ソウルフード
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ソウルフードとは、一般的にその国の国民にとって、日常の食生活において欠かすことのできない食材・あるいは食物を指す言葉である。
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[編集] 原義
アメリカ・マンハッタンのハーレム地区は、いわゆる黒人居住区として知られているが、そこでは黒人が主として食する食材が広く扱われている。かつてアメリカの南部地域において、まだ黒人が奴隷として扱われていた時代、多くの白人が食材としては使わなかった・いわば『余りもの』の部分(鶏の内臓・豚の足や牛の腸など)を、料理する方法を見つけて食材の地位に高めたのである。こうした食材を彼ら黒人たちは、『ソウルフード(Soul Food)』と呼んだ。(出典:吉田ルイ子『ハーレムの熱い日々』)
[編集] 派生
ここから、ある民族や地域・個人単位で、幼少の頃から慣れ親しんできた食べ物のことを転用して「ソウルフード」と呼ぶことがある。
一種のスラングとしては、その人たちにとっては欠かせない食事を指す(例:いわゆるギークにおける、ファストフード類やスナック菓子など)
[編集] 各国のソウルフード
[編集] 東アジア
- 日本:主食としてのコメをあげる人は多い。うどんやそばといった麺類も候補に挙げられる。梅干しや納豆や明太子・味噌汁などの副菜、醤油・味噌といった調味料は海外で手に入りにくい事から、これらを海外旅行に携帯していく人は少なくないため、一種のソウルフードと呼べるかもしれない。実際には海外でも、最近は健康ブームの影響で豆腐など和食の食材が手に入りやすくはなってきている。
他にも、他の国に比べて伝統的に魚介類を多く食する傾向はあるが、最近では世界的に寿司がブームを越して徐々に日常生活の中に定着しつつある。
諸説はあるが、日本人に親しまれているソウルフードにラーメンやカレーを挙げる意見もある。 - 朝鮮半島(韓国・北朝鮮):何をおいても、キムチを外す事はできない。毎日の食事に、キムチを欠かさないという韓国人は多い。詳しくは、キムチの項目を参照のこと。
ただし飛行機での旅行の際にキムチを飛行機内に持ち込もうとして、トラブルになるケースが年数例ほど発生している(客室の気圧は大気圧より低いため、単純に地上でポリ袋に詰めただけのものは気圧差が原因で機内で破裂する恐れがある。このため飛行機会社では、客室への持ち込みを制限する例が多い)
これ以外には、チゲ、あるいはビビンバなども庶民に親しまれている韓国料理である。また韓国料理には、唐辛子は欠かせないものの一つ。マッコリや焼酎といった酒類も、韓国では外せない食材。 - 中国:中華料理の項目にもあるが、扱う食材が多岐に渡る・また地域によって趣向が大幅に異なる(北京料理・四川料理・上海料理・広東料理などに大別される)ため、一概にこれと呼べるものを探すのは難しい。庶民には点心などが親しまれている。
- ベトナム:ライスヌードルであるフォーが広く食されている。いろいろな具を乗せて食べる。
- タイ:主食としてはコメ。他に豚肉や鶏肉が食されているが、一部地域ではイスラム教徒が居るため豚肉は禁忌である。また北部のイーサーン料理は辛味が強いことでも有名。
- フィリピン:基本的に主食はコメ。スペインの植民地だったせいもあり、料理にもその影響がある。また南国であるため、フルーツ類は充実している。
- インドネシア:インドネシア料理を参照。ナシゴレン・ミーゴレンなど。
[編集] 中東
- インド:インド料理を参照。基本的にはカレーに代表されるスパイスを用いた料理だが、主食としてはそれを付けて食べるチャパティやナンが彼らのソウルフードと呼べるだろう。ただしインドの一部で信仰されているジャイナ教では、肉食は一切禁止である。
- トルコ:トルコ料理を参照。大衆料理としては、串に刺して焼いた羊の肉『ケバブ』が親しまれている。用いられる肉は宗教上の理由もあり、鶏肉かヒツジ肉が多い。またピラフも食される。
