防衛省情報本部
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情報本部(じょうほうほんぶ、Defence Intelligence Headquarters:DIH)は、防衛省(旧称:防衛庁)に置かれている特別の機関のひとつ。約2,300名の要員を抱え、海外の軍事情報を始めとする各種情報を扱う日本最大の情報機関である。
前身の一つに、小説・コミックなどで日本の情報機関として知られた「統幕2室(部)」と通称される統合幕僚会議事務局第2幕僚室を持つ。
目次 |
[編集] 概要
防衛庁(現:防衛省)では、従来、外国の軍事情報を防衛局調査第1課・同第2課、陸上・海上・航空各幕僚監部調査部及び各自衛隊の情報専門部隊等で情報の収集・分析を行っていたが、別個に情報業務を行っていたため、防衛庁全体としての情報の収集・分析が非効率的であるという構造的欠陥を抱えていた。
この問題を解決すべく、1995年に策定された防衛計画大綱に基づいて、防衛庁内の複数の情報機関を統合する形で、1997年1月20日に設置された(創設時は約1,700名)。なお、防衛庁内のすべての情報組織が統合されたわけではなく、既存の組織はそれぞれ一部改編・縮小されたものの、引き続き存続した。
情報本部では主に以下の情報の分析を行う。
- 独自に収集する情報(電波情報及び画像情報等)
- 防衛省の情報本部以外の部署(陸上自衛隊中央資料隊等、自衛隊の情報部隊)からもたらされた情報
- 外務省、警察庁、公安調査庁を始めとする他の省庁からもたらされる情報
- 友好国からもたらされる情報
- 一般の公刊物等からの情報
近年防衛省では情報収集分野の強化に努めており、各自衛隊の自衛官の定数が削減される中で情報本部要員はほぼ毎年増員されている。平成19年度予算でも95人の定数増が行われる見込み。
[編集] 年表
- 1997年(平成9年)1月20日 - 統合幕僚会議に情報本部が設置される。同日、統合幕僚会議事務局第2幕僚室が廃止される。
- 2001年(平成13年)3月27日 -技術官が廃止され、新たに緊急・動態部が設置される。
- 2004年(平成16年)3月29日 - 画像部が画像・地理部に改称される。
- 2006年(平成18年)3月27日 - 陸海空の自衛隊統合運用により、統合幕僚会議下の組織から長官直轄組織へ改編、緊急・動態部を廃止、統合情報部を新設。同日、各幕僚監部の調査部調査課は廃止され、新たに陸上幕僚監部と航空幕僚監部には情報・運用支援部情報課が、海上幕僚監部には指揮通信情報部情報課が新設された。
[編集] 組織
情報本部長には陸将、海将又は空将の自衛官が任命される。 また、副本部長には、防衛省大臣官房審議官(官職・防衛省書記官)を本務とする者が副本部長(官職・防衛事務官)の職を兼補する形で任命される。 さらに、その下に情報専門スタッフとして4名の情報官が置かれる。 情報官の内訳としては、事務官が1名と自衛官が3名であり、事務官は、各国の安全保障・国防政策に関する情報を統括し、自衛官は、各々の担当地域の軍事情勢の統括を行う。また、情報評価官が1名置かれ、情報本部が実施する情報の収集整理について、その効果的な実施を図る観点から行う評価に関する事務をつかさどる。 そして、本部長-副本部長の下部に6つの部が組織されている。
- 情報本部長(陸将、海将又は空将)
- 副本部長(事務官)
- 情報官(4名、うち事務官1名、自衛官3名)
- 情報評価官
- 総務部(総務部長:1佐)
- 総務課(課長:1佐、各班長:2佐)
- 総務班
- 文書班
- 会計課
- 人事教育課
- 総務課(課長:1佐、各班長:2佐)
- 計画部(計画部長:1佐)
- 事業計画課
- 分析部(分析部長:事務官)
- 主任分析官(1佐)
- 分析第1課 - 分析第8課(各課長:1佐、第1課情報調整官:1佐、他課情報調整官:2佐)
- 統合情報部
- 統合情報第1課 - 統合情報第2課(各課長:1佐、各課情報調整官:2佐)
- 画像・地理部(画像地理部長:1佐)
- 画像地理第1課 - 画像地理第5課(各課長:1佐)
- 電波部(電波部長:事務官(警察庁からの出向者))
- 電波第1課 - 電波第10課(各課長:1佐、各課情報調整官:2佐)
- 通信所(6個、通信所長:1佐)
[編集] 総務部
[編集] 計画部
情報収集に関する各種計画の立案、関係部局との調整などを行う。
[編集] 分析部
