自動車教習所
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自動車教習所(じどうしゃきょうしゅうじょ driving school)は、自動車の運転に関する道路交通法規と運転の技術を教習させる施設である。
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[編集] 概要
道路交通法上は自動車教習所が正しいが、名称(屋号)の多くは「~自動車学校」「~ドライビングスクール」「~モータースクール」などと名乗っている所が殆どである。このうち「自動車教習所」もしくは「自動車学校」と付くのは各都道府県公安委員会の指定を受けたものに限られる。指定を受けていない自動車教習所では「~自動車練習所(場)」などと名乗らなければならない。
運転技能教習や技能検定だけでなく、限定解除審査、高齢者講習、初心違反者講習も公安委員会の認可のもとに行なう。また、ペーパードライバーの講習を行なっている教習所もある。建設機械などの技能講習や特別教育を定期的、もしくは不定期に行っているところも少なからず存在している。
自動車教習所の中には、地方の教習所を中心に、寮やホテル、旅館といった宿泊施設に泊まりこみながら教習を行う、合宿免許と呼ばれる合宿教習を行っている所もある(スポーツ新聞などに広告が掲載されることが多い。免許の互換性がない普通(大型)自動車と自動二輪車といった複数の教習を同時に受けられる場合が多い)。
日本では練習用コースを設けた広い敷地があるのが普通であるが、ヨーロッパでは小さな事務所が1つだけで、教習希望者のところに教習車で指導員が出張し、路上で教えるというところも多い。
[編集] 区分
- 指定自動車教習所(公認自動車教習所とも称する) - 卒業生に公安委員会の運転免許試験場で技能試験免除で受験する事が出来る卒業証明書を発行できる。コースの広さや教習内容は道交法により細則が決められており、一定の時限数の教習を受け、見極め(きちんと技術を会得したという指導員のお墨付き)をもらい、卒業検定に合格しないと卒業できない。
- 指定でない(非公認の)自動車教習所
- 指定自動車教習所でない以下の教習所では、技能試験の免除がないので、仮免許・本免許共に運転免許試験場で技能試験を受けることとなる。そのうち、取得時講習や特定教習などが出来る教習所とそうでない教習所とが存在する。指定自動車教習所と比較すると、カリキュラムに自由度が高く、最低限決められた時限数さえ教習を受け、試験場での試験に合格すれば免許が与えられるので、運転技量に自信のある取消処分者や特殊な免許(牽引など)を受験する場合などに有利な場合がある。練習コースの制限が少ないので、すれちがいや転回など特徴ある項目で教習を行っている教習所もある。運転免許試験場での手続きは基本的に受講生自らが行わなければならない。
- 届出自動車教習所 - 関係当局に届出を出している届出自動車教習所である。届出教習所では,他県在住の者も教習所所在地の都道府県で仮免許の取得が可能となる。
- 取得時講習と同じ意味を持つ「特定教習」などを行うことのできる「特定届出自動車教習所」と
- 特定教習が出来ない「届出自動車教習所」がある。
- 届出がない自動車教習所 - 届出を出していない教習所とは指定教習所でも届出教習所でもなく単なる練習だけを行う教習所と言える。車両と指導員だけで路上や私有地で教習するプライベートな教習所もあり、ペーパードライバー講習として利用する人もある。
[編集] 日本での自動車教習所の施設等
- 学科教習用の教室や事務室、指導員室などのある建物があり、教習予約や事務手続き、シミュレーター教習などが行われる。
- 教習コース - 指定自動車教習所では運転免許試験場と同等の広さを持ち、坂道発進・狭路通過など運転免許試験場と同等の大きさのコースが必要。道路交通法施行令第三十五条イにより「コース敷地の面積が八千平方メートル」以上必要とされる(二輪の教習所は3500平方メートル以上)。
- 教習指導員 - 俗に教官と呼ばれている。指定自動車教習所では一定の資格を持った、指定自動車教習所指導員が必要。
- 技能検定員 - 修了検定および卒業検定を実施する検定員。運転免許試験場の試験官の業務を代行しているため、みなし公務員とされる。
[編集] 教習車
教習車(きょうしゅうしゃ)とは、自動車教習に使われる自動車、自動二輪車の事。 四輪車は助手席足元に補助ブレーキペダル、ミラーは車内にルームミラーがもう1つ、フェンダーミラーやドアミラー上部にはアウトサイドミラーという、指導員(検定員)用のミラーが付く。普通自動車はかつてフェンダーミラーが主流であったが、現在発売されている乗用車ではドアミラーが主流になったため、最近では教習車もドアミラーが主流になっている。 二輪車は計器・制動装置類と連動するランプが装備される。 四輪車は特種用途自動車として扱われるため、8ナンバーとなる。
[編集] 普通自動車
- 形は4ドアセダンが主流。4ドアセダンが多い理由は、教習で複数の教習生を乗せる事や普通二種免許の教習に最適である為である。
- 最近では受講者を増やす為、人気のSUVやミニバン、輸入車を使用する自動車教習所も一部あり、輸入車ではBMW・3シリーズ、メルセデス・ベンツCクラスなどが使われる。
