毎日放送土曜6時枠
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毎日放送土曜6時枠(まいにちほうそうどよう6じわく)とは1992年10月3日より毎日放送製作でTBS系列にて毎週土曜18:00~18:30(一部の地域では放送時間が異なる(後述))に放送されている番組枠の指す言葉である。
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[編集] 概要
1980年代、この時間帯はTBS制作の長寿番組『料理天国』を放送していた。その終了後は、一般的にMBS制作のアニメ・特撮番組枠であると思われがちであるが、実際の第1作は山城新伍司会の雑学クイズ番組『新伍のワガママ大百科』(1992年10月3日-1993年6月26日) である。しかし視聴率不振で終了となる。
この番組は、『私はナンバーワン』→『アップダウンクイズ』[1]→『クイズ!!ひらめきパスワード』→『近藤正臣の味覚人情報』と、日曜19時枠→木曜19時枠→土曜18時枠へ移動した大阪本社制作番組枠であった。
[編集] アニメ枠としての成立
『新伍のワガママ大百科』打ち切りとなった直後の1993年7月3日より『3丁目のタマ うちのタマ知りませんか?』を繋ぎの番組として放映して以後、全日帯アニメ枠となったが、実際は同系列である中部日本放送(CBC)制作で当時金曜夜7時枠に放送していたアニメ枠と制作会社(但し「3丁目のタマ - 」は別会社)、およびスポンサー交換を行ったのが実情であった。
この時期から東京支社制作となって以降、1年単位で放送される児童・ファミリー層向けアニメ作品が続き、いずれも好評を博した。
- 3丁目のタマ うちのタマ知りませんか?(1993年7月3日-8月28日)
- ムカムカパラダイス(1993年9月4日-1994年8月27日)
- 愛と勇気のピッグガール とんでぶーりん(1994年9月3日-1995年8月26日)
- ママはぽよぽよザウルスがお好き(1995年9月2日-1996年8月31日)
[編集] 「平成ウルトラシリーズ」・「ゾイド」枠
ところが、1996年9月に『平成ウルトラシリーズ』シリーズが、同枠で放送されることになると、特撮番組枠へと移行するが、その後は『ゾイド』シリーズのアニメ化枠となった後、再びウルトラシリーズ枠となる。こちらも『ゾイド新世紀スラッシュゼロ』を除いて1年単位で放送された。
- ウルトラマンティガ(1996年9月7日-1997年8月30日)
- ウルトラマンダイナ(1997年9月6日-1998年8月29日)
- ウルトラマンガイア(1998年9月5日-1999年8月28日)
- ゾイド -ZOIDS-(1999年9月4日-2000年12月23日)
- ゾイド新世紀スラッシュゼロ(2001年1月6日-6月30日)
- ウルトラマンコスモス(2001年7月7日-2002年9月28日)
[編集] 「土6」
『「ウルトラマンコスモス』終了以降、2002年、ガンダムシリーズの新作である『機動戦士ガンダムSEED』が始まると同枠の様相が一変する。人気シリーズの復活ということのみならず、人気アーティストの主題歌起用などの戦略の成功、キャラクターに対するアニメファンの支持などが加わって関連グッズ・DVD・主題歌CDなどが売れ筋商品となり、大ヒット作となる。
『ガンダムSEED』の成功を受けて、こうした主に10代後半層(特に女性)向けの販売路線の作品が追求されるようになり、フジテレビ系列に用いられた人気ドラマ枠の通称「月9」枠に準えて発生した「土6(どろく)」という通称が、アニメ雑誌のみならず、人気アーティストの主題歌を報じるその他の新聞・雑誌などに浸透していった。
しかし、放映される作品には多かれ少なかれ賛否両論がある(特に『ガンダムSEED』関係に対しては熱狂的な意見がインターネット上を飛び交った)。その理由として、夕方の低年齢層も視聴する時間帯にも関わらず、「戦争」「大量殺戮」「人体実験」などの残酷描写や、同性愛や性犯罪も含む性描写が生々しく描かれている(場合によっては近年の深夜アニメ以上に)点、反戦・反米など特定の政治的メッセージ性を強調している点[2]、主題歌を1クールごとに変更するなど、商業的要素が強い点、などが挙げられる。