情報本部における情報の総合的な分析や他部の担当する情報以外の情報に関する収集・分析を行う。
[編集] 統合情報部
統合運用に関する情報の収集・整理、統合幕僚長、各自衛隊に対する直接的情報支援を行う。 情報本部の組織でありながら、統合幕僚監部の情報部(J-2)としての運用が予定されている。 緊急・動態部を主たる前身とするほか、分析部及び各幕僚監部調査部のうち自衛隊の運用に関する情報を担当する部署を統合して設置された。
[編集] 画像・地理部
画像情報及び地理情報の収集・分析を行う。 主な情報源は、商業用の地球観測衛星による画像資料であり、分解能1m級の高分解衛星画像も処理できる画像情報支援システムも2001年3月から運用している。 前身は、1984年から商用地球観測衛星の画像資料を用いて画像情報の収集・分析を行っていた陸・海・空各自衛隊情報専門部隊の衛星画像担当部署である。
[編集] 電波部
電波情報の収集・分析を行っている。 前身は、陸上幕僚監部調査部調査第2課別室であり、さらに遡ると1952年4月に発足した内閣調査室(現内閣情報調査室)にそのルーツがあると言われる。そのため、現在も内閣情報調査室との関係が強いとされ、内閣情報調査室の関係者が、電波部の施設を間借りして任務を行うことがあるという。なお、電波部トップは、代々警察庁からの出向者が就任すると言われている。
[編集] 通信所
東千歳、美保、喜界島では「象のオリ」と通称される無線電波傍受用の大型円形アンテナ施設を、大井ではいくつかのレーダードーム施設を運用している。情報本部の要員のうち、7割にあたる人数が電波部及び各通信所の要員である。前身は、陸上幕僚監部調査部調査第2課別室の各通信所である。
- 東千歳通信所(北海道千歳市)
- 小舟渡通信所(新潟県新発田市)
- 大井通信所(埼玉県ふじみ野市)
- 美保通信所(鳥取県境港市)
- 大刀洗通信所(福岡県筑前町(大刀洗町ではない))
- 喜界島通信所(鹿児島県喜界町)
[編集] 高級幹部
職名 | 氏名 | 階級 | 就任日 | 出身校・期 | 前職 |
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本部長 | 椋木功 | 陸将 | 2005年1月12日 | 防衛大学校16期 | 第3師団長 |
副本部長(長官官房審議官本務) | 鎌田昭良 | 書記官兼事務官 | 2006年8月21日 | 長官官房秘書課長 |
[編集] 歴代高級幹部
[編集] 本部長
代数 | 氏名 | 階級 | 在任期間 | 出身校・期 | 前職 | 後職 |
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初代 | 國見昌宏 | 陸将 | 1997.1.20 - 1999.12.10 | 防大9期 | 第10師団長 | 退職 →2001.4.1内閣衛星情報センター所長 |
第2代 | 野中光男 | 陸将 | 1999.12.10 - 2001.12.2 | 防大12期 | 第4師団長 | 東北方面総監 |
第3代 | 太田文雄 | 海将 | 2001.12.3 - 2005.1.12 | 防大14期 | 統合幕僚学校長 | 退職 |
第4代 | 椋木功 | 陸将 | 2005.1.12 - | 防大16期 | 第3師団長 |
[編集] 副本部長
代数 | 氏名 | 本務 | 在任期間 | 前職 | 後職 | 備考 |
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初代 | 守屋武昌 | 防衛庁長官官房防衛審議官 | 1997.1.20 - 1998.6.29 | 防衛庁長官官房防衛審議官専任 | 防衛施設庁施設部長 | |
第2代 | 柳澤協二 | 防衛庁長官官房防衛審議官 | 1998.6.30 - 1998.11.19 | 防衛施設庁労務部長 | 防衛庁運用局長 | |
第3代 | 新貝正勝 | 防衛庁長官官房防衛審議官 | 1998.11.20 - 1999.7.12 | 防衛施設庁総務部長 | 防衛庁人事教育局長 | |
第4代 | 大古和雄 | 防衛庁長官官房防衛審議官 →防衛庁長官官房審議官 |
1999.7.13 - 2001.7.9 | 防衛庁長官官房防衛審議官専任 | 防衛施設庁施設部長 | |
第5代 | 渡部厚 | 防衛庁長官官房審議官 | 2001.7.10 - 2004.7.22 | 防衛庁長官官房秘書課長 | 契約本部副本部長(総務担当) | |
