阪急3300系電車
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阪急電鉄の3300系電車(3300けいでんしゃ)は、1967年(昭和42年)から導入された阪急電鉄の通勤形車両である。
京都線・千里線用で、地下鉄堺筋線への乗り入れに対応している。
[編集] 概要
大阪市交通局(大阪市営地下鉄)6号堺筋線に乗り入れるため故障時推進を考え電動車の比率が高く、代わりにモーターの出力は130kW(TDK831-A)とやや小さくなっており、抵抗制御(ES583)、8両編成では6M2Tを組む。乗り入れを行わない7両編成は4M3Tが主で、一部に6M1Tも存在する。ブレーキ方式は従来通りの電磁直通ブレーキであるが、ATS更新後は非常ブレーキのみ電気指令式ブレーキを採用している。台車はS型ミンデンドイツ空気バネ式台車を履いており、乗り心地向上が図られた。
車体幅は3000系と比べて100mm広く、車体長が100mm短い「民営鉄道標準車体」と呼ばれる車体構造に準拠し、大阪市営地下鉄への乗り入れに備えている。本系列以降、京都線の車体寸法はこれに準拠させることとなったので、2300系と特急用の6300系以外は堺筋線に乗り入れ可能となっている。起動加速度は6M2Tで3.3km/h/s、4M3Tでは2.9km/h/sである。5300系以降の車両とは異なり、地下区間での加速度切り替えは行わない。
1967年(昭和42年)から1969年(昭和44年)までの短期間に120両が建造されて、1970年の大阪万博期間中には「EXPO準急」など、地下鉄堺筋線60系と共に多彩な運用が見られた。正面の左上部分には手動式方向幕が設置され、堺筋線乗り入れ時に使用されていた。
1979年(昭和54年)に堺筋線の6両編成化のために製造された付随車(3951~3956)6両は、車体形状が5300系に準じている。なおこの6両の車内天井には、ファンデリアではなくローリーファンを設置して冷房準備工事を施していた。その後は全車6連で組成されていたが、電動車のみで編成された編成もあり、一部は電装解除されて暫定的に制御車または付随車として扱われた車両も存在した。
[編集] 冷房改造兼更新工事施工後
1982年(昭和57年)から冷房化および更新工事が実施され、天井見付けは当時建造されていた7300系同様の、スイープファン補助送風機付き集約分散式冷房装置が設置された。また、本系列の特徴であった手動式方向幕は種別表示と行先表示が別になった電動式のものに取り替えられたほか、窓下に種別灯と尾灯が設置され、前面デザインが変化した。
長らく6両編成を組み堺筋線乗り入れと本線普通に主に使用されていたが、1989年に堺筋線直通の普通列車の一部が8両化されたことを機に一部の編成が8両編成に組成され本線急行にも使われるようになった。現在では8両編成には堺筋線用の音声合成式自動放送装置が取り付けられている(阪急線内では使用しない)。堺筋線開通時から共に運用してきた地下鉄堺筋線60系は、堺筋線との直通運転開始から34年が経過した2003年(平成15年)に引退したが、本系式は2006年現在、8両編成11本88両、7両編成5本35両、休車3両の126両全車が在籍する。
[編集] 再び更新工事施工へ
登場から既に40年近くになろうとしているが、阪急の経営事情は依然として厳しく新車による大量置き換えが難しいことから、2003年より再び内外装更新による延命工事が開始され(これに伴い、それ以前に実施されていた3300系より若い5300系の更新延命工事は中断されている)、2007年2月までに8両編成5本40両(施工順に3329F・3305F・3331F・3328F・3323F)が完了している。
再更新車の特徴は、側扉の窓が従来より下側に伸ばされ、扉周囲の化粧板が色落ち対策として他の部分に比べて濃い目になっており、さらにLED方式の車内案内表示装置の設置である(これら工事内容は近年の他系列の更新車でも同様である)。
また、9300系登場により8両編成が増加したため、一部は7両編成に組み替えられ、2300系を置き換えている。なお、従来の8両編成(6M2T)を7両編成に組み替える際、堺筋線乗り入れ運用を考慮する必要がなくなったために一部の電動車を付随車化改造を施して4M3T構成にしている。
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