各番組の最終回終了後には、全主題歌や挿入歌などを収録した『(番組名)COMPLETE BEST』というタイトルのベストアルバムがSONY MUSICまたは子会社のANIPLEXから発売されるのが恒例となっている(『ガンダムSEED』シリーズに関してはビクターエンタテインメントからリリースされた楽曲の一部も収録。後にビクター独自のベストアルバムも発売された)。
各番組に共通するスポンサーはバンダイとSONY MUSIC(SME)グループである。
- 機動戦士ガンダムSEED(2002年10月5日 - 2003年9月27日)
- 鋼の錬金術師(2003年10月4日 - 2004年10月2日)
- 機動戦士ガンダムSEED DESTINY(2004年10月9日 - 2005年10月1日)
- BLOOD+(2005年10月8日 - 2006年9月23日)
- 天保異聞 妖奇士(2006年10月7日 -2007年3月31日)
- 地球へ…(2007年4月7日スタート)
今までにこれらの作品が放映されており、『BLOOD+』までは1年単位で放送されていた。
なお、「土6」成立以降に他の時間帯で放送された毎日放送製作アニメ(『交響詩篇エウレカセブン』、『コードギアス 反逆のルルーシュ』)にも、ビジネスモデル面(特に音楽面)で共通点が見られる(主題歌の担当が主にSME系アーティスト、作品放映終了後のベスト盤発売など)。
土6枠は『機動戦士ガンダムSEED』シリーズ、『鋼の錬金術師』の3作品では商業的には成功を収めていたが、『BLOOD+』を境にして商業的にも余り振るわなくなり、視聴率も低迷の1歩を辿っている。2006年から放映された『天保異聞 妖奇士』も視聴率、関連商品の売上が全く好転しなかったため、土6枠初の2クール打ち切りとなった。
これに関してはNHKの存在が大きい。現在、NHK教育テレビでアニメ『MAJOR』やNHK総合テレビで子ども向けのニュース番組『週刊こどもニュース』といった番組を編成しているからであり、特に『MAJOR』に関しては現在の「土6」と同じアニメ作品であるため、視聴率の食い合いになっており、水を空けられている。
[編集] 備考
なおTBS制作の「料理天国」の頃から中京広域圏の中部日本放送(CBC)など一部の地域では土曜18時にローカル番組を放送していた関係で1週間遅れでの時差ネットを行っている。その後、CBCを含めMBSとの同時ネットに切り替わった地域(局)は増加した。この背景には『ウルトラマンコスモス』の主演俳優を巡るトラブルが原因で同番組の放送が一時中断した影響も少なからずあったことに加え、『TVおじゃマンボウ』(日本テレビ、現在は終了)の「TV主題歌ランキング」で本枠の主題歌が頻繁にランクインするにも拘らず、時差ネット地域で放送時間が重複し同地域の日本テレビ系列局が直接の裏番組の主題歌を流してしまう、という問題があったのもある(もちろん『TVおじゃマンボウ』は、系列キー局であるTBSでは特番期を除いて直接の裏番組ではなく、MBSの放送エリアである近畿広域圏ではよみうりテレビでのネット自体が無かった)。
- 『機動戦士ガンダムSEED』開始と共に正式に同時ネット化
- 青森テレビ(ATV)
- 『機動戦士ガンダムSEED DESTINY』中盤(2005年4月)から同時ネット化
- CBC
- 山陽放送(RSK)
- 『BLOOD+』放映途中から同時ネット化
ただし、静岡県の静岡放送(SBS)と広島県の中国放送(RCC)の2局は2006年10月現在でも土曜18時にローカル番組(SBSは「SBS土曜スコープ」、RCCは「Eタウン」)を放送している関係で未だに1週遅れの時差ネット(土曜17:30~18:00)を行っている。これらの局にも本放送と同一のスポンサーがついており、提供クレジットもMBSのものを使用している(一部の番組の最後に表示されるパスワードは、同じ放送分でも本放送と時差放送とで異なるため、MBSが裏送りを実施している模様)。
なお、RCCは、『ウルトラマンティガ』途中までは同時ネットだったが、1997年4月に風見しんご司会のスポーツ情報番組『HOT DOG』をスタートさせて以降1週遅れとなった(それまで放送していたニュース番組『RCCニュースサタデー』は17:30~18:00だった)。
