東名ハイウェイバス
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
東名ハイウェイバス(とうめいハイウェイバス)とは、JRバス関東・JRバステックとJR東海バスによって運行される東名高速道路の昼行高速バス路線。東名高速線(とうめいこうそくせん)というのが正式な路線名である。
目次 |
[編集] 沿革
- 1969年6月10日 東名高速線、東京~名古屋開業。
- 1973年11月1日 星が丘で下り便のみ降車扱いを開始。
- 1975年10月1日 東名音羽バスストップを新設。
- 1979年6月10日 千種駅前で下りのみ、霞ヶ関で上りのみ降車扱いを開始。
- 1980年4月7日 東名豊橋北バスストップを新設。星ヶ丘で上り便の乗車扱いを開始。
- 1984年7月21日 初のハイデッカー車(P-MS735SA)を運行開始。
- 1986年11月1日 東名愛鷹バスストップを新設。
- 1988年3月13日 JR東海の単独運行により、浜松駅~京都駅間の特急便を運行開始。停車駅は、東名豊橋北・東名音羽を除く浜松駅~東名日進間の各バスストップ・東名旭・東名春日井・名神岩倉・京都駅。上郷SA・多賀SAで休憩。
- 1990年3月15日 一部便の御殿場駅乗り入れを開始。東名沼津~沼津駅間の花園町・金岡小学校前・県総合庁舎前での乗降扱いを開始(いずれも下り降車のみ・上り乗車のみ)。
- 1991年4月9日 東名足柄バスストップを新設。
- 1993年10月12日 東名厚木バスストップを一時廃止。
- 1995年4月1日 東名厚木バスストップを本線上に復活。東名大井バスストップを新設。JR東海バス便の運賃支払い方式を前払いに変更。
- 1999年2月1日 超特急「スーパーライナー」の運行を開始。下り便の運行経路を宝町ランプから霞ヶ関ランプに変更。東名江田~東名大和間の東名横浜バスストップを廃止。特急便の停車駅を一部変更。
- 1999年6月 開業30周年。土休日と6月10日に、「最後の国鉄形式」P-MS735SAを東京~静岡の急行便として運行。
- 2000年7月20日 沼津駅乗り入れを廃止。東京~静岡間の特急便の大半を急行便に変更。東名浜名湖バスストップを新設。
- 2002年10月12日 急行便中心のダイヤとなり、特急便は大幅に減便される。
- 2006年12月15日 浜松駅~名古屋駅・京都駅の路線及び御殿場駅の乗り入れが廃止。浜松インター・本山を新設。
[編集] 運行形態
[編集] 種別・系統
2006年12月15日にダイヤ改正が行われた。以下は改正後の運行形態である。
なお、各運行種別に共通する停車駅情報として、本線上にない静岡駅、浜松駅は始終発着便以外は立ち寄らない他、霞が関は上り便のみ停車の降車専用。栄、千種駅前、本山、星ヶ丘、名古屋ICは上り便は乗車、下り便は降車専用。
- 急行
- 東京駅~静岡駅、静岡駅~名古屋駅の系統のみで、全線を通して運行されるバスはない。
- 基本的に全停留所に停車するが、名古屋発の上り便は全便栄を通過する。
- 特急
- 東名ライナー
- 東京駅~浜松駅、東京駅~名古屋駅の2つの運行系統がある。
- 改正前は超特急で、現在のスーパーライナーとほぼ同じ停車駅の愛称として使われていたが、特急の愛称の形で事実上格下げとなり、停車駅も特に東名静岡からは全停留所に停車するようになった。
- 東名ライナー
- 超特急
- スーパーライナー
- 運行区間は東京駅~名古屋駅。
- 改正前の東名ライナーの停車駅をほぼ踏襲している。
- ノンストップライナー
- 運行区間は東京駅~名古屋駅。
- 東京駅、霞が関(上りのみ)、東名江田、名古屋IC、名古屋駅のみの停車である。
- スーパーライナー
[編集] 停留所
停留所名 | 営業キロ | 急行 | 特急(東名ライナー) | 超特急(スーパーライナー) | 超特急(ノンストップライナー) | 所在地 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|
