSAの例
- 上下線共用型SA
- レストランを併設しないSA
- 有珠山SA、樽前SA、岩見沢SA、砂川SA(道央道)、塩沢石打SA(関越道)、印南SA(阪和道)、吉和SA(中国道)、宍道湖SA(山陰道)、高梁SA(岡山道)、来島海峡SA(しまなみ海道)、吉野川SA(徳島道)、伊予灘SA(松山道)、玖珠SA(大分道)など
- 給油所を併設しないSA
- 樽前SA、岩見沢SA(道央道)、妙高SA(上信越道)、姨捨SA(長野道)、印南SA(阪和道)、はわいSA、宍道湖SA(山陰道)、鴻ノ池SA上り線(瀬戸中央道)、来島海峡SA(しまなみ海道)、上板SA(徳島道)、南国SA下り線(高知道)、伊予灘SA(松山道)、玖珠SA(大分道)など
- 民営化後に利用者の低迷などから給油所が廃止されたケースが幾つかある。その例として津軽SA(東北道)、西仙北SA(秋田道)、塩沢石打SA下り線(関越道)、妙高SA下り線(上信越道)、鹿野SA(中国道)。
- トイレのみのSA
- インフォメーションコーナーを併設しないSA
- 有珠山SA、樽前SA、岩見沢SA、砂川SA(道央道)、塩沢石打SA(関越道)、紀ノ川SA、印南SA(阪和道)、宍道湖SA(山陰道)、高梁SA(岡山道)、鴻ノ池SA(瀬戸中央道)、来島海峡SA(しまなみ海道)、上板SA、吉野川SA(徳島道)、南国SA(高知道)、伊予灘SA(松山道)、山田SA、玖珠SA(大分道)など
- 民営化後にインフォメーションが廃止されたケースが幾つかある。その例として津軽SA上り線(東北道)、東部湯の丸SA(上信越道)、米山SA(北陸道)、七塚原SA、鹿野SA(中国道)など
- 宿泊施設を持つSA
[編集] インフォメーションコーナー
サービスエリアの大半及びごく一部のパーキングエリアではインフォメーションコーナーと呼ばれる案内所を設けている。ここではインターチェンジ間の料金案内や交通情報、地域情報、ベビールームの貸し出し、無償による茶の提供等を行っている。インフォメーションコーナーが無い施設でも場合によっては情報端末による情報案内が入手できる場合もある。
[編集] エリアガイド(地図)
道路施設協会の頃から該当する高速道路周辺の地図とサービスエリア・パーキングエリアに関する案内を記載したエリアガイドを配布していた。これはその後の道路サービス機構・ハイウェイ交流センターに移行した後も続けられたが、民営化後は各高速道路会社がそれぞれの異なった形態による地図の配布に変わった((例)東日本高速道路の場合は「ハイウェイウォーカー」など)。
[編集] 道路標識
サービスエリアの標識の「スパナ」(修理)の表示が2000年1月に廃止された。これは給油所において簡易な作業しか行うことが出来ないため、故障などの修理には対応できず、運転手の混乱をまねくためである。そのため、最近では「i」(インフォメーション)の表示に変更されている。
[編集] 関連項目
- パーキングエリア - サービスエリアの簡易版
- 道の駅 - 一般道路の休憩場所
- 農産物直売所
- ハイウェイオアシス
- スマートインターチェンジ - サービスエリア等に設置することが検討されているETC専用インターチェンジ。
- 日本のサービスエリア・パーキングエリア一覧
- サービスエリアパーキングエリアスタンプ
[編集] 外部リンク
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