- イスラム教圏の主食としては、『ホブス』と呼ばれる平べったく薄いパンがある。
ただし宗教上の理由から豚肉・アルコールは禁忌である。また基本的に、食材はハラールと呼ばれる「イスラム教で許可されたもの」でなければ、口には入れられない。他にもラマダーンの期間中は「日の出から日の入りまで」は食事をしないなど、食に関する制限は多い。
[編集] ヨーロッパ
- フランス:宮廷料理として発達したフランス料理は有名ではあるが、庶民に広く親しまれている食物という意味ではワインが挙げられよう。シャンパンが有名。
- イタリア:パスタ(スパゲティ・マカロニ)やピザ・ミネストローネといった炭水化物系ものが広く知られる。また魚料理も豊富である。
- ドイツ:ジャガイモを使った料理が多い。またソーセージ(フランクフルト)・ハンバーグ・ザワークラウト・そしてビールやワインといった食事は欠かせない。寒い地方であるせいか、煮込み料理が多い。
- スペイン:地中海の海の幸を生かしたものが多い。ガスパチョにパエリア、そしておやつにはチュロス。
- イギリス:庶民のおやつとしてはフィッシュ・アンド・チップス、そして飲み物としては紅茶が親しまれている(アフタヌーン・ティーでは『お茶受け』としてスコーンが出される)。ひところは「イギリス料理に旨い物なし」などと揶揄されることもあったが、最近では各国の料理が楽しめるようになってきている。
- 北欧:ニシン・スモークサーモンなど、自然に生きる動物を加工したものが多い。ちなみにスウェーデン発祥のシュールストレミングは、バルト海で取れるニシンを発酵させた缶詰だが、前述のキムチと同じように飛行機内部への持込みが禁止されているケースが大半である(気圧差で破裂するおそれがあるため)。
- ロシア:宮廷料理から庶民料理までバリエーションが多い。ピロシキ・ボルシチ・ビーフストロガノフなどがよく食される。また冬場の凍てつくような寒さをやり過ごすため、度数の強い酒であるウォッカが好んで飲まれる。
[編集] 北米
- アメリカ:その成立に多数の移民が関わっている国である事から、ニューイングランド料理(東部)・フランス料理(中南部)・西海岸の海の幸を使ったコースト料理・メキシコ料理・フライドチキンやバーベキューのような南部料理(元々の意味での「ソウルフード」)などの種類がある。アメリカ料理のレシピ集
大衆食としてはファーストフードであるハンバーガーやピザにコーラやソフトドリンク、そしてコーヒーが普及しているが、これらはなべて高カロリーのものが多いことから、生活習慣病にかかりやすい点などがしばしば指摘されている。 - カナダ:アメリカと同じく移民の国であるため、固有の食という概念は薄い(逆に言えば、世界の食が味わえるということでもあるが)。サケやロブスターなどの自然の食材を生かした料理はある。
- メキシコ:トルティーヤと呼ばれるトウモロコシを原料とした薄焼きパンに、煮た豆を潰したものを付けるかサルサなどの具を盛ってタコスとして食べる。ほかに蒸留酒であるテキーラもよく飲まれる。
[編集] 南米
- アルゼンチン:畜産国であるため、肉料理やそれに付随するワインが親しまれている。
- ブラジル:ブラジル料理の項目にもあるが、アメリカと同様に多民族国家であるため、さまざまな文化をルーツとした料理が発達している。特徴としては、多種多様な種類の豆を使った料理が多いこと。豆や肉を煮込んだ料理は「フェジョアーダ」と呼ばれ、ブラジルでは国民食として親しまれている。
[編集] アフリカ
[編集] オセアニア
- オーストラリア:アメリカやカナダと同じく移民国家であるが、原住民であるアボリジニの食文化を取り入れてヨーロッパの食文化と融合し、独自の発展をしている。またカンガルーやエミューなど、独自の食材も豊富に存在する。
[編集] 関連項目
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