東京駅※ | 0.0 | ● | ● | ● | ● | 東京都 | 千代田区 |
霞が関※◆ | 2.2 | ▲ | ▲ | ▲ | ▲ | ||
東名向ヶ丘 | 22.7 | ● | ● | | | | | 神奈川県 | 川崎市宮前区 |
東名江田 | 26.5 | ● | ● | ● | ● | 横浜市青葉区 | |
東名大和 | 40.0 | ● | ● | | | | | 大和市 | |
東名綾瀬 | 44.8 | ● | ● | | | | | 綾瀬市 | |
東名厚木 | 52.7 | ● | ● | | | | | 厚木市 | |
東名伊勢原 | 57.7 | ● | ● | | | | | 伊勢原市 | |
東名秦野 | 66.0 | ● | | | | | | | 足柄上郡中井町 | |
東名大井 | 73.2 | ● | | | | | | | ||
東名松田 | 76.1 | ● | | | | | | | 足柄上郡松田町 | |
東名山北 | 79.6 | ● | | | | | | | 足柄上郡山北町 | |
東名小山 | 91.6 | ● | | | | | | | 静岡県 | 駿東郡小山町 |
東名足柄 | 95.1 | ● | ● | | | | | ||
東名御殿場 | 99.6 | ● | ● | ● | | | 御殿場市 | |
東名裾野 | 111.5 | ● | ● | | | | | 裾野市 | |
東名沼津 | 119.2 | ● | | | | | | | 沼津市 | |
東名愛鷹 | 121.8 | ● | | | | | | | ||
東名中里 | 131.7 | ● | | | | | | | 富士市 | |
東名富士 | 137.4 | ● | ● | ● | | | ||
東名松岡 | 141.0 | ● | | | | | | | ||
東名富士川 | 143.4 | ● | | | | | | | 庵原郡富士川町 | |
東名蒲原 | 149.0 | ● | | | | | | | 静岡市清水区 | |
東名興津 | 158.4 | ● | | | | | | | ||
東名清水 | 163.6 | ● | ● | | | | | ||
東名日本平 | 171.7 | ● | | | | | | | 静岡市駿河区 | |
東名静岡 | 177.7 | ● | ● | ● | | | ||
静岡駅※ | 181.2 | ● | ∥ | ∥ | ∥ | 静岡市葵区 | |
東名焼津西 | 192.0 | ● | ● | | | | | 焼津市 | |
東名大井川 | 196.9 | ● | ● | | | | | 志太郡大井川町 | |
東名吉田 | 201.4 | ● | ● | ● | | | 榛原郡吉田町 | |
東名牧の原 | 210.6 | ● | ● | | | | | 牧之原市 | |
東名菊川 | 217.6 | ● | ● | | | | | 菊川市 | |
東名掛川 | 223.7 | ● | ● | | | | | 掛川市 | |
東名岡津 | 229.0 | ● | ● | | | | | ||
東名袋井 | 235.3 | ● | ● | | | | | 袋井市 | |
東名磐田 | 242.1 | ● | ● | | | | | 磐田市 | |
浜松インター※◇ | 246.1 | ∥ | ● | ∥ | ∥ | 浜松市東区 | |
浜松駅※ | 253.4 | ∥ | ● | ∥ | ∥ | 浜松市中区 | |
東名浜松北 | 249.4 | ● | ● | ● | | | 浜松市東区 | |
東名舘山寺 | 260.7 | ● | ● | | | | | 浜松市西区 | |
東名浜名湖 | 264.6 | ● | ● | ● | | | 浜松市北区 | |
東名三ヶ日 | 270.8 | ● | ● | | | | | ||
