営団9000系電車
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9000系電車(9000けいでんしゃ)は、東京地下鉄(旧・帝都高速度交通営団)南北線向けの通勤形電車。
1991年(平成3年)11月29日の南北線の部分開業に併せて4両編成で登場した。同線のラインカラーであるアースエメラルドグリーンの帯が入っている。
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[編集] 編成
浦和美園方面から9100(CT1)-9200(M1)-9300(M2)-9600(M1)-9700(M2)-9800(CT2)となっている。将来の8連化の際は、9300(M2)と9600(M1)の間に9400(Tc1)と9500(Tc2)が追加できるようになっている。
[編集] 概要
当初はGTO素子を用いたVVVFインバータ制御方式を採用していたが、後にIGBT素子を用いた車両も登場している。6両編成を組成し、電動車(M)と付随車(T)の構成(MT比)は4M2Tであり、アルミニウム合金製車体である。
ワンマン運転用としてのATO装置やホームドアなどに対応している。また、営団として初めて車いすスペースや、車内客用ドア上部に2段式のLED式旅客案内表示器を設置した。ただし車掌用放送装置、ドア開閉装置等も備える。これらは東京急行電鉄東横線および横浜高速鉄道みなとみらい線内で臨時列車として走行する際に車掌の乗務が必要なためである。運転台はT字型ワンハンドルマスコンであり、乗務員室内の配色はクリーム色、運転台は茶色である。速度計は120km/h表示である。乗務員室と客室の仕切りには窓が3箇所あり、客室側から見て左から順に大窓、乗務員室扉、細長い窓であり、乗務員室扉窓には色が付けられている。南北線内では遮光幕は大窓部分のみ使用する。
2000年(平成12年)9月26日の目黒駅延伸と全線開通に伴い東急目黒線への乗り入れを開始し、翌2001年(平成13年)3月28日からは埼玉高速鉄道線への乗り入れも開始している。ただし、東京都交通局(都営地下鉄)三田線の白金高輪以北には入線せず、また「みなとみらい号」にも運用されていないが、2005年(平成17年)2月11日に運転された「みなとみらいリレー号」(白金高輪で「みなとみらい号」と接続)には運用された。
2003年(平成15年)8月10日には東急東横線の日吉駅始発で、2004年(平成16年)・2005年は武蔵小杉駅始発で、東京湾大華火祭への観客輸送用の臨時列車にも充当された。2006年(平成18年)は8月12日に東横線菊名駅始発で充当される予定であったが、東京湾大華火祭が雷雨のため翌13日に順延され、運転中止となった。
2006年9月25日からの目黒線内での急行運転開始後はLED式行先表示器に列車種別が表示されるようになった。加えて車内LED式旅客案内表示器と自動放送装置についても改修された。
[編集] 形態分類
[編集] 試作車
- 1990年(平成2年)12月に川崎重工業で落成した9101編成(9101-9201-9301-9801)が該当する。
- 前面行先表示器が電動幕式で、側面は未設置で準備工事だったが、その後LED式に改修され、側面にも設置されている。
- 先頭車側面の帯は前面から側面まで1本につながっている。
- 9201-9301は三菱電機製のGTO素子を用いたVVVFインバータを搭載している。
- 1991年11月29日の駒込~赤羽岩淵間開業まで、千代田線で各種の試験を行った。
[編集] 1次車
- 1991年11月29日の駒込~赤羽岩淵間の開業に併せて登場した車両。
- 1991年11月~1992年(平成4年)川崎重工業製の9103・9105・9107編成の9100-9200-9300-9600-9700-9800、9101編成の9601-9701、9102・9104・9106・9108編成の9100-9800が該当する。
- 行先表示器は試作車と同様の変化を辿っている。
- ボックス式クロスシートが1両に1か所設置されている。また車いすスペースは折り畳み式の座席が2席分確保されている。
- 先頭車側面の帯は乗務員扉付近で前面に回り込む帯と側面帯に分かれている。これ以降このスタイルで統一される。
- 9101編成の9601-9701と9103編成の9203-9303-9603-9703は日立製作所製のGTO素子を搭載しており、9105・9107編成の9200-9300-9600-9700は三菱電機製のGTO素子を搭載している。