第6代 | 高見澤將林 | 防衛庁長官官房審議官 | 2004.7.23 - 2005.8.7 | 防衛庁防衛局防衛政策課長 兼防衛研究所企画室長 |
横浜防衛施設局長 | 高ははしご高(髙) 2004.8.8まで前職兼補 |
第7代 | 徳地秀士 | 防衛庁長官官房審議官 | 2005.8.8 - 2006.8.20 | 防衛庁防衛局防衛政策課長 | 東京防衛施設局長 | |
第8代 | 鎌田昭良 | 防衛庁長官官房審議官 →防衛省大臣官房審議官 |
2006.8.21 - | 防衛庁長官官房秘書課長 | 2006.9.25まで前職兼補 |
[編集] 旧 統合幕僚会議事務局第2幕僚室長
代数 | 氏名 | 階級 | 在任期間 | 出身校・期 | 前職 | 後職 | 備考 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
統合幕僚会議事務局第2班長 | |||||||
島田航一 | 空将補 | 1956.7.10 - 1957.7.14 | 海兵55期・海大38期 | 航空幕僚監部教育部長 | 臨時北部航空司令部訓練隊長 | 航空幕僚監部付 | |
野尻徳雄 | 陸将補 | 1957.7.15 - 1957.10.31 | 陸士41期・砲工38期 | 第4班長 | 第2幕僚室長 | 陸上幕僚監部所属 | |
統合幕僚会議事務局第2幕僚室長 | |||||||
初代 | 野尻徳雄 | 陸将補 | 1957.11.1 - 1958.5.1 | 陸士41期・砲工38期 | 第2班長 | 防衛研修所副所長 | 陸上幕僚監部所属 |
第2代 | 吉江誠一 | 1等陸佐 陸将補 |
1958.5.2 - 1960.7.31 | 陸士43期・陸大50期 | 陸上幕僚監部幕僚幹事 | 北部方面総監部幕僚長 | 陸上幕僚監部所属 1958.8.1陸将補 |
第3代 | 田中兼五郎 | 陸将補 | 1960.8.1 - 1961.6.11 | 陸士44期・陸大54期 | 西部方面総監部幕僚副長 | 第5幕僚室長 | 1961.2.28まで第1幕僚室長兼務 |
1961.6.12 - 1961.6.30 | (本務から兼務へ) | 兼務解除 | 本務第5幕僚室長 | ||||
第4代 | 山本啓志郎 | 海将補 | 1961.7.1 - 1962.1.15 | 海兵60期 | 鹿屋教育航空隊司令 | 第3幕僚室長 | |
第5代 | 久原一利 | 海将補 | 1962.1.16 - 1963.12.15 | 海兵60期 | 第2練習隊司令 →1961.12.16海上幕僚監部付 |
練習艦隊司令官 | |
第6代 | 堀栄三 | 1等陸佐 陸将補 |
1963.12.16 - 196.. | 陸士46期・陸大56期 | 外務事務官兼1等陸佐 →1963.10.28陸上幕僚監部第2部勤務 |
陸上幕僚監部付 →1966.3.16退職 |
1964.1.1陸将補 |
事取 | 吉江誠一 | 陸将 | 196.. - 1966.3.15 | 陸士43期・陸大50期 | 統合幕僚会議事務局長として第2幕僚室長事務取扱 | ||
第7代 | 中村龍平 | 陸将補 | 1966.3.16 - 1969.3.16 | 陸士49期・陸大56期 | 東部方面総監部幕僚副長 | 第11師団長 | |
第8代 | 谷川清澄 | 海将補 | 1969.3.17 - 1969.11.30 | 海兵66期 | 第1幕僚室長 | 練習艦隊司令官 | |
心得 | 石榑信敏 | 1等海佐 | 1969.12.1 - 1969.12.31 | 海兵68期 | 海上幕僚監部調査部調査第2課長 | 第2幕僚室長 | |
第9代 | 海将補 | 1970.1.1 - 1971.12.15 | 第2幕僚室長心得 | 練習艦隊司令官 | |||
第10代 | 門脇尚一 | 海将補 海将 |
1971.12.16 - 1974.6.30 | 海兵69期 | 第4護衛隊群司令 | 第1術科学校長 | 1973.12.1海将 |
第11代 | 清水文郎 | 海将補 | 1974.7.1 - 1976.3.31 | 海兵71期 | 呉地方総監部幕僚長 | 海上幕僚監部付 →1976.5.13退職 |
|
第12代 | 梅野文則 | 陸将補 | 1976.4.1 - 1977.6.30 | 東北方面総監部幕僚副長 →1976.3.16陸上幕僚監部付 |
