杏林大学
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杏林大学(きょうりんだいがく、英称:Kyorin University)は東京都に所在する私立大学。
三鷹市と八王子市北部のキャンパスに4学部を有する総合大学で、新設医科大学でもある。三鷹キャンパスには医学部と医学部付属看護専門学校、東京西部多摩地域の中核的医療センターとしての機能を受け持つ杏林大学病院と高度救命救急センターがある。
入学試験の点数・順位(補欠番号)を公表するクリーンな入試が特徴で、2004年までは寄付金制度が存在しなかった(現在は存在する)。
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[編集] 杏林のシンボルカラー
- アプリコットオレンジ
- リーフグリーン
[編集] 「杏林」の語源
『古代中国の医師・董奉(とうほう)は、貧しい患者には治療代を受け取らない代わりに杏の実を植えさせ、いつの日か実が樹となり林が出来た』という故事・伝説から良医を表す語とされる。
- 本学創設以前から杏林の語を用いる杏林製薬(1940年から現社名)ではこの事を「杏林伝説」と記している。一方本学キャンパス内には杏の樹が植えられ、たわわに実が稔っている。
- いずれも神田駿河台に所在する先の杏林製薬と親会社の株式会社キョーリン(持株会社)や、佐々木研究所付属杏雲堂病院とは資本関係は無い。
[編集] 沿革
- 1953年 創立者・松田進勇が現在の三鷹キャンパスに三鷹新川病院を開設
- 1966年 杏林学園短期大学(現・保健学部)開学、現在地に八王子キャンパス開設
- 1970年 杏林大学を創立の上、医学部を設置。三鷹新川病院を医学部付属病院に改組し開設
- 1975年 付属高等看護学校開設(現・医学部付属看護専門学校)
- 1976年 大学院医学研究科開設
- 1979年 保健学部開設
- 1984年 社会科学部、大学院保健学研究科開設
- 1988年 外国語学部、別科日本語研修課程開設
- 1993年 大学院国際協力研究科開設
- 1994年 保健学部に看護学科を開設
- 2002年 社会科学部が総合政策学部に改称
- 2004年 大学院国際協力研究科に国際医療協力専攻を新設
- 2006年 保健学部に臨床工学科、総合政策学部に企業経営学科を開設、外国語学部外国語学科を英語学科・東アジア言語学科・応用コミュニケーション学科に再編
- 2007年 保健学部に救急救命学科を開設、保健学科を健康福祉学科へ名称変更
[編集] 学部
2006年度以降、医学部以外の3学部で学科の再編・新設が行われている。これを「杏林進化論。」のキャッチで入試情報誌などに掲載している。また、杏林大学病院の病棟建設と八王子キャンパスの施設改修などが進められている。
[編集] 医学部
入学試験時点での寄付金納入は無いとされるため、首都圏での医学部(医学科)入試難易度は新設医科大学の中では高めとなっている。学内での二次試験が有るものの、センター試験併用方式が有る。
- 医学科
- 付属看護専門学校(3年制)
[編集] 保健学部
保健・医療関係の各資格取得を目指す学部で、3年制の医療系専門学校・看護学校と同分野の学科が設置される傾向が有る。
取得資格に応じて医療機関や各自治体(教員・救急救命士など)・臨床検査会社などに就職する他、保健・医療系とは畑違いの一般企業に就職する者もいる。
2007年度から学科の改変が行われる。
- 2006年度入学者まで
- 臨床検査技術学科
- 保健学科
- 看護学科
- 臨床工学科
- 2007年度入学者より
- 臨床検査技術学科
- 健康福祉学科 ※2007年4月「保健学科」より名称変更。
- 救急救命学科 ※2007年4月保健学部救急救命士課程から独立。
- 看護学科
- 臨床工学科
- 受験資格が得られる資格
- 所定科目を修得することによって取得できる資格
[編集] 主な課程
○臨床検査技術士課程
- 対象:臨床検査技術学科および保健学科の3・4年生(所定の単位を履修していること)
- 参考:「白の上衣」(実験等実習時に着用)
○救急救命士課程
- 対象:臨床検査技術学科および保健学科の3・4年生(所定の単位を履修していること)
- 参考:「薄ブルーの上下衣」(救命系実習時に着用)
○保助看師課程
- 参考:「アプリコットオレンジのナース服」(女子)or「白無地の上下衣」(男子)
○社会福祉士課程
- 対象:臨床検査技術学科および保健学科及び健康福祉学科の学生
- 参考:国家試験の合格率が高い