- 技能試験および技能検定に使う普通自動車は、道路交通法施行規則第二十四条により「乗車定員5人以上の専ら人を運搬する構造の普通自動車で長さが4.400m以上、幅が1.690mm以上、軸距が2.500mm以上、輪距が1.300mm以上のもの」とされている。3ナンバーサイズでも問題はないが、使い勝手から5ナンバーサイズが使われている事が殆どである。なお、軽自動車ではこの条件を満たさない。全長が前述の施行規則の基準を満たさない車両は、メーカー段階で北米輸出仕様の大型バンパーを装着して基準を満たし、教習車仕様として販売していた(ファミリア、ランサーなど)。普通の教習ではこの限りではないものと考えられる。
- かつては乗用車としては大型(5ナンバーサイズの限界)なクラウン、セドリック、ルーチェなど、が主に使用されてきたが、これらの車が3ナンバーサイズに拡大された事もあり、近年は小型のまま販売されている車両への変更が進み、クラウン等は使用されなくなっている。しかし、最近ではアクセラや現行型のシビックなど3ナンバー車を使っているところもある。
- 駆動方式はFRが多かったが、市販の乗用車がFFが主流となった昨今では教習車もFFを採用するところもある。
- 教習車は燃費の割安なディーゼル車やLPG車が多く使用されてきたが、近年は1800cc~2000ccクラスのガソリン車を導入しているところもある。最近では環境問題に対する意識の高まりを受けてプリウス等のハイブリッド車を導入しているところもある。
- 高速教習を行う場合は、変速操作のミスなどによる事故を防ぐため、たとえオートマチック限定免許取得者以外であっても、オートマチック車が使用されることがある(なお限定無しの場合でも、一定時間オートマチック車での実地教習が組まれている)。安全性を高めるため、エアバッグやABS、スムーズに教習を進めるためETCが装備されている場合が多い。また、高速教習のみ輸入車 (特にドイツ車)を使う教習所も一部にはある。高速道路に交通規制が生じたり、所在地に高速道路がない場合には、高速教習はドライビングシミュレーターで行われる。
[編集] 主に教習車に使用される車種
- トヨタ
- コンフォート、コロナ、コロナプレミオ、カローラアクシオ
- 日産
- クルー、ブルーバードシルフィ、ブルーバード
- マツダ
- アクセラ、カペラ、ファミリア(又はフォード・レーザー)
- 三菱
- ランサー
- ホンダ
- アコード、シビックフェリオ
※シビックフェリオは普通1.5リッターの安いモデルを大半の自動車学校が使用しているが、1.7リッターのモデルを使用しているところもあり、茨城県日立市のある自動車学校では最上級モデルのミラノレッドの1.7RSを使っているところもある(ただし、ホイールキャップやオートエアコンなどは省かれている。)
[編集] 過去に教習車に使用されていた車種
[編集] 自動二輪車
- 主にホンダが使われており、免許別にCB750(大型自動二輪車)・CB400SF(普通自動二輪車)・CB125T(普通自動二輪車小型限定)が使われる。大型二輪ではハーレーダビッドソンを導入している教習所もある。なおオートマチック限定免許用については、主にスズキのスカイウェイブ650(大型二輪)・スカイウェイブ400(普通二輪)・アドレスV125(普通二輪小型限定)が使われているが、これは導入時にスズキが積極的に営業を行った事と、他社に当該車両が存在しなかった背景などがある。
[編集] 大型・中型自動車
- 大型第一種運転免許用は現在、いすゞ・フォワード、日野・レンジャー、日産ディーゼル・コンドル、三菱ふそう・ファイターといった、車体長7m~7.8mクラスのトラックで教習および検定が行われる(中型ベースの所謂「増トン仕様」)。2007年、中型自動車免許新設に伴い、現在の大型教習車は中型教習車となり、新大型教習車は車体長11m~12mクラスのトラックが使用される様になる予定。
- 大型第二種運転免許用はいすゞ・エルガLT等、9mクラスの大型バスが教習車となっているが、中型第二種免許新設に伴い、段階的に10m~11mクラスの大型バスに移行している。現行の9m車は2007年6月から中型第二種運転免許用の教習および試験車両になる予定。
[編集] 大型特殊自動車
[編集] 牽引自動車
- 全長8m~11mクラスのセミトレーラーで教習が行われる。トラクター(トレーラーヘッド)に使われる車種は大型第一種運転免許用に使われる車種と同様である。トレーラー(シャーシ)は平ボディを引っ張っているが、上部にゲート(アオリ)のついているものと、ついていないものがある。牽引免許の試験および検定は場内だけのため、ナンバーを取得していないものがほとんどである。
[編集] 自動車教習所をテーマにした映画・ドラマ・ゲームなど
[編集] 映画
[編集] ドラマ
[編集] ゲーム
- 免許を取ろうDX
- THE 免許取得シミュレーション
- THE 免許取得シミュレーション ~改正道路交通法対応版~
- 免許の鉄人
[編集] その他
- 自動車教習所のシンボルには、交通の守り神の聖クリストファーがよく使われている。
- 地域によって略称に違いが大きい。 愛知県を中心とした一帯や、静岡県の西部地方の話し言葉では,「車校(しゃこう)」(名古屋弁#語彙)。 沖縄県の話し言葉では「自動車練習所」を略して「自練(じれん)」。「自練」の用例はほかに、東京都港区の三田自動車練習所(略して「三田自練」)がある。他に「自校(じこう)」「車学(しゃがく)」「自車校(じしゃこう)」などがある。なお、○○自動車学校などの名称では「自学(じがく)」と呼ばれる場合もある
[編集] 関連項目
- 日本の自動車教習所一覧
- 指定自動車教習所
- 指定自動車教習所管理者
- 指定自動車教習所指導員
- 指定自動車教習所技能検定員
- 運転免許試験場
- 仮運転免許
- 運転免許
- 技能試験
- 修了検定
- 卒業検定