阪急8200系電車
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阪急8200系電車 | |
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通勤急行に使用される8200系 | |
起動加速度 | 2.8km/h/s |
営業最高速度 | 115km/h |
設計最高速度 | 130km/h |
減速度 | 3.7km/h/s(常用最大)
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編成定員 | 190(立席)+43(座席)=133 |
全長 | 19000mm |
全幅 | 2750mm |
全高 | 4095mm |
編成重量 | 66.6t |
軌間 | 1435mm |
電気方式 | 直流1500V |
編成出力 | 200kW×3=600KW(1M1T) |
駆動装置 | かご形三相誘導電動機(SEA350) |
制御装置 | VVVFインバータ(SVF018-A0) |
ブレーキ方式 | 電気指令式空気ブレーキ(HRD) |
阪急電鉄の8200系電車(8200けいでんしゃ)は、1995年に導入された阪急電鉄の通勤形電車である。
[編集] 概要
1995年に子会社のアルナ工機で2両編成2本4両が建造され、同年6月12日から運用を開始した。イベント時以外は神戸線のみで運用されている。混雑緩和のための試作車両的な存在であるため従来の付番方法とは異なり百の位が2となっている。
ラッシュ時の混雑緩和と乗降時間の短縮を目的として、従来の客室扉より200mm広い1500mm幅のワイド扉を採用したほか、既に東日本旅客鉄道(JR東日本)205系サハ204形6扉車などで採用実績があった折りたたみ式座席を関西の鉄道事業者では初めて採り入れた。
車内の客扉上には千鳥配置で14インチの液晶ディスプレイを設置し、天気予報や沿線情報が表示される。吊り革も阪急では初めて枕木方向にも設置している。加えて車内中央部にスタンションポールを設置し、乗客がつかまるところを確保している。
冷房装置も冷凍能力10,500kcal/hの集約分散式を4基搭載(他系列の多くは3基搭載)し、冬期の暖房能力を向上するためにヒートポンプ式となっている。
VVVFインバータ制御装置は8000系同様の東芝製GTO素子を採用するが、8000系は1基のインバータ装置で4個の交流三相かご型誘導電動機を制御する1C4M制御であるのに対し、本系列ではインバータ装置は1個の電動機を制御する1C1M個別制御となっている。電動機出力は200kw×3となり、設計最高速度は130km/hで将来のスピードアップにも対応できるようになっている。なお、8連化すれば3M5T運転が可能である。また、歯車比は8040形と同様の6.13となっている。
側窓の寸法を拡大した関係で、車体側面の種別・行先表示器はLEDを採用したが、寿命がさほど長くないことなどから後の系列には波及せず、9300系は幕式を踏襲、9000系にはフルカラーLEDが採用された。
以上のように、阪急では初採用となる設備が多数採り入れられている。しかし、運用開始前の1995年1月に発生した阪神・淡路大震災やJR神戸線との競合の影響により神戸線の混雑が緩和されたことや、座席がないことに対して乗客から反発が出たこともあり、結局建造されたのは8200Fと8201Fの2編成のみであった。なお、関西では本系列以降座席を装備しない車両が導入されようとする動きはない(これ以前には西日本旅客鉄道(JR西日本)和田岬線運用のキハ35・キクハ35などがあった)。
[編集] 運用
当初は、山陽電気鉄道本線に直通していた特急の増結車として夕ラッシュ時にも使用されていた。これは山陽電鉄線内はホーム有効長の関係で6両編成までしか入線できないという制約があるためで、本系列を連結して三宮で増結、切り離しを行ったが、1998年2月15日のダイヤ改正で山陽電鉄線への乗り入れが中止されたことに伴い、夕ラッシュ時の運用は廃止された。
2007年現在は、平日朝ラッシュ時の梅田行通勤急行(8両編成)の混雑緩和を目的として、三宮発の8両編成の先頭に西宮北口で増結して、10両編成で梅田に到着する。その後は10両編成のまま回送列車となり西宮車庫へ入庫する。このため通常の営業運転で座席が使用されることはまずない。
本形式が使用される列車は定められているが、本形式が検査などで使用できない場合は他形式で運行される。この形式の車両は2連2本とも増結扱いで、通常は梅田行き通勤急行1日2本のみの運用のため阪急神戸線を利用する機会が多い人でも乗車することの少ない系列である。また、増結にしか使われないので全て携帯電話電源オフ車両の設定対象とされる。
8000系2両編成は、宝塚本線で8連の宝塚側に増結される運用もあったので梅田側先頭部にも電気連結器を装備するが、神戸線では三宮側に2両編成が増結される運用はないため、本形式は梅田側には装備していない。
8200系のシングルアームパンタグラフは京都線の8315Fや神戸線の8008Fと同じく、パンタシューが1本のタイプである。
阪急電鉄の車両 |
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現用車両 |
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過去の車両 |
神戸線・宝塚線:5200系・2200系・2100系・2021系・1200系・1100系・1010系・1000形・810系・800系・610系 550形・920系・900形・600形・500形・380形・320形・300形・98形・96形・90形・51形・34形・1形 京都線:2800系・1300系・1600系・710系・210系・700系・200形・100形(P-6)・10形(P-4・P-5) |
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