東名豊橋北 | 278.2 | ● | ● | | | | | 愛知県 | 豊橋市 |
東名豊川 | 284.8 | ● | ● | | | | | 豊川市 | |
東名音羽 | 295.0 | ● | ● | | | | | 宝飯郡音羽町 | |
東名本宿 | 301.2 | ● | ● | ● | | | 岡崎市 | |
東名岡崎 | 309.2 | ● | ● | | | | | ||
東名岩津 | 317.3 | ● | ● | | | | | ||
東名上郷 | 321.6 | ● | ● | | | | | 豊田市 | |
東名豊田 | 326.6 | ● | ● | ● | | | ||
東名三好 | 331.6 | ● | ● | △ | | | 西加茂郡三好町 | |
東名日進 | 335.2 | ● | ● | △ | | | 日進市 | |
名古屋インター※◇ | 341.7 | ● | ● | ● | ● | 名古屋市名東区 | |
星ヶ丘※◇ | 344.5 | ● | ● | ● | | | 名古屋市千種区 | |
本山※◇ | 346.5 | ● | ● | ● | | | ||
千種駅前※◇ | 349.6 | ● | ● | ● | | | ||
栄※◇ | 352.4 | ▼ | ● | ▼ | | | 名古屋市東区 | |
名古屋駅※ | 355.6 | ● | ● | ● | ● | 名古屋市中村区 |
- 停留所欄の※をつけた停留所は東名本線上にはない停留所。◆は下り乗車専用上り降車専用、◇は上り乗車専用下り降車専用の停留所。
- 停車駅欄の●は停車、▼は下りのみの停車、▲は上りのみの停車、△は上りの一部のみの停車、|は通過、∥経由なし。
[編集] 乗車券の購入・予約
- 乗車券は、JRバス窓口やバス車内で購入する。バス車内購入の場合は前払い。
- 旅行会社でも発売する。
- 電話予約は、名古屋駅および静岡駅から乗車の場合に可能。
- 2005年3月25日より、東京駅および東名江田(超特急便のみ)からの下り乗車も電話予約が可能になった。
- 御殿場駅を含めた途中停車地からの電話予約はできない。但し浜松駅だけは前もって乗車券を購入できるが、ここは東名浜松北と全く関係のない場所である。浜松駅での乗車券発券は遠鉄バス浜松駅バスターミナルに販売を委託しているが、予約は静岡駅にて受けている。
[編集] 割引運賃
- 往復割引 : 東京駅-名古屋駅、東京駅-東名富士、東京駅-静岡駅、東京駅-浜松駅、静岡駅-名古屋駅で設定されている。
各始発駅とJRみどりの窓口(東京、富士、新富士、静岡、浜松各駅と名古屋市内の各駅)で発売。 - 回数券 : 4枚つづりで約13%引
- 学生割引 : 101キロ以上の場合、運賃が2割引になる。バス車内で購入する場合は学生証を提示すればよい。自動券売機やJRバス窓口で学割運賃の乗車券を購入した場合は乗車時に学生証の呈示が必要。
[編集] 途中下車
- 霞が関、栄、千種駅前、星ヶ丘、名古屋IC以外の各停留所で当日に限り途中下車可能。このため、途中の停留所まで特急便に乗ってから別の急行便へ乗り継ぐ場合や東名静岡で急行便同士を乗り継ぐ場合も1枚の乗車券で済む。但し、接続は保証されていない。
[編集] 使用車両
開業以来、基本的には強馬力仕様の車両が導入されている。これは、本線上のバスストップでは短い距離で加速するという、特別な性能が要求されたためである。
また、最後部ギリギリまで座席を設置することで、可能な限りシートピッチを広げている。JR東海バスのハイデッカー車(U-MS729SA改)では、進行方向右側が870~880mm、左側は915mmとなっている。
[編集] 国鉄時代
国鉄バスでは、東名高速線には高速バス運行に特化した特別設計の車両を導入していた。これらの車両は「国鉄形式」と通称された。1981年導入車までは標準床車で増備されたが、1984年に導入された新車はハイデッカーとなった。
