氷点
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氷点(ひょうてん)
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氷点(ひょうてん)とは旭川市出身の作家・三浦綾子が発表したベストセラー小説。40年以上にわたり何度もテレビドラマ化されている名作である。
1963年に朝日新聞社が募集した懸賞小説の入選作で、翌年から朝日新聞朝刊に連載され好評を得た。その後「続氷点」が書かれた。
北海道旭川市を舞台に人間が生まれながらにしてもつ罪「原罪」を、クリスチャン作家の立場から追求した。
物語の舞台となった旭川市の外国樹種見本林には、三浦綾子記念文学館がある。 文学館には「氷点」の資料も数多く展示されている。
注意 : 以降に、作品の結末など核心部分が記述されています。
目次 |
[編集] あらすじ
クリスチャンでもある医師の辻口啓造は、妻 夏枝が村井と密かに逢引中(まだ深い仲まで進展していない)に、佐石土雄によって娘のルリ子を絞殺される不幸に遭う。
啓造は信仰するキリスト教の教え「汝の敵を愛せよ」の実践と、妻の背信行為に対する屈折した復讐心(実の娘に手をかけて殺した男の娘とも知らずに育てさせ、頃合を見て真実を知らせて落胆する夏枝を見たい)から、佐石土雄の娘(しかし、本当の親は中川光夫と三井恵子で、佐石とは血縁関係は無い)陽子を引き取る(陽子の名前は夏枝がつけたものである)。
陽子が小学1年生になったある日、夏枝は啓造の日記から挟まれていた手紙を見つける。その内容より、陽子の真の出自(養子である陽子は、自分の実娘の殺人者の娘である事)や、何も知らずに陽子を育てていることに気付いてしまう。
そして、陽子の首に手をかけたのであった(その後も、中学校の卒業式に陽子が読もうとしていた答辞を白紙に変えたり、北原が一度送った手紙を北原に返してしまったりしている)。
一方、陽子のほうも、牛乳配達の手伝いをしていた小学4年生のときに、自分は本当は辻口夫妻の実の子では無い事を知る(その時に受けたショックの為、牛乳配達の仕事を辞める)。
高校生になった陽子は、徹(義兄)の大学の同級生の北原という青年と出会う。陽子は北原に好意を持ち、北原は、陽子に結婚を申し出る。しかし夏枝は、陽子が実の子供の仇(殺人犯 佐石)の娘であるということを2人に向かって言う。そんな母親の仕打ちにより追い詰められた陽子は・・・。
[編集] 映像化
[編集] 1966~1989年
- 1966年 1月23日 - 4月17日、NETテレビ(現テレビ朝日)で連続ドラマ化(2006年11月8日からCS放送のテレ朝チャンネルで再放送)。出演は新珠三千代、内藤洋子、芦田伸介、市原悦子、田村高廣、北村和夫。
- 新珠三千代が継子・陽子いじめの悪女・夏枝を演じ演技派女優としての評価を高めた。徹役を務めた岸田森が、この作品でTV本格デビュー。最終回の視聴率が42.7%という大ヒット作となった。特に北海道では、当時北海道テレビが未開局(1966年当時の既存局は北海道放送と札幌テレビ放送の2局のみ)のため、本来の放送時間帯とは異なる日曜日の昼過ぎの放送だったが、非常に人気を博した。
- 1966年 3月26日、大映から山本薩夫監督で、映画化。出演は若尾文子、安田道代、船越英二、山本圭、津川雅彦、森光子、成田三樹夫、鈴木瑞穂。
- 1971年 1月4日 - 3月12日、TBS・花王 愛の劇場でドラマ化。出演は小山明子、安井昌二、西山恵子、池田秀一、久保明。
- 1971年 10月25日 - 1972年 1月24日、「続・氷点」がNET系にて再びドラマ化。出演は南田洋子、島田陽子、二谷英明、近藤正臣、細川俊之、田村亮、草笛光子。