○教職課程[養護教諭1種、保健科中学・高校教員]
[編集] 総合政策学部
国内初の政治学・経済学・経営学・法学など社会科学分野を複合・横断的に出来る学部として1984年に社会科学部として創設。但し既に開設していた早稲田大学社会科学部と違い人文科学が含まれない点と、「社会科学部」という名称が広く一般に受けられなかった(『社会科・学部』『社会学部』などと誤解される)点から、2002年度より現在の総合政策学部に名称変更し、環境・福祉行政分野の環境福祉コースを創設。2006年度入学生からスピンオフで企業経営学科の設置やカリキュラムとコースのリニューアルを実施した。なお、国内初の総合政策学部は慶應義塾大学湘南藤沢キャンパスの創設によるが、本学社会科学部の創設には慶応出身の学者が関わっている。現在も慶応出身の教員が多く、その多くは慶応大・中央大学(総合政策学部)等で非常勤講師をしている。
2年生以降専攻によってコース分けされるが、他コースの履修も可能となる見込。
- 総合政策学科
[編集] 外国語学部
2006年4月、外国語学科から3学科制に変更。
- 英語学科
- 英語教育コース
- 英語ビジネスコミュニケーションコース
- 東アジア言語学科
- 応用コミュニケーション学科
[編集] 別科日本語研修課程
- 留学生が日本語の力を身につけることを目的とする1年間の課程。多くの国の学年は9月に始まり、翌年の6月に終わる。このため別科では留学生の時間的なロスを配慮し、4月と9月の年2回入学できるようになっている。(国際交流センター付属)
[編集] 大学院
- 医学研究科
- 保健学研究科
- 国際協力研究科
- 国際医療協力専攻
[編集] 教育・研究施設
[編集] 三鷹キャンパス
周辺は住宅地で、東京都立三鷹高等学校が隣接する。吉祥寺駅・三鷹駅・仙川駅が最寄り。
[編集] 医学部付属病院
- 病床数1,153床
- 特定機能病院指定
付属施設
- 高度救命救急センター
- 総合周産期母子医療センター
- 熱傷センター
- 腎センター
[編集] 八王子キャンパス
- 保健学部
- 総合政策学部
- 外国語学部
- 別科日本語研修課程
- 大学院 保健学研究科・国際協力研究科
- 交通アクセス:京王八王子駅・JR八王子駅から西東京バス(杏林大学・戸吹線)、拝島駅から多摩バスがキャンパスまで運行。
[編集] 付属機関
- 医学図書館(三鷹)、保健学図書館/人文社会科学図書館(八王子)
- センター(支援施設)
- 国際交流センター(海外留学・研修、留学生受け入れ、別科の開講など)
- 総合情報センター(コンピュータ室・学園ネットワークの管理など)
- 八王子保健センター(学生、教職員の健康管理)
- キャリアサポートセンター (八王子キャンパスの全学部の就職相談・支援など)
- 入学センター
[編集] 八王子キャンパスのアクセス
- 都立滝山自然公園を含む丘陵地に立地しているため、滝山街道(国道441号)沿いの入り口から各建物まで200~300mほど坂道(通称:杏林坂)が続く(バスはキャンパス構内にあるバスターミナルまで運行)。帰りは「下山」となる。
- 八王子駅からキャンパスまでひよどり山トンネル(ひよどり山有料道路)経由で約9km(拝島駅からは約7km)ほど離れており、旧来からの東京環状(国道16号)経由のバスで渋滞に掴まると40~60分程度と市内に所在する他の大学の中ではだいぶ時間がかかる他、路線バスは沿線の創価大学・東京純心女子学園(東京純心女子大学・同中学・高校)の通学利用者と相乗りで朝夕混雑しアクセスが良いとは言えない。因みに、創価大学等を経由しなければかなりの時間短縮が見込まれる(地理的にもそうであるし、また自家用車にて実証済み)が、運行効率の為であろうか、直通の路線は設定されていない。
- 2001年にひよどり山有料道路が開通したことにより、渋滞の激しい東京環状を通行せずに済むバス路線(ひよどり山トンネル経由)が開業したため、到達時間が以前に比べ短縮した。(公称所要時間 25分程度)しかし、八王子市街および八王子インターチェンジと高尾・青梅・あきる野方面を結ぶ滝山街道で慢性的な渋滞が発生しているため、公称の所要時間で到着することは稀である。(その事は教員もよく理解しているため、遅刻に関しては寛容である教員が多い。)
- 今後、新滝山街道(東京都道46号八王子あきる野線)が本学キャンパスの有る戸吹町まで全通すれば、公称の時間もしくはそれよりも早く到着することが予想される。しかし、当初完成は2006年度とされていたものの、同年度中に開通する見込みはないようである。
