オシムジャパン
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オシムジャパンとは、サッカー日本代表のうち、イビチャ・オシム監督在任中の代表チームを指す愛称である。期間としてはオシム就任の2006年7月からで、2010年に南アフリカで開催予定のワールドカップに向けた体制と見られている[1]。
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[編集] 背景
2006年7月21日のオシム正式就任をもってオシムジャパンが誕生した。この時期の日本サッカー界は、直前のドイツワールドカップ グループリーグ敗退を受け意気消沈していた[2]。前回大会の成績や、「黄金世代」の全盛期と言われたことなどから期待感の大きい大会であっただけに、その失望はマスコミやファンの間で度々「惨敗」「焦土」と取り沙汰された。大会中に、海外でも実績を残した中田英寿が引退を発表するなど、日本サッカーが閉塞感に包まれたこの時期に、ジェフユナイテッド千葉で強化実績を上げていたオシムの就任は久々の明るい話題であった。オシムの半生を綴った『オシムの言葉』(木村元彦著)がその年の高校向け課題図書となるなど注目されていたことや、一部で「惨敗の責任逃れ」と批判された[3]サッカー協会川淵会長の発言を発端とする就任騒動などもあり、話題性の高いスタートとなった。
[編集] 特徴
代表としての経験の少ない選手や、Jリーグで実績を上げた選手を主体としたメンバー構成が特徴的である。トルシエ元監督時代から活躍してきた、いわゆる「黄金世代」に比べると、世代代表チームでも、個人としても実績の劣っている年代の選手が年令的に主力となる時期に当たるため、個々の能力不足などが主に不安視されている部分である。
サッカーファン以外にも知名度のある選手が多かったジーコジャパンと異なり、まだ知名度の高い選手が少ないことによる集客力の低さに対して、「代表の人気低下」と揶揄する声もある[4]。また、オシムがかつて率いたジェフ千葉の選手が多いことについても、「監督の贔屓」という批判がある[5]。しかし、そうした批判は一部メディアの偏向であり不可解だと言う者もある[6]。
欧州でプレーする選手(いわゆる欧州組)は2007年に至るまで一度も招集されていない。それは、長距離移動の疲労によりコンディションが保てず、クラブでレギュラーポジションを失ってしまうことを懸念するオシムの方針によるものである[7]。またオシムは、欧州クラブに所属する選手であっても、コンスタントに試合に出場していない場合は選出しないというスタンスを取るとされている[1]。2006年後半からの時期、欧州でコンスタントに出場している選手として上げられるのは、中村俊輔、松井大輔、高原直泰、中田浩二、稲本潤一ら数人に絞られてくる事から、欧州組招集の際はこの中から選出される可能性が高いとみられている。この中から誰が選ばれるのか、特に、チャンピオンズリーグ決勝トーナメント出場など一際高い実績を上げていながら、「オシムサッカーに合わないのでは」と言う声も聞かれる中村俊輔の選出があるのかないのかが、マスコミにより度々話題に上がっている。
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2006年11月、3連覇を目指す翌年のアジアカップに予選グループ1位で出場を決めたが、オシムはアジアカップの結果よりも、先に続く南アワールドカップに向けた強化を優先する方針を示唆している。これに関して、協会側も基本的な理解を示している[8]。
[編集] 戦績
- ○ 2-0
トリニダード・トバゴ - 2006年8月9日 - 国立霞ヶ丘競技場/東京 (キリンチャレンジカップ2006 )
- ○ 2-0
イエメン - 2006年8月16日 - 新潟スタジアム/新潟 (AFCアジアカップ2007予選大会 グループA )
- ● 0-1
サウジアラビア - 2006年9月3日 - アル・ファイサルスタジアム/ジッダ (AFCアジアカップ2007予選大会 グループA )
- ○ 1-0
イエメン - 2006年9月6日 - アリ・モーセンスタジアム/サヌア (AFCアジアカップ2007予選大会 グループA )
- ● 0-1
ガーナ - 2006年10月4日 - 横浜国際総合競技場/横浜 (キリンチャレンジカップ2006)
- ○ 3-0
インド - 2006年10月11日 - スリー・カンテラーバスタジアム/バンガロール (AFCアジアカップ2007予選大会 グループA )
- ○ 3-1
サウジアラビア - 2006年11月15日 - 札幌ドーム/札幌 (AFCアジアカップ2007予選大会 グループA )
- ○ 2-0
ペルー - 2007年3月24日 - 横浜国際総合競技場/横浜 (キリンチャレンジカップ2007)
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[編集] メンバー
オシムが監督になって選ばれた主な選手は以下の通り。(トレーニングキャンプ含む) )梅崎司(グルノーブル) 高原直泰(フランクフルト)中村俊輔(セルティック)梅崎司(グルノーブル)野沢拓也(鹿島)山岸範宏、田中マルクス闘莉王、坪井慶介、阿部勇樹、相馬崇人、鈴木啓太、長谷部誠、田中達也(以上浦和)川島永嗣、中村憲剛、我那覇和樹(以上川崎)伊野波雅彦、今野泰幸(以上東京) 水本裕貴、佐藤勇人、山岸智、水野晃樹、羽生直剛、巻誠一郎(以上千葉)川口能活、前田遼一(以上磐田) 中澤佑二、田中隼磨、栗原勇蔵、坂田大輔、山瀬功治(以上横浜FM)青山直晃、藤本淳吾(以上清水)中村直志、本田圭佑(以上名古屋)山口智、加地亮、遠藤保仁、橋本英郎、二川孝広、家長昭博、播戸竜二(以上G大阪)西川周作、梅崎司、高松大樹、松橋章太(以上大分)矢野貴章(新潟)駒野友一、佐藤寿人(以上広島)小林大悟(大宮)林彰洋(流通経済大学)
[編集] 関連項目
[編集] 外部リンク
- 『日本代表 - JFA』 (日本サッカー協会)
- 『日本代表』 ( J's Goal )
[編集] 脚注
- ^ a b 出典:『オシム監督“解体”脱海外組偏重…4年で合意18日にも誕生』、スポーツ報知/報知新聞社、2006年7月12日
- ^ 出典:『日本の戦いを振り返る』、2006FIFAワールドカップ オフィシャルサイト、2006年6月23日付
- ^ 出典:『セルジオ越後コラム - なぜ帰国の日に発言?惨敗の追及かわしか!!』、日刊スポーツ新聞社、2006年6月25日付
- ^ 出典:『ガーナ戦チケット売れず…招集選手は名前と顔一致せず』、 ZAKZAK 、2006年9月22日付
- ^ 出典:『千葉ジャパン限界、ガーナに完敗…キリン・チャレンジ杯』、スポーツ報知/報知新聞社、2006年10月5日
- ^ 出典: 『なぜジェフが責めを負う?』、FC JAPAN 、2006年11月4日付
- ^ 出典:『日本代表オシム監督、欧州組へ熱いゲキ』、日刊スポーツ新聞社、2006年9月30日付
- ^ 出典:『V3より南ア準備!…オシム流アジア杯』、スポーツ報知/報知新聞社、2006年12月21日
- ^ 参考:『日本代表戦一覧 公式記録』、日本サッカー協会
- ^ 参考・出典:『日本代表 - JFA』、日本サッカー協会
- ^ 参考:『日本代表:選手紹介』、J's GOAL
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