詳細については国鉄専用形式を参照のこと。
なお、1986年には初のスーパーハイデッカー車として、ドリーム号用に三菱エアロクィーンW(P-MU525TA改)を導入している。
[編集] JR化後から現在まで
1987年のJR東日本バスの新車は、MS735SAとほぼ同一の仕様ながら、車体をエアロバスと同様にした車両(P-MS725SA改)となった。一挙に20台以上が導入され、JR東日本バスの国鉄専用形式標準床車を置き換えた。JR東海でも1988年にほぼ同型の車両を投入し、標準床車はほぼ置き換えられた。
また、JR東海バスでは1989年から1990年にかけては、エアロバス車体とエアロクィーンMのシャーシを組み合わせた車両(P-MS729SA改.U-MS729SA)を導入している。1993年からJRバス関東で導入されたニューエアロバスは、ハイデッカー・折戸車体ながら過給器なしで400psエンジンを搭載するU-MS821PAが選択されている。
1996年には、東名高速線では28年ぶりのいすゞ車として、ガーラハイデッカー車が導入された。過給器なしで450psエンジンと、28年前の汚名を返上するかのような性能で、乗務員の評価も悪くなかったが、エンジンはV型12気筒と、奇しくも28年前と同様のものになっていた。
1997年頃からJRバス関東では車両価格の低廉化に力を入れるようになり、折しも三菱から発売された「SA観光仕様」(KC-MS829SA)を投入した。しかし、既に400ps以上のエンジンが標準になっている状態で、355psのエンジンは相対的に物足りない性能とみなされた上、車内も標準仕様に近づけたため、シートピッチが狭い上に後部デッドスペースも大きいなど、乗務員・乗客のどちらからも芳しい評価ではなかったため、2年ほどで他の路線へ転用されている。新車が多く導入される中、JRバス関東の東名ハイウェイバス車両で経年車が目立つのは、こうした事情にもよる。なお、車内仕様については1998年以降導入の車両では、後部デッドスペースも小さくなるように改善されている。
その後は、日野・セレガや日産ディーゼル・スペースアローなどが導入されている。近年の増備車では、「青春ドリーム号」への使用も考慮して、運転席との間に仕切りカーテンが設置されている車両もある。
[編集] 特記事項
- 途中区間の利用者が多いため、収支状態は良いとは言えず、毎年数億円の赤字を出している。しかし、運行会社には「高速バス路線の原点」という意識が強いため、名神高速線と違って途中駅の大幅な削減などは全く考えられておらず、むしろバスロケーションシステム整備や回数券の車内販売など、区間利用者向けの施策が目立つ。ただし、2005年のダイヤ改定では、直行便主体のダイヤに変更されている。
- 特にJRバス関東では、東名高速線を他の高速バス路線とは区別して扱っており、東名で使用した車両を転用することはあっても逆のケースはない。かつては東京支店第一課の乗務員が専門で担当していた。現在はドリーム号が各支店へ配分された他、一部便が他の支店の乗務員により運行されているものの、基本的には東京支店の乗務員が担当することに変わりはない。
- 強馬力仕様のハイデッカーが中心で、乗務員もそれに慣れてしまっているため、逆に夜行高速バスのスーパーハイデッカーに対する乗務員の評価が「馬力が足りない」という、他社ではあまり聞かないようなものになっている。
- 近年、JRバス関東では東京~沼津線「沼津号」・かぐや姫エクスプレス号・やきそばエクスプレス号・しみずライナー号のように、ある程度の利用者が見込まれる区間については別路線を設定して直行便の運行を行なっているが、その分東名ハイウェイバスにおけるJRバス関東の担当便が減少しているという傾向が見られる。
[編集] 関連項目
カテゴリ: 国鉄バス | 関東地方のバス路線 | 高速バス路線 | 中部地方のバス路線 | ジェイアール東海バス | ジェイアールバス関東 | JRバス | バス関連のスタブ記事