- 1981年 3月30日 - 6月26日、毎日放送の昼ドラマ枠・「妻そして女シリーズ」で放送。出演は野際陽子、近藤洋介、荻島真一、加賀まり子、飯塚雅弓。
- 1981年 4月9日、よみうりテレビの「木曜ゴールデンドラマ」として単発ドラマ放送。出演は紺野美沙子、三田佳子、中村敦夫、長門裕之。
- 1988年、台湾中華テレビで連続ドラマ化。役名が全員中国語に(たとえば、辻口が頼に)。
- 1989年 4月6日 - 4月7日、テレビ朝日開局35周年記念ドラマとして、2夜連続で放送。出演はいしだあゆみ、高嶋政宏、野村宏伸、万里洋子、津川雅彦、高木ブー、泉ピン子、上條恒彦、世良公則、高橋ひとみ。
[編集] 2001年
7月12日 - 9月20日、「氷点2001」としてテレビ朝日木曜ドラマ枠で放送。 舞台は現代の鎌倉に変更。アイテムも手紙の代わりに電子メールを使用する。
[編集] キャスト
[編集] スタッフ
- 脚本:中園ミホ(1・2話、3~10話は脚本協力)、相内美生(3・5~10話)、小野沢美暁(4、7話)
- 演出:阿部雄一(1・2・5・10話)、今井和久(第3・4・6・7・9話)、植田尚(8話)
- プロデューサー:杉山登(テレビ朝日)、志村彰、次屋尚(MMJ)
- 音楽:羽毛田丈史
- 主題歌:鬼束ちひろ「infection」
- 制作:テレビ朝日、MMJ
[編集] サブタイトル
- 娘、陽子を私は憎んでいる!!
- 娘をいじめ始める母
- 殺意
- 15年間育ててくれてありがとう
- 母の浴衣が着たかった…
- お兄ちゃんに抱きしめられた夜
- 涙をみせない怖い少女
- そんなにあの子が大切ですか
- 涙の遺言
- お願い、死なないで
[編集] 2006年
テレビ朝日系列でスペシャルドラマとして11月25日・11月26日放送。主役の陽子役(9代目)に石原さとみ。徹役にNEWSの手越祐也。
[編集] キャスト
- 辻口陽子:石原さとみ
- 辻口夏枝:飯島直子
- 島田辰子:岸本加世子
- 辻口徹:手越祐也
- 村井靖夫:北村一輝
- 松崎由香子:本上まなみ
- 北原壮太:窪塚俊介
- 三井達哉:中尾明慶
- 相沢順子:貫地谷しほり
- 加納由美:安田美沙子
- 三井恵子:賀来千香子
- 和田刑事:小野武彦
- 佐石土雄:吹越満
- 辻口ルリ子:永井穂花
- 辻口徹(少年期):十川史也
- 辻口陽子(少女期):森迫永依
- 高木裕介:陣内孝則
- 辻口啓造:仲村トオル
- 辻口陽子(老年期):竹下景子
- 北原壮太(老年期):津川雅彦(1966年大映版に北原役で出演)
[編集] スタッフ
- 脚本:野依美幸
- 音楽:アンドレ・ギャニオン
- 主題歌:元ちとせ「六花譚(ロッカバラード)」
- 制作統括:早河洋
- チーフプロデューサー:五十嵐文郎(/tv asahi)
- プロデューサー:内山聖子(/tv asahi) ほか
- 監督:藤田明二(/tv asahi)
[編集] 放送日・サブタイトル・視聴率
各話 | 放送日 | 視聴率 |
---|---|---|
前編 | 2006年11月25日 | 12.6% |
後編 | 2006年11月26日 | 17.3% |
[編集] その他
- 日本テレビ系で放送されている「笑点」の題名は、この作品のパロディとしてつけられた。
- 1989年のドラマ化に際しては、玉置浩二の同名シングル曲「氷点」がテーマソングとなった。2006年のスペシャルドラマ版でも、使用された。
[編集] 外部リンク
TBS系 花王 愛の劇場枠 | ||
---|---|---|
前番組 | 氷点 | 次番組 |
智恵子抄 | 第二の結婚 | |
テレビ朝日系 木曜ドラマ枠 | ||
R-17 | 氷点2001 | 最後の家族 |
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