- 本学行きバスの運賃は片道440円と非常に高額である。これはいわゆる山岳運賃による計算がなされているからである。(ちなみに本学は誰の目から見ても山岳地帯ではない)
- この様な不合理な運賃設定を行っているのにも増して、超満員状態で荒い運転をしたり、怒号を発したりする、或いは雨の日に停留所(学内の)から離れた場所で乗(降)車口を開け、わざと乗(降)車する学生たちを濡れさせようとするなど、人格的に破綻したドライバーがすくなからず存在するなど西東京バスの接遇には非常に問題がある。
- ちなみに、大学では西東京バスの運転士に対して、学生が「ありがとうございました」と言うよう指導している。確かに、働いている人たちに対して「学生」たる者が感謝の気持ちを表するべきとのと考えには一定の合理性がある。しかし、その様な学生への指導が運転士の学生に対する優越感、或いはその「指導」に従わない学生への「懲罰」意識へと繋がり、この様な異常な態度をとる事を助長したのではないかと推察される。(学生であれ、「客」である以上それなりの接遇を受けるのは当然であろう。)
- ちなみにJR青梅線の拝島駅から運行されている多摩バス(西東京バスの子会社)は、運転士の質は若い運転士が多いせいなのかかなり親切である。しかしながら拝島駅からの発着であること、料金が370円とやはり高額であること、本数が少ないことがネックとなり利用者は少ない。平成19年4月2日からは滝山街道の渋滞を回避するために新たに雨間経由拝島駅行きが新設されるが、お試し運行の感が強く平日でも13本しか運行されない。八王子発着路線よりも定時性が優れる路線で利用者が増加すれば今後の本数増加も見込めるだろう。ちなみに拝島駅~雨間経由~杏林大学で所要は25分、かなりの穴場路線で充分座って通学できる。また、途中の野辺南バス停は五日市線の東秋留駅から歩いて5分の場所に位置するため学生の利用もそこそこある。
※中央線豊田以東の駅から通学している学生は、JR五日市線東秋留駅まで出て、多摩バスの野辺南より乗車し大学へ通学した方が八王子を回るより料金が大幅に安くなる。
- キャンパス内の駐車場は教職員のみ(駐輪場は学生も可)利用することができるが、大学近隣に民間月極駐車場があり、月額6,000円、1日500円であるため車で通学する学生もいる。
[編集] バス回数券偽造事件
外国語学部留学生が親族や知人と共謀し、八王子駅~大学間のバス回数券4016枚(額面価格約176万円)を出身国で偽造。菓子箱に詰めて航空郵便で日本へ送付(密輸)したところ、税関での開披検査と依頼を受けた西東京バスのチェックで発覚し、2006年4月にこの留学生は偽造有価証券輸入容疑で逮捕され、後に強制送還される事態となった。報道によれば「交通費が高く自分で使うつもりだった」と言う。それ程に運賃は高いのである。
[編集] 部活・サークル
- 八王子キャンパス
- 〔体育系〕 端艇部、弓道部、剣道部、柔道部、少林寺拳法部、硬式野球部、軟式野球部、サッカー部、ハンドボ-ル部、アメリカンフットボ-ル部、ラグビーフットボール部、男子バスケットボ-ル部、保健学部バスケットボ-ル部、保健学部硬式庭球部、硬式庭球部、女子バレ-ボ-ル部、男子バレ-ボ-ル部、保健学部バドミントン部、バドミントン部、チアリーディング部、Life Saving Club、レスキュースクワッド、 保健学部水泳部、アウトドア部、自転車部、Basic Ski部、Slaive to the rythm
- 〔文化系〕 吹奏楽団 、軽音楽部、写真部、保健学部軽音楽部、探訪部、情報メディア研究会、ボランティア部、杏林書道会、ESS、手話サークル、フットサル
- 三鷹キャンパス
[編集] 学園祭
- 三鷹キャンパス杏祭
- 例年10月の最終土・日曜開催
[編集] 自治会
[編集] 八王子キャンパス
- 保健学部学生会
- 総合政策学部・外国語学部学生会
[編集] 施設
[編集] 三鷹キャンパス
- ローソン杏林大学病院店
- スターバックスコーヒー杏林大学病院店
[編集] 八王子キャンパス
- K-Shop(京王リテールサービスの学内コンビニエンスストア)
[編集] 大学関連会社
- 株式会社ケイ・アール・ロジスティックス(K.R.L)
- 2000(平成12)年に設立された杏林学園の福利厚生事業・施設管理を受け持つ会社。
- 三鷹キャンパス・病院の食堂は富士産業に、八王子キャンパスの食堂はシダックスにケイ・アールを通して運営委託している。
- 有限会社ケイアール・ブレイン
- 2001(平成13)年に設立された人材派遣会社。主に杏林大学と杏林大学病院向けの事務・医療職員の派遣業務を行っている。