西部方面総監部幕僚長 | ||
第13代 | 辻邦雄 | 海将補 | 1977.7.1 - 1979.7.31 | 海兵74期 | 幹部候補生学校副校長 | 海上幕僚監部付 →1979.9.1少年術科学校長 |
|
第14代 | 矢部廣武 | 陸将補 | 1979.8.1 - 1981.3.15 | 陸航士60期 | 陸上幕僚監部調査部長 | 北海道地区補給処長 | |
第15代 | 五十嵐晃 | 陸将補 陸将 |
1981.3.16 - 1982.6.30 | 自衛隊福岡地方連絡部長 | 第8師団長 | 1982.3.16陸将 | |
第16代 | 鈴木英樹 | 陸将補 | 1982.7.1 - 1983.3.15 | 北部方面総監部幕僚副長 | 第1幕僚室長 | ||
第17代 | 藪中隆三 | 空将補 空将 |
1983.3.16 - 1984.11.14 | 第4幕僚室長 | 幹部候補生学校長 | 1983.7.31まで第4幕僚室長兼補 1984.7.2空将 |
|
事取 | 井ノ山隆也 | 海将 | 1984.11.15 - 1984.12.2 | 海兵75期 | 統合幕僚会議事務局長として第2幕僚室長事務取扱 | ||
第18代 | 松本克彦 | 海将補 | 1984.12.3 - 1985.6.30 | 航空集団司令部幕僚長 | 第5幕僚室長 | ||
第19代 | 鈴木至 | 空将補 | 1985.7.1 - 1987.7.6 | 北部航空警戒管制団司令 | 術科教育本部幹事 | ||
第20代 | 齊藤又三郎 | 海将補 | 1987.7.7 - 1989.8.30 | 第4航空群司令 | 教育航空集団司令官 | ||
第21代 | 佐藤雅 | 海将補 | 1989.8.31 - 1991.6.30 | 海保大7期 | 潜水艦隊司令部幕僚長 | 潜水艦隊司令官 | |
第22代 | 米原光郎 | 陸将補 | 1991.7.1 - 1993.3.23 | 第7師団副師団長 | 調査学校長 | ||
第23代 | 樋山周造 | 陸将補 | 1993.3.24 - 1994.6.30 | 防大8期 | 富士学校特科部長 | 第5師団長 | |
第24代 | 大串康夫 | 空将補 | 1994.7.1 - 1995.6.29 | 防大10期 | 航空総隊司令部防衛部長 | 航空幕僚監部人事教育部長 | |
第25代 | 安村勇徳 | 陸将補 | 1995.6.30 - 1997.1.19 | 防大10期 | 自衛隊東京地方連絡部長 | 中部方面総監部幕僚長 |
- ※統合幕僚会議事務局の各幕僚室長(前身の各班長を含む。)の前職・後職欄における職名表記については、「統合幕僚会議事務局」を省略。
- ※学校など正式名称に「○○自衛隊」が冠されるものの前職・後職欄における表記については、当該記載を省略(階級参照)。
[編集] 関連項目
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内閣情報会議 | 合同情報会議(☆がその構成機関) |
内閣官房☆ | 内閣情報調査室(内調)☆ |
防衛省☆ | 情報本部 自衛隊…情報保全隊|陸自中央情報隊|海自情報業務群|空自作戦情報隊 |
警察庁☆ | 警備局☆ 警視庁…公安部 道府県警察本部…警備部 |
海上保安庁 | 警備救難部…情報調査室 |
法務省 | 公安調査庁☆ |
外務省☆ | 国際情報統括官組織☆ |
[編集] 参考文献
- 江畑謙介『情報と国家-収集・分析・評価の落とし穴』講談社<講談社現代新書>、2004年。ISBN 4061497391
- 太田文雄『「情報」と国家戦略』芙蓉書房出版、2005年。ISBN 4829503580
[編集] 外部リンク
- 情報本部(公式サイト)
- 情報本部組織規則
- 「情報本部設置、その実態を探る 情報本部長 国見昌宏 インタビュー」(『セキュリタリアン』1997年3月号)
- 情報本部の大臣直轄化など(『防衛白書』平成17年版)
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この「防衛省情報本部」は、軍事に関連した書きかけ項目です。この項目を加筆・訂正などして下さる協力者を求めています。(関連: ウィキポータル 軍事/ウィキプロジェクト 軍事/ウィキプロジェクト 軍事史) |