- この時に製造された9102・9104・9106・9108編成の9200-9300は現在9101・9103・9105・9107編成の9600-9700に改番され、偶数編成の9200-9300は9600-9700を含めて2次車と車両を交換している。
主要諸元
- 車種:全アルミ合金製2軸ボギー車
- 編成形態:4両編成 2M2T
- 軌間:1,067mm ボギー中心間距離13.8m 固定距離2.1m
- 集電方式:架空線式(電磁鈎外し、バネ上昇・空気降下式パンタグラフ)直流1,500V
- 定員:CT1,CT2(制御車)140(49)人、M1(電動車)151(56)人、M2(電動車)152(52)人( )は座席定員
- 自重(計算値):CT1,CT2 25.7t M1 33.5t M2 31.5t
- 車両性能:起動加速度3.3km/h/s、 減速度3.5km/h/s(常用ブレーキ)4.5km/h/s(非常ブレーキ)、最高速度110km/h、勾配登坂条件35‰の940m連続上り勾配(半径170m曲線付帯140m連続上り勾配を含む)で全電動車ユニット不動の先行列車を押し上げ出来るものとする。
- 車体寸法:最大寸法20,000(長さ)×2,830(幅)×4,145(パンタグラフ折りたたみ高さ)、床面高さ1,155mm(CT1、2のみ長さ20,660)車いすスペース(1編成に2箇所)
- 台車:ボルスタレス台車(住友金属工業製SS-122,SS-022,SS-022CT)電子制御による空気バネ制御機能付、基礎ブレーキ装置はユニットブレーキ式
- 主電動機:三相誘導電動機(1時間定格190kW,1,100V,130A,2290rpm)
- 駆動装置:平行軸歯型継手(WN)式、歯車比100:14 = 1:7.79
- 制御:VVVFインバータ制御
- ブレーキ:ATC連動電気指令式空気ブレーキ(回生ブレーキ付)遅込め方式、保安ブレーキ装置付
- 電動空気圧縮機:C-2500LB型、交流モーター駆動
- 補助電源装置:DC/DCコンバータ150kW(DC1,500V→DC600V)静止形インバータ(コンバータに内蔵、DC600V→AC200V,AC100V)、アルカリ蓄電池 DC100V 60Ah
- 戸じめ装置:単気筒複動式戸閉機、ベルト連動両開機構、直接検知方式、(側出入口幅1,300mm)
- 保安装置および運転方式:営団形CS-ATC、東急形ATC(ATC-P)、ATO(南北線および埼玉高速鉄道線内)、TASC(東急目黒線内)
[編集] 2次車
- 1996年(平成8年)3月26日の四ツ谷~駒込間の開業に併せて登場した。
- 1995年(平成7年)~1996年川崎重工業製の9109~9113編成の全車両および9102・9104・9106・9108編成の9200-9300-9600-9700が該当する。
- 行先表示器は当初からLED式で側面は準備工事とされた。その後側面にも設置された。
- 貫通路の幅を800mmから900mmに拡大したためボックス式クロスシートは廃止された。
- 9200-9300-9600-9700は日立製作所製のIGBT素子を搭載している。
[編集] 3次車
- 1997年(平成9年)9月30日の溜池山王~四ッ谷間の開業に併せて登場した車両である。
- 1997年夏期東急車輛製造製の9114・9115編成全車が該当する。
- 行先表示器と座席は2次車と同様。
- 9200-9300-9600-9700は三菱電機製のIGBT素子を搭載している。
[編集] 4次車
- かねてから不足していた予備車の確保を目的に登場した。
- 1999年(平成11年)春期日本車輌製造製の9116・9117編成全車が該当する。
- 行先表示器はLED式で側面も当初から設置されている。試作~3次車についても行先表示器を幕式からLED式に交換し、同時に側面にも設置された。
- 座席は2・3次車と同一の全席ロングシートだが、支持方式は片持ち式とされた。
- 中間車の動力軸分散によりMT比は4M2Tから3M3Tに低減された。インバータ装置1基で6個の電動機を駆動する1C6M制御で、9300の赤羽岩淵・浦和美園方台車と9600の目黒・武蔵小杉方台車の電動機は装備せず装備準備とされた。
- 9200-9300-9600-9700は東芝製のIGBT素子を搭載している。
[編集] 5次車
- 2000年(平成12年)9月26日の目黒~溜池山王間の開業に併せて登場した車両。
- 2000年春期日本車輌製造製の9118~9121編成全車が該当する。
- 車内の仕様は4次車と同一である。
- 車掌用のマイク形状が変更された。
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