今上天皇
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今上天皇(きんじょうてんのう)は、その時点において天皇として在位している人物を指す呼称。今上、当今(とうぎん)ともいい、敬意を含んだ表現である[要出典]。
2007年現在の今上天皇は、昭和天皇の第一皇子で諱は明仁(第125代)。
目次 |
[編集] 今上天皇の呼称について
「今上」は、「いまのうへ」というやまとことばを漢字で書いたもので、漢語由来の『聖上』と同じように、現在の帝を意味する語である。日本では、敬意を示すものについてはっきりした言い方を持たない文化があり、当代の天皇の呼称もあまり発達しなかった。しかし、大正天皇や昭和天皇と並べて表記したい場合に、「今上」もしくは「今上陛下」では言葉のすわりがよくないことと、「今上天皇」と表記すると語感から客観的な表現に感じられるため、中立を求められる表現の中で使用される頻度が高くなってきた。また美智子皇后も「今上陛下」と公の場では呼んでいる。
天皇の敬称は、諸国の国王・女王と同様に「陛下」が使われている(皇室典範で規定)が、今上天皇陛下とは言わず、今上陛下、天皇陛下もしくは陛下、現在では殆ど使われていないが帝(みかど)とのみ呼ばれる。また、明治天皇、大正天皇、昭和天皇などの呼称は、それ自体に敬意が込められた追号であるため、昭和天皇陛下とも言わない。(口頭では「昭和の天皇陛下」という言い方をされることがあるが、この場合の「昭和」は「昭和時代」の意であると解される。)
[編集] 「元号+天皇」という呼称について
平成天皇という呼称について、これが死後の追号・諡号の形式であるところから使用を避ける傾向があるが、以下の観点から誤りとは言いがたいとする考え方も存在する[要出典]。
- 一世一元制下では「元号+帝」で(在世中から)当今を指す用法があること。また特に清朝研究などの分野では学術的にも広く行われている慣行であること。
- 和風追号のなかには別邸の在所から付けられたものがあり(鳥羽、白河等)、在世中に「鳥羽の院」「白河の院」などと呼ばれたとする学説もあること。
- 「平成天皇」は失礼だが「平成の天皇」なら問題ない、というのは日本語の構造からいっても、また語感からいっても、著しく不自然であり、なにかおかしいと感じるのが正常な感覚ではないか。これは近年の言語事情(伝統的な漢語(用法ではなく逐語的な意味)と現代的口語表現との不整合)による歪みに他ならないと考えられること。
[編集] 現在での用例
現在、日本の一般市民もマスメディアも「今上天皇」と言う呼称を用いる事は少ない。メディアなどは「天皇陛下」と呼称するが、一般には「天皇」という呼称が用いられることが多い。ただ、歴史的話題で複数の天皇が話題に上がっている場合、口語として「今の天皇」もしくは「今の天皇陛下」と言うことがある。
また、外国では「The emperor ****」と呼ばれることから「名前+天皇」の用例がある(例『ラストエンペラー』での「裕仁天皇」)。
テレビや新聞記事では用いられていないが、天皇の呼称に統一性を持たせる意味や明治以降の「元号=天皇の呼称」という規則(一世一元の制)に倣う意味で「平成天皇」と呼ぶ人もいる。「平成天皇」の呼称をよく用いる有名人には、古舘伊知郎などがいる。
テレビや新聞で「平成天皇」という呼称が用いられないのは、前述したように「追号になるはずの“平成天皇”を存命中に用いるのは失礼」という考えに起因するからだと考える人もいる。ただし、皇室関係の話題については議論、特に否定的な意見を出すべきではないという風潮(菊タブーなどを参照されたし)があり、そのため「失礼に当たるかあたらないか」の議論はもとより「一世一元の制の下では元号は天皇の呼称と同一であるから平成天皇という呼び方がすなわち失礼にあたるというのは早計である」という意見の下に「平成天皇」という呼称を改めて持ち出しづらい風潮があることにも注意が必要である。
[編集] 関連項目
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121 孝明 | 122 明治 | 123 大正 | 124 昭和 | 125 今上 | ※赤字は女性天皇 |
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