テレビ山口は、以前はニュース以外はフジテレビ系とのクロスネット(FNSに加盟)だった。しかし、JNN排他協定との関係上、フジテレビから求められたFNNへの加盟が出来なかったために、1987年9月限りでFNS脱退を余儀なくされた。しかしその後も引き続き同系列との間に友好関係を維持しているため、土曜日の17時台と18時台前半を、フジテレビ系列の番組・自社制作番組・JNN九州・山口ブロックネット番組の遅れネットなどの枠としていた他、それ以外のローカル枠もフジテレビ系列の番組を多く編成していたためか、この時間帯の番組はほとんどネットしていなかったが、『ウルトラマンコスモス』の途中から同時ネットに移行した。ただ、『ウルトラシリーズ』の『平成三部作』(ティガ・ダイナ・ガイア)については、学校の長期休暇時に集中放送していた。
TBS系列局のない秋田県では秋田放送(日本テレビ系=『とんでぶーりん』までと『ウルトラマンコスモス』)、秋田テレビ(フジテレビ系=『ゾイド』シリーズのみ)で土6枠のアニメ・特撮を数ヶ月遅れで時差ネットしていた時期があった。また、レギュラー放送はしなかったが、『鋼の錬金術師』劇場版のPR番組を秋田朝日放送(テレビ朝日系)が放送した。
[編集] 余談
SBSとRCCは、『ウルトラマンメビウス』もバンダイ他のスポンサードネット対象局でありながら、平日午後に遅れネットとなっている。なお、同番組のその他の遅れネット局と、同時ネット局のうち南日本放送(MBC)は、スポンサードネットの対象から外れ番組販売扱いである。
MBSの土6枠がアニメ・特撮枠になって以降、テレビ朝日も1997年10月から1999年3月までの1年半の間、この土曜18時にアニメ番組を放送していたがやはり視聴率低迷で終了している[3]。
また、MBSのキー局であるTBSも、1978年に放送が開始された『まんがはじめて物語』以後、同局の土曜夕方5時半枠は一時期の中断はあったものの、長年テレビアニメ枠として続いていたが、2004年3月をもって『探偵学園Q』の終了もろともアニメ枠自体が消滅し、自社制作の全日帯アニメが在京キー局では唯一存在しない時期が続いたが[4]、2007年4月から『ラブ★コン』の開始と共に、約3年ぶりに自社制作の全日帯アニメが復活する事が決まった[5]。
『鋼の錬金術師』以降の作品は、『機動戦士ガンダムSEED DESTINY』を除いて第1話放送前にPR番組を一部のネット局で放送するのが恒例となっている(『天保異聞 妖奇士』の場合は第1話放送前週に通常の放送枠で全国ネット)。『BLOOD+』と『天保異聞 妖奇士』は放送中にもナビゲーション番組が放送された(関東では独立U局でも放送)。また、マニア向けのMBS製作作品についても、同様にPR番組やナビゲーション番組が放送された。テレビアニメにおいてこのような特番が放送されるのは『土6』枠と一部のMBS製作作品のみである。
『ガンダムSEED』シリーズの第1話放送前後と放送中には過去の劇場版ガンダムシリーズ数作品が、『BLOOD+』の第1話放送前日には原作の映画『BLOOD THE LAST VAMPIRE』がそれぞれ関西ローカルで放送された。
[編集] 関連項目
[編集] 脚注
- ^ 『アップダウンクイズ』放送途中の1975年3月30日まではNETテレビ系
- ^ その路線を推進しているMBS担当プロデューサーの竹田菁滋が、自身の発言なども相まって槍玉に挙がることが多い。
- ^ 『忍ペンまん丸(19時半から移動)』→『遊☆戯☆王』→『まもって守護月天!』(いずれも2クール)
- ^ その後の同枠は番組宣伝を主体としたバラエティ『チャンネル☆ロック!』となったが、2006年4月からはこれを30分前倒しして、前述の『ウルトラマンメビウス』を同時ネット。
- ^ ただし、MBSやCBCと言った系列局では深夜帯での時差ネットとなる。ちなみにMBSでは同時間帯にTBSほかでは深夜帯放映の『おおきく振りかぶって』を唯一全日帯に放映する予定である。つまり関東と関西とで『捻れ現象』